5.2.2  古レールの刻印の調査 (在京大手民鉄)

1st wrote at 1999.10.08 / Last update at 2004.11.03

 駅・路線ごとの古レール確認リストのうち、在京大手民鉄線沿線で調査したものです。ただし、東武鉄道と西武鉄道に関しては、次節「刻印の調査(東武・西武)」にあります。
 民鉄の古レールを見ていると、多数の製造者の古レールが見られる鉄道では、その車両に関しても非常に雑多であったりと関連性が見られるようです(例:西武鉄道,名古屋鉄道)。各鉄道会社のポリシーが現れているようで興味深いです。
 
 ここにあるものは、主観を排除するため、現地で判読できた文字列をそのまま記載してあります。従って、間違いや抜けがあるまま載せている可能性がありますので、ご理解とご注意の程よろしくお願いします。 
 順番は、県別(県番号順)に駅・路線を並べ、以下に製造元名のABC順としています。 

路線(50音順) 


(pref.12) 京成電鉄京成本線

 京成電鉄の京成本線では、東京都内の京成上野〜江戸川間の各駅では、駅施設での古レールの利用は現在は全く確認できません(押上線の押上〜青砥間の各駅も同様)。
 千葉県内の京成本線では、国府台〜成田空港間の各駅をチェックしましたが、橋上化などの改築が進んでおり、古レール利用のホーム上屋が確認できたのは、
京成中山(ホーム上屋,上りのみ),東中山
の2駅だけです。ただし、特急の車内からのチェックでしたので、見落としがある可能性もあります。
刻 印 (読んだまま) 備 考
(G) CARNEGIE    1911    E T    IIIIIIIIII      60 A    I R J
(G) OH TENNESSEE-6040-ASCE 12 1919
(G) 30 A (丸Sマーク) 2602   IIIIII OH
(N) (丸Sマーク)   A   75   1966 75とAが入れ替わったエラー刻印 1922年製か?

【凡例: (N) 京成中山 (G) 東中山】 

写真:笠形ホーム上屋@東中山駅
東中山駅:古レール利用のホーム上屋

(pref.13) 京成金町線

 京成電鉄の東京都内の各線のうち金町線でのみ、古レールを利用したホーム上屋を見ることができます。
 柴又駅にあったのは、京成高砂駅に展示されているものと同じ刻印(製造者・製造年月)のようです。
刻 印 (読んだまま) 備 考
(S) CARNEGIE    1911    E T    IIIIIIIIII       60 A    I R J
(S) OH TENNESSEE 6040 ASCE 12 1919 不明瞭
(K) (丸Sマーク)   30   A   1929  IIIIIIIIII
(K) (丸Sマーク)  75  A  1924

【凡例: (K) 金町 (S) 柴又】 

写真:V形ホーム上屋@柴又駅
柴又駅:古レール利用のホーム上屋

(pref.13) 京王電鉄

 京王電鉄では、都心側から行くと、つつじヶ丘で古レールを見かけるようになります。このつつじヶ丘駅では、不明瞭なものも含めて紀元表示の八幡製鉄(日本製鉄)の古レールが多く見られました。故意に集めたのではないかと思えるほどでした。調布には、ホーム上屋に大量に古レールが使用されていますが、塗装が厚く、やや読み難いです。
刻 印 (読んだまま) 備 考
(C) B.V.G. BOCHUM. 1922
(C),(M)  CARNEGIE   1911   ET   IIIIIIIII   60 A
(T) KRUPP 1925 3,4番線
(C) 工 LACKAWANNA 600  7 1919
(C) OUGREE VI 1922
(C) S&M-60-ASCE-1925 3,4番線
(C) UNION 1922 3,4番線
(C) UNION D 1887 N T K 3,4番線
(C) 30 A (丸Sマーク) 1950 IIIII OH 他に6月製
(T) 30 A (丸Sマーク) 194?  IIIIIIIIII  OH (1948 or 1949)
(T) 30 (丸Sマーク) 2606  IIIIIIIII  OH 不明瞭
(M) 30.A.(丸Sマーク).2606. IIIIIIII  OH
(T) 30 A (丸Sマーク) 2605  III  OH 他に6月製らしきもの
(T) 30 (丸Sマーク) 2601  IIIIIIIIIIII  OH
(C),(T) ??.(丸Sマーク). 1936 IIIIII O H 調布では、1,2番線
つつじヶ丘では他に10月製
(C) (丸Sマーク)   60   A   1926  IIIIIIIIII 他に11月,12月製
(C) (丸Sマーク)   60   A   1926
(C) 30AS<角Sマーク>1955 IIIIIIIII 他に3月,4月製

【凡例: (C) 調布 (T) つつじヶ丘 (M) 井の頭線明大前】 

写真:Y形ホーム上屋@調布駅
調布駅:古レール利用のホーム上屋

(pref.13) 小田急電鉄(東京都内)

 小田急電鉄は、新宿〜豪徳寺の駅にある古レールが調査済みです。このうち、梅ヶ丘,豪徳寺は高架化工事が進行中で、先は長くなさそうです。
 ここで出てきたレールは、TENNESSEE と日本製鉄(八幡製鉄)ばかりで、製造年月も特定のものに限定されるようです。古レールは、ホーム上屋と跨線橋の部材として使われていますが、いずれも共通の製造者,製造年月で75ポンド(37kg)レールばかり(一部例外あり)と言うのも珍しいです。
 梅ヶ丘駅では、上りホームは TENNESSEE がほとんどであるのに対して、下りホームは八幡製がほとんどとなっていました。
刻 印 (読んだまま) 備 考
(Y) BARROW STEEL SEC166 1896 N.T.K. 製造年部分だけ不明瞭
(Y) KRUPP 1885.N.T.K.
(Y) KRUPP 1885.И.T.K.
(G),(S),(H),(Y) OH TENNESSEE-7540-ASCE-11-1926
(G),(U),(D),(Y) OH TENNESSEE-7540-ASCE-9-1925 しばしば、3月,10月製もあり
(G),(U),(D),
(S),(H),(Y)
OH TENNESSEE-7540-ASCE-12-1923
(H) 37. A. (丸Sマーク). 1952.  II   OH
(G),(H) 37. (丸Sマーク). 1949.IIII.OH.
(S) 37 (丸Sマーク) 1949 II OH 不明瞭,2月 or 3月製
(H) 37.(丸Sマーク).1948 IIIIIIIIIII OH
(H) 37 (丸Sマーク)  2608 IIIIII I I I I OH 製造月の縦棒が不等間隔
(H) 37 (丸Sマーク)  1948 IIIIIIII OH
(G) 37 (丸Sマーク) 1940 IIIIIIII OH 後半部不明瞭,7〜9月製?
(Y) (丸Sマーク)   75   A   1928    IIIII 7月製もあり
(U) (丸Sマーク)   75   A   1928    III 2月,4月製もあり
(U) (丸Sマーク)   75   A   1927    IIIIIIIIIIII
(S) (丸Sマーク)   75   A   1927    IIIIII
(D),(H) (丸Sマーク) 75 A 1925  IIIII 世田谷代田は不明瞭,
1929年製?

【凡例:(G) 豪徳寺 (U) 梅ヶ丘 (D) 世田谷代田 (S) 下北沢 (H) 東北沢
    (Y) 代々木八幡】 

写真:V形ホーム上屋@豪徳寺駅
豪徳寺駅:古レール利用のホーム上屋

(pref.13) 東京急行電鉄(東京都内)

 東京都内の東急各線については、田園都市線の渋谷〜二子玉川園間の全駅と、池上線の五反田〜旗の台までで、駅に古レールがないことを確認しています。

 大井町線では、大井町と中延でホーム上屋に古レールを確認しています。ただし大井町は、りんかい線の工事のため2000年9月30日をもって、現ホームが使用停止となり、古レールが使われたホーム上屋も撤去となるようです。旗の台駅では、池上線を跨ぐ跨線橋に古レールが利用されており、 BARROW らしきものを見掛けていますが不明瞭でした。
 世田谷線では、新型電車の登場とともに、ホームの嵩上げ,ホームの全面屋根化が予定されており、古レールを利用して作った上屋も撤去となってしまうようです(その後は確認していません)。

刻 印 (読んだまま) 備 考
(T) CARNEGIE   ET   U S A   1919    【不明瞭】 全体に不明瞭
(S) G H H 1924
(T) KROLHUTA 1926 M 【四角マーク, 月不明】 不明瞭,製造月9月以降
(O) ?? ???NES??E 7540 ASCE   1922   中延にもらしきものあり
(J) OH TENNESSEE-6040-ASCE-?-?92? 1921年3月製?
(T) UNION 192【埋め込み】
(J) 50PS<角Sマーク>1951 IIII 敷設レール (01/02/04)
(S) 37 (丸Sマーク) 1948 IIIIIIIII OH 松陰神社方の踏み切り
(W) 【不明瞭】(丸Sマーク) 1948  IIIII OH 環8の踏み切り
(N) 37 (丸Sマーク) 1948  IIII OH 1948 or 1949
(N) 37 (丸Sマーク) 1937  IIII OH
(N) 37 (丸Sマーク) 1936 IIIIIIIIIII OH 1936 or 1926
(O) 37 (丸Sマーク) 1936 IIIIIIIII OH 193?
(N) 【切断】(丸Sマーク) 1936 III OH 37kg/mレール
(N) 37 (丸Sマーク) 1934 IIIIIIIIIII OH
(O) (丸Sマーク)    75    A    1928    IIIIIIIII
(N) (丸Sマーク)    75    A    1923 1923 or 1928

【凡例:大井町線:(N)中延 (O) 大井町
    世田谷線:(S) 世田谷 (J) 松陰神社前 (W) 若林 (T) 西太子堂】 

写真:Y形ホーム上屋@中延駅
中延駅:古レール利用のホーム上屋

(pref.13) 小田急電鉄(神奈川県内)

 小田急小田原線のうち、神奈川県内の登戸〜新百合ヶ丘間の各駅では、
登戸,向ヶ丘遊園,生田,読売ランド前(柵)
で、ホーム上屋等の駅施設への古レールの利用を確認しています。
 このうち登戸駅は、複々線化に伴う工事でオリジナルなホーム上屋が撤去される直前に調査を済ませたもので、現在は撤去済みです。
 また向ヶ丘遊園駅では、古レールはホーム上屋の一部と跨線橋に利用されています。このうち、調査は下り1,2番線のみみで、3,4番線のほか南口自転車置き場の跨線橋支柱も調査可能のようですが、これらは未調査です。

 向ヶ丘遊園正面は、廃止になった向ヶ丘遊園モノレール線のロッキード式モノレール(鉄道用レールを3本使用して、走行摩擦の軽減を狙った)の頂部レールに使われていたものです。もともとは新幹線用の 50T を使っていたのだそうですが、製造中止になってしまったので、断面が類似していた英国の BS113 という規格のレールを輸入して使用したものだそうです。
 多摩線では、境界柵に古レールの利用が確認できましたが、各駅の駅施設には古レールは使用されていないようです。

刻 印 (読んだまま) 備 考
(1) B?113A   B?? WORKINGTON-85-0 "B?113A" -?→ "BS113A"
"B??" → "BSC" or "BCS"
(M) CARNEGIE  1911  E T   【不明瞭】  60A I R J 上り線ホーム跨線橋の梁
(M),(N) OH TENNESSEE-7540-ASCE-11-1926
(N) OH TENNESSEE-7540-ASCE-9-1925
(M),(N) OH TENNESSEE-7540-ASCE-12-1923 向ヶ丘遊園ではこれが多い
(M) 37 A (丸Sマーク) 1961 IIII OH
(N) 37. A. (丸Sマーク). 1956.  I  O.H.
(M) 37 A (丸Sマーク)  1955   IIII  OH
(M) 37 (丸Sマーク) 1940   III  OH
(N) (丸Sマーク)   75   A   1928    I
(N) (丸Sマーク)   75   A   1927    IIIIIIIIII
(M),(N) (丸Sマーク)   75   A   1926 製造月表示なし

【凡例:(M) 向ヶ丘遊園 (N) 登戸 (1) 向ヶ丘遊園正面】


(pref.14) 東京急行電鉄(神奈川県内)

 東急各線のうち、神奈川県内の各駅の施設で見かけた古レールを紹介します。
 東急東横線(桜木町〜新丸子)では、白楽駅でのみホーム上屋の支柱に古レールが利用されているのを確認し調査しています。他駅は、ホーム上屋のデザインに古レールの利用の有無にかかわらず統一性があるのと、チェックしたのが東横特急でしたので、古レールの存在を見落としているかもしれません。 
 東急田園都市線(中央林間〜二子新地)では、古レールは確認できていません。
刻 印 (読んだまま) 備 考
(H) 37 (丸Sマーク) 1949 IIIIIII OH 2番線
(H) 37 (丸Sマーク) 1937  IIIII  OH 2番線
(H) 37 (丸Sマーク) 1936  III  OH 1番線/2番線
(H) 37 (丸Sマーク) 1935   IIIIIIII    OH 2番線
(H) (丸Sマーク)   75   A   1928  IIIIIIIII
(H) (丸Sマーク)   75   A   1928  IIIII
(H) (丸Sマーク)   75   A   1922

【凡例: (H) 白楽】 

写真:片持式形ホーム上屋@白楽駅
白楽駅:古レール利用のホーム上屋


(pref.14) 京浜急行電鉄(神奈川県内)

 京浜急行では、東京都内では駅ホームに古レールを確認することはできないのですが、神奈川県に入ると、子安(京急新子安だったかもしれない),日ノ出町で駅ホームの上屋に古レールを見ることが出来ます。これらについては今のところ未調査です。なお、横浜−戸部駅間にあった平沼廃駅の古レール利用のホーム上屋は、既に撤去済みです。

 金沢文庫から先は支線部も調査済みですが、逗子線,久里浜線では駅施設に古レールは確認できませんでした(ただし、堀内−新大津間では古レール利用と思われる人道跨線橋がある)。浦賀駅は、駅舎と駅前を結ぶ階段部分に古レールが見られました。

刻 印 (読んだまま) 備 考
(U) OH TENNESSEE 7540 ASCE 【遮蔽物】 かなり不明瞭
(O) H-WENDEL ? 1924 75 LBS ???? TB     ← 不明瞭。最後の←の有無は自信無し
(O) 37AS<角Sマーク>1955・II 2番線(上り)。不明瞭
(O),(U) 37AS<角Sマーク>1954・IIIIIII   OH 追浜では1番線(下り)
(O) 37AS<角Sマーク>1954・IIII   OH 2番線(上り)
(U) 37  (丸Sマーク)  1951  IIIII  OH
(O) 37 (丸Sマーク) 1935  IIII  OH 2番線(上り)
(W) (丸Sマーク)   ??   A   19??  IIIIIIIIIIII
(W) (丸Sマーク)   ?7   A   1929  IIIIIIIIIII 11月製,他に9月製
(W) (丸Sマーク)   37   A   1929  II 37Aと読める。他に3月,4月製
(O),(U) (丸Sマーク)   75   A   1928   IIIIIIIIIII 追浜では1番線(下り)
(W) (丸Sマーク)   75   A   1928  IIIIIIIIII 10月製。他に9月製

【凡例: (O) 本線追浜 (U) 本線浦賀 (W) 大師線川崎大師】 

写真:W形ホーム上屋@追浜駅
追浜駅:古レール利用のホーム上屋

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