音楽・道楽
我が家の音

 これまでスピーカーの置き方やアクセサリーについていろいろ紹介してきました。それで我が家の音はどうなのか・・・。気になっている方もおられるでしょう。いい音の基準というのはそれぞれ個人のもので、我が家がよいというわけではありません。CDに記録された音楽を、自分が感動し、納得できるように再生するのがオーディオの世界ですから。それでよそのお宅の音というのは、いつも興味がひかれる話題ですので、一応ご紹介しておこうと思います。


「音楽・道楽」ではすでにおなじみとなった!?
 我が家のメインのスピーカーは、ダイヤトーンのDS8000Nというものです。ダイヤトーンはすでになくなってしまいましたが、そのほぼ最終期の製品です。ダイヤトーンはわりとクールでストレートな音作りをしてきた会社で、律儀に細かい音まで分析できるように出そうという傾向がありましたが、そのクールさが好きかどうかで使う側の評価が分かれました。しかし、このスピーカーはクールさよりは音楽の弾む感じ、音の楽しさを演出したところがあります。音が固くならず、暖かみがある。僕はそれが気に入って購入しました。


この真上のフタが開く、トップローディング方式を採用。バブルもはじけ、こうした特殊な構造のプレーヤーはもう見ることがすなくなった。
 音の入り口として長く付き合ってきたのがDENONのCDプレーヤーDSD−S1です。以前の写真でも紹介しましたが、トップローディングという方式で、上部のフタを開けて、そこにCDを入れ、その上にスタビライザーという振動防止用の重しをのせて使用します。音は一音一音を明確に出しながら、中低域の押し出しが強く、安定した低音の上に、伸びやかな中高域が重なって音楽を楽しく聴かせるという特徴がありました。いわゆるピラミッドバランスの典型的な音でした。最近ではこの中低音の出し方に評価が分かれるようですが、JAZZを聴く僕にはベースの弾みが音楽の楽しさを感じさせてくれました。フタを開けてCDを置くという手順も、面倒くさそうに思いましたが、慣れてしまえば「これから音楽を聴くぞ」という儀式として楽しい演出に感じました。しかし、最近はメーカー名もデンオンから、デノンに読み方を変え、この製品もカタログから消えていきました。

 上にあるのはCSのチューナーで、下にあるのがPanasonicのDVD。機械の魅力、重厚感はDENONの圧勝だが、音はわずかにPanasonicの方がJAZZっぽさを表現した。ドラムやベースの角が丸まらなかったのが勝因。電源の形状はメガネプラグという∞上の形をしたものだが、LinLinさんというネットで有名な方に特注でお願いして作ってもらった。DENONも電源ケーブルが変えられたら良かったのだが。
 実はこのCDプレーヤーは我が家でもそろそろ引退の時期に来た感じです。映画用のDVDプレーヤーが最近ではCDで音楽を聴く時も活躍しています。DVDプレーヤーはPanasonicのA10というものです。これはDVDオーディオという新規格に対応した初の製品です。DVDは映画を記録するためにできたので、CDよりもさらに大きな記録量をもっています。どうせなら音楽にもこの記録量をフルに活用して、CDよりいい音で録音しようということになったわけです。最近ではこの他にもCDの記録方法を変えることで同じようにいい音で録音しようというSACD(スーパーオーディオCD)という規格も出ています。で、我が家のDVDはそのDVDオーディオにも対応するわけです。

 実はこのDVDプレーヤー、最初は高域に音が引っ張られる感じで、DENONの安定したピラミッドバランスに慣れた僕の耳には、音楽が軽く、華やいで、うるさく聞こえました。低音が弱く、スカスカに感じていたのでした。それでこれまではCDはDENONで、DVDはPanasonicでと使い分けてきたのです。それがこのDVDプレーヤーも電源のケーブルを変え、足を変え、振動を拡散するレゾナンスチップというものを張り、出力もアナログからデジタルに変え、そのためにケーブルも変えました。そうすると次第に音のバランスがとれてきたではありませんか。DENON特有のピラミッドバランスとは違いますが、こちらは低域から高域まで全体にエネルギー感が出てきて、音の密度もつまっている感じとなったのです。

 最近は主にこちらを使うようになりました。こうして比べてみるとDENONの音は中低域に魅力がある分、高域にやや弱さを感じさせ、ドラムのバシッという音が丸く優しく聞こえるから不思議です。JAZZでは大事な要素なので、わずかな差ですがとうとう主役の座を降りたわけです。低音の響きのよさはDENONがまだ優れていると思うので、もしクラシックを中心に聴いていたらDENONはまだまだ現役だったでしょう。デジタル技術の進化は日進月歩で、どんどん進んでいます。実は我が家では勝利したDVDプレーヤーもすでに旧型に入るようです。最新のものにはDVDオーディオもSACDも、さらにはパソコンで記録したCD−Rも、何でも再生できるというものが出てきていますし、ビデオもテープからDVDディスクに録画するものが出てきていますので、将来的には再生も録画もDVDプレーヤー一台で満足できるようになると思います。


 音の出口、入り口と紹介してきまして、今度はスピーカーを動かすための音の増幅器、アンプです。我が家はサラウンドシステムで、全部で7つのスピーカーを鳴らします。最近まで担当していたのはヤマハのAVアンプです。AVアンプというのはサラウンドを実現するための調整機能といくつものスピーカーを実際に鳴らすためにその数だけの増幅器を載せています。さらにはDVDやビデオを見るための映像回路も必要です。これだけいろいろな機能が付くと本来の増幅器としてのアンプの部分がどうしても弱くなります。映画を見ない音楽派の人からすると、音楽再生にはよけいなものをつけないストレートなものが一番と言うはずです。中にはCDプレーヤーの出力をボリュームだけの装置に回し、そのままパワーアンプに入れて増幅するというよけいなもの一切排したシステムで聞いている人もいます。

 僕は映画もやはり見たいのでそうもできません。それでメインスピーカーを鳴らす増幅器には特別に音楽用に作られたパワーアンプを使っています。そちらはラックスというメーカーのM−7というパワーアンプです。こちらはもう増幅器以外は何もついていません。ヤマハのアンプは音がすっきりさっぱりという傾向でした。透明感というか、繊細な感じがありました。ラックスの方は逆にしっかりと音をどんどん出していくというおおらかな傾向です。
 
 実はこの秋、AVアンプもヤマハからパイオニアに変えました。VSA−AX10というものです。サラウンドの規格がどんどん増えて古いアンプでは対応しきれなくなったことと、パイオニアがたくさんのスピーカーの音を自動的に合わせる特殊な調整機能を開発したからです。サラウンドでは前後左右に7つのスピーカーを使います。これまでもスピーカーの調整についてはいろいろ書いてきましたが、それを全部のスピーカーに行うとなると大変なことです。全く同じスピーカーを買ったとしても、実際に部屋に置くとその置き場所の環境の違いで聞こえる音は違ってしまうからです。これがいつも苦労の種だったのです。メーカーの特殊な試聴室のように前後左右どこに置いても均一に聞こえるような部屋は家庭の中にはあるはずがありません。パイオニアの新技術は自分がいつも聞いている位置にマイクを設置して、その場所でどのスピーカーからも同じような音が聞こえるように、マイクで音を確かめながらあらかじめスピーカーから出てくる音を調整してしまおうというものです。例えば、低音の出やすい場所のスピーカーは低音を少なく出し、高音が吸収されやすい場所のスピーカーからは高音を多めに出すという細かい調整を7本全部にしてくれるわけです。完全に音を一致させるのは無理だとしても、ある程度調整してくれる機能がついたのは非常に魅力的です。このアンプはヤマハのような繊細感はなく、むしろ平均的にしっかりと音を出してくるようです。個性を感じさせないのは面白味がなくもありますが、長所でもあります。むしろ、低域から高域まで全体に均等に音が出てくる感じは特徴なのかもしれません。

 ヤマハのAVアンプ。最新のサラウンド処理に対応しきれず引退した。


 メインスピーカー用のパワーアンプ。音はおおらかで開放感がある。クールできつい音にならないのも良い。電源ケーブルの変更で音も前に出てきて格段に良くなった。


 先日届いたAVアンプが今は現役。パイオニアのアンプは以前は穏やか傾向の音だったが、これはわりとしっかりとした音を出すよう。音にハリがある。
 また、7つのスピーカーの音をそろえる特殊な機能が付いている。パイオニアはこの機能を比較的安いAVアンプでも搭載する予定。我が家のように前後左右の環境が全て異なる部屋では、この機能は絶大だった。メインのスピーカーとサラウンド用のスピーカーの差が大きすぎるのも、このアンプを選んだ理由。自動調整したあと手動でも調整が可能。

 さて、それで肝心なのはトータルで出てくる音の具合です。音の順番でいうとこれまではDENONのCDから始まって、ヤマハのAVアンプ、ラックスのパワーアンプ、ダイヤトーンのスピーカーというのが基本の組み合わせでした。オーディオに詳しい人はこれでだいたいのイメージを持たれる方もいるかと思います。この組み合わせは一つひとつの音を曇りなくきちんと出しながらも、クールで冷たい音にならず、ホットで、低音に弾む豊かさのある音楽の雰囲気を醸し出すものです。かといって甘口にもならず、音像もしっかりしていました。DENON、ラックス、ダイヤトーンのどれもが音楽をホットに生き生きとならすタイプのものです。これをヤマハのあっさり傾向のアンプをはさむことで甘すぎず、ゆるみすぎないようにトータルなバランスをとっているという感じでした。

 現在は先にも書きましたが、CDもPanasonicのDVDプレーヤーが担当し、AVアンプもヤマハからパイオニアのものに変わりました。これで以前に増して音の密度が増えました。音楽が鳴り始めると楽器の音像だけでなく、その周囲にも雰囲気の粒子が詰まった感じがします。DENONにあった中低域の押し出し感はなくなりましたが、むしろバランスよく均一にエネルギーが出てきます。音像もスピーカーの面よりずっと前に出てきて、聴いているこちら側に音が迫ってきました。各スピーカーのバランスが整って、音のつながりが良くなったせいでしょう。各楽器が自己主張をして迫ってきます。オーディオの好きな人は音が明確でスッキリとして、楽器の音を鋭く細部まで聞き分けられるような音が好きな人が多いようです。そういうような音からするとこの傾向はだいぶ違うかもしれません。JAZZという音楽には濃密さが必要です。音が曇らない程度の濃さが欲しいわけです。クールで客観的で冷静な音はJAZZには合わないでしょう。超高域や超低域にずっと伸びていくクリアで透明感のある音もいいですが、JAZZは中域が命です。我が家は低域・高域の伸びよりも、中域をホットに音楽が鳴る雰囲気を求めました。サックスやトランペットが前に飛び出し、弾むベースがリズムを刻み、ピアノの音も打楽器のように力強く響いて欲しいわけです。音像は小さくキュッとまとまるよりも、大胆でおおらかな存在感を主張しています。JAZZの音を求めると、ともするとトゲトゲしくうるさくなりがちですが、そうでないところも実は気に入っています。
 クラシックを聴く人にはオーケストラなどはたくさんの楽器を使いますから、もっと細かい音まで聞き分けられる繊細な感じが欲しいでしょう。濃密さよりもクリアな透明感が、楽器の近さよりも空間の大きさが表現できる方がより合うと思います。室内楽を聴く場合でも、楽器の存在感が濃すぎて音楽のバランスを崩すかもしれません。もう少しゆったり、楽器の響きに余裕のある感じが落ち着いてよいと思います。楽器が互いにからみ合うまろやかさが演奏の魅力を増すでしょう。そうして判断すると我が家の音はJAZZの躍動感を土台に、楽器が立体的に前にでてくる個性の強いタイプの音にまとめてあるわけです。ちなみに映画もハリウッドのアクションものが派手に展開して合うようです。



 これはJAZZ好き、オーディオ好きの間で有名な2枚。上がデニー・ザイリントン トリオの「音楽がある限り」、下がスティープン・キューン トリオの「忍びよる恋」である(どちらも発売はVenusレコード)。「トリオ」というのは3人の演奏で、この二枚はピアノ・ドラム・ベースの3人での演奏である。
 この二枚は演奏と同時に録音が素晴らしい。オーディオの機械が良くなると実はCDの録音の良し悪しがわかってしまう。日本のJ-POPの録音は本当に質が悪い。高域と低域にアクセントをつけ、電気補正でごまかしているのでオーディオが本当に高域・低域を再生できるようになるとバランスの悪さがはっきりとわかる。
 人間の感覚は鋭いもので、音楽が良くても録音の質が悪いと聞き疲ればかりして楽しめない。自然とCDを聞く機会も減ってしまう。JAZZを聞くようになったのもアコースティックな響きにひかれていったせいでもある。
 JAZZの録音もともするとメロディーラインにひかれてピアノやサックスなどの音を中心にしがちだが、この二枚はリズムを刻むドラムやベースの録音も良く、音楽が力強い。ピアノの音にしても弦の音だけでなく、グランドピアノ全体の響く低音がすばらしい。JAZZの音はぐいぐい迫って欲しい。ピアノは打楽器であって欲しい。そう願う人にはよいシステムで聞いて欲しい。

 中央に見えるのがインシュレーターと呼ばれる足。本来の足は右横にある。こうした足の違いで音が変わる。  パイオニアのAVアンプのリモコン。中央が液晶になっていて、画面を切り替えることでいくつものボタンを表示できる。AVアンプだけでなく、テレビをはじめ他のメーカーのさまざまな機械のコントロールも出来るようになっている。液晶部は暗い部屋でも使えるようにバックライトで明るく光らせることもできる。  リモコンは増えてくると置き場所に困る。隣のリモコンのように集中して使えるとよいが、普通はそうもいかない。我が家ではリモコンの後ろに、物をかける為のフックを逆さまにしてくっつけてある。これでリモコンをちょっとしたところに引っかけておけるので便利。


 これがだいたいの我が家の音です。言葉ではちょっと伝わらないかもしれませんね。全ての音楽に対応できる理想のシステムがあればそれが一番なのでしょうが、限られた予算の中では自分の好みや聴く音楽を中心に考えるのがよいようです。我が家のシステムももう少し・・・と思うところがまだまだたくさんあります。しばらく聴いては、工夫をし。また聴いては、あれはどうか、これはどうかと考えてしまう。それが楽しみでもあり、苦悩でもあり。さて、あなたのシステムは好みの音を奏でていますか。僕の今のシステムもいつまで続くことやら。
・我が家の装置とアクセサリー
・我が家の音 その2


back home


メール