音楽・道楽
脇役の味
 前回、オーディオのアクセサリーというものを紹介しました。うちのステレオにはそんなことは関係ないと思われたでしょう。そうかもしれません。趣味は手間と資金と満足のバランスで決めるのがよいと思います。それにオーディオはよいものを使ったり、こんな工夫をしたからといって、必ずよくなるという保障もありません。いや、私自身のことを正直に言うと、よい音とは何かといわれても、自分ではよくわかりません。ジャズの生楽器の音が聞きたい、「本物に近い音」が理想です・・・そう言えば、言える。でも、その生楽器の音がどうなのかは実はよくわからない。本物を知らない。聞いたことがないわけじゃないです。でも、やっぱり素人で、それほど区別できるよい耳があるわけでもなく、経験が豊富でもない。演奏どころか楽譜も読めません。それにそんな人間でも本当に生の楽器を自宅で演奏したらどうなるかぐらいは想像できます。本物の音が聞きたいけれど、本物の音をうちで鳴らすわけにはいかない、そんなことぐらいわかっているわけです。それをオーディオを使って表現できるようにする。それは正直私には無理だろうと告白するわけです。

 オーディオは生演奏ではない。それは当たり前のことだ。そう割り切ると、オーディオはもっと楽しんでいいんじゃないかと思えてきたりする。先ほどの告白は開き直りでもあります。再生の楽しみなら、楽しい再生をしたらいい。それが最近の私です。本物の音に忠実かどうか、そんなことはもうわかりません。映画でもそうです。本物の音がどうかより、らしい音かどうかが重要なわけです。それでいい。らしい音が楽しければそれでいい。オーディオのこだわりもそんなところにあってもいいんじゃないか。
これまでの話を読んでくると、ステレオはただ買ってきて、適当なところに置いただけではオーディオのよさが十分楽しめなかったり、機械の実力を発揮させられなかったりするということがわかってきたでしょう。どんなメーカーも製品の音を決める時は畳の部屋で決めたりはしない。専用のスタジオで音を出して決める。家庭でその音に近づけるためにいろいろと工夫を見てきました。払ったお金に見合う働きをしてくれよという貧乏人根性だったかもしれない。電気屋でさんざん値切ったにもかかわらずである。儲けた気になっていたら、実は足やら何やらとお金は他に飛んでいくのであった。貧乏人とはこんなものなのかもしれない。

 それならもうちょっと楽しもうという気もわいてくる。開き直ればどこまでも、だ。そう思えばオーディオにはいろんなアクセサリーがある。小物である。小物といっても値段はピンからキリまであるし、その種類も幅広い。その気になれば死ぬまで楽しめるぐらいは十分にあるだろう。これを紹介しようではないか。
小物の代表格はケーブルである。置き場所にまでこだわったのに、信号が流れるケーブルを無視するわけにはいかない。買ったスピーカーやCDに付属のケーブルを使っている方。試しにちょっと触ってみるといい。付属のケーブルは頼りない。見るからに安そうである。おまけといってもいい。こっから変えてみようではありませんか。ケーブルで音は変わる。全然違うとはいわないけれど、ニュアンスというか雰囲気はかなり変わる。付属品のおまけケーブルからならはっきり変わると断言していい。ステレオも単品で選んで買いそろえるくらいになったら、ケーブルをそのままにしておくのは本当に損だ。ステレオ装置のトータルでいえば、ケーブルもひとつの機械を買ったのと同じくらいの意味があると考えてもいい。これも線の材質や構造と、出てくる音の違いがあるからいろいろと楽しめる。

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 これは各機械をつなぐアナログのケーブル。付属品よりかなり太いのがわかるだろうか。このケーブルには電気の流れのスムーズさを示す 「方向性」もある。つまり、どちらを音の入り口側と出口側につなぐかあらかじめ決められているわけ。このケーブルは付属品より音がしゃっきり、くっきりとなる傾向がある。ただし、逆に高音が華やかになりすぎて、ギラギラとする時があるので、現在はオーディオ用からビデオのダビング用に使っている。  わかりにくいので背景を黒くしています。ひときわ輝く金色のケーブル。「ワイヤー・ワールド」というメーカーの「ゴールド・スターライト3」という製品。一本しかないのはデジタルケーブルだから。デジタルの場合、プラス(赤)とマイナス(白)はない。我が家の場合はAVアンプの方が新製品で技術が新しいので、DVDからAVアンプのデジタル部につなぎ、アンプの方でアナログの音を作る。音色はストーレとで明確な音。低音がドスンと出る不思議なケーブルである。  AVアンプにはCDやDVDの他にもビデオやテレビ、ラジオを聞くためのチューナー、MDやカセットプレーヤーなどがつながる。おまけにサラウンドのために7つのスピーカーをつなげる必要がある。裏はびっしりと接続端子がならび、ケーブルの数もすさまじい。操作も複雑怪奇。
 ただし、我が家はCD兼用のDVDと、衛星放送のチューナー、2台のビデオは入力しかつなげていない。ビデオをダビングする時はビデオ同士直結で行うし、衛星放送を録画する時もビデオに直接つなげた端子を使っている。必要最小限の接続で操作も単純になるし、相互の雑音も減少する。ケーブルが少なくすれば費用もかからない。AVアンプはなんでもできるからといって、何もかもつなげるよりはシンプルに使ってよいと思う。

 電気が元なんだから、電源を見直そうという人もいる。実はコンセントには極性というものがある。あの二つ並んだ縦穴にもプラスとマイナスがしっかりあるのだ。知っていましたか。ステレオの内部の極性とこれをあわせれば、電気の流れはスムーズになる。ちょっとした工具店に行くと検電ドライバーなるものがある。ドライバーの握りの先に指を置いて、ドライバーの方をコンセントの中にいれる。ドライバーが光ればそのコンセントの口がプラスにあたる。それにあわせてステレオのプラグをいれればよいのである。最近のステレオのコンセントには極性の指示かついているもの増えたから簡単だ(ステレオの方はマイナスに印がついていることが多い)。どうしてもわからなければ、耳で確かめてもいい。コンセントを抜いたり指したりして、音を出して確かめればいいのである。プラスもマイナスも関係ない。自分がいいと思う方がいいのである。これもやってみると音が変わるから面白い。これならタダでできる。

 我が家のようにオーディオに使えるコンセントの数が限られている場合、どうしても電源タップが必要になる。電気は元なのだ。本来なら壁のコンセントから直接ストレートに各機械につなげればベストだろう。でも、使用機器の少ない我が家でもそれはできない。オーディオマニアの中には自宅にわざわざオーディオ用の別電源を引いている方もいるが、借り家の身分ではこれはとても無理なのだ。で、タップがいる。このタップも市販のものよりはオーディオ用の作りのしっかりとしたものがよい。これでも音が変わるから不思議である。アンプの裏についているサービスコンセントを使ってはいけない。電源の力が弱いと音もだんだん弱って曇ってくるのだ。アンプはスピーカーを動かすエネルギー源である。ここから電気を抜いてはいけない。
もし、機械の電源コードが取り外し可能なら、電源コードも取り替えもできる。先ほどの接続ケーブル同様に付属のコードはおまけみたいなものだ。よりしっかりした電源コードに変えると音もやはり変わる。実はこの電源コードは接続コードよりも音を変える場合があるのだ。エネルギーが充実してくると機械そのものの動きも格段に違いを見せるようだ。

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 ちょっと見にくいが、電源用のケーブルが上下に2本ある。上が付属品で、下が市販されている特製もの。太さの違いがわかるだろうか。
 最近の製品は電源のケーブルまで変えられるものが多くなった。ある程度の機械になってくると、この電源ケーブルの変更は非常に効果がある。ケーブルが太くなっても電気の消費量が変わるわけではないし、電源ケーブルに音の信号も流れないのにまったく不思議な現象としか言えない。ケーブルの材質や構造によって、音の変化も楽しめる。我が家の電源ケーブルは「ハーモニクス」というメーカーの製品がメインである(写真とは異なる)。雑音がなくなる上に、音がしっかりとした芯を持ち、前に出てくる。スケール感の大きさも格別である。
 電源のケーブルで音が変わるのなら、さらにその元のコンセントでも音が変わると当然考える。オーディオの世界ではこれも常識になりつつある。マニアは電柱から専用の別電源をひいてもらい、さらには特殊な処理をしたヒューズやブレーカー、配線ケーブル、壁のコンセントもホスピタルグレードと呼ばれる病院用に作られた高性能のコンセントを使用している人もいる(ただし、電源についてどれもきちんと法律にのっとった規格があるので、これをクリアしているものを使う必要があるし、工事も資格を持った業者に頼むこと)。さらには200Vの電源を100Vに落として使う人もいる。  一般に壁についているコンセントの数は限られる。基本は2口だろう。しかし、それではとても全部の機械はつながらない。シンプルな我が家の構成でも最低4口は必要である。このためにテーブルタップが必要。左上は先日まで使っていた「オヤイデ」というメーカーのタップ。普通の家庭用より明らかにゴツイ。アルミ製。雑音が少なく、暴れた感じのしない落ち着いた音色となる。上が最近使っているもの。「ローゼンクランツ」というメーカーのもの。音が明確になり、エネルギーが出てくる。音が厚い感じで繊細にならないのも好み。このタップは4口あるが、パワーアンプは壁コンセントから直接とっており、あまった1口には電気の流れをスムーズに整え直すコンディショナーをつなげている。

 インシュレーターというものもある。オーディオ用の丈夫なラックでも十分だが、もう少し工夫もできるのがこのアクセサリーだ。オーディオ機器も最近はかなり安くなってきている。DVDのように各メーカーがシェアの拡大を狙う主力製品の激安ぶりは驚くばかりだ。こうした安い製品に限らず、一般にその機械の足というのはあまりお金がかけられていない。中身を充実させることに基本があるからだ。それなら自分たちでいっそ足を変えるか、その足の下にさらにもっと最適な足を置くのもいい。そう考えても不思議ではない。そして、そういう製品こそがインシュレーターなのだ。足そのものを取り替えようとするものも、製品の足の下に置くものもある。元の足とは違う位置に置いてみるのもおもしろい方法だ。材質の特徴は以前スピーカーのところでも紹介した。こんなことでも音は変わるから面白い。

 これとは逆に機械の天版の上にさらに物を置こうという発想もある。機械を上から叩いてみるといい。上はペラペラ・ボコボコの音がすることが多い。下や横は中の基盤がしっかりくっつけてあるが、上はカバーになっているだけだからだ。もう少ししっかりおさえた方が、製品もしっかりするという。それでここに重しを置いたりする。オーディオマニアに多いのは鉛の塊を置くことだ。鉛は磁性しにくく、電気の流れを邪魔しない。CDやDVDは機械の中で非常に高速な回転をしているから、本来振動の多い機械なのだ。こうした機械はしっかりしておくといい。ただ、置く位置や数には気をつけてほしい。上からの重みでこうした回転に影響がでたり、空気穴をふさいだりしてしまうと機械の故障につながつてしまう。一般に重しを置くと音の雑味がおさまり、音全体がスッキリする。逆に効果が悪い時は音の伸びが詰まった感じになる。これも実験するしかない。もちろん、何をしても自己責任でやることで、当方では一切関与しない。

 いろいろ書いたが、こうしてやってみると音はいろいろと変化する。他にもいろんなものがある。もちろん、お金があれば機械を買い換えるのがもっとも劇的に音を変える。でも、小物は逆にいろんな使い方ができて、機械を買い換えてもいつまで使い続けることができる。また、いくら機械を買い換えてもこうしたアクセサリーで調整しないと本来の実力を発揮できない場合もある。そう思えばこうした小物たちは永遠の脇役としていつまでも活躍してくれるものでもあるのだ。ステレオもそろってきて、余裕が出てきたらこうした脇役で音の変化を楽しんでもいいだろう。


 同じアジアにありながら中国の映画はなぜにこんなに力があるのか。アカデミー賞の4部門を獲得した「グリーンディステニー」(ソニー・ピクチャーズエンタテイメント)。肉体とワイヤーを駆使したアクションはCGのアクションとはひと味も、ふた味も違う。映画の設備でいえば日本が上、資金でいえばハリウッドが上のはずだが・・・。
 個人的には無理に大河ドラマ的な構成にしたストーリーはちょっとなじみにくいが、俳優達ちの出すオーラに有無をいわせないものがある。チョウ・ユンファとミシェル・ヨーの落ち着いた深い存在感と、チャン・ツィイーの画面から吹き出してきそうなエネルギーのコントラストがすごい。
 オーディオ的にはハリウッドのド派手さはないが、剣の響きや大自然の広がりなどが映画の空気を盛り上げる。ヨー・ヨー・マのチェロの音楽が全体をまとめている。

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 検電ドライバーで極性をチェックする。我が家は極性があっていないと高音が荒れて、浮ついた感じの音になってしまう。先の電源についてもそうだが、どうも我が家は電源系統の作りがよくないらしい。家庭によって効果は違うと思う。検電ドライバーは工具屋さんに行けば1000円程度で買える。ドライバーの先をコンセントへ、上に自分の指をのせ、中央の透明な部分が光れば、その口がプラスにあたる。極性をわざとひっくり返した方が好みに合う場合もあるので、いろいろやってみるとよい。  これはブチルゴムというもの。音と振動の関係は書いた。振動を他に伝えないようにするためにゴムを使うのも方法だが、ゴムは特定の振動(周波数)を吸収しやすいので、音にクセがついてしまう。これは「スガワラ」というメーカーのもので、オーディオ好きの人には有名。もともとは人工芝を貼り付けるためのもので、柔らかい上に粘着性が高い。特定のクセがないので、自作派のひとによく使われる。手前にあるのはCDやアンプ、スピーカーの下に敷くために作った。薄い銅板にコンロで焼きを入れ、少したたいたものを、このブチルで何重にもくるみ、サランラップでまいた。多少のデコボコもゴムがなじむので機械のガタツキがなくなる。こうしたものでも音の雑味が減り、明瞭度が上がるから不思議だ。  我が家の環境照明の一つ。よく見てもらうとわかるが、サキソフォンの形をしているライト。町を歩いていたらたまたまショウウィンドウに飾ってあった。無理を言って飾ってあったショウウィンドウから出してもらって、購入したもの。音楽に関係あるや、なしや。


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