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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第2シリーズ 5話 「腐ったミカンの方程式 その1」

荒谷二中から加藤優(直江喜一)と母親が転校手続きにやってくる。優のただならぬ気配を感じた野村教頭(早崎文司)は密かに荒谷一中へ優の素性を確認。すると、優は札付きの非行生であるという。金八(武田鉄矢)は美術室に学級委員の羽沢康男(清水浩智)、森下美保子(小河麻衣子)、そして迫田八重子(川上麻衣子)を呼び、優が早く3年B組にとけ込めるよう協力してくれと言う。

翌朝、3Bに早くも悪い噂が流れる中、金八が優を連れて教室へ入ってくる。優が自己紹介を終え席に着こうとした時、松浦悟(沖田浩之)が優の足を引っ掛け優は転倒、怒った優は悟に殴りかかり大乱闘が発生する。椅子を振り上げ暴れる優は金八の制止を聞かず八重子を盾にとりながら逃走。しかしそのとき八重子は優の「悪かったよ」という声を確かに聴く。

その夜、優の二年生の頃の担任であった荒谷二中の米倉先生(浜村純)が金八を訪ね、「腐ったミカン」の論理で優を放り出してしまったと語る。米倉は本来、優の同情すべき家庭環境をよく理解するよき教師であった。しかしエスカレートする校内暴力の前に己の力の限界を感じ、腐ったミカンの論理に屈してしまったのだという。そして「加藤はもう大人を誰一人信用しとらんでしょう」とこぼすのだった。

その頃、桜中に一本の電話が入る。「校長と坂本金八を出せ。ガタガタ言うと学校に火つけるぞ!」。優の所属する不良グループ・魑魅怒呂からのものだった。魑魅怒呂のOBながらリーダー格の岸森(古尾谷正人)と、その恩師である上林先生(川津祐介)とが交渉した結果、「警察に通報しない」「金八を一人で話し合いに来させる」の条件で実力行使が回避できるという。金八は「相手はミカンじゃないんです。人間ですから」と言って一人話し合いへと向かう。

80年10月31日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 竹之下寛次

視聴率: 23.7%

DVD: 第2巻

参考文献・挿入歌

みどころ談義

● 名にし負う加藤優&魑魅怒呂が、満を持して第5話から登場です。
○ 待ってました! でも優と魑魅怒呂といえば金八史上あまりにも有名なエピソードだから、ここで改めて論じる必要はないよなぁ。
● とにかく引き込まれますよね。見終わってみて、「迫力あるなぁ」とか、「ドキドキしたなぁ」とか、子どもみたいな感想がまず口を突いて出ちゃうのはなぜなんでしょう(笑)。
○ 思わず息を詰めて見入っちゃうから、水泳の息継ぎ感覚でプハーッというのに近いんじゃないかな。それでまず単純な感想を一言いいたくなる。
● なるほど(笑)。
○ 一応この回のポイントのような部分を挙げておくと、加藤優は3Bに来ていきなり暴力沙汰を起こしてしまうんだけれど、でも割とすぐ八重子に「悪かったよ」と謝るシーンがあったり、気の毒な家庭環境の回想シーンがあったりして、単純に加藤優=極悪というイメージには映らない。というところの面白さ。
● まぁ、それでも最初の暴れっぷりはモノスゴイですけどね。ちょっかい出した悟の方が優のあまりの迫力に呆然としちゃうんですよ。それほど強烈なんですよね、優と3Bの顔合わせシーンは。
○ あとはやっぱり「腐ったミカン」という言葉かな。これは金八先生発信じゃなく元々は荒谷二中の米倉先生の発言の中に出てくる。
● 米倉先生も本当は生徒をミカンだとは思ってないんですよね…。優の理解者だったのに、結果的に対応しきれず放り出してしまったという。そのことを懺悔して自分の無力感に苛まれる残酷なシーンもあって。
○ 気の毒だよね。「警察を呼ぶのは教育の放棄じゃないか」「桜中に押し付けて自分たちは安全だと言う方が腐っている」という考え方は金八先生と同じなのに。
● 「とはいえ、あいつを引き止められなかった私も同罪です…」としぼんでいく姿には考えさせられます。
○ でも、そこで悲観的にならない人間・金八の思いの確かさっていうのかな、揺るがないところが素晴らしいと思う。理想の追求が正解で現実的な対応は許せないとかそういうことを言ってるんじゃないよ。金八という人にはある信念があって、それはそう簡単に崩れない確固たるものなんだという、そういう様子が示されたことも重要だなって。
● その信念をもって、いよいよスナックZで話し合いを持つことになるんですね。

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