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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第6シリーズ 6話 「父さんアンタが憎い」

卒業証書の原料となるケナフの刈り入れに精を出す3Bの生徒たち。だが作業中にチュー(中尾明慶)が誤って指を切ってしまい、血のついたナタを見た成迫政則(東新良和)は、父の事件を思い出して取り乱す。教室に戻り木村美紀(森田このみ)らが政則をからかうと、それをきっかけに今井儀(斉藤祥太)と鶴本直(上戸彩)が平手打ちを見舞いあう大喧嘩をはじめ、3Bは大混乱。政則は塞ぎ込んでしまう。

その晩金八(武田鉄矢)が帰宅すると、平成7年度の3B卒業生が待っていた。学級委員だった佐藤賢治(反田孝幸)が婚約したので、その報告にきたのだという。相手は当時交通事故で入院していた賢治が病院で出会った、白血病と闘っていたミチル(岡本綾)だった。難病を克服し幸せを掴んだミチルの姿や、かつて3Bで話した骨髄バンク登録の約束を忘れずに果たしてくれた教え子の姿を見て、金八は嬉し涙を流す。

翌日、金八は政則に父と面会することを勧めるが、政則はそれを拒否し、老人ホームにいる祖母に会いに行く。ところが祖母は事件の影響で痴呆が進行し、政則を父親と取り違える。よりどころを無くした政則はますます不安を強くし、父と同じ血が流れている自分も、いつか同じように事件を起こしてしまうのではないかと恐怖に駆られる。

ガンで早世した母親を幸作は恨んでいまいか、とふと考える金八。それを聞いた乙女(星野真里)は、「恨むわけないでしょう」と答える。それはなぜかと問う金八に、「おかあちゃんだから」と優しく答えるのだった。

そのころ幸作(佐野泰臣)は病室で本を読んでいた。するとあるフレーズに目が止まる。「そんなことを言っても仕方ない。それが私の運命だから。」

01年11月15日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 福澤克雄

視聴率: 18.5%

DVD: 第3巻

小説本: 第20集

参考文献・挿入歌

 みどころ談義
● 今度は第4シリーズの卒業生が登場! みんな大人になってました。賢治はなんだか貫禄さえ出ちゃって…。
○ 前回はソーランで第5、今回は第4か。広島美香も元気そうで良かった。引っ越しちゃったはずなんだけどまだ友情は続いてるようだね。樫木真穂はどことなく里美先生に似てきたような?
● 第4シリーズが放送されたのは6年前なんですが、もう結婚する子が出てくるんですねー。
○ ミチルちゃんだったってのは驚いたな。白血病を克服して…いい話。そしてこの婚約パーティーは、実はみんなで骨髄バンクに登録しようと決議を取るための会でもあったという。
● 金八先生、どれだけ勇気づけられたことか! 元気になったミチルちゃんは幸作と重ねて見ることができると思いますし。
前回のこのコーナーで、ソーラン節が伝統になったのは実は「協力」とか「思いやり」の象徴じゃないか、なんて話をしたけどさ、まだソーラン節のなかった第4シリーズからも、こうやってずっと繋がって、受け継がれるものがちゃんとあるんだなぁ。
● ケナフなんかも、実は前シリーズから受け継がれてるものですもんね。さて、一方で政則の方は深刻ですよ。自分の中に流れる父親の血を憎みだすんです。
○ よりどころとなる唯一の肉親だったお婆ちゃんがボケちゃってて、しかも似ないで欲しい父親と間違えられるというダブル・ショック! これは衝撃デカいよなぁ。これまでにもう相当打ちのめされてるというのに。
● 事件についても詳しく語られましたけど、ものすごいですね。なんだか2時間サスペンスの1シーンみたい。激しい嵐の中を追跡したり、タンポポがいかにもな感じで道端に揺れてたり…。これが本当に金八先生なのかと。
○ 政則はもう、そういう凄まじいイメージに押し潰されそうになってるってことだよな。そして父親と同じことをいつか自分もしてしまうのではと…。
● うーん。これだけ悲惨な状況に、果たして出口はあるんでしょうか。
○ 娘を殺された成迫先生の狂乱も、幸作の大病に接した金八先生の心も、根っこの部分では同じ「子を思う親の気持ち」だと思うんだ。だから、そういうところから何か動いていくような気がする。
● なるほど。ノブタの家や坂本家でも、親子にまつわる話がありました。親子って、血のつながりってなんだろうと、ちょっと考えさせられる回でしたね。
 成迫父から語られた、教え子殺人事件の詳細
実の娘(政則の姉)である登美子を少年グループに強姦されたうえ失ってしまった父・政之。登美子の友人の証言から、事件直前に登美子は「トム」なる人物と電話で話していたことが判明する。さらに手掛かりを探す政之は、政則を連れて登美子の幼なじみで自分の教え子でもある友田勉の家に向かうと、勉の母は勉を「トム!」と呼ぶ。勉自身は大人しい子だったが、そのために不良連中の使い走り的な役割をさせられており、事件当日も圧力を受け仕方なく登美子を電話で呼び出したのだ。追い詰められた勉は二階の自室の窓から逃走、川べりへと向かうが逃げ場をなくす。恐怖のあまり失禁し、登美子を呼び出さなければ自分が殺されたのだと叫ぶ。それを聞いた政之は、理不尽に殺されるハメになった娘を思いカッとなり、勉の持っていたナイフをとっさに奪い、刺す。勉が倒れぎわに「先生…」と呟くと、はじめて政之は我に帰った…。
 小ネタ/周辺状況
◆ 自家製ケナフを原料とする卒業証書は、2年前から使用している模様。
◆ ケナフ刈り入れ時の国井教頭の格好は農家のおばちゃん風で、妙に似合ってる。このとき金八も長靴を履いている。
◆ チューが指を切る事故を起こすと校長はおかんむり。「刃物で怪我をしたなんて、世間がなんと言うか」と言って、来年度からケナフの刈り取り作業はやめ既成の証書にすると独断で決める。金八は「自分が痛いことは人にも痛いことを学習するチャンス」と主張して対立。
◆ 保健室にて、血を見て過剰反応した政則を、金八は「以前交通事故を目の前で見たため」ということにする。鰻と梅干の食べ合わせの話を交えるあたりが金八節。
◆ 直と儀、本気のビンタ合戦! 実は上戸彩さんほどの才能ある役者さんでもなかなか思うように男性的な演技ができず、苦悩していたんだとか。
◆ 辺りが暗くなったころ、堀切駅付近の屋台に金八派の先生方が集合。ケナフを否定するワンマン校長へ立ち向かっていくことを決意する。遠藤は机を叩きすぎ。
◆ 病室の幸作は毛が抜けはじめる。PCで副作用について調べた幸作は、理由がわかれば闘えると言って金八を安心させる。
◆ 金八宅にやってきた第4シリーズの懐かしい顔は、賢治とその婚約者・ミチル、広島美香、樫木真穂、桜木伸也。総勢23人で婚約パーティーを開き、同時に骨髄バンク登録の決議をしたことを報告。ちなみに、ミチルは17回にも及ぶ白血病の治療入院を繰り返し、今年大学合格を果たした。
◆ 桜木伸也が金八に「お手!」と言ってビールグラスを手渡していたのは、自身が犬の訓練士をしているため。
◆ 成迫先生と面会に、岡上刑務所へ赴く金八。父は政則が面会に来なかった原因を自分に求める一方、祖母を見舞う政則を人間らしい優しさを持っていると安心する。
◆ 政則の姉・登美子は、「レインボーハウス」で悩みを持った子どもたちの相談役をしていた、心優しい人物だった。
◆ 成迫先生は、自らの罪を真摯に受け止め、控訴はしなかったという。
 参考文献/挿入歌/BGM
◇ 【書籍】 種まく子供たち—小児ガンを体験した七人の物語 (佐藤律子編、ポプラ社)
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