音楽・道楽
AVアンプのバージョンアップ

 「音楽・道楽」も久しぶりの更新となります。今年はかなり忙しくて、あわただしく過ぎた一年となりました。なかなか趣味のページまで手が回らないまま過ぎてしまいました。でも、そうした状況であっても楽しみというのはつきないもので、気がつけば、やっぱり今年もあれやこれやと状況は変化しているのです。さてさて、では、何から書きましょう。どこから書きましょうか・・・。

 話がいきなり飛んでもわかりにくくなりますので、やっぱり、今年の変化は順を追って書いていくことにしましょう。

VSA−AX10から、AX10Aiに進化しろっ!。

 春先、PIONEERは夏にAVアンプのバージョンアップを行うと発表しました。最新機種のAX10Aiでは好評の自動補正機能がさらに進化したというのが売りで、去年の冬にデビューしたものです。我が家のAX10はこれより2世代前の機種となります。さて、何が進化したかというと、AX10Aiでは各スピーカー間の音の補正を行うときに、音のサンプルを取り込むまでの時間を細かく調整できるようにしたというのです。従来のものは取り込み時間が比較的遅く壁からの残響音も合わせてひろう形式だったの対して、今度はスピーカーからの直接音を中心に取り込めるようにサンプルの収集時間を早く設定できるProモードを搭載しました。これはどういうことかというと、人間の耳は確かに間接音なども含めて聴いているのですが、基本的にはやはりスピーカーからの直接音が一番早く耳に到達することに変わりはなく、音の骨格そのものは直接音にあるという点で原点に回帰した発想とも言えます。音場補正というからには、素人的に考えると従来のように部屋の環境音も全て取り込む方がよいように思うのですが、PIONEERはさらにその点をもう少し整理して、より踏み込んだ調整ができるように、Proモードを搭載したと言います。では、どういう場合に効果的かというと、使用しているそれぞれのスピーカーの特性が異なる場合。あるスピーカーは高域が強く出て、あるスピーカーは低域が強くでるというような場合は直接音の方をまずそろえた方がよい。次に左右やサラウンドの環境が異なっていて、残響がかなり違う場合。こちらも直接音レベルでそろえた方が、実はよりまとまった音で聞えるようです。つまり、響く前の音をまずそろえてしまうということです。全てのスピーカーがそろっていて、残響音にもバラツキが少ない場合は従来モードでトータルの補正をした方がよいとも言っています。どちらを選ぶかを決めるために、Proモードでは部屋の残響を各周波数ごと、各チャンネルごとでチェックする機能も用意しました。これはさらにパソコンとつなぐことのできれいなグラフになってチェックすることができるそうです(我が家はパソのOSが古いのでやれてませんが)。その上で音場補正のサンプル収集時間を調整するということになります。今回のバージョンアップではこうした内部のシステムプログラムの変更を中心に行われるようで、他にも「音楽・道楽」でも話題にしたサラウンドスピーカーの「ITU−R配置」と「THX配置」を共存させるようにスピーカーの出力を変える機能や設定の細かい変更がなされるとのことでした。


AX10Ai

リモコン

 外見は足が5つから普通の4つに戻った以外は何の違いもありません。大きな違いといったら、これだけ。以前より持ちやすい小型になり、充電式になったリモコン。こちらの使い勝手の向上もメリットの一つ。

 唯一不満が残るとすれば、使い勝手向上のために導入されたStreamdirect設定という入力信号に対して自動的に最適な音場を選択するという設定機能。これにしておくと各種のサラウンド信号も自動的に標準の設定に合わせてくれる。つまり、ドルビーならドルビー、DTSならDTS、ESならESになる。アナログ信号もこの設定にておくと自動的により高音質のハイサンプリング入力に変換される。このシステム自体はいっこうに悪くないが、表示が不親切だ。自動的にしても何を選んだのかが表示されない。そして、最近はどのAVアンプでも5.1チャンネル信号を7.1チャンネルに拡大する機能もついている。つまり、いつでもバックチャンネルを生かすことができるのだ。せっかくついているこうした機能も、その都度Streamdirect設定をまず解除して、それから改めて希望の選択をしないといけない。THXモードにするにも同様の手間がかかる。こうした設定変更はボタン一つでいいんじゃないだろうか。あるいは、どんな信号に対してどれを選ぶかを使用者が決めるモードを搭載していてくれてもよかったと思う。いずれにしても、今どのサラウンドを選択しているかは常に表示していて欲しいものだ。


 しかし、このバージョンアップの問題はその価格です。輸送費や消費税を別にして約13万円とのこと。我が家は去年の春にi−Link端子を装備するバージョンアップサービスをすでに受けていて、その時も6万円払っています。PIONEERが主張するように直接音からサンプルをとる音場補正機能が必要性が定かでもない状況で、気軽にバージョンアップという気にはなれないのが正直なところです。おそらく、AX10を使用されている多くの方もそう思ったのではないでしょうか。ですから、最初の段階ではバージョンアップサービスは受けないつもりでした。今年は夏には弟の家庭に子供が誕生する予定で、そちらへの出費も計算できたからです。正直、今の状態に大きな不満もありません。

 それが、そのはずが・・・今年の変化は全てオークションから始まっていきます。ふと、AX10がオークションで売れればどうなるだろうと思いついたのです。新製品のAX10Aiもいまやヤマハ、デノン、ソニーとライバル機も多く登場し、価格もだいぶこなれてきている状況にあります。私の持っている旧型もある程度の価格で売れれば、バージョンアップ価格でAX10Aiの新品がそのまま買えるんじゃないかと思ったわけです。そうなると魅力は高くなります。バージョンアップサービスは先の通りプログラム変更を基本としたものなので、機体そのものは変化しません。しかし、新型のAX10Aiではパワーアンプ部の機能強化やD/Aコンバーター部の進歩、機体の足もタオック製に変更されるなど2年間の進化は確実です。何より大型で扱いにくかったリモコンが小型のシンプルなものにも変わっているのもうれしいところ。オークションで18万円前後で売れれば、バージョンアップ価格を上乗せして、ちょうど新品と交換できる計算でした。

 ダメ元でチャレンジできるのもオークションの面白いところです。まず2週間のオークション出品をしてみました。ジリジリと待ってみましたが、ウォッチリストの登録はあるものの、入札は一件もなく一回目のオークションは空振りのまま終了です。やっぱりダメかなぁと思いました。もともとが欲のある話しですから。ただ、もう2週間粘ってみようと継続したところ、今回はなんとか買い手が見つかってくれたのです。なんといっても元値で40万円を越える機種。それが2年半で半値以下となる中古市場です。AVアンプは、そもそもの特徴がパソコンと同じ世界にあるということを実感します。最新のLSIとプログラムによって、新機能がどんどん追加される世界なのです。アンプとしての基本機能を重視すれば、やはり安い機種との差は歴然とあるはずです。自動補正機能もようやく中級機に降りてきたとはいえ、機能的にもまだまだトップレベル。普通に使うには十分すぎる製品だと今でも思っています。それが今や18万円。一般の中古販売では24〜22万円程度の値がついていましたので、十分に安い価格だとも言えます。売りが決まった時には、何やら淋しい気持ちにもなったのでした。僕のオーディオ生活においても最短といえる別れになりました。


今年楽しんだディスクの筆頭はこれかもしれない。美しい海の映像と、それにふさわしい音響の作りは見事にバランスしている。ストーリーもわかりやすく、ゴテゴテしていないのがよい。個人的には木梨憲武さんと室井滋さんの日本語吹き替えが断然おすすめ。吹き替えがよいと自信を持って言える作品も珍しい。内容を見ていなくても環境映像のようについつい流してしまう1枚なのでした。

 そうした経緯を経て、我が家のAVアンプは夏前の時点でVSA−AX10Aiへと変わりました。外見はリモコンが小さくなった以外に変更はありません。あきらかに違うところと言えば5つだった足が、再び普通の4つに戻ったことぐらい。これはタオックのベースに筐体が乗るようになったためです。リモコンが小さくなりました。で、気になるの音場補正のProモードです。従来モードはスピーカーから音が出てサンプル収集をはじめるまで80〜160msecの間。Proモードの標準が20〜40msecとなっています。我が家では残響チェックの結果低域のふくらみと全体の音の伸びが左右でかなり違うことがわかりました。このためサンプルの収集時間も初期設定よりもう少し早く10〜30msecの間でサンプルを取ってみることにしました。大型のDS−8000Nから試聴位置までの距離は2m15㎝。従来より直接音を整理する形にしたわけです。聴感的にも低音のふくらみがかなり整理されて、全体的に音が締まる感じになりました。低音だけでなく全体の音像もにじみが無く、筋肉質の音になったという感じを受けます。VSA−AX10だってもともとゆるんだ傾向の音ではないのですが、さらにビシッと決めてきたという雰囲気です。自動補正機能で各チャンネルの補正値を確認すると、この印象とは裏腹に、従来モードではかなり絞られていた低域が、Proモードではほとんど下げられていませんでした。以前に比べれば、調整はむしろフラットに近いようです。それなのに締まって聞える。にじんでない。ちょっと不思議な気もしますが、僕の耳にはそう感じます。実は我が家では天井がアーチ上になっていて、左右の高さが異なります。左のエアボリュームが大きいのです。理論的にこれはどう違うかというと、まず残響が大きくなりますから音のボリューム感、ふくらみが左右でやや異なるはずです。また低音の出方に左右の違いがまず出ることも考えられます。一般に低音の再生にはより波長の長い周波数を生む空間が必要なので、部屋の長さとも関係があるとされています。もしかしたら、従来モードは残響によってふくらむ部分も合わせて調整していたために、むしろ空間のコントロールが不十分になっていたのかもしれません。直接音を整え、出す音をしっかり出してコントロールしてしまった方が我が家ではよかったということなのでしょうか。低域の見通しがよくなったために全体にS/Nも向上している気もします。ジャズ派の私としてはProモードの方がお気に入りとなりました。ただ、これもやはりケースバイケース。ボリューム感、エコー感は従来モードの方があるので、同じ補正をかけるという行為でも、いろいろな結果が生じるということがまたわかります。我が家の結果からすると従来モードは部屋の響きをそろえようとすると言えますから、響きの感覚も必要なクラシック派の方には従来モードの選択は十分にあり得るのだとも言えますから。価格対変化ということになりますと、単なるバージョンアップであれば割高感はやっぱりぬぐえ無いというのが正直なところ。でも、新品への買い換えなら2年半分を取り戻しているわけで、納得はいきます。個人的には小さいリモコンがとてもうれしい。
 こうして今年の我が家の変化は今年もまた始まったわけです。



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