音楽・道楽
オーディオのアクセサリー

 ステレオを買う時、ミニコンポやラジカセの音からもう少し音質のよいステレオで音楽を聴きたいと思い立った時、何から買えばいいんだろうと誰でも考えます。僕も考えました。最初の一歩。何から買うべきか・・・。基本的にいうと、それはやっぱりスピーカーになります。最後に音を出すのはスピーカーだから。このスピーカーの音色が好きになれなければ楽しくありません。ビシバシと引き締まった音がいいか、おだやかに包み込むような音がいいか、ホットか、クールか。あるいは聴く音楽を中心にJAZZがいいかクラシックがいいか、クラシックでもスケールの大きいオーケストラがいいか、バイオリンや声楽などの繊細な世界がいいか。いずれにしても自分の気に入ったスピーカーから音を出すことからオーディオは始まります。ミニコンポでもスピーカーを買えるだけで、音はずいぶんと変わるものです。だから、オーディオ好きの人はよくお店に行きます。それも試聴室があって、いくつものスピーカーが聴き比べできるところに。自分のよく聴くCDを再生させてくれるならなおさらです。こちらのスピーカーはこの音楽が合う、こちらのスピーカーはあれがいいなどとイメージすると、スピーカー選びは実に楽しい。新製品のスピーカーが出たと聞くと、どんな音か聞きたくてしょうがないわけです。

 そのスピーカーの実力を発揮させるのにスピーカースタンドというものに触れました。あらためて我が家の例を紹介すると、まず床は畳で、これがよくないと書きました。音が丸くなる。僕はJAZZを聴くから、音はしっかりくっきり目の方がいい。サックスもドラムもはっきりがいい。ということで、足元しっかり作戦を行うわけです。まず畳の上にあるのは「オーディオボード」と言われる台。これはTAOC(タオック)という会社のもの。この台を畳の上に敷いてスピーカー全体を支えています。写真で見るとわかりにくいかもしれないですが、スピーカーは前方、左右と3面を高さ25センチほどの足で支えています。この足もTAOC(タオック)製。このTAOC(タオック)という会社は鋳鉄鋼という固く、振動をおさえる性質の製品を作っている会社なのである。オーディオボードも木製に見えるが、実はこの鋳鉄鋼が表面の木と木の間にサンドイッチ状に挟まっている。
 前回、スピーカーと振動の関係を紹介しました。スピーカーの下の足をよく見ると中央に3本目の足が伸びているのがわかるでしょう。これはよく見ると実は下まではつながっていないのですね。なぜか真ん中から棒がたれているだけなのである。これはスピーカーから足に伝わった振動をさらに空中に逃すために、わざと宙ぶらりんで固定しない棒をたらしているというのだ。よけいな振動はここから逃げると。こうしてスピーカーからの振動が足から下にもできる限り伝わらないように、スピーカー自体はしっかり動かないようにしてある。前と左右の三つの足で支えるのもスピーカーの振動が下に伝わる接点を少なくするための工夫なのである。
オーディオボード

十円玉

三本目の足
 オーディオボードや足というのは他にいくらでもある。材質もさまざまなら、工夫もさまざま。それでスピーカーを置くだけでなく、これで音に変化もつけようというのである。金属製ならば高い音が強まる傾向にある。木材のような材質ならおだやかな傾向の音になる。これは書いた。振動を吸収しやすいゴムもある。中には大理石や水晶というものも。ゴムは振動をよく吸収するが、吸収する音の周波数によってバランスにちょっとクセっけが残る。大理石や水晶は音もすっきりするが固さも出てくるようだ。少し前の人なら外塀などに使うブロックの穴を砂で埋めたりして使う人もいた。建築用のブロックはご存知のように穴が開いているので、そのままでは共鳴してしまう。また、材質もコンクリートを固めただけなので木や石ほどに分子の結合ができていない。振動には弱いのである。それでよい音を出すために穴に砂を詰めたり、布で包んだりと工夫がいる。専用の台が買えない時は、そうして工夫したものだ。それぞれにちょっとずつ音に違いが出る。その違いが自分の好みの音に近づけてくれるわけ。もともと鉄筋のマンションのように床がしっかりしていてあまり効果のない部屋もあれば、木造の古いアパートなどでは見違えるほど音が変身する部屋もある。こういうステレオの機械そのものではないけれど、使い方によって音の変化を楽しめるものを「アクセサリー」と言う。こうしたアイテムを駆使することで、機械の実力をより発揮させ、好みの音を引き出していくわけです。 ネットワーク 一番上の写真も前回紹介しました。これがオーディオボード。木製に見えて中には鋳鉄鋼が挟まっています。
 二場面の写真は足を少しアップにしたもの。気づいた人もいるでしょうか。スピーカーと黒い足の間に丸い茶色のものが挟まってます。これは実は10円玉です。前面に一枚だけ挟んであります。我が家ではこの一枚でスピーカーから出る音がシャッキリします。しかし、欲張って後ろの方にまで挟むと高音がうるさくなっていけません。我が家は何度やっても、この一枚がちょうどいいようです。もっとも安いアクセサリー。
 三番目の写真。スピーカーの足のアップ。中央の棒は下にはつながってません。さらによく見るとその下にも白いものがついています。これはレゾナンスチップというもので、これも振動を逃がす働きをするものです。
 四番目の写真はアクセサリーではなく、スピーカーの付属品です。我が家のスピーカーは丸いスピーカーが3つついています。実はどんなスピーカーでもこの相互のバランスをとるためにネットワークというものが必要なのです。普通はスピーカーの中に入れてあって使う人には見えないようになっています。しかし、これは箱の中の振動からもネットワークを守るために思い切って外に出してしまいました。簡単な調整つまみがついています。

 しかし、よくよく考えるものである。スピーカーは置く場所や材質によって音が変わってしまう。そして、それは他の機械にもまた当てはまる。驚くでしょ。CDプレーヤーでも、アンプでもそうだという。CDが登場した当時、CDの音はどの機械でも同じ音がするといわれた。機械による差が生まれない、録音された音はどの機械でも同じように再生される、制作者が狙った音がきちんと再現されると言われた。レコードはそもそもは音がそのまま溝になっていた。だから、あのレコード盤の溝のデコボコを読みとる針や装置の質によって音に大きな差が出たり、雑音があったりなかったり、細かい溝をたどれたりたどれなかったり、溝のデコボコを電気に変換するのに機械の差が非常に大きかった。安定した台に支えられ、その構造、材質、電気の流れ全てが影響した。レコードをかけている時には忍び足で歩いたという経験のある人は今でもたくさんいるはずです。CDでこうしたことはなくなって、みな同じ音が楽しめると言われた。CDのデジタル信号は言うなれば音楽を文字で書いてあるのに等しいからである。CDプレーヤーは文字を読み、その通りに音を再現するだけである。楽譜を読んでいるようなものです。しかし、製品が出てみるとそれは間違いだった。読みとる文章は同じでも、朗読する人によって声は違ったのだ。同じ電気信号もそれが伝わる回線や回路、機械の構造によってやっぱり音は影響を受けてしまう。それが結果だった。だから、今もオーディオの高級機では内部の配線の材質やら、構造にこだわりがある。電子回路が乗っている基盤の材質でも影響が出るという。電子部品に限らず、ねじ一本にまでその影響は及ぶらしい。高級機の高級たるゆえんは、単に値段が高いという意味ではない。それは部品一つひとつにどこまでこだわったかということである。最高級機はねじ一本にこだわっている。耐震性、防震性のねじというのもちゃんとあるのだ。ねじ一本でも音をにごしてはいけない。スイッチにこだわり、レンズにこだわり、機械を入れるボックスにも、機械を支える足にもこだわる。高級品はこうしてできている。

 そうした機械の実力を発揮させるためにアクセサリーは存在する。スピーカーの台はもっとも基本のアクセサリーだ。この他にもさまざまなところに使われるものがあり、一つひとつに意味がある。次回はこうしたさまざまなものを紹介しよう。


 今話題のエンヤのアルバム(WEA INTERNAL INC)。エンヤの特徴は何重にも自分の声を重ねて作られる独特のハーモニーにある。アイルランド民謡のぼくとつさが、この音の広がりを、有機的な音楽としてまとめていると思う。エンヤの音楽を小さく聴くのはもったいない。押し寄せるハーモニーに身をゆだねて聞きたい。音量を上げるというよりは、音楽を大きく雄大に聞きたい。そのためにせめてラジカセでなく、スピーカーの距離がとれるミニコンポで聞きたい。よくを言えば大きなスピーカーが欲しくなる。サラウンドを使えば前後左右から本当に音楽に包み込まれて聞く不思議な体験もできる。

CD1 CD2
CD3  これが我が家のCDプレーヤー。普通のCDプレーヤーと違い、CDは上からフタを開けて入れる。左上の写真は上のフタを開けたところ。右上の写真はCDの上に置くスタビライザーという重し。CDを聞く時は左の写真のようにCDの上にこの重しを置いて、ふたを閉める。つまり、このプレーヤーではCDをこの重しごと回しているわけである。重しによって回転がより安定するが、モーターの負担は何十倍にもなる。音をよくするという限りない工夫が見える。

 さて、もう一度スピーカーの話し。我が家のスピーカーは見たとおり最近は珍しい大型だ。前にも書いたとおり、低音はスピーカーだけで十分に出るので、壁や床に近づけすぎるよりも少し離してバランスをとった。これも工夫。スピーカーの間にテレビがあるが、ステレオは中央で音がまとまるから、スピーカーの面よりテレビを少し引っ込めて配置してある。これでスピーカーからの音が中央にまとまって、その後ろにテレビの画面が来る感じになる。ミニコンポでもやってみるといい。スピーカーの面を他の機械より少し前に出すだけでも、ステレオの立体感が出やすくなるのだ。これは簡単にできる。思い切って本体とスピーカーを分けると面白い。でも、よくよく住宅事情から考えるとあきれる人も多い。そりゃそうだ、壁からスピーカーを離すために、テレビに音が邪魔されないように、スピーカーは前後左右かなりの面積を専有してしまっている。それも二台あるのだから。ただでさえ、大型のスピーカーだというのに、ご主人より場所をとっていいものか。しかし、この部屋はスピーカーのためにあるのだ。音楽をよい音で聴ききたい、そのために部屋を使っている。君がいて、僕がいる。オーディオの世界で一番大きく、費用のかかるアクセサリーはまさに部屋そのものなのだ。

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