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第2シリーズ 4話 「人助けカンパ事件」
体育の授業中、空になった3年B組で、金八(武田鉄矢)は財布を盗もうとしている1年生・戸田(藤原哲也)を発見する。2年生の大沢(池田克美)から金を都合するよう言われたというのだった。大沢は3Bの松江次郎(大山大介)と中島章光(鈴木健一)から命令されたと言い、次郎と章光も平山英吉(茂木昌則)ら卒業生からカンパを頼まれたのだと言う。高倉勇(館川喜年)が借り物のバイクで自損事故を起こしたため、野球部の下級生へカンパが強制されたのだった。しかしそれは一度きりの助け合いだったはずで、何度もお金を要求されたという戸田の証言と食い違う。
そんな中、大沢と3Bの塚辺洋(岩井浩司)が近頃派手に遊んでいるようだとの情報が入る。先輩をダシにした不正なカンパで金を巻き上げているのではないかという英吉らの詰問にシラを切ろうとする洋だったが、落とした財布を大森巡査(鈴木正幸)が自宅へ届けたことで、不相応の大金を手にしていることが両親に知られてしまう。その頃金八は居たたまれなくなった大沢から真相を告白され、急ぎ塚辺家へと向かう。
洋の父・久造(山田吾一)は下町で鉄工所を営む頑固な父親であった。金八が恐縮しながら事態を説明すると、久造は「勉強しろと尻を叩かない代わりに、世間様に迷惑を掛けたら勘弁しないとはっきり言ってあるんだ」と、止めようとする金八を制して洋を殴りつける。
「先生がこいつをかばってやれるのはたったの3年間。俺たち親子は一生付き合っていかなきゃならない。だから私たちのやり方でやらせてください」という久造の言葉に深く感じ入った金八は、痛い目をみて反省した洋に「なかなかいいお父さんじゃないか」と優しく声を掛けるのだった。
みどころ談義
- ● 「助け合いというものは美しい。でもそこに押しつけがあった時はこれくらい醜いものはない。」
- ○ 金八先生の言葉だね。
- ● そうです。この言葉に象徴されるカンパ事件でした。特に印象に残るのは「ザ・頑固親父」ともいうべき洋の父親ですね。
- ○ そうだねぇ。「だって…」と逃げの言葉を連発していた洋が最後は納得ずくで父親に殴られた。きちんと筋が通った愛のムチに、さすがの金八先生もタジタジだったなぁ。
- ● 最近はなかなか見なくなった古きよき父親像です。
- ○ はじめはただただ鉄拳制裁で済まそうとする分からず屋の親父なのかな、なんて思いながら見ていたんだけれど、そうじゃなかった。よく見ると殴ったあとの拳をとても痛そうにしていて心の葛藤のようなものが感じられたり、金八の後日談では1年生の親に両手をついて誠心誠意謝っていたことが分かったりもして、ホントに筋が通った父親なんだよね。
- ● 他には、男子の卒業生が大挙して出演しているということもこの回のみどころですよね。平山英吉、中尾友行、田中康一、高倉勇、鈴木良夫。
- ○ ラーメン屋にみんな集まる場面では久しぶりの再会に金八さんもテンション上がっちゃったみたいで、正規のセリフなんだかアドリブなんだか分からない言葉で教え子の笑いを取ってたりするんだよね。
- ● 「ラー油そこにあんじゃねぇか!」なんて(笑)。
- ○ 英吉と良夫が洋たちを呼び出した廃材置き場のような空き地は、第1シリーズで康一がリンチされて麗子の「ボディやんなボディを」の名言を引き出した場所と同じっぽいよね。
- ● そうかもしれません。そんなところにも懐かしさが(笑)。
- ○ あと、この後の「腐ったミカンの方程式」に繋がるような要素がいくつかあったよね。職員会議のシーンで君塚校長が言った「たとえ(警察に届け出るような)事件であっても、校内で起こったことは教育の問題なのだから(中略)何とか私たちの手で解決したい」という言葉だったり、勇が事故った「バイク」というキーワードだったり。
- ● そして次回ついに加藤優が登場と。
- ○ 金八先生の言葉だね。
その他の周辺状況・小ネタ
- 教室で金八が語り聞かせた詩は、中国の流浪の詩人・李白の「静夜思」という五言絶句(牀前看月光 疑是地上霜 挙頭望山月 低頭思故郷)。
- 金八、良夫の細く整えられた眉毛を見て「歌舞伎の女形か!」。