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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第6シリーズ 10話 「皆、悩んで生きている」

下校途中、ノブタ(辻本祐樹)がエリカ(中村侑希子)と仲良く戯れる姿を見た鶴本直(上戸彩)は、孤独感をいっそう強くする。帰宅すると江藤直美(鈴田林沙)からFAXが届いていたが、それには無関心でパソコンへ向かい、「yesterday」として長谷川賢(加藤成亮)にメールを送る。自作した曲があると書いたところ賢の興味をひき、直は大喜び。後日、賢は3Bでその曲をリコーダーで演奏、クラスは大いに盛り上がるのだが、直は心の中でしかその輪に入ることができない。

ノブタは父・浩造(松澤一之)から妙子(ひがし由貴)との再婚話を聞かされると、エリカとも距離を置くようになってしまう。いつものように土手で寝転んでいると、そこへ直が通り掛かるが、ノブタは落ち込んでいるばかり。直が帰宅すると、笹岡あかね(平愛梨)が待っていた。いつも直に睨まれる賢を心配し、真意を確かめに来たのだ。親友を二人も持つ賢が羨ましいと呟く直に、あかねは直が中に入ろうとしないのだと反論。しかし直は「それが鶴本直だ」と強情なのだった。

一方、今井儀(斉藤祥太)は、両親が儀の生活を気に掛けるようになり、親子のすれ違いはじきに解消されそうだ。しかしその矢先、儀の家に刑事が踏み込んでくる。兄・武に薬物所持容疑がかけられているというのだ。家宅捜索で再び部屋をメチャメチャにされ、心も傷つけられた儀は閉じこもり、駆けつけた両親に会おうともしない。金八(武田鉄矢)はそんな儀にゲンコツを見舞い、「自分と同じように痛い顔してくれるのは親しかいないんだ」と諭す。

入院中の幸作(佐野泰臣)は、義足だがバレエの夢を捨てず車椅子ダンスチームのプリマドンナを目指すという正子(伊藤麻里也)の姿勢に感動。その話を聞いた金八は、不登校になった直美を病院の院内学級に連れて行き、心から学ぼうとする子どもたちと触れ合わせる。そして金八はその帰り道、直美と直はいい友達になれると思う、と告げ、「その答えはここにある」と直美の心を指さすのだった。

01年12月13日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 三城真一

視聴率: 15.3%

DVD: 第4巻

小説本: 第2021集

参考文献・挿入歌

 みどころ談義
● 「皆、悩んで生きている」というサブタイトルどおり、今回も複数の話が同時進行です。
○ まず「院内学級」というポイントがあったよね。病気だからこそ一生懸命学ぼうとする子どもたちを目の当たりにして、まず幸作が、後半には直美が感化された。子どもはパワーを持ってるね。
● 正子ちゃんがポジティブでいられる理由も判明。足を切断したためにバレエの夢がついえて、そのときはさすがに目の前が真っ暗になった。でも車椅子ダンスという新しい夢を見つけて、前向きになれたと。
○ そんな話を聞いたら、幸作だって頑張らなきゃと思うよなぁ。乙女が乾先生の自宅出産に立ち会いたいと言い出したのも、命が誕生する様子を幸作に伝えれば生きる力になるはずだ、ということのようだし、正子ちゃんも乙女も、幸作にはありがたい存在だよね。
● 直の方は、yesterdayが送った譜面を賢やあかねが教室で演奏するという展開に! 第2話で突如見せられて全く謎だった賢のリコーダー趣味、ここに繋がってくるとは。
○ しかし「ここ難しいよ(賢)」「そこはちゃんと指を押さえればいいのよ(あかね)」「あはっ、そうか!(賢)」の会話には笑っちゃった。雰囲気だけで実体のない会話。いい加減だなぁ(笑)。
● あれで盛り上がるクラス全体もなんだか変な空気ではありますが(笑)。仲よさそうでいいじゃないですか。
○ そして、あかねと直の直接対決ではタコヤキがまた象徴的に使われてたね。突っ張っているんだけど、あかねにタコヤキをあげてるあたり、心の底では仲良くなりたいのにという直の複雑な心情が見えて、切ないなぁ。
● 直はやっぱり自分の身体に相当のコンプレックスを持っていて、その違和感はなかなか他人に分かってもらえるものじゃないと。だから心を堅く閉ざしているんでしょうか。
○ うーん。賢に親しみを覚えて仲良くなりたいんだろうけど、匿名のメールで親密になっても、かえって孤独な現実に傷つくのは自分だよなぁ。この後どういう展開になっていくのか、気になるところだね。
● それから、ノブタと儀です。こっちは大人の視点から見たら「親の苦労も知らないで、拗ねてる」生徒という括りができますかね。儀は警察にまで踏み込まれちゃって、拗ねるなと説教するのも可哀想な状況ですが。
○ でも、ふてくされたところで何の解決にもならないというのもまた事実。急に真面目なこと語っちゃうけど、生きていくうちには、どうしようもないことってたくさん起きるよ。それに一つ一つとらわれて、その度に気を滅入らせていたら生きていけない。正子ちゃんや院内学級の子どもたちが、吹っ切るところは吹っ切ってポジティブに生きるんだ、とヒントをくれている気がするなぁ。
● なるほど…。急にノブタに冷たくされて、わけが分からず悲しそうなエリカちゃんの顔、覚えてますか? ああいう顔、長く続いて欲しくないですよね。吹っ切るんだノブタ!
○ 悩んで生きている皆、自分だけが不幸だと思わずに、前向きになって欲しいね。
 小ネタ/周辺状況
◆ 妻の出産が近づいて幸せそうな乾先生。すっかりウキウキ状態で、北先生にイヤミを言われても全く気付かない。
◆ 院内学級の先生は前桜中教師の三宅先生。
◆ 太ももから下を切断しなければ生きられなかった正子ちゃん。病名は骨肉腫だった。
◆ 花子先生が3B配った謎の食物はは、アフガンで配られているオートミール。雪絵がダイエットのときに食べた離乳食みたいと言うと、赤ちゃん関連用語に反応する美由紀。アフガンの飢えを心配するあかねにミッチーが「あかねには私がミルクあげる。このオッパイで〜」と言うと、直は不快な顔をし、同時に自分のコンプレックスを強く感じる。
◆ 下校中、哲郎がついに知恵の輪を解く。そのときチューは健富の妹がドブスであることを暴露。
◆ 賢の家は裕福な雰囲気。遊びに来ていた平八郎におにぎりではなくケーキが出される。
◆ 作曲ネタでメールでの会話が弾み、思わず「よし!」と叫ぶ直。しかし甲高い声がコンプレックスのよう。またこのとき直の着替えシーンがあるが、パンツはボクサータイプ、胸にはサラシを巻き、かきむしった痕あり。
◆ 乾家の出産の話題の中で、「孫は可愛いらしい」と金八に話す乙女。「遠藤先生に似てるかも」とからかうと、金八は「あんなヌルヌルした奴ダメ!」。
◆ 武の件で、儀の家に警察が踏み込む。スーパーさくらを襲った蒲田栄二が逮捕され、その取調べの中で武の名前が出たという。トラブルの原因は薬物を不法売買した金の横領。再び家を荒らされて暴れだす儀。特に鳥かごをぞんざいに扱われると大暴れ。「俺のピーとチーだ!」
◆ 職員室にて、金八に食ってかかる校長に対し、「若輩者ですが」と意見する花子。校長退出後、国井に誉められる。
 参考文献/挿入歌/BGM
◇ 【音楽】 LUX 〜救い (城之内ミサ)
◇ 【書籍】 岩波ことわざ辞典 (時田昌瑞著、岩波書店)
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