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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第6シリーズ 13話 「3年B組立志式」

成人の日にちなみ、3年B組でも「立志式」を行うことになった。毛筆で自分の志を清書し、クラスメイトの前で発表するというものだ。個性あふれる作品が並ぶ中、つい先日兄が薬物に侵され火事を出す騒ぎを起こした今井儀(斉藤祥太)は「麻薬ボクメツ」と書き、「ドラッグは人間を破壊する。誘われても決して手を出さないでくれ」と涙をこらえて訴える。

私立推薦入試が近づき、木村美紀(森田このみ)ら受験第一陣にエールが送られる。再び無菌室に移り強化療法を開始した幸作(佐野泰臣)は「肺炎に勝った勢いで悪性リンパ腫にも勝ってみせる」と前向きに決意し、金八(武田鉄矢)が学校に専念できるよう計らう。金八はエスカレートする笠井美由紀(高松いく)のストーカー行為を「忍ぶ恋」に切り替えさせようと腐心。また鶴本直(上戸彩)は性同一性障害を専門医に相談。解決には時間が掛かると告げられ肩を落とす。

入試前夜、事件が起こった。美紀の父親が自殺を図ったというのだ。朝刊が伝えたそのニュースが3Bにあふれると、成迫政則(東新良和)は「無責任な新聞記事で人の不幸を面白がるな」と激高。父親は一命を取り留めたが、自分のせいだと悔やむ美紀は受験に向かおうとしない。そこに寄り添ったのは美紀にからかわれたことが原因で不登校を続ける江藤直美(鈴田林沙)であった。「ごめんね」と謝る美紀に、直美は「お父さん、きっと大丈夫」と笑顔で励ますのだった。

最初の合格発表の日がやってきた。入試に挑んだ4人のうち唯一不合格となった森田香織(松本真衣香)は落ち込むが、親友のシンバ(住吉玲奈)がその気持ちを半分背負うと表情が変わる。受験シーズンはまだ始まったばかり。次こそは合格を勝ち取ると強く誓うのだった。

02年1月17日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 三城真一

視聴率: 17.5%

DVD: 第6巻

小説本: 第21集

参考文献・挿入歌

 みどころ談義
● 冒頭でノブタ、儀、一寿、それに政則が仲良さそうに登校してくるじゃないですか。微笑ましいスタートでしたね。
○ 炎の中で助け合った生徒たちだよね。あの事件のおかげで、すっかり距離が縮まったんだなぁ。
● 信じてた兄ちゃんが暴れだして火事を起こした…。すごくショックが大きいと思うんですが、儀は立志式の中でドラッグに侵された兄貴の凄惨な姿を語って、絶対にクスリに手を出すな、と泣いてみんなに訴えるんです。よくそこまで吹っ切れたなぁと。
○ 信頼できる仲間もできたし、儀はもう大丈夫かな。大丈夫であってほしいね。
● この立志式って、第1話から金八先生がしきりにキーワードとして挙げていた「志学」という言葉にも対応しますよね。受験直前のこの時期にピッタリのイベントなのかもなと思いました。
○ そうだね。年が明けたら、もう受験の時期だ。早いよなぁ。金八先生も前にも増して忙しくなって。死の淵から生還して間もない幸作が、いつも病室に来てくれる金八先生に「学校に戻りなよ」と言っていた。また無菌室に戻って「強化療法」という辛〜い治療を受けなきゃいけないんだけど、そんな身でありながら気遣うんだよ。優しいなぁ。
● 安井先生も言ってましたよね、「今度の病気で彼は成長しましたよ」と。そして、次々と問題が起きる3Bに今回も大事件! 今度はイジワル番長の木村美紀の家に不幸な出来事が起こりました。父親がマンションから飛び降りて、自殺未遂です。
○ よりによって受験の前の日だもんなぁ…。
● 3Bで、ミッチーたちが掌返したように美紀を悪し様に言っていたのが怖かったですね。お前ら友達じゃないのかよって。
○ そんな中、美紀を助けるのがあの直美っていうんだから! これはすごいよなぁ。レズだと中傷した側、された側という関係だったのに、美紀を本当に心から心配してくれているようだったじゃない。
● 手作りサンドイッチのくだりなんか泣けましたよ。院内学級で子どもたちと触れ合って、気持ちが変わっていったんでしょうね。
○ それももちろんあるだろうし、直から届けられたノートのFAXも影響を与えたんじゃないかな。直美は本当に強くなったよ。3B復帰も近いだろうね。
● なんだか今回は、儀、幸作、そして直美。3人の成長した姿が見れた。そんな回だったような気がします。そして、三人とも独りで立派になったんじゃなくて、仲間から気持ちを貰って大きくなれた。そこがポイントですね。
○ その通り! 最後の香織もそうだったもんね。あとは、他にもさらっとではあるんだけど結構重要そうな要素が出てきたので、そこをチェックしておこうか。直はかなり踏み込んだ話をハセケンにメールして、賢の父親が戸籍を変更するような相談を受けつけている弁護士だというのが今後鍵になりそう。それと、教室で政則が「無責任な新聞記事で、人の不幸を面白がるな」という怒り方をしていたよね。
● 政則はたしか、父姉の事件について週刊誌が書き立てた記事が夢にまで出てきて、うなされるほどでした。
○ ほら、繋がってきたでしょ。まだまだ山場はこれからだね。みんな頑張れ!
 3年B組立志式
 ■ 笠井美由紀: 「死んでもいい」
 ■ 星野雪絵: 「欲張って生きる」
 ■ 長谷川奈美: 「ダンスわが命」
 ■ 本田奈津美: 「相思相愛」
 ■ カッシー: 「愛は世界を救う」
 ■ 風見陽子: 「唯我独尊」
 ■ 主任: 「科学こそ万物の進歩だ」
 ■ 安原弘城: 「一生懸命」
 ■ チュー: 「ノッポになる」
 ■ 長澤一寿: 「ツールドフランス制覇」
 ■ 下田江里子: 「幸せな結婚」
 ■ かあさん: 「一日一膳」
 ■ 青沼美保: 「初志貫徹」
 ■ 森田香織: 「同じアホなら踊らにゃソンソン」
 ■ 赤嶺繭子: 「Take it easy」
 ■ 山田哲郎: 「はイ」
 ■ 成迫政則: 「自立」
 ■ 長谷川賢: 「上を向いて歩こう」
 ■ コボ: 「有言実行」
 ■ 前多平八郎: 「メロスは走るぞ」
 ■ 笹岡あかね: 「暴力反対」
 ■ 鶴本直: 「自分になる」
 ■ 木村美紀: 「明日は明日の風が吹く」
 ■ シンバ: 「口は災いの元」
 ■ 山本健富: 「怪物を愛そう」
 ■ ミッチー: 「俺は男だ」
 ■ ノブタ: 「お笑い芸人一等賞」
 ■ 今井儀: 「麻薬ボクメツ」
 ■ スガッチ: 「当たって砕けろ」
※江藤直美は欠席。
 小ネタ/周辺状況
◆ 前回に続いてオープニングのタイトルバックはなし。主題歌はショートバージョンが流れた。
◆ 健富は「立志式」を「たっししき」と読んでしまう。この前は「黄金」を「ききん」と読んでいたし、漢字は苦手であるようだ。
◆ 金八、長谷川奈美のおしゃべりを止める際、目覚まし時計のスイッチを押すような具合に頭を押してストップ。合計三度あった。
◆ 金八は阪神大震災が起きた1月17日が近づいたということで、風化させてはいけないとそのことに触れる。震災で独りぼっちになった子をサポートする組織「レインボーハウス」には、亡くなった政則の姉・登美子も参加していたと第?話で出ている。
◆ ノブタは母親の写真をエリカが本のしおり代わりに使っているのを見て激怒。エリカではなく妙子さんに文句を言う。そのとき「おばさん」という呼び方をしている。
◆ 美紀の父親は、証券会社で客に頭を下げる仕事に回されていた上、リストラされた。
◆ 乙女、「人生は勝ち負けじゃない。負けた、って言わない人が勝ちなのよ」と語る。
◆ 合格発表。コボは正文高校、健富は青葉高校に合格。ともに陽光高校を受けたシンバと香織は明暗。
 参考文献/挿入歌/BGM
◇ 【書籍】 生きてていいの? (寺脇研、藤野知美著、近代文芸社)
◇ 【書籍】 女から男になったワタシ (虎井まさ衛著、青弓社)
◇ 【書籍】 ある性転換者の記録 (虎井まさ衛、宇佐美恵子著、青弓社)
◇ 【書籍】 性同一性障害—性転換の朝 (吉永みち子著、集英社)
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