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第31話 全財産をなくしたのは加代
御三卿田安家の当主田安宗重は、天下泰平の世に現を抜かし侍の心を忘れた武士たちを憂い、世直しをしなければならないと女小姓に決意を告げた。宗重は、手始めに剣法指南役日下平八郎に人斬りを奨励、兵法指南役桃井兵庫にその手ほどきを命じた。 桃井の指示の元、日下は百姓二人を斬り捨てる。それ以来日下は剣術の指導に熱が入るようになった。 続けて日下は、田安家の家来寅之助と彦太郎に浪人たちを相手に奇襲させることにした。家来たちが次々と浪人を斬殺するのを見て感心する宗重は、ひとり生き残った浪人を斬ると、同行していた女小姓にとどめを刺すように促した。何の躊躇もなく浪人を手にかける女小姓。 人足頭から十両の金の運搬を頼まれていた加代は、その現場を出くわした時にその十両を紛失してしまう。十両の代償として全財産を人足頭に持ち去られ、加代はその日から飲まず食わずの日々を送るハメに。 宗重の訴えに賛同して世直しの戦争に参加を表明する大名が次々と現われてきた。 旗をあげる時期の到来を予感した宗重は、事前に大規模な演習を必要だと感じ、桃井はその準備に乗り出す。演習の場所は、飢饉の里を捨て江戸へ出てきた百姓の集落。相手は丸腰の百姓たち。 百姓たちを集めるために食事の配給を呼び掛ける桃井の誘いに、ひもじい加代も思わず乗ってしまう。 だが食べ物を貰おうと並ぶ百姓たちの行列を待ちきれずに加代はダウン。 そんな加代をよそに食事を楽しむ百姓たちに、宗重率いる田安家の武装集団が襲いかかった。 集落は壊滅、百姓は根絶やしにされた。異変に気付きようやく目を覚ました加代だけはその場を逃げ出しい後を救われた。 その頃、勇次の元には幼い頃世話になったおみねという鳥追い女がいた。命からがら勇次の家に逃げ込んだ加代は、田安家の暴挙を明かすが、それを聞いたおみねは血相を変えて家を飛び出していった。おみねは先代田安家当主と体を重ね子を産んだ身であり、その子とは宗重のことであった。 集落に急行したおみねは宗重を制止しようとするが、宗重に無礼者として刺し殺されてしまった。親子の名乗りを果たさぬままに…。 武闘派集団に戦いを挑むことになった仕事人たち。果たして、主水は葵の紋を斬れるか?
【勇次の一言】
「俺が頼み人だ。頼み料は、おみねさんの三味線を売った金だと思ってくれ。」 【キャスト】
中村主水/藤田まこと 秀/三田村邦彦 加代/鮎川いずみ 西順之助/ひかる一平 筆頭同心田中/山内敏男 みね/小島きぬ子 田安宗重/遠藤征慈 桃井兵庫/五味龍太郎 日下平八郎/高峰圭二 女小姓/牧野恵美 寅之助/葭川浩 彦太郎/伊藤克美 人足頭/諸木淳郎 百姓/花岡秀樹 母親/和田かつら 子供/三木健作 遊び人/美鷹健児、福山龍次 百姓/日向はじめ りつ/白木万理 せん/菅井きん 勇次/中条きよし
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