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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第6シリーズ 12話 「友情の証し」

幸作(佐野泰臣)の一時帰宅が叶い、坂本家では家族揃って新年を迎えていた。ところがそこへノブタ(辻本祐樹)が血相を変えてやってくる。今井儀(斉藤祥太)の家でドラッグに手を出した兄・武が狂ったように暴れているというのだ。金八(武田鉄矢)は幸作を乙女(星野真里)に任せて現場へ急行。すると、儀は意識を失うほど殴りつけられ、部屋には倒れた電気ストーブから火の手が上がっているのだった。

金八やノブタ、成迫政則(東新良和)らの必死の活動で儀はなんとか救出、武ももみ合いの末パトカーに保護され、到着した消防車によって火事も鎮火。しかしホッと胸をなでおろす間もなく、金八の前に安井ちはる(岡あゆみ)が蒼白の顔で駆けつける。幸作の容態が急変したというのだ。さっきまで元気だった幸作が合併症の肺炎を起こし、集中治療室に搬送されている…。医師の話ではこの3、4日がヤマになる大変危険な状態だという。金八は「私のミスだ」と愕然となる。

幸作は三日三晩眠り続け、この日がヤマだという4日目の夜、ついに意識を取り戻す。幸作を死の淵から救い出したのは、兼末健次郎(風間俊介)はじめ元クラスメイトの友情だった。親友・幸作に、また恩師・金八に、自分たちは何をしてやれるだろうかと思案した健次郎は、決して一人じゃないことを伝えたいと幸作と同じように頭を丸刈りにし、有志も一緒に坊主頭になり、希望を捨てずに祈りを捧げ続けていたのだ。

健次郎たち卒業生が荒川の土手を歩いていると、現在の3Bと遭遇。幸作の集中治療室の前で、健次郎が中学時代に起きたあれこれを語って聞かせた政則の姿もある。「金八先生のこと、頼む」。そう健次郎は伝えるのだった。

02年1月10日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 福澤克雄

視聴率: 18.9%

DVD: 第5巻

小説本: 第21集

 みどころ談義
● 新年一発目の放送です。そのためなのかどうなのか、かなり衝撃的なお話でしたね。
○ ドラッグあり、火事あり…。幸作が一気に命の危機に瀕するというショック、そして端正な健ちゃんが坊主頭に!
● みんなで坊主頭になるというのは全く予想外の展開でした。驚きましたねぇ!
○ 正直ああいう形で団結されると、逆に気味悪さを感じちゃう部分も否定できない。けど、「仲間だ」「信じてるぞ」のしるしが欲しい気持ちも分かる気がするんだよな。
● かつてイジメる側とイジメられる側という関係だった健次郎と篤がいい仲間になっていましたし、サオリはこの前(2001年4月)のスペシャルで皆に助けてもらったお礼がどうしてもしたかった。そういう積み重ねがあっての感動的な団結だったと思いますよ。
○ そうだね。サオリは辞表騒動のとき女子代表として金八先生に殴られた以来の絆があるもんな。さて、今回は「家族揃った」坂本家の新年の様子からスタートしたんだけど。
● 逆に「家で孤独」同士の儀とノブタが親しくなって、儀の部屋へ行ったところから騒動が始まっていきました。いつの間にか戻っていた兄貴が明らかにドラッグの症状とわかる暴れ方をして。
○ 金八先生は、今まで幸作に掛かりきりで3Bを疎かにしていた、という思いがあったから、悩まずに儀のもとへ行ったんじゃないかな。第4話だったかな、賢から「最近相談し辛いよ」と見透かされたのを気にしてるようだったし。
● そしたらあんなことに…。父親と先生の板ばさみ。スタントマン顔負けの奮闘を見せた金八先生が、幸作のもとに駆けつけてからはすっかり意気消沈してたじゃないですか。同じ人がこんな短時間ですっかり小さくなって。切ないです。
○ 何せタイミングが最悪だったからなぁ。
● しかしこの炎の中のバイオレンスシーンというのは…金八先生らしからぬ場面でしたよね。
○ 火の中にに飛び込んで、希望の象徴である小鳥を救う。これは金八先生の普段からの姿勢そのものではあるんだけど。たしかにちょっとカッコよすぎだったかな。それと、鳥を助けた後の金八先生の行動が気になった。
● 鳥かごをしっかりと抱えながら、燃え盛る部屋を体ごと突き破って、儀たち生徒のもとに戻ってましたけど。
○ いやぁ、あそこは冷静に炎を避けてベランダから飛び降りるとか手すりを伝って隣の家に回るとか、ベテラン教師らしい冷静な対応をしてもよかったかなと。だいたいそんな格好いいキャラクターじゃないんだし、ましてやもう中年でしょ。やりすぎると話が嘘臭くなっちゃうよ。
● まぁ、でもああやって身を挺して救ってくれたということが、儀や政則の気持ちを変えたんじゃないですか?
○ たしかにそうだ。儀は鳥を見て「先生はこいつらのために火の中へ飛び込んでくれたんだ」としみじみ感じていたし、政則は健次郎との会話を経て「僕たちも先生のために何か出来ることないかな」と考えるようになった。金八先生が火に飛び込んで鳥を救ったことには意味があったよ。
● そうですよ。健次郎が政則に自分の過去を語ったシーン、よかったですよね。政則からしたら、どうしようもない状況から金八先生のおかげで立ち直れたという先輩の話は、何よりの希望になったと思うんです。
○ 今までどこか諦めていたような自分も、もしかしたら同じように立ち直れるかもしれないと。儀の家での金八の姿も見てるから、信頼できるぞという確信を持っただろうね。今日の健次郎のように、いずれ先生を助けてやれるくらい強い人間に成長していって欲しいなぁ。
● でも、今回の幸作の展開を見ますとね、一時帰宅の許可が出たと一旦持ち上げてから、生命の危機というところまで落としてるじゃないですか。どうも政則も同じ道を辿りそうな気がしてならないんですよ。
○ なるほどねぇ。たしかにこのまま過去を吹っ切って終わり、とは思えないもんな。そのとき今の3Bはどんな団結を見せてくれるのだろう?
 小ネタ/周辺状況
◆ 今回は通常のオープニングではなく、「まっすぐの唄 アコースティックバージョン」からのスタート。タイトルバックもなし。
◆ チューが金八をモデルにした凧を持ってはしゃいでいる。かなりの出来の凧。
◆ 直、オランダ帰りだとハセケンに嘘のメールを送信。
◆ 高校でのイジメを克服したサオリを見て、金八は「世界を変えたければ、まず自分が変わること」だと改めて確認。
◆ ノブタ、今度は儀とタコヤキを食べ合う。「この前は酷いこと言って悪かった」と言っているが、第11話、乾家出産後の授業のシーンで、いじけたノブタが儀に「お前だって保健所に放り込まれないだけだろ」と八つ当たりしたことだと思われる。
◆ この前は不良連中に空手の腕を見せつけた遠藤先生だが、今回は鉄パイプの一撃でやられてしまう。
◆ 金八宅では池内先生、遠藤先生、スーパーさくらの明子さんが里美に手を合わせて祈る。「アマゾネス、幸作を連れて行かないで。」
◆ 兼末家に集合した旧3B男子は…慶貴、幹洋、好太、三郎、ヒノケイ、照孝、ヒルマン、篤。健次郎の母・麻美は息子の友人に自然に接することができている。
◆ 病院に駆けつけた健次郎、よかったねと抱きつくちはるをちょっと意識して戸惑う。そんな場合か!
◆ 元々坊主頭のヒルマンまでがニット帽をかぶっていたのはなぜ?
◆ 校長、朝の十分間読書を止めて補習に充てると命令。金八が「読書体験をバネにして世界に飛び出す人材を作る。そんな夢を持たせてください。」と猛抗議すると、校長は「来年度も本校でいっしょにやっていけるか熟慮が必要」。

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