
| 我が家の新しい音 |
| こうして引っ越しも落ち着き、我が家のシステムの設置も完了してきました。新しい製品の導入もありあらためて我が家の音ができつつあるわけです。 それではこのbefore、afterの変化を確認しましょう。 部屋については 1、変形縦長10畳から、正方形の8畳へ 2、木造、薄い壁、ペラペラの天井から、 鉄骨、平均的なボードの壁、高く曲線を描く天井へ 3、和室畳敷きから、洋室フローリングへ 4、一軒家だが、隣が近く音量の制限が強くなった システムについては 5、DVDプレーヤーの入れ替え 6、センタースピーカーの導入 セッティングについては 7、メインスピーカーの間隔が拡大 視聴者とメインスピーカーまでの距離は縮小 (縦長二等辺三角形から、正三角形へ) 8、サラウンド用のサイドスピーカーを、斜め後方へ移動。 (THX配置から、ITU−R配置へ) 9、サラウンドスピーカーまでの距離は拡大 バックスピーカーまでの距離は縮小 10、プロジェクターの投射距離の縮小 などと確認すると大きくは10の変化があったことになります。この変化で我が家の音楽の楽しみ方は大きく変わりました。 |
| 以前の我が家は古い木造住宅で、音的には防音・吸音効果などとはまったく無縁。音は完全に筒抜け状態と言える状態で、映画用に部屋を暗くするために厚いカーテンをつったりして非常にデッドな空間(響きの少ない部屋のことです。響きの多い部屋はライブといいます)となっていました。このため音楽を聴くときもAVアンプを使ってサラウンド用のスピーカーを鳴らして、積極的に残響音を作りながら楽しんでいました。一般に映画などは効果音まですべて作られた空間を楽しむわけですから、部屋の影響の少ないデッドな空間で、録音されたものだけを確実に再生する方がよいとされます。一方で音楽再生は2本のスピーカーで空間の響きや音の広がりを作り出そうとするステレオ方式が主流だったために、逆に部屋の空間の響きがある程度豊かでスピーカーに+アルファの効果があるライブな部屋の方がよいとされています。新しい部屋はまずこの点が大きく違いました。新居では壁自体はそれほど厚いわけではありませんが、やはり最新の建築ですので部屋の機密が非常によい状態にあります。天井も高く、しかも丸みのついた独特の天井です。この部屋は確実に響きの残る部屋と言えるでしょう。音楽を聴くには響きがある方がよいにしても、何もない部屋ではさすがに響き過ぎています。部屋の響きを抑える1番の方法は家具をしっかり入れること。正直にいうと部屋はできるだけシンプルに使いたいという希望を持ってました。一階にはまだ部屋が2つ残っているのです。ここに荷物を入れる必要はありません。ステレオとパソコンだけあれば基本的には何もいらない。普段聞かないソフトや読み終わった本は他の部屋へ置いておこうと、できるだけ物を置かないシンプルな部屋にしたいと最初は思ってました。しかし、この響き過ぎる部屋を使うのに、何も置かないわけにはいきません。最終的にはCDやDVDのラック。最近読んだ文庫本や雑誌を並べるカラーボックスなどは壁に並べることにしました。それでも天井が高いので、家具の置けない上層部ではまだまだ響きがおさまっていない印象です。これは当面の課題になるでしょう。 こうした環境を増えまて現状で我が家の音はどうなったでしょう・・・。 まず、効き方に違いが出ました。これまで音楽を聴くときもAVアンプを使って、サラウンド効果を加えていたと書きましたが、この部屋ではこれがまったく必要ありません。新しい部屋ではサラウンド効果を入れると明らかに響きすぎてバランスが崩れます。「音楽・道楽」をはじめた頃の我が家の音をライブハウスの一番前の席で聞いているようなかぶりつきの音と書きました。それ以来ケーブルを交換し、セッティングを詰めて、ライブハウスの音も次第にバランスのとれた音に変化をしてきたのがこれまでの道のりです。最近はライブハウスも最前列ではなくて、数列下がってバランス的も整ってきた状態になっていました。そして、今回の引っ越し後の音は、明らかに「ライブハウス」の音とは別れたというのが正直な感想です。「ライブハウス」たる音の印象は直接音の多さ、スピーカーからの音がそのまま耳まで来る感じにあります。こうした音の聞え方は明らかに以前のデッドな部屋の、残響音の少ない空間が影響したいたものだったのだとわかります。 さらに、我が家のスピーカーは音を面で出してくる昔ながらの音の出し方をするタイプです。こういう表現はちょっとわかりにくいんですが、左右のスピーカーが中央に一つの絵を作ってしまうというタイプです。残響の少ない部屋では、その絵がガガッと迫ってくるような印象になっていました。それがステージの近いライブハウスというイメージだったのです。 我が家の新しい音は、この世界とはまた違う音へと変化してしまいました。それはむしろオーディオの基本に帰ってきたというべき音になったといってもいいと思います。あれほど面で迫ってきた音が、なんと今やスピーカーとスピーカーの中央にポツンと音像ができあがる立体音場派の音に変わってきたのです。これには本当に驚きました。スピーカーの距離があいて、試聴位置が近くなったことが間違いなく効いています。左右のスピーカーから音が出てくるのではなく、中央に別のスピーカーがあるかのようです。左右のスピーカーからは音が聞えてくるという感じがしないのです。以前でももちろん中央の音像はできました。でも、音像のまわりにも空気を感じさせ、それが一枚の絵のように特別な空間(ステージのように)を作り出したわけです。それが現状では楽器を囲む空気の部分がなくなって、楽器だけがそこに存在する、ステージがなくなって自分までその場の空間中に入ってフロアで演奏を聴いているような印象に近くなってきました。 |
| ラジカセやミニコンポなどはその場所だけで音が鳴っています。絵を描くどころではありません。すべてがごちゃ混ぜになって1か所から聞えています。ステレオのレベルが上がってきますと、いかに空間に絵を描くかということが目標になります。しかし、最近はさらに進んでもっと立体的に、空間そのものを作っていこうとしています。B&Wというメーカーのスピーカーが有名ですが、このメーカーのスピーカーはそのために丸みをおびた独特な形をしています。機会があればぜひ聞いて欲しいと思います。左右2本のスピーカーだけでも、立体的な音像ができるのだと証明してくれます。こういう音の出方は最近のスピーカーの特徴です。一方、我が家のスピーカーは従来の箱型の代表のようなものです。こうした旧来タイプのスピーカーは絵を描くため作られてきたました。同じように空間を作っても絵として空間を描いてしまう。テレビやスクリーンを見ている感じです。それがこの部屋に来て、左右の間隔を広げ角度の調整をしたことでホログラフィックな表現に近い再生になったわけです。これは非常に驚きました。 こうした空気の存在感の変化にはノイズの少なさも影響していると思います。私たちが生で聴く音と、機械で再生する音の決定的な違いは、ノイズの多さにあると言われたりします。「ノイズ」というとザーザー雨の降るような雑音とか、車の走る騒々しい音などをイメージしがちですが、そちらの「ノイズ」ではなくて、もう少し電気的な意味でのノイズです。機械で作る音は電気を使ってさまざまな回路を通して生まれてくるわけですが、その時にはどうしても電気的な雑味がどんどん、どんどん入ってしまう。生音にある純粋さがどんどん失われてしまう。技術者の人たちはなんとか少しでも本物の音の似た音を出す努力を懸命にしているわけですが、機械で生まれた音はその瞬間から純粋たり得ない。ここでいう「ノイズ」はそうした機械的な回路の副作用としての雑味のことです。最近は電磁波なども注目されていますが、こうしたノイズをいかにとるか、ノイズをいかに生まないかというところに着目が行っています。先にあげたB&Wのスピーカーはなぜ丸いのかというと点から発せられる音の広がりは、当然丸く広がるからなのです。スピーカー自身が角張っていると音がスムーズに出るどころか、最初にスピーカー自身の角にぶつかってそこで最初に変な癖がついてしまう。人の耳に届くまでいかに音の純粋さを上げるかという研究の成果なんですね。我が家の場合はスピーカーは旧型ですが、間隔をあけることで左右のスピーカー同士の干渉弱まったということが一つ。そして、おそらく電源環境が明らかによくなって信号にまつわるノイズがかなり落ちているのが要因ではないかと思っています。 |
| しかし、こうした変化が全て良いかというと、どんなものにも良い点・悪い点があるわけです。JAZZの熱さ、迫ってくる力は以前の部屋が圧勝です。新しい部屋では音量も上げきれないということもあります。トータルなエネルギーでは勝てません。しかし、一方で音楽の味わいや情景を見渡せるような一体感は、空間をともにしている現状の方が勝ちます。音の集約度が違うのです。楽器の存在感がより出ています。以前の部屋と比べて、それがちょっとクールに感じるのは、もしかしたら再生の問題ではなく、フロアで透明人間になったように感じる自分の方の問題なのかもしれません。ステージに向かい、ステージのエネルギーを浴びようとしていたのが以前の暮らしなら、今はそのステージに臨むという感じが弱くなってしまったわけです。どちらもないものねだりで、現在の我が家は後者に属しているというしかないのです。こうした音はおそらくクラシックの室内楽あたりを聞くのなら本当にベストなのではないかと思います(オーケストラになるともっと広い部屋、広い空間がほしいでしょう)。いずれにしても、今の僕は新鮮な体験をしています。まさか、我が家のスピーカーでこうした空間再生ができるとは思っていませんでした。音楽的なバランスも良く、かぶりつきの個性はなくなったけれども、現代風のオーディオの世界に戻ってきた感じがしています。ここ十年ばかりはAVアンプの力に頼ってきましたが、2本のスピーカーで楽しむステレオ再生も十分に楽しめるということがあらためてわかりました。 |
![]() これも我が家の新しい仲間。以前ほどの音量が出せない新居のために導入されたパイオニアのサラウンド対応ヘッドフォン。ヘッドフォンをしても5.1チャンネルのサラウンドが楽しめるのが売り。でも、このヘッドフォンは低域から充実したピラミッドバランスの音作りで、普通に音のバランスがよいので、そちらの方が意味があるような気がする。 |