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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第6シリーズ 14話 「希望が萌える春」

江藤直美(鈴田林沙)が3Bに戻ってきた。直美は木村美紀(森田このみ)のグループの心無い中傷で不登校に追い込まれたのだが、その美紀が父親の自殺未遂で憔悴すると励まし寄り添う役を引き受け、二人は和解。「木村さんにノートをFAXしてあげるためには学校に出なければいけないから」と不登校に終止符を打ったのだ。直美は「希望の日」と書いた半紙を掲げ、立志宣言を発表。直美を拍手で迎えた3Bは、間近に迫る都立推薦入試に向けてエール交換をする。

願書提出日、3Bでは都立推薦を受けない居残り組の今井儀(斉藤祥太)が両親の総菜屋を継ぐために調理師免許を取ると決意し、長澤一寿(増田貴久)はツール・ド・フランスの夢を現実にするために通信制か単位制の高校に行くと熱っぽく語る。鶴本直(上戸彩)の前には同じ障害を持つシゲル(三浦涼介)が現れ、決して逃げずに、性適合手術を受けた後どう生きていくか考えることが大事だとアドバイスを送る。直は視界が開けたような思いになる。

父のことで受験への意欲をなくしている美紀は「ここで頑張ることがお父さんを励ます一番の道だ」という金八(武田鉄矢)の説得で一度は願書提出に向かったものの、クラスメイトたちの視線を感じると引き返してしまう。美紀が願書を出さなかったことを知った金八は、自分の体面だけを考えるなと一喝。しかし父を追い詰めた責任を背負い込んでいることを見抜くと「いい子になれ」と優しく諭してやる。美紀は泣きじゃくりながら静かに頷くのだった。

いよいよ都立推薦入試が開始。金八は生徒に「いつも通り」と唱えさせ、平常心で臨むことを強調。受験生たちは各高校で試験に挑んでゆく。

02年1月24日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 加藤新

視聴率: 17.1%

DVD: 第6巻

小説本: 第21集

参考文献・挿入歌

 みどころ談義
● 直美が3Bに復帰です!
前回の様子からすると不登校をやめるのは時間の問題だと思っていたんだけれど、今回のオープニングで早速。
● 土手を走って学校へ向かうその表情の嬉しそうなこと!
○ それにしても復帰を決めた理由というのが圧巻だよ。「休んでいる間、ある人からノートをFAXして貰って嬉しかった。だから私も美紀にノートをFAXしてあげたい。そのためには学校に出てこなくちゃいけなかった」。これは素晴らしい意識だよね。
● 卑屈なところが全くなくなっていて、とてもイジメを受けていた生徒とは思えないですね。
○ 優しさ、思いやり、そして勇気が持てるようになった。困っている美紀のために何かしてやりたいという奉仕の心だけじゃなく、美紀のおかげで学校に出てくるきっかけが掴めたということに対する感謝の心、それもあるんだと思うなぁ。
● 直美が頑張って学校へ戻ったのと同じように、幸作も一般病棟へ戻りました。幸作も正子ちゃんの前で平気だと笑顔で言えるようになって。偉かったですよね。
○ ハンデを負いながら夢を持って前向きになる正子ちゃんの姿に励まされて回復できた幸作。今度は自分がお返しする番だと気付いていたのかな。
● 直美も幸作も、それから受験エールで活躍した政則も、確実に大人になってきていますよ。政則のところには哲ちゃんや繭子がいる、という構図がいつの間にか出来上がっていて。
○ その受験エールの場面では、金八先生、「虚心坦懐」「沈思黙考」なんて言葉で励ましていたけど、ことわざブームのあとは、今度は四字熟語ブームが到来したのかね(笑)。
● さて、美紀は都立推薦の願書を一度は出す気になったんですが、制服を着て駅まで行きながら、引き返してしまいました。
○ 前回の冒頭で「サイパンに行くんだ〜」なんて得意げに自慢していたところを見ると、美紀はプライドが高そう。だから、「アイツ、親父が飛び降りた奴だぜ」と周りの皆が思っているんじゃないかという状況に我慢できないんだよね。
● 以前は無責任な噂を面白がって広めていた方の側だった美紀。それだけに、逆の立場になってみると、今度は誰かが自分がしていたのと同じように悪し様に言っているに違いないと、そういう考えを持ってしまっているのかもしれません。
○ ただ、父親の飛び降りを自分のせいだと背負い込むような、真面目で責任感のある一面も見せているじゃない。直美の勇気を見習ってその気持ちを良い方に向けて、そしてノートを届けてくれる直美の心に応えて欲しいな。
● そうですね。金八先生が言うように、美紀の頑張りが父親を励ますことになるんですもんね。
○ それから、直のもとに救世主が現れたのも大きな出来事だったよね。
● ちょっと唐突だった気もしますが、同じような境遇の先輩から「逃げてはダメだ」とアドバイスを受けて、どう生きていくかを考え始めたようです。
○ 「手術を受けたあとどう生きていくかの心構えが大事」と言われてハッとしていた。オランダ行きを母に認めてもらえなくて頬を張られたのはショックだっただろうけど、その後にFtMのウェブサイトを見て仲間がたくさんいることも知った。本当に逃げないで向かい合っていって欲しい。
● そうですね。シゲルという見ず知らずだった他人の優しさに触れて、そのおかげで頑張ることができたら、直も素直に人に優しくできるのかな。
○ 直はずっとノートをFAXし続けていた直美が復帰して嬉しいはずなのに、仏頂面を崩そうとしないよね。また、クラスでの受験エールに交じれずに、メールで横浜の中三だとカモフラージュした上でしかハセケンに励ましの言葉を送れなかった。この状況が続くことがいいとはとても思えないよね。どこかで殻を割らなきゃ。
● 美紀や直は「逃げない」ことが重要だと。前向きになった直美や儀、一寿のような生徒との対比が切ない回でした。
○ これがいつか対比じゃなく、環になればいいね。
 その他の小ネタ/周辺状況
◆ 3Bの都立推薦入試志願状況
・青嵐高校: 青沼美保、風見陽子、笹岡あかね、長谷川賢、前多平八郎
・緑山高校: カッシー、主任、本田奈津美
・港東高校: 笠井美由紀、ミッチー、下田江里子
・港南高校: 長谷川奈美、星野雪絵ちゃん、安原弘城、チュー
◆ 遠藤先生が教師同士の飲みの席で、立て続けに大事件に巻き込まれる金八を「お払いに行ったほうがいい」と発言。たしかにそうかもしれない。
◆ チュー、願書提出に向かう際、バス停で財布が見つからないと大慌て。財布が見つかると、今度は肝心の願書を見送りの遠藤先生に持たせたままバスに乗り込んでいってしまう。
◆ 乾先生の赤ちゃんがケアセンターにやってきた。名前は「英彦」ちゃん。父親・友彦+母親・英子で英彦?
◆ 受験会場で、平八郎はお守りを山ほど持っていた。
◆ チューは試験開始直前に腹痛に襲われる。
 参考文献/挿入歌/BGM
◇ 【書籍】 生きてていいの? (寺脇研、藤野知美著、近代文芸社)
◇ 【書籍】 トランスジェンダーの時代—性同一性障害の現在 (虎井まさ衛著、十月舎)
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