音楽・道楽
「確認音源 ”土と水”」 それから〜

それから〜
 どうも納得がいかない。落ち着かない。これまで何とかバランスを取ってきたつもりの我がシステム。しかし・・・。まず、どうしても左右のアンバランスが気になる。これはもともとの我が家の課題でなので、どうしたものか・・・。それと天使の輪状態のセミ。これも鴨居のせいで高さがうまく伝わらないと・・・。うーんどうしたら・・・。

 オーディオの世界は一度迷いだしたら原点に戻るのが鉄則。最近我が家はシステムやケーブル類の入れ替え、ノイズ対策と積み重ねたせいか、わずかなことでも音が変化します。しばらく前なら多少音が変わってもあまり気にならなかったのですが、どうも、このところ音のズレ方が悪いと、露骨に音の焦点がぶれて、一気に気持ちが悪い音に感じます。ポイントがズレると、それまで立体的に形づけられた音が、サッと霧状に拡散するようです。これは多少なりとも僕の耳が進化したのか、ステレオ自体が実力を発揮しだして、音の芯が出てきたために、中途半端でいられなくなってきたのか・・・。こうなるとちょこちょこいじっていているとかえって泥沼になるようです。もう一度セッティングから考えてみようと思い立ったわけです。

せっかくだから + α を
 ・・で、それなら同時進行でさらにアクセサリーも使ってみようというのが欲の深いところです。さて、何をしようか・・・ということですが、実は一つビックリするものを見つけました。中古のオークションです。見つけたのは「ローゼンクランツ」というメーカーの「スピーカーアタッチメント」というもの。これをスピーカーケープルの末端に取り付け、それをただいつものようにスピーカーの端子につなげるというものです。要はスピーカーとケーブルの間に挟むわけですね。その長さわずかに5.25センチ。しかし、定価はなんと7万9千円という驚くべき商品。5メートルじゃないんです。5センチです。我が家で迷いに迷って、長く連れ添ったDENONの高級CDプレーヤーを売ってようやく購入したスピーカーケープルは3メーター二本の6メーターで、それでも十数万。僕にとっては十分すぎるほどいい音です。それがたった5センチで、半額に相当するわけです。たとえ、バブルの絶頂期でも通常なら僕が買うことは一生あり得ないような商品です。それが中古とはいえ、2万円ほどで出てきました。定価の4分の1。ローゼンクランツというメーカーは今はマニアで注目を集めている小さなメーカーです。そのメーカーが我が社の原点だというのが、実はこの製品です。本来オーディオマニアはこうした商品を嫌います。音を純粋にするには接続するものは少ないほどよいというのがオーディオの常識です。本当はCDとスピーカーを直結したいくらいなんです。よけいなものがはいるほど音は純度を失うのが常識です。ですから、スピーカーケーブルとスピーカーの間にものを入れるなんて、通常は論外な発想です。なぜ、最後の最後になって、わざわざ物を挟むのか。しかし、ローゼンクランツはこうしたものを製品化し、我が社の原点の音だと言うのです。ローゼンクランツの音。それだけでも興味があります。しかも、オーディオ界の常識を無視しても、これでいいんだという信念の強さ。。。それがとんでもない安値で出てきたわけです。これも迷いました。そんな予算はもうありません。売るものもありません。これを買えば、毎月買っているCDをしばらくガマンする必要があります。しかし・・・二度と買うことなどないかもしれない商品・・・。

スピーカーアタッチメント
 バカですねぇ、やっぱり。買いました。幸いライバルはおらず(いないですな)、落札できました。そして、あの太いケーブルに装着、さらにムジカライザーへとつないでいきます。そして、音出し。・・・いやはや。ワイヤーワールドのケーブルはいい意味の陰がありましたが、ともするとCDによってはちょっと重かったのと、低音に少し音の固まりができるような感覚がありました。正直、これはこれで嫌いではなかったんですが、スピーカーアタッチメントを低音用の端子につなぐと、この低域がにわかにスピーカーから離れて、中央にできる音像がさらにきちんとまとまるのです。低域の固まりがなくなり、音がスピーカーらはき出されて外へ出てくる感じが強くなりました。ローゼンクランツのスピーカーアタッチメントの解説をみますと、ホースの最後に取り付けて水流を調節する道具にたとえて説明があります。どこのおうちにもありますね。ホースから出る水を霧状にしたり、勢いのよい水流にしたりするやつ。スピーカーアタッチメントも電気の流れを最後に調整するということです。これまでと同じエネルギーしか来ていないはずなのに、スピーカーが音をはき出す感じになります。実はこれが我が家の最後の大きな課題だと感じていました。ジャズを聴くのにもう一つ音がはき出されるような強いエネルギーが欲しい。音量ではないのです。スピーカーからの音をパッ、パッと滑舌よくでるような、切れよくしたいという感じです。これはアンプに問題があると思っていました。ラックスのM−7はどちらかというと音色の暖かい、肉厚の音が特徴のアンプです。エネルギーの歯切れの良さで勝負するアンプではありません。エネルギーのはき出す感じを求めれば、アンプそのものを入れ替えるのが最終的な手段だろうと考えていました。それが、このわずか5センチのアタッチメントで、不満が消えるのです。これはもうはずせません。定価ならやっぱ買うことはできないと思いますが、この価格なら正解でした。しばらくアンプの買い換えは中止です。

+ α その2
レゾナンスチップクライオ1
スピーカーのネットの上に一枚。よく見るとその上にi2枚の黒いレゾナンスチップクライオが貼ってあるのがわかります。
レゾナンスチップクライオ2
こちらはDVDプレーヤーのトレイ部分に貼ってあります。これでも振動が分散して音がよくなるとか。他にもあちこち貼ってみました。
 さらにもう一つ。「確認音源」の注目は「セミの声」でした。「セミ」が、「セミ」というよりはノイズっぽい。「ジィーーーーーー」という感じ。これで思ったのは、やっぱり音がブレているんじゃないかということ。よけいな振動が、この「セミ」本来の音の細かさを消しているかも・・・ということです。そこでパッとひらめくのは「レゾナンスチップ」。スピーカーを千昌夫にして、幸運を呼ぶというアレです(違うッて)。「レゾナンスチップ」は最近新製品に生まれ変わりました。あの小さいものが、クライオ処理を受けたというのです。それによって振動の伝達力がさらに良くなったと。我が家では一枚で音の消え際がスッとなった感じで、雑身がとれたような印象でした。それならこの新製品をもう少したっぷり張ってやろうじゃないかと、思いついたわけです。「レゾナンスチップ」の解説にあるように、スピーカーのねじ止めの部分を中心に張っていきます。スピーカーの振動はこのねじに集まってくるわけで、ここのよけいな振動を逃してみようというわけ。あとは片っ端から貼っていきます。僕の耳では一枚一枚貼っても、変化はわからないです。思い切って貼っていきます。たっぷり張りしました。音を聞きます。なるほど、気のせいだったものが、現実になってきたようです。これまでの音はちょっと産毛が生えていたようです。スッキリとまとまってきました。音がなるほど素直な感じに変わりました。全く不思議なものです。

いよいよセッティングの見直しへ
 ここまで来て、やっぱりやらねばならないと思うわけです。もう一度セッティングをし直して、ポイントをあわせ直してみようと。実はここで大きな衝撃にぶち当たったのでした。
 右側のスピーカー、ちょっと傾いています。手前に・・・。賃貸、木造ウン十年の我が家。右の方が少し傾いていたのです。歩くと揺れるのはわかってました。しかし、傾きはあまり気にしてなかったのです。普通にしていれば感じません。アナログレコードのない我が家では、水平を確認する水準器も持ってませんでした。仕方なく、ガラスの計量カップに水を入れて実験です。右のスピーカーの面はやや下を向いています。これでは左右の音が一致するわけはありません。スピーカーの上にスタンド状の鏡を置いて、そこにポイントを映しながら、左右のスピーカーが一致するように傾きや方向を調整していきます。右のスピーカーはブチルゴム製のシートを挟んで数ミリ持ち上げました。あとは左右の距離、スピーカーの方向などを再度合わせていきます。右側の音がふくらむのはおそらく右に空間があるだけではないようです。たぶん床の強度が左右で違っていて、右の方が全体的に響きやすいんだと思います。やっぱり、初心に返ってみるべきです。床の強度ばかりはどうにもなりませんので、とりあえず左右をきちんと合わせることに集中しました。距離と方向、面の傾きなどを合わせ、あとは音を聞きながら多少の微調整します。音の芯が明確になる位置がポイントのあった位置です。最初の取り組みから数時間。なんとかほどほどのポイントを見つけました。
 いよいよ、再度「土と水」にチャレンジです。

「確認音源 土と水」
 さて、それで音はどう聴こえたのか。「確認音源」はいかに変わったか。まず、一番最初に気になっていた左右の関係。これまでも左右の距離や方向は合わせてきたつもりですが、見事に変わりました。左右のズレは解説の通りに移動しました。ベースは右肩から、右目ぐらいの位置へ。サックスは左肩からやや外へ移動しました。音響の関係で中央に音が回ることもありますが、基本的な位置がキープされてきました。思うにこれまでは右の面が傾いてバランスが合わなかったのを、スピーカーの距離を少し前後に出したり引っ込めたりすることで合わせていたのを、きちんと合わせ直したのが効いているのでしょう。実はこの傾きの調整で一番変わったのは高さの表現でした。それはその通りです。天使の輪のようだったセミの声。これが輪ではなくなりました。セミの声の位置が明確になってきて、位置が右左、前後と離れ始めたためです。鳴き声の位置ももちろん高くなりました。楽器の少し上で、まとわりつくように鳴いていたのが、楽器から距離がとれて、この離れた分が奥行きとなって聞こえています。レゾナンスチップの効果も出ています。「ジィーーーーーー」と聞こえた鳴き声が「ジリィィィィィィ」となってきました。「ミィ、ミィ、ミー」は「ミィィ、ミィィ、ミーーーーン」とよりセミらしさを感じます。こうしてなるほど解説にだいぶ近くなってきました。セミの声はCDの出だしから聞こえるかと言えば、ちょっと難しいですが、そのまま聴いていれば曲の途中からはしっかり入ってくるようです。2曲目の頃にはずっと聞こえるようになっています。

 しかし、こうなると別な面も出てきます。ちょっと驚いたのはベースとサックスの距離が近づいたことでした。ベースはこれまでより少し後ろに行き、サックスは前にちょっと近づきました。これは奥行きがなくなったのではありません。セミの声は確かに奥に行きました。むしろ、全体の広がり、奥行きができたので、楽器が相対的に近づいたように感じます。奥行き、高さが出てくるようになったということは、響きがより出てきたということで、サックスは位置がはっきりしながらも、ホールの響きがついている感じが以前よりわかります。前は元の音と響きが混ざりあう感じが強かったのが、元の音と響きの部分が区別しやすくなりました。逆にベースの直接的な感じも少し和らぎました。後ろに下がった分だけ、そう感じるのです。
 我が家の音はかぶりつき、ライブハウスの前の方の席の音でした。楽器の自己主張に個性があり、それがJAZZらしさも演出してました。ここ一ヶ月ほどの調整で、我が家の音は良くも悪くもニュートラルなバランスに近づいたようです。再現性は確実にアップしました。しかし、一方でよりオーディオ的で、平均点は高くなったけれど、音楽の味が薄まった感じがするのも実感です。高さが出て、のびが良くなって、音域としての中域、楽器の演奏位置として中央の音の厚さが、ともに少し減ったのだと思います。ライブハウスのかぶりつきの席から、少し後ろに下がって見通しはよいけれども、ちょっと寂しさもあるという感じです。

 さて、結局迷宮の中にいる僕です。「確認音源」の効果は確実で、オーディオ的にはかなり前進したと思います。音の質の向上ははっきりしているので、方向性は正しいはずです。基本になるセッティングのベースは「確認音源」のおかげでかなりできてきました。音楽のコクはここからもう一つ付けていくのがよいと思います。これで「確認音源」が再生できたとは思いませんが、光は見えてきたかもしれません。「確認音源」は、さすがにオーディオを趣味とする人には価値のあるものだと思います。


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