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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


スペシャル11 第7シリーズ真の最終回 「未来へつなげ 3B友情のタスキ」

2005年12月。3ヶ月の収容延長を経てもうじき少年院を出院する丸山しゅう(八乙女光)のために卒業式を開こうと考えた前3Bの生徒らは、しゅうが予定通り9月に出院し、今はある場所で新聞配達をしながら薬物依存症リハビリ施設「DARC」に通っているのだと金八(武田鉄矢)の口から知らされる。なぜか姿を見せない鈴木康二郎(藪宏太)を除く28人の教え子に、金八は「しゅうが堂々と胸を張って現れるまで待ってやろう」と言う。

ある日チビあす(杉林沙織)に康二郎から電話が入る。高校を退学していた康二郎は悪い仲間とつるみ、遊ぶ金を騙し取る魂胆なのだ。心配する旧友らに「いつまで3年B組やってんだ、バカか?」と言い放つ康二郎だが、しかし本心は違っていた。しゅうや金八、3Bに偏見を持ち馬鹿にする担任・内藤(長谷川朝晴)が許せず、つい殴ってしまったというのが退学の真相だったのだ。金八に退学処分取消の可能性を示唆されると、康二郎はしゅうと同様、自分も偏見から逃げずに戦うことを決意。内藤に会い正々堂々と意見し、金八も教え子の可能性を信じる教師の覚悟を示すのだった。

理解ある雇い主・上林(石倉三郎)や薬物依存を克服した先輩ルームメイト・山倉達夫(宮田大三)らに囲まれて生活していたしゅうは、休暇を貰い久しぶりに親子水入らずのクリスマスを過ごしていた。ところがそこに達夫から電話が入る。信じていた女性に裏切られ絶望したというのだ。慌てて部屋へ取って返したしゅうだったが、その目に飛び込んできたのは再び覚醒剤に手を染め悶え苦しむ達夫の姿だった。信頼する先輩の変節にしゅうは更生への自信をなくし、部屋を飛び出していく。

懸命にしゅうを探す金八がたどり着いた場所は、怯えたしゅうが逃げ込んだ場所は、どちらもあの懐かしい3Bの教室だった。金八に「今を変えれば過去は変えられる」と励まされ、また仲間の後押しを実感したしゅうは、生きる意欲を取り戻す。そして12月30日、しゅうはクラスメイトが見守る中、晴れてたった一人の卒業式に臨むのだった。

05年12月30日放送

脚本: 清水有生

演出: 三城真一

視聴率: 12.6%?

DVD: 3月24日発売

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
● 久しぶりの金八先生! 道でばったり誰かと出会ったり、偶然何かを見てしまったりと少々都合よく展開していくようなシーンが多くあって気になりましたけど、単発スペシャルだと時間に制限があるので仕方ないのかな。まずまずまとまった新作でした。最後の朗読にはビックリしましたけど。
○ 大枠はすごくよく繋がっていたよね。チャリティーランは麻薬撲滅の意識やトーチランの経験や崇史の回復や学校と地域の協力、そういったものの結実なんだなと思わせてくれたし、康二郎への署名はしゅうや伸太郎の時に培った思いやりと行動力が続いていることを示してくれた。再び壊れようとするしゅうを「最後の授業」で心に刻んだ言葉でもって仲間が今度は助けた…。
● 小ネタもしっかり散りばめられて楽しかったし、9ヶ月経って大人っぽくなった生徒たちの姿を見れたのも嬉しかったです。
○ 我々ファンは新作が見られるということだけでとりあえず悪い気はしない、ということになっちゃうね(笑)。
● 今回はしゅうのその後が大きなテーマで、最終的に卒業式まで描かれたわけですが、シリーズ後半で憔悴しきっていた金八先生がどれだけ立ち直ったのかというところもすごく気になっていたんです。その点、緑山の先生の前でガツンと言ってくれて、溜飲が下がる思いがしましたね。
○ 「黙らっしゃい!」(笑)。久々に吼えてくれた。完全復活だよ。かつて現場を離れて教育委員会に勤めた経験も生きた。
● 自信と責任感に満ち溢れていてホント嬉しかったです。
○ そうだね。教室でも本当に自信もって「今を変えれば、過去は変えられる」ってしゅうを励ましたもんね。シビレたなぁ。
● …あのシーン、実は僕よく分からなかったんです。いくら金八先生でも過去を変えるのは無理じゃないかと。
○ いやいやあれは捉え方の問題でね、過去とはつまり記憶でしょ。以前のある出来事について、消せないあやまちだと悔やみ続ける限りマイナスの記憶でしかないんだけど、そのあやまちを一旦受け入れた上でそこから得た教訓のようなものを前向きに今に生かせばいずれマイナスをプラスに変えた記憶に変わる。それを「過去は変えられる」と表現したんじゃないかな。
● んー、ちょっと難しいですが、過去は消せるというようなことではなくて、意識を変えようよというわけですね。
○ クサい言い方になるかもしれないけれど、「耐えがたい傷」と「得がたい糧」は紙一重というか、実はすごく近いところにあって、どっちを選ぶかは今の自分次第、これからの自分次第なんだよ、ということなんだと思うんだ。そこに救いを感じたんだよ。
● なるほど〜。ということは、過去が変わった瞬間とは、自分が変わった瞬間でもあるんだ。
○ そうそう。いつだったか、金八先生が「自分を変えられる者だけが、世界を変えられる」と言ったことがあったじゃない。そこにしっかり繋がっているんだよね。とても印象深い。
● 「過去は変えられる」…。でもこれ、一度ドラッグに手を出してもまぁ大丈夫だ、なんて風に解釈されるとマズイですよね。何のためにしゅうがあれだけ苦しんだのか分からなくなってしまう。
○ うーん、作り手さんもやっぱりそこのバランスの重要性を分かっていて、脚本の清水さんは日記でまさに「ドラマを見た子供たちが、先生や友達が救ってくれるなら、一度ぐらい覚醒剤をやってもいいんじゃないかと安易に考えてしまうのではないか。そのことが心配でした」と言っている。おそらくルームメイトの達夫が凄惨に描かれたのはそのためなんじゃないかと思うよ。
● …更生しきれなかった達夫さんの悲惨さといったらないですね。初めからやたらと良い人だったし妹との幸せそうな様子も目立っていたので逆に嫌な予感がしていたんですが、やっぱりああいう扱いに…。
○ 正直、後半この人に何かあるなってちょっと読めたところはあるよね(笑)。
● あと気になったシーンといえば、やっぱりその後の、生徒が教室に続々と入ってきて全員で詩を朗読した場面はどうしても…。あの儀式っぽいノリは違和感ありましたね〜。詩は本当に素晴らしいと思うんですが。
○ あはは、あれビックリしたよねぇ。あまりに唐突で、こりゃひょっとして幻覚なのか?とも思ったよ。もしくはみんなでドラッグやっちゃったのかと。冗談だけど。
● こらこら不謹慎な(笑)。
○ でもさぁ、初めて覚醒剤を使ってしまった時は本当に本当に孤独で「寂しかったんだ…」と泣きながら呟いていたしゅうにだよ、今回は3B全員が駆けつけて励ましてくれたということじゃない。この大きな対比を強く印象づけようとして演劇的な見せ方をしたと考えれば、少しは…ね。
● あぁ…そうですねぇ。しゅう、あの時はどうしようもなく独りだったけど、今回は間違いなくみんな後押ししてくれたんだ。これは大きな進歩ですね!
○ そう。みんなに支えられていることを実感してしゅうは旅立ちの日を迎えたんだから、これはおめでとうと言ってあげたいよね。
● そうですね。
○ ところでさ、3Bのこういう強い結びつきのことを、漢字一文字で何というか知ってる?
● 「絆」…ですか?
○ ご名答! しゅうにとっての心の「傷」にみんなの「な」がくっついて、「絆」に変わったんじゃないかなぁ。
● あっ、過去が変わった!
 
 小ネタ拾い読み
◆麻薬撲滅チャリティーランは1月8日(日曜日)に決行され、30kmのチャレンジコース、15kmのレギュラーコース、5kmのビギナーコース、15kmの駅伝コースが用意されていた。スタート会場は足立区旭町商店街で、教師と地域が協力し一体となったチャリティーイベントだった模様。
◆遠藤先生は本当は勝負にこだわりたく、戦力になるとは思えない金八をメンバーとしては考えていなかった様子。走れるシルビア先生をスタートとアンカーの2度起用してまで勝ちたかった。
◆高校に進学した狩野伸太郎、トレードマークの紙袋がなんとGUCCIのものにパワーアップ!
◆中木原智美の新しい彼氏は、IT企業ファイブドア(?)の社長であるらしい。
◆江口哲史は下校時に小六法を読みふけっている!
◆ソンは剣道部。金八から「侍」の一文字をもらっていただけのことはある?
◆さくら食堂で団子を振る舞われた中村真佐人、「花より団子だね」と発言。当然出演していたドラマ「花より男子」と掛けている。
◆シマケン、堀切駅の自動改札にクオカードを投入してしまうミス。慌てっぷりは健在だ。
◆やっぱり玲子を取り合う笠井淳と江口哲史。
◆小塚崇史の足の具合はだいぶ良化したようで、少しくらいなら走っても平気なところまで回復していた。
◆車掌ってコートの裾までズボンにインしてしまうようなキャラだったっけ?
◆3Bの教室でかびパンを発見し「絶対コイツ給食費払ってねぇよ!」と茶化した伸太郎だったが、周りのみんなは笑えなかったようで、一瞬にして空気が凍りついてしまった。そしてそれを海援隊の「JODAN JODAN」の振りマネでリカバリーしようとして、見事に失敗。
◆余計なことを言ったばっかりに有希に突き飛ばされてしまった哲史だが、周りのリアクションから推察すると、本当はあんなに派手に転ぶ予定じゃなかったのかも。
◆しゅうの父親は05年6月、医療刑務所の中で亡くなっていた。
◆しゅうの現住所は東京都葛飾区小菅6丁目のあけぼの荘。起床時間は午前2時半。母親・光代の住所は実家である神奈川県横須賀市東荒崎。
◆しゅうの部屋の引出しの中には舞子からの手紙がぎっしり。
◆しゅうが通院しているのは「精神医療 葛飾城北病院」。
◆典子にクリスマスのデートを申し込もうとした車掌、「ホワイトクリ、クリ…栗ご飯弁当1つ」とやっぱりお弁当を注文してしまう。そしてそのどさくさになぜかシマケンが麻子に「大人っぽくなったね」とアピール。
◆チャリティーランに向けて練習する金八、ハムストリング、大腿四頭筋をストレッチして臨むも、足首を捻挫。
◆「もうあの頃に戻れないのかな」と感傷的になる舞子を笑顔で励ます崇史。渡せなかったプレゼントのマフラーを「クリスマスにまた渡せば」と言ったことが、後に達夫が事件を起こした現場に舞子を遭遇させることに。
◆車掌、典子が持っていたプレゼントを自分が貰えるものと思い込み「萌え〜」と叫ぶも、勘違い。
◆コーヒーをこだわって手淹れして、康二郎と2人で飲む、ちょっと大人になったしゅう。→康二郎「また飲みに来てもいいかな」
◆緑山高校の内藤先生は、コーヒーメーカーで機械的に淹れたコーヒーを金八1人分だけ出す。
◆康二郎は、高校ではダンス部に所属していた模様。
◆大学の教育学部に通う幸作の機転のおかげで、康二郎の復学の道が開けた!
◆「パーはゲンコより強い」という言葉。なんとなくだけど内田樹っぽい予感?
◆母親の実家に戻り、父親の仏前にリンゴを供えて手を合わせるしゅう。テーブルの上には、父、母、祖父、しゅうの4人家族を思わせる4つのリンゴが。
◆覚醒剤中毒者である夫の介護で心をすり減らせていたしゅうの母・光代さん、今は寝たきりの父親の世話をしている。
◆達夫さんの惨状を目の当たりにして部屋を飛び出していったしゅうに、フラッシュバックの症状が。
◆卒業式の準備のどさくさに麻子のミニスカートを覗こうとする、相変わらずの伸太郎、シマケン、量太、車掌。
◆旅立ちの日、しゅうは舞子から貰ったマフラーをもう巻いていなかった。
◆卒業式お約束の遠藤先生天然ボケは今回も健在。パイプ椅子におもいっきり引っ掛かった。
◆黒板の文字「卒業証書授与式」の「式」の字の点の打ち方が逆になっているのがちょっと気になったり。
◆チャリティーラン、走力に自信のあるシルビア先生が猛然とスタートダッシュ! (地域の夜回り隊に加わっていた14話でもすごいダッシュを見せたことがある)
◆チャリティーランに遅刻寸前の金八先生、受付で配られたゼッケンは417番だったのに、走っているシーンではなぜか512番になっている。
◆ズボンをずり下げられるイタズラをされてしまった車掌、その下には股引を着用していた。

放送年表

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