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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


◆ 第5シリーズ21話 「ガラスの少年(4)」

兼末健次郎(風間俊介)は警察の取り調べを受けていた。健次郎、母、兄がそれぞれ自分が刺した、あるいは刺さってしまったと三者三様に主張するため調書が整わず、健次郎は留置所に勾留され夜を明かすことになる。教え子を警察に引き渡すことになった金八は己の力不足を嘆き、眠れずに朝を迎える。

事件の噂はたちまち3Bにも広まる。顔に泥を塗られた、また迷惑を掛けられたと口々に健次郎を罵る生徒たちに金八は事情を説明、健次郎が中野先生(ラサール石井)に謝ろうと考えていることも併せて伝え、「悪を非難するというなら、まずしっかり自分の悪を見つめないといけないはずだ」と3B全体で健次郎のことを考えてくれるよう頼む。佐伯蘭子(金田美香)が嘆願書を作ろうと提案するが、きちんと反省させるのが先だと主張する生徒もいてまとまらない。太田アスミ(森下加奈)はクラスが健次郎のことばかり話し合うのに嫌気が差して教室を出て行ってしまう。

アスミの行方が分からない、と母・昌江(柴田理恵)が職員室に駆け込んできた。近ごろ家に帰っていないのだという。街で補導されたアスミは悪びれる様子もなく、それどころか男子生徒の家を泊まり歩いていると自慢気に話し出す始末。本田先生(高畑淳子)はあまりにも性に無防備な子供たちを危惧し、「生命」と題した性教育の特別授業を行う。

健次郎が留置所を出れることになった。父親の説得や金八の熱意で母・麻美(田島令子)の証言が変わり、警察の調書がまとまったのだ。今すぐ出ようと声を掛ける刑事に健次郎は「5分だけ待っていただけないでしょうか」とお願いし、金八からたった今差し入れされたばかりのカツ丼を、感謝で胸をいっぱいにしながらかき込むのだった。

00年3月16日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 福澤克雄

視聴率: 22.2%

DVD: 第8巻

小説本: 第18集

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
● 何もここで性の話をしなくても、とちょっと違和感の残る21話でしたけど、金八先生の魂の訴えと、ラストのカツ丼にはやられました!
○ すごくいいお説教だったから丸ごと載せちゃおう。「健次郎は悪い。健次郎は悪だ。でもな、悪って何だ? 悪に怯えたからこそ皆も悪になったんじゃないか。悪はどこにありますか。警察にありますか、病院にありますか、学校にありますか、商店街にありますか? 違います。皆さん一人一人の心の中に悪はあるのです。誰にだって悪はあります。私にだってありますよ、悪は。だから、悪を非難するというなら、まずしっかり自分の悪を見つめないといけないはずなんです。悪を憎むということは、自分自身をしっかり見つめることなんです。」
● うーん…。
○ それと、健次郎が「僕これ、ちゃんと食べなきゃ」と先生の優しさに応えるところね。健気で涙が出るなぁ。花子先生からもハンバーガーの差し入れがあって持ち込み拒否されたという布石があっただけに、健次郎ガッつくんだ。
● カツ丼というよりも愛情をかき込んでいたように見えましたね。
○ うまいこというなぁ。ところでこのカツ丼とハンバーガーの組み合わせ、15話でも一度出てきてるんだよ。花子先生と健次郎がバーガー・ショップでプチデートをしている頃、坂本家では受験に勝つぞと3人でカツ丼を食べているという。だからどうだってこともないんだけど…もしかしたら、金八は健次郎に「自分に勝て」という意味を込めてカツ丼を差し入れたのかもしれないな。
● それにしてもアスミはどうしたんでしょうね。突然自己主張し始めて、金八先生の話にも絡みだしたと思ったら、本田先生の授業であっさり陥落して泣いている…。唐突な感じがどうしても残りました。
○ 「みんなして健次郎ばっかり」とアスミは言ってたけど、金八が健次郎に掛かりきりになっているその裏で実はこんな生徒もいた…という着眼点は面白いと思った。ただやっぱり無理矢理ねじ込んだ感があってはいかんのよね。男子生徒の家を泊まり歩いてる、なんて言われても、今までそんな伏線はまるでなかったわけだから。
● 本田先生の「切っちゃうアソコ!」発言には不謹慎ながら笑っちゃいましたけど、これもあまりに唐突だったからですよね…。少なくても丸々一話はかけてじっくり見せて欲しいお話だったのかなと思います。まぁ、健次郎メインのこの雰囲気の中では難しかったでしょうけど。
○ ガラスの少年・健次郎の方の話では、みんなバラバラな主張をしていた一家が金八の「二度目のお産理論」もあってようやく繋がりつつあって、初めて明るい兆しが見えると。
● 金八先生、何かと例え話をして説教臭いんですけど、でもいいこと言いますよね。「今のお腹の痛みを新しく健次郎を産み直した痛みだと思ってください」、ですよ!
○ これは素直にウマイよなぁ。なかなか言えないよねぇ。父親の方も病室にも留置所にも顔を出すようになって、家族を思いはじめた。健次郎にとって本当の意味での父親になりつつあって、本当の意味での家族になろうとしている。いいんじゃない?
● あと中野先生が久しぶりに登場したんですけど、刑事さんは学校で暴行があったことを嗅ぎつけてるようなんですよね。ついに担任暴行事件も裁かれる?そんなクライマックスに…なるんでしょうか?
 小ネタ/周辺状況拾い読み
◆金八が「教え子をはじめて警察に渡したよ」と呟くシーンがあるが、これは健次郎が留置所に勾留されることをを嘆いているもの。第2シリーズの加藤優のときは君塚校長らの協力もあり勾留なしで奪還することに成功している。
◆中野先生の回顧: 健次郎は一年の頃から学年で三本の指に入る成績トップクラスの生徒だった。二年から子どもらしさが消えた。それはちょうど兄の引き篭もりが始まった頃。そうとも知らず私は兄を引き合いに出し発破をかけ、健次郎を追い詰めていた。心の闇に気づかなかった。申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
◆今回もあります金八漢字講座。「性」という字はリッシン扁に「生きる」。セックスを意味する漢字が、実は「心」に「生きる」と書くことを忘れないで下さい。というもの。
 他のシリーズでは
■リンゴ
…金八や本田が健次郎にリンゴを差し入れようとしたシーンがあったが、第7シリーズでは丸山しゅうの描写にリンゴがよく使われていた。意味ありげな小物である。
■性の授業
第1シリーズ6話の「愛の公開授業」、第4シリーズ11話の「歩が生まれた時の話」がある。
 この回の参考文献/挿入歌
◇ 【資料】 ジュ・パンス (高文研)
◇ 【資料】 朝日新聞・99年9月26日号 大阪・早川クリニック 早川謙一
◇ 【資料】 ニューズウィーク・00年1月26日号
◇ 【音楽】 アメージング・グレイス (ナナ・ムスクーリ)
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