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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


◆ 第3シリーズ 12話 −最終回スペシャル− 「思いっきり3年B組」

もうすぐ二学期の終業式。通知表の成績が気になり悪夢さえ見るようになった倉橋和幸(岩国誠)は、一刻も早く自分の評価を教えて欲しいと先生方に頼み回っている。父親を亡くした山田裕子(浦明子)は、別れた母親や金八(武田鉄矢)らと話し合いを持つが、今のまま一人で暮らしていきたいと意地を張る。

裕子の親代わりである小料理屋のおかみ(絵沢萠子)が金八を訪ねてきた。自分が面倒を見続ければ親子が一緒に暮らすきっかけを奪うことになると考え、心を鬼にして芝居を打ち、裕子をクビにするという。その後のフォローを金八に頼みたいというのだ。その夜、うなだれて相談に来た裕子に金八は全てを話す。そして「自分の生きる道をしっかり見つめなさい。素直にお母さんの胸に飛び込むことだ」と諭すのだった。

翌日の朝早く、和幸は職員室に忍び込んで成績表を盗み見ているところを真野先生(石黒賢)に見つかる。慌てて逃げる途中に足を捻挫するのだが、真野に突き飛ばされたと嘘の報告を母親にしたため、教育委員会沙汰の騒動に発展。やがて真相が判明し事態は収束するも、和幸は責任を母に押し付けようとするばかり。金八はそんな和幸を厳しく叱責し、また、自信をなくし教師を辞めるという真野を「教師は生徒に学びながら進むほか道はない」と一喝する。

一方、依然として保健室登校を続けていた水野君恵(岸雅)は、三上先生(樫山文枝)から裕子が転校すると聞かされると保健室を飛び出していく。まっすぐに3Bの裕子の席へと向かい「転校しないで。私、一緒に卒業したい」と訴えると、話を聞いたクラスメイトたちも「全員で卒業するんじゃなかったのか」と裕子を引き止めようとする。君恵が口を開いたことで3Bが裕子のことを考え、その思いは裕子の心を激しく揺さぶる—。

終業式の朝。裕子は母親と相談した結果、転校せずに済むことになったと君恵に伝え、「だからアンタも教室に来なよ」と言う。出欠を取ろうとした金八の目に、3Bの席に座る君恵の姿が映る。金八は涙ぐみ、次いで裕子が転校しないと聞くとさらに泣く。そして「全員揃って三学期を迎えようという学級目標を見事に達成したみんなにオール5を贈りたい。残りの中学校生活を”思いっきり3年B組”してください」と笑顔で言うのだった。

88年12月26日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 生野慈朗

視聴率: 20.2%

DVD: なし

小説本: 第10集

参考文献・挿入歌

 みどころ談義
● いやー、終わりましたね。この第3シリーズは二学期の終わりがラストということで、答辞も生徒の号泣もありませんでした。わりと淡白な最終回だったのかな。
○ 三月には卒業スペシャルというのがあって、そこで追跡補足というか、フォローがあるんだけどね。1クールのドラマとしてはこの一時間半スペシャルをもって一区切りと。
● 君恵が3Bに合流するんだろうな、裕子も転校せずに済むんだろうな、とはもうある程度予想できたことなんですが、それでもこうやって実際に君恵が喋る姿をみたり、3B全員が揃って涙ぐむ金八先生の様子を見ると、やっぱり感動しちゃうもんですね。
○ 君恵は10話で「この学校が好き」とノートに書いて訴えたくらいだから、裕子とも当然一緒に卒業式を迎えたかったんだよね。その気持ちを受け入れて松ヶ崎中に残ることを決めた裕子が今度は「あんたも教室に来なよ」と言う。すると君恵としてはもう3Bに戻るしかないと。
● 相乗効果、よく出来てましたね。ブスッとしてた裕子と何も喋らなかった君恵が、終業式の朝に「おはよう」と声に出して挨拶を交わすようになるんですよ。このシーンが僕は一番好きですね。
○ じゃあこっちはちょっと渋いところに目をつけて、粋な計らいをした「ぼたん」のおかみさんの存在をポイントに挙げようかな。あの演技は大きかったよ。周りの協力も忘れちゃいけないなぁ。
● 和幸の件は、これまで3Bに起きた事件の総まとめ的なものだったでしょうか。カンニング事件での「不正は自分に返ってくる」という教訓とか、母親の過干渉、盲愛というのは至則のケースでもあったことです。
○ 金八さんが真野先生に語った熱弁、教師のあり方というのかな。あれも集大成のような重みがあったよね。真野先生は生徒の席に座って、教壇で話す金八「先生」の話を聞くんだよ。これもちょっと象徴的だった。
● この第3シリーズって世間の印象はそう強くないと思うんですけど、なかなか面白かったですよね。
○ おそらく放送期間が1クールしかなかったとか、舞台が桜中学じゃなかったとか、そんな理由でなんとなくサイド・ストーリーっぽいイメージがついたんだろうなぁ。
● ぜひもっと多くの人に見てもらって、良さを知って欲しいところですが。
○ でも最も大きな理由は、このシリーズがビデオ化もDVD化もされていないということだよ。
● !! それじゃ見たくても見れないですよ…ということで、いつの日か商品化されることを願いつつ、このシリーズのみどころ談義を終えるとしましょうか。
○● お付き合い、ありがとうございました。
 小ネタ/周辺状況
◆ 和幸は学年トップの成績の持ち主。なのにあんな騒動を…。
◆ 裕子の母は家を捨てたわけではなく、稼ぎを太吉に取られてしまうため、やむを得ず離婚した模様。
◆ 裕子は太吉と半年間二人暮しをしていた。
◆ 金八、「ぼたん」のおかみを「下町の天使」と言う。キップといい、情けといい、素晴らしい人だと。
◆ 通知表をもらった和幸は結局、一学期と変わらず好成績だった。
 参考文献/挿入歌/BGM
◇ 【音楽】 若者たち (ザ・ブロード・サイド・フォー)
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