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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第7シリーズ 14話 「車掌がトラメガを捨てたワケ」

私立推薦の時期がやってきた。3年B組では模擬面接が行われ、いつもメガホンが手放せない車掌(府金重哉)は、メガホンなしでしっかり自己PRするよう金八(武田鉄矢)に釘を刺される。入試の前に気持ちの整理をつけようと坪井典子(上脇結友)に告白するが、そこでも「マイク使って言う人、最低」と一蹴されてしまう。

入試当日。車掌の受験先・青葉高校から抗議の電話が入る。車掌が面接でメガホンを使ったため、即刻不合格を言い渡したというのだ。実は、車掌にとってのメガホンは、いじめを克服するキッカケとなった「救命胴衣」なのだった。金八は3Bに「何かに依存することは誰にでもあることだが、物や道具に頼らなくても自分らしく生きていけるはず」と言い、生徒らは車掌がメガホンを手放して独り立ちできるよう、それぞれの方法で応援する。

同級生や金八の励ましに応えようと、今度はメガホンなしで告白しようとする車掌。しかし、すんでのところで勇気が出ない。ひとり悲嘆に暮れているちょうどその時、目の前で放火を目撃する。メガホンを手にするが故障してマイクが入らない。思い切って大声で叫ぶと、後は無我夢中。迅速に消防へ連絡をとり、放火犯を追跡し、見事取り押さえる活躍を見せるのだった。

翌日、警察が3Bへやってくる。犯人逮捕に協力した車掌を表彰すると聞き、驚く3B。感謝状を受け取った車掌は、静かにメガホンを置いた。改めての告白は成就しなかったものの、たくさんの仲間からその勇気を称えられるのだった。

05年1月28日放送

脚本: 清水有生

演出: 福澤克雄

視聴率: 13.0%

DVD: 第6巻

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
● 久しぶりに、初期のシリーズのような一話完結型ハートウォーミング・ストーリーを見た気がします。
○ 「依存」で絡めて、すごく良くまとまっていたよね。こんな回がたまにあるとホッとする。最後、自分の声で告白したけど振られてしまって、たくさんのクラスメイトが慰めてくれるという終わり方も抜群。大人になるには痛みは付き物だけど、周りには仲間がいるじゃない、ということだよね。
● 欲を言えば、車掌、メガホンが壊れたから叫んだじゃなくて、自分の意志でメガホンを手放して欲しかったです。再び告白に行く前に、伸太郎か誰かに「俺、やってみようと思う。」という感じでメガホンを預かってもらって、その上で放火発見につなげても良かったかな、って。
○ いやいや、その弱さがよかったんでしょ。ずっとウジウジして何度もチャンスを逃している車掌を、頑張れ頑張れって応援するような気持ちで見てさ、ここだ、ここしかないぞという時に勇気を振り絞ってくれたところに感動させられたんじゃない。
● たしかにそうかもしれませんね。
 
○ 金八先生は依存について説明しただけでなく、「なぜ車掌がマイクを持つようになったのか、その大事なことを見逃してないか」と問いかけて、相手の気持ちを考えはじめた生徒たちはそれぞれのやり方で車掌に協力するんだよね。
● 哲史とチビあすの積極的な協力が意外だったんですけど、哲史は同じような依存がお前にもあるだろうと言われたのをキッカケに車掌を応援し始めるんです。話の分かるヤツですよ。チビあすは痩せるクスリ事件の反省の後からは思いやりキャラになっていたんですけど、車掌の過去を知る人として一役買ってくれました。康二郎が好きだと叫んだのはビックリ。
○ 二人ともそれぞれ好きな人がいるから、そういう部分でも車掌を応援したくなったのかもね。
● そしてあのあたり、ちゃんと時系列になってるんです。昼休みに伸太郎たちと河原で発声練習、夕方は3B'sのダンス、夜はギャル組が着ぐるみで街を歩いて。一日中応援してやっている。
○ 量太はみんなが野次馬感覚で車掌の告白を見守る中、最初からただ一人マジメに応援してるんだよね。伸太郎はメガホンを壊す小競り合いをしてしまったけれど、あれは伸太郎も面接が苦手だからこそ心を鬼にして取り上げようとしたんだろうし、次の日までにちゃんと修理してくる気持ちが素敵だったね。みんな良い友達だよ。
● そういう好意をすごく感じているのに踏ん切りがつかない車掌。もどかしいんですが、身につまされるところでもあります。
○ 金八先生が土手で声を掛けてちょっと意識が変わるんだけれど、もう一押しというところでダメだった。「す…す…シャケ弁」って。泣きながらもガツガツ食べるのが微笑ましい。旨いんだろうね、典子のお弁当。
● 金八先生、職員室で「固執じゃなくて依存だ」という話になった時に、重症だから「何か手を打たないと」と言っていたじゃないですか。だからてっきり、一緒に長ランを着たりディスコで踊ったりという金八ならではの突飛な解決法が見れるんじゃないかと期待していたんです(笑)。昔のシリーズに展開似てましたから。でも「世界を変えるために、自分を変えてみろ」というカッコイイ声掛けだけだったんですよね。ちょっとガッカリ。やっぱり年を重ねてるから昔のようにはいかないんですかね。
○ いやいや、最後、車掌が教室で表彰されるシーンをよく見てみてよ。金八先生のセリフに注目しながら。
● どれどれ? え〜と、大森さんに「悪かったな、お呼びたてして」と言ってますね。…うわぁ〜、これ先生が車掌に自信をつけさせるためにこっそり手を打ったってことじゃないですか! 金八つぁん未だ健在だ!
○ ね。このことに気づくか気づかないかで大違いでしょ。気づかない人の中には、もしかすると、取ってつけたような偶然の放火騒動でたまたま車掌がうまいこといった安っぽい話だと思った人がいるかもしれない。でもこうやって金八先生が後ろでしっかりと支えてくれていたことが分かると、また違った視野が開けてくると思うんだよ。
● なるほど〜。金八先生もしっかり役割を果たしていたんですね。生徒たちの多くも全体の問題として捉えてくれたし、あながち本編からちょっと外れたサブエピソードという訳でもなかったんだ。
○ 金八先生もしっかり「らしさ」を発揮してくれていたんだよね。上手に締めてくれるよなぁ。
● 車掌にキッカケを与えるために、実は放火魔にも金八先生が依頼してたりして。
○ そうだね、あはは…って、おバカッ(笑)!
 
● 一話完結型ではあったんですが、以前からつながる要素にも結構動きがありました。
○ 幸作が教育学部へ進路変更して、嬉しそうな金八さんと乙女。
● しゅうと崇史が握手して、和解しましたね。まだ自由の利かない手を懸命に動かして差し伸べた崇史、「生きていてくれてありがとう」と気持ちを素直に伝えたしゅう。
○ でも、しゅうの覚醒剤依存は止まらない…。常用しているようだし、徐々に効き目が薄れてより多くの量を使うことになるだろうから、警察が押収しそこなった分量はすぐなくなってしまうと思うんだよね。
● 自分で半分捨てましたしね。
○ となると、どうにか新たにクスリを手に入れようとするよね。
● そうなる前に金八先生、舞子、気づいて! 光代さん、帰ってきて!
 
 面接特訓
■狩野伸太郎
…閉め方が変、おじぎも変。巻き舌、足を組んじゃったり。中学時代の一番の思い出は「文化祭のソーラン節」。→タメ口禁止!
■小野孝太郎
…好きな教科は「ない」。面接官にガン飛ばしてしまう。
■安生有希
…「先輩もバリカッコイイしさ、化粧もしていいっていうじゃん。制服もチョー可愛い系で、マジ最高」→チョーと系使用禁止!
■中村真佐人
…ゴムを取っても髪にクセ。「この学校ならクラス一バカな俺でも入れると思った」。注意され、泣く。
■金丸博明(車掌)
…ハンドマイクを取り上げられるとボソボソとしか話せない。青葉高の合格可能性は70%。
■坂本金八
…威厳ある面接官役を演じようとすると、「あ〜た」口調になる模様。
 小ネタ拾い読み
◆覚醒剤依存と拡声器依存。ダジャレ。
◆足立区の連続放火は、新聞記事になった時点で10件目。おそらく11件目で解決。
◆坪井典子の家は「つぼちゃん弁当」という弁当屋を経営。常連さんにはサラダやかぼちゃの煮つけをオマケしてくれる、下町らしい優しく太っ腹な心意気が嬉しい。
◆デカあす、典子、車掌は同じ日に入試。三人とも青葉高校? でも、車掌が戻ってきた時デカあすも典子も普通に教室にいるんだよなぁ。
◆告白した車掌に対し「こういうことマイク使って言う人、最低」と言った典子。至極まっとうな意見だと思う。
◆メガホンを壊した伸太郎に「バカ!」と言って教室を飛び出した車掌。しかしメガホンがないから声にならない。その直後、金八に謝る場面では手だけメガホンを持つポーズに。
◆悲しみにくれる生徒は土手を一人で走っていくものらしい。
◆伸太郎、金八に「繊細で心優しく、気が弱いところがある」と見透かされると無口に。
◆チビあすが康二郎を好きだったとは…。
◆弁当を食べるシーン、車掌も左利きなのね。バッグはプーマと判明。
◆あの神社は、第6シリーズで今井儀が逃げ込んだ神社と同じかな?
◆今回の夜回り隊は、遠藤、小田切、シルビア、道政夫妻。シルビアの足が速すぎる!大迫力。
◆「トラメガ」という言葉は劇中で一度も出てきていない。
 過去の金八シリーズでは
■模擬面接で失態
第1シリーズ16話、安恵美智子(小林聡美)が喋りすぎて怒られる。九十九弥市(大堀英樹)は緊張のあまり拳法の型を披露してしまう。第2シリーズ18話では現在もスーパーのおかみとして出演中の大川明子(村野仁美・当時)がやはり喋りすぎを注意される。金八が生徒役となって質問に答える場面も。第4シリーズ12話では日下信二が学歴社会を否定されて取り乱す。
■面接本番で失態
…第4シリーズ12話、広島美香(小嶺麗奈)が紫蘭女子高の面接に化粧をして登場。
■青葉高校で問題
第1シリーズ17話、九十九弥市は試験終了後に昇降口で他校の生徒と取っ組み合いのケンカをしてしまう。第5シリーズ13話、青葉高を受験する塩沢好太に、他校を受験するはずだった落合加奈恵がついていってしまう。
 みなさんからの印象的なお便り
◆「今回一押しなのは何と言っても面接の特訓! 金八もちょっとお茶目すぎるし、特訓を受けている生徒もこれまた笑えるし、今回の話は雰囲気的にはパート2の「トイレお詰まり事件」に似ているような気がしたのは私だけかな?」 (袴田課長さん)
◆「今回は古き佳き時代の金八テイストが感じられる傑作でしたね。面接の特訓の場面は、コミカルなテンポの速さと金八先生と生徒の一対一の会話ということで、第1シリーズの、金八先生の家に生徒から次々と電話が掛かってくるシーンを連想しました。」 (第零世代さん)

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