
| 日常とアナザーワールド |
| 仕事から自宅に帰るとまずアンプとプレーヤーのスイッチを入れる。休日は午前10時にはスイッチを入れる。いってみれば、これが僕の毎日だ。仕事から帰るのはだいたいいつも午後6時半少し前。うまく行けば6時10分ぐらいのときもある。平日はそこから1枚CDをかける。40分から1時間弱だ。本当はもっと聞いていたいが、食事を食べねばならない。お腹もすいている。スイッチは入れたままだが、演奏は一休みする。夕飯を食べて、お風呂に入って、また部屋に戻る。8時半か9時ぐらい。十分に眠りたいという欲求もあるので、11時前後には布団にはいるから、1日の残りは2時間だ。CDを2枚かける余裕はある。3枚目はギリギリ。休日も僕はいつもの時間に起きる。休日にもっと音楽を聴きたいと思えば、10時までにはかなり間がある。しかし、借家生活といってもご近所があるから、10時までは自主規制しているのである。平日も夕方の1枚をかけたら、夜の分はは音量を絞るか、激しくないCDに変えている。 |
![]() ![]() |
2004年のシステム変更は最終的に多岐にわたっている。春にアンプをバージョンアップし、夏にプロジェクターを入れた。そして、冬にはラックスのマルチディスクプレーヤーDU−7のバージョンアップのニュースが入ってきた。映像DACと電源容量の拡大が大きな変更点だ。価格の方もビックリするほどのものではなくて良心的だった。ということで、すぐさま申し込みをした。工場出荷は12月の頭だったが、ものの4日ほどで戻ってきたから拍子抜けするくらいのスピードだ。変化の内容はこちらで。 さらにこの機会に、デジタル出力についても新たな投資を行った。現在ディスクプレーヤーの音質向上に話題となっているクロック周波数のアップを我が家でも導入することになった。製品はABS−999。電波時計を使う変わり種だが、市場の評価は高い。さらにデジタルケープルが必要なのでDSIX−1.0という特殊なケーブルも導入。中央にあるブラックボックスを利用してデジタル信号のゆがみやブレを解消するらしい。去年話題をさらったケーブルである。 この入力システムにおける変化はS/Nの向上による静寂感のアップ、立ち上がりの早さ、音離れの良さにまずつながった。特に低域の見通しがよくなっていることに気がつく。さらに、クロックのアップ、ケーブルの追加は重心を下げ、全体の音質が軽く浮き足立ちそうなるところをうまく抑えている。結果としてこれまで以上に実体感がまし、ひと皮むけたステージを作り上げている。 |
| 一人暮らしが長いせいもあるだろう。家族があれば、こうはならないとも思う。僕にとって、音楽が日常になってどれくらいたつだろう。僕は自他共に認める「ながら族」なので、音楽をかけながらも、テレビは野球を映していたりする。野球の音声は必要な時に聞けばいい(去年と今年のジャイアンツ戦は大して聞かなくてもよかった)。インターネットもする。オーディオマニアと呼ばれる人はテレビもパソコンも同じ部屋に入れるのは嫌なのだろうが、僕にとっては音楽がないと落ち着かないのだ。雑誌や本も読む。逆に、マニアらしく、目を閉じてじっくりと集中してただ音楽を聴くという時間は少ない。部屋の明かりは落ち着くために蛍光灯をやめて白熱灯にしているが、本を読んだりするので明るさはほどほどに明るい。1日1枚を聞ければうれしいという方の方がたくさんおられるのだろう。その1枚を真剣に聴くという、マニアもまたたくさんおられるかと思う。我が家は生活を通して1日4枚ほど聴く。いや、聴きたいと思う。音楽はこうして今や僕の生活の中にある。 |
![]() ![]() |
サラウンド用のスピーカーも変わった。これまではセンターにVictorのSX−LC3を使ってきたが、新製品となったLC33の方が中域の厚みが出るというので、センタースピーカーを入れ替えた。これにともなってあまったLC3も追加購入して、サラウンド側に移行。バックにはこのシリーズの小型版にあたるSX−L3をいれた。 サラウンドスピーカーのクオリティについてはなかなか話題にならない。もちろん、その能力が高いに越したことはないと思うが、どれぐらいが必要なのかはよくわからない。我が家のようにフロント中心に組まれたシステムでは、同じクオリティのものを入れることはできないからよけいに気になるところである。どうしてもちぐはぐなスピーカーを入れることになるのだが、そこで重宝したのがサラウンド調整機能の先駆を切ったPIONEERのAVアンプだった。本当にこれには驚いたのだが、サラウンドスピーカーを一新してクオリティを上げたこのシステムの実力は、やはりうならせるものがあった。この空間を埋め尽くす音のつながりやリアル感は映画館ではなかなか体験することはできない。当初はヤマハの一万円程度のスピーカーだったのだが(それでも4本で4万円)、これは期待以上の変化となった。バージョンアップしたAVアンプの調整機能も効果的だったが、そもそもの音の質感が異なっている。サラウンドスピーカーを効果音用とあなどってはいけなかった。上を見ればまだキリはないが、サラウンドに取り組んでいる方は、ぜひサラウンドスピーカーにも予算をかけるべきだ。 左の写真はセンタースピーカーと、その下に敷いたインシュレーター。我が家のセンターはスーパーウーファーの上にある。大音量派ではないので、振動は大きくないが、せめてインシュレーターはおごってみた。アコースティックリヴィブのMB−2である。センタースピーカーの上には反射防止のための黒タオルを置いてある。 |
| 映画は休日に見る。僕は暦どおりに土曜、日曜が休日になるから、その2日に見ることになる。それぞれ1本か2本見るので、毎週3〜4本は見ていることになる。年間100本以上を見る計算だ。音楽は「ながら族」となるが、さすがに映画はそうはいかない。部屋も暗くするし、字幕を読まないと内容もわからなくなってしまうからだ。この時間は映画の世界に没頭する。だから、僕にとって音楽を聴くことと、映画を見ることには、微妙な差がある。最近の映画はCGを駆使して普通では考えられないような映像を見せてくれたり、年々進化していくサラウンド技術の開発で部屋中がいろんな音で満たされていく。かつて、田舎の映画館で特大のスクリーンに、ただただ圧倒されていた映画の魅力とは確かに違うけれども、最近の映画はよく作られたひとつの世界を、自宅の部屋の中に作り出そうとする点では驚くばかりである。特に、音響のリアルさは近年の映画の世界を大きく変えた要素に違いない。例えば、戦争映画の銃撃戦の音はもう「バンキュン」とは鳴らない。渇いた空間に火薬が炸裂し、鋭い弾道が空気を痛々しく切り裂いていくことを実感させる。打ち寄せる波の音は細かく、高く、低く、水しぶきが上がり、白い泡に変わって消えていく様子も感じる。 |
| テスラクランプは電源環境を改善するアイテム。ただし、そもそもがオーディオ用ではない。見てくれも頼りない。ということで我が家ではこれまで冷蔵庫や電子レンジ、パソコンなどに使ってきた。今回はこれも3つ増加。オーディオ以外のほとんどの電化製品(テレビ、ビデオ、BSチューナー、電話など)をテスラクランプからつなぐことにした。すると、効果てきめん一気にノイズレベルが下がった。定価は1万円を超える機会だが、オークションでは3〜4千円で落札できる。 | ![]() |
| 「英雄 HERO」 昨年、話題をさらった注目の作品。ストーリーは中国統一をすすめるために激しい武力攻勢で他国を飲み込んでいく秦の皇帝に対し、暗殺によってそれを阻止しようとする各国の剣豪たちの物語。話題となったのは、この映画の各シーンを彩る華やかな色彩美。優雅に、鮮明に、これほど色に訴える映画は珍しい。そして、それゆえにシステムへの注文も厳しい。我が家のプロジェクターサンヨーのZ2では、どうしても赤に格子が見えるのだが、この映画でも容赦なくその弱点があらわにされてしまう。枯れ葉舞う秋の情景の中で繰り広げられる女剣士の戦いは特に厳しい。 作品の出来は一級品。剣豪の激しい戦いに目を奪われがちだが、マギー・チェンの見せる涙は、映画史上もっとも美しい泣き顔のひとつに数えたい。 |
| 映画の世界に身を置くことは、ある種の快感を喚起させる。普段の日常にはない身体的な体験であることに違いはない。聴覚に視覚が加わるとその体感度は一気に高まるようだ。そう、映画の魅力はまさにトリップする感覚にあるのかもしれない。そして、僕は音楽の日常と映画のトリップの間を、行ったり来たりしている。どちらにもそれぞれの魅力があり、どちらも僕の生活には必要なものとなった。音楽は僕の毎日を支えるエネルギー源となっている。演奏もさることながら、よい録音のものにあたると、システム全体が生き生きとしてくる。それがそのまま生命のリズムに変わるかのようだ。よい映画を見たあとはぐったりと疲れる。この疲れが心地よい。体中の緊張がほぐれて、筋肉が柔らかくなったような気もする。そうすると心も少し柔らかく、軽くなったような気になる。疲れるから、映画は毎日は見れない。最近は音楽ライブのDVDを見ることも増えた。映画を1本見たら、次はライブを見るという具合だ。僕にとってはライブは音と映像のバランスがちょうどよいのかもしれない。ライブ録音も年々クオリィティが上がっていて、生の臨場感をしっかり感じさせるものも少なくない。いずれにしても、僕の生活には音楽も映画も、両方が必要なのだ。しかも、それらにある程度のクオリティがいる。特に音のバランスの良し悪しが、僕には肝心なようだ。生命の息づかいは音に現われるような気がする。だから、「音楽・道楽」はいつも音が中心なのだ。 こうして、今日も僕の毎日は過ぎていく。 |
| 左上 「パイレーツ・オブ・カリビアン」 右上 「ハリーポッター アズカバんの囚人」 左下 「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」 いずれも話題の超大作。「パイレーツ・オブ・カリビアン」はその名の通り、ディズニーの「カリブの海賊」をモチーフとした冒険活劇映画。宝探しに呪われた海賊、身分違いの恋とアンチヒーローの活躍とお決まりの要素を全て入れ込んで破綻しない見事なエンターテイメント映画。 「ハリーポッター アズカバんの囚人」は主人公たちがどんどん成長してしまい映画としてはもうギリギリの段階にある。脚本の練りももう一つで、脱走したはずの囚人より看守の方が怖いなんて。もう少し長くしてよいから、細かい人間関係も描いて欲しかった。映画の楽しさは前作よりアップしていると感じるのに、とにもかくにも、それが残念。 一方の「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」はサラウンド、大画面を存分に楽しめる一大巨編となった。劇場公開版より50分長い長尺も全く気にならないどころか、旅の終わりが実に淋しい。最後の戦いに向かって積み重ねられる静と動。その全てがしっかりと作り込まれている。最後の戦いへと向かう黒の乗り手の登場シーンから、投石機の放つ石、オリファントの地響きには要注意。 |