6.1.3  古レールの刻印を解読する(欧州諸国製)

first wrote in 1999.10.09 / Last Edited in 2006.08.08

 古レールのメーカーごとの解説です。ここでは、ヨーロッパ製(除:英国製ドイツ製)のレールを集めてみました。メーカー名の読みとその国名(および生産地名)については、『レールの趣味的研究序説』,『レールの旅路』や各製鉄会社のウェブサイトなどを参考にしました。なおカタカナ表記に関しては、筆者の好みで一部修正した読み方があります。

 かつてのレールメーカーの多くは、ルクセンブルクでは ARBED 社に、ベルギーでは Cockerill-Sambre 社に、フランスでは Usinor Sacilor 社(参考:Wendel)に統合されました。このうち、ARBED,Cockerill-Sambre,Usinor Sacilor は、さらに大合併して、Arcelor Group となっています。

 以下の順番は、国別に製造元名のABC順としています。
 

ルクセンブルク : | ARBED | TREB |
ベルギー : | COCKERILL | OUGREE | PROVIDENCE | S&M |
フランス : | MICHEVILLE | WENDEL |
ポーランド : | KROLHUTA |
ロシア : | A.IO.P.3.B.O. | HOB POC | K.3. | P.B.M.O. | IO.P.D.M.O. |
| その他のロシア製レール |
 

アルベルト(ARBED DUDELANGE)

(土橋) ARBEDDUDELANGE 1927
(羽間),(畑田),(円座) ARBED DUDELANGE   1926
会社名: Acieries Reunies de Burbach-Eich-Dudelange S.A.
所在国: ルクセンブルク
所在地: Dudelange(ルクセンブルク南端の都市名)
略沿革:
  • 2001年2月19日にスペインの Aceralia, フランスの Usinor(参考:Wendel)などと合併し、Arcelor(アルセロール)Group となる。
  • 1937年に "Metallugique des Terres Rouges (TREB)" を買収。
  • 1911年に ARBED として設立、近年まで ARBED Group を称する。
  • 母体は1882年設立。1886年より鉄鋼生産。
  •  ルクセンブルクの鉄鋼メーカーのアルベルト (Acieries Reunies de Burbach - Eich - Dudelange S.A.) 製のレールかと思われます。
     古レールの刻印で BURBACH(ドイツ,ザールブリュッケン)というメーカーが見られる(筆者は未確認)のですが、『レールの趣味的研究序説〔中〕』では、この ARBED に関連するメーカーではないかと推測しています。
     高松琴平電鉄で好んで用いられていたようで、よく見かけるようです。
     Arcelor Group のウェブサイトにあった社史のページに沿革に関する詳しい情報がありましたが、現在は書換えにより大半の内容が消滅してしまいました。

    ARBEDDUDELANGE 1927
    名鉄三河線 土橋駅

    ブリヤンスク社アレキサンドロフスク南ロシア工場

    (А. Ю. РОСИЙСКО ЗАВОД Б. ОБЩЕСТВО)

    (豊橋) АЮРЗБО1904?V   К. В. Ж. Д.
    会社名: А. Ю. РОСИЙСКО ЗАВОД Б. ОБЩЕСТВО
    ブリヤンスク (? Bryansk) 社アレキサンドロフスク南ロシア工場
    所在国: ロシア(ロシア共和国 ?)
    所在地: ?
    略沿革: ?

     ロシアのブリヤンスク社アレキサンドロフスク南ロシア工場製。多数のロシア製レール製造者のうち、これだけが『レールの趣味的研究序説〔補遺〕』の段階で判明していたようです。
     豊橋駅のホーム上屋で見つけることが出来ました。

    АЮРЗБО1904?V燿 К.В.Ж.Д.
    名鉄名古屋本線 豊橋駅(10度回転)

    コッケリル(COCKERILL)

    (宇部新川),(金光),(京都),(彦根),と↓ COCKERILL-XII-1923-60LBS-ASCE-IJGR
    (近江長岡),(上総一宮),(国立),(武蔵小金井)
    (武州原谷) COCKERILL   VII   1903   C.N.R   60
    会社名: ジョージ・コッケリル製鉄所
    所在国: ベルギー
    所在地: セラーン,リエージュ (Liege) 郊外
    略沿革:
  • 2001年2月19日の鉄鋼会社合併により、Arcelor(アルセロール)Group に。
  • 1999年2月1日に Usinor による買収完了 ?
  • 1998年より、フランスの Usinor(参考:Wendel)により株の買収が始まる。
  • "Cockerill Sambre" 社に改称(時期不明)。ベルギー西部の Charleroi(シャルルロア)を本部とする ?
  • 合併により、"COCKERILL-OUGREE-PROVIDENCE" 社を形成。
  •  秩父鉄道武州原谷のレールは、末尾が不明瞭でしたが断面規格を示していると思われます。発注者名の C.N.R も正体不明です。CANADA か CHINA あたりでしょうか?。N.Rを National Railways と予想するのは安直すぎるかも....。

    COCKERILL-XII-1923-60LBS-ASCE-IJGR
    宇部線 宇部新川駅

    新ロシア工業 (?)  (? НОВО-РОСИЙСКО ОБЩЕСТВО)

     
    (土橋),(知立),(豊橋) 62  НОВ   РОС   ОВЩ   V.  904  К. В. Ж. Д.
    会社名: ? НОВО-РОСИЙСКО ОБЩЕСТВО(? 新ロシア工業)
    所在国: ロシア ?
    所在地: ?
    略沿革: ?

     ロシア製レールかと思われます。この刻印のレールのメーカーについて明記した文献は未発見ですが、『鉄道シーン 500』にある「新ロシア工業*1) に相当するのではないかと思われます(本ページの考察の「ロシア製レールについての検証」に HOB POCの推定の過程があります)。
     なお、『名鉄金山橋駅にあったロシヤ製レールについて』の最後の注に、『鉄道シーン 500』の新ロシア工業は、「ノヴォロシースク工業(または社)とすることが妥当である」(鍵括弧省略)というコメントがあります。ノヴォロシースクという地名は、ロシア共和国、黒海北岸の都市名のようです。

     メーカー名の頭文字は、英語の「H」に似てるので、アルファベット順でこの位置としましたが、ロシア語の「Н」は、英語の「N」に相当するもののようです。

    62НОВ燿РОС燿ОВЩ燿V. 904燿К.В.Ж.Д.
    名鉄三河線 土橋駅

    クロレウスカ・フータ(Krolewska Huta)

    (桜川) KROLHUTA 1927 M TT
    (江古田),(椎名町),(豊島園) KROLHUTA 1927 M -I
    (ひばりヶ丘),(江古田) KROLHUTA 1926 M[□マーク (12月)]
    (膳所),(富山2),(椎名町) KROLHUTA 1926 M[□マーク(11月)]
    (豊島園),(西太子堂) KROLHUTA 1926 M[□マーク (9月 ?)]
    (保谷) KROLHUTA 1?3? M
    (富山5) KROLHUTA 1927 M ?
    (石神井公園) KROLHUTA 192? ? ?
    会社名: Krolewska Huta(クロレウスカ製鉄所)
    所在国: ポーランド
    所在地: Chorzow, Schlesien(シュレジア州ホズフ,チェコとスロバキアとの国境近くの Katowice (カトヴィツェ) 近郊の町)
    略沿革:
  • 現在は、"Krolewska Steelworks Ltd."
  • (ポーランドは1989年に民主化)
  • (1918年11月ポーランド共和国設立)
  • 1802年に王立製鉄所として設立
  •  ポーランドのクロレウスカ・フータ製。クロレ(Klol)は王(King)を示し、フータ(Huta)はドイツ語の製鉄所(HUTTE,Uはウムラウト)に近い意味で、全体で「王立製鉄所」を意味するようです。M製鋼法のマルチン法(=?平炉法)の意味のようです。
     ポーランド共和国が社会主義国家を目指して独立したのは1918年11月ですが、王立製鉄所の名称は存続されたようです。日本では1926年製,1927年製が見られ、1927年製は日本における輸入レール時代の終尾となっています。これらのレールの生産は社会主義経済体制下での生産となります。

     ここのレールは、製造月を正四角形やその一部から生やしたヒゲの数で表わされるようですe辺に3本づつで、最終的に4辺合わせて12月となります。
     製造年と製造月をチェックする限りでは、1926年11月〜1927年2月(?)のわずか4ヶ月に製造されたものしか見当たりません。期間限定輸入だったのでしょうか?。
     以下に製造月の表示例を示します。
     

      ||   
    −l‾‾‾l−
    −l   l−
    −l___l−
      |||  
      |||  
    −l‾‾‾l−
    −l   l−
    −l___l−
     ||| 

      | 
      | 
     −| 
     

     

     ___ 
     || 

    [11月] [12月] [1月] [2月]

     インターネットの検索エンジンでいろいろと調べてみましたが、現在 "Krolewska Steelworks Ltd." という会社が実在するらしいことと、製鉄所に触れた断片的な情報がいくつかのウェブサイトで見つかったに留まりました。

    KROLHUTA 1926 M[四角マーク]
    北陸本線 富山駅  (90度回転,同一レールを合成)

    ヴェロセェリスキー公カタフ・イワノフスク工場

    (К.З. КН.ВЬЛОСЕЛЬСКАГО.)

    (知立) К.З. КН.ВЬЛОСЕЛЬСКАГО. XII МЦА 1895 ГОДА
    会社名: К.З. КН.ВЬЛОСЕЛЬСКАГО.
    (ヴェロセェリスキー公カタフ・イワノフスク工場)
    所在国: ロシア
    所在地: ?
    略沿革: ?

     『名鉄金山橋駅にあったロシヤ製レールについて』での推定によると、ロシアのヴェロセェリスキー公カタフ・イワノフスク工場とのこと(本ページの考察の「ロシア製レールについての検証」にK.3. ...の概要あり)。

     このメーカーのレールの刻印は、馴染みの少ないロシア語である上に、縦長の字体の文字を細かく並べていあるので、非常に難解な印象を持ちます。

    КЗ. КН.ВЬЛОСЕЛЬСКАГО. X M
    名鉄名古屋本線 知立駅(180度回転)

    ミッシュビル(MICHEVILLE)

    (新所原) MICHEVILLE XII 1925 TB A【以下切断】
    (大垣),(菊川) MICHEVILLE VIII 1925 TB ASCE 60lbs 工
    (近江長岡),(盛岡) MICHEVILL-VII-1925-TB-ASCE 60lbs
    (膳所) 【不明瞭】CHEVILLE V 1925 TB【不明瞭】
    (熱田) MICH?????? ? 1925 TB ASCE 60??? 工
    会社名: MICHEVILLE(ミッシュビル社)
    所在国: フランス
    所在地: Micheville(ルクセンブルクとの国境近くの Villerupt 近郊)
    略沿革:
  • 1986年廃業?
  • "Sidelor-Micheville" という製鉄会社(参考:Wendel)が過去に存在。
  •  刻印の項目は、同じフランスの WENDEL 製に似ている気がします。今のところ、東海道本線沿線を中心にしか見つかっていないようです。
     不明な事項が多かったことから、インターネットの検索エンジンでいろいろと調べてみましたが、断片的な情報がいくつかのウェブサイトで見つかったに留まりました。それによると、"Sidelor-Micheville" という製鉄会社が過去に存在したことがわかっており、"Wendel-Sidelor" 社と関係のあった会社であったようです。

    MICHEVILLE XII 1925 TB A【切断】
    東海道本線 新所原駅  (45度回転)

    ウグレー(OUGREE)

    (彦根),(枇わ島),(用宗) OUGREE 60 lbs.A.S.C.E  I.J.G.R  ::::. 1923
    (調布) OUGREE VI 1922
    (高宮-彦根口) OUGREE  V  1910 みぞレール
    3月製もあり
    会社名: OUGREE(ウグレー社)
    所在国: ベルギー
    所在地: OUGREE(リエージュ (Liege) 郊外)
    略沿革:
  • "Cockerill Sambre" 社に改称(時期不明)。
  • "合併により、COCKERILL-OUGREE-PROVIDENCE" 社を形成。
  •  ここのレールには、用宗駅のもののように、製造月を点の数で表示する例があるようです。点は最初1列で後に2列となるそうですが、用宗の例(2列での表示=8月分)を見る限り、1列が2列になる月は何月なのでしょう。字体は CARNEGIE(初期中期) のように四角いので、潰れると読み難そうです。
     みぞレールの場合、刻印はフランジ(溝)側に入っていたと記憶しています。

    OUGREE 60 lbs.A.S.C.E.  I.J.G.R  ::::. 1923
    東海道本線 用宗駅(90度回転)

    ロシア・ベルギー金属工業製

    (РОСИЙСКО-БЕЛЬГИЙСКОЕ

    МЕТАЛЛУРИЧЕСКОЕ ОБЩЕСТВО)

    (土橋) 【不明瞭】Р.Б.М.О.  VIII. 1904.   СТАЛЬ.  Κ. В. Ж. Д
    会社名: РОСИЙСКО-БЕЛЬГИЙСКОЕ 
    МЕТАЛЛУРИЧЕСКОЕ ОБЩЕСТВО
    (ロシア・ベルギー金属工業)
    所在国: ロシア
    所在地: ?
    略沿革: ?

     『名鉄金山橋駅にあったロシヤ製レールについて*) での解読によると、ロシアのロシア・ベルギー金属工業(和訳については、『鉄道シーン 500』の173番 *) )製のレールで、東清鉄道の発注品ではないかとしています・本ページの考察の「ロシア製レールについての検証」に P.B.M.O の概要あり) 。

    P.Б.M.O. VIII. 1904. CTAЛb. K.B.Ж.Д.
    名鉄三河線 土橋駅

    プロビデンス(PROVIDENCE)

    刻 印 の 例 同形月違い
    (田村),
    (山梨市)
    ←[IGR-M--PROVIDENCE ASCE 75LBs-TB-XII-1924  
    (飯田) ←[ I G R M △ PROV???N?? ASCE 75L?? TB XII 1923  
    (日暮里) ←[ ? I G R-M-△-PROVIDENCE-ASCE-75lbs-TB-XII-192? (菊川),(辻堂)
    (木之本) ←[ ? I G R M △ PR?VI????? 7???? ???? ?? XII ?92?  
    (松本)        【切断】40 A S C E X 1925  
    (江古田) R △ .9.1925.60LBS A.S.C.E 6040
    (大泉学園)
    (江古田)
    R △ 60 LBS 6040 A S C E VIII 1925  
    (米原) 工 I G R R △ P[穴]IDENCE 60LBS ASCE TB VII 1925 (山家),(金光),
    (石神井公園)
    (石和温泉) R △ PROVIDENCE T B 60 LBS IX 1924 工 ←
    (下館) ? ? ? R R PR?VIDE???  ?? △ 60LBS A S C E TB  1923 ←  
    (金光) R △ 60LBS A.S.C.E. I.J.G.R.X 1923  
    (金光) R △ X 1923 60LBS ASCE IJGR  
    会社名: PROVIDENCE(プロビデンス社)
    所在国: ベルギー
    所在地: Marchienne-au-Pont(マルシェンヌ・オウ・ポン)工場
    − Charleroi, Belgium(ベルギーのシャルルロア,ブリュッセル南方)
    Rehon(レオン)工場 − Longwy, France
    (フランスのロンウィー,ベルギーとルクセンブルクとの国境近く)
    略沿革:
  • "Cockerill Sambre" 社に改称(時期不明)。
  • 合併により、"COCKERILL-OUGREE-PROVIDENCE" 社を形成。
  •  『レールの趣味的研究序説』によると、工場の別がマルシェンヌ・オウ・ポン工場は M,レオン工場は R で表現されるとのことです。現在見つけている限りでは、M工場は75ポンド ASCE、R工場は60ポンド ASCE レールに限定されているようです。
     「△」とした部分は三角形の中に横長の楕円が入ったマークとなっています。

     アメリカ合衆国のU.S.スチールに倣って、コードナンバーが標記されているものも見られます。
     石神井公園では、三角楕円マークの周囲に、刺のようなものが付いているように見えなくもないものもありました。

    工 IG R R △ PROVIDENCE 60LBS A.S.C.E T B VII 1925 ←
    東海道本線 米原駅(90度回転)

    サンプル・モーゼル(Sambre(?) & M.)

    (ひばりヶ丘),(石神井公園),(江古田),(調布) S&M-60-ASCE-1925
    会社名: (サンプルモビール社)
    所在国: ベルギー
    所在地: シャルロック
    略沿革: ?

     「レールの趣味的研究序説〔中〕」によれば、「西武鉄道の他は比較的見かけることが少ない」とありますが、京王からも発見できました。
     ベルギーの石炭−鉄山−製鉄地帯を流下する川に Sambre (サンプル,"Cockerill - Sambre" の Sambre ?) 川と名乗るものがあり、"S" は、この略号かもしれません。しかし、"M" の略号に対する正確なスペルが不明なことから、関連情報が記載されたインターネットのウェブページにたどり着くことができず、情報の得られないレール・メーカーとなっています。

    西武池袋線 石神井公園駅(90度回転)

    テレス・ルージュ (Metallugique des Terres Rouges, Belval works, Escher)

    (椎名町) ← 60LBS  ASCE →  TREB  I  26
    (東中野) TS 工 100    PS  COLUMETA  TREB  XII  1925 →
    会社名: ? Metallugique des Terres Rouges(テレス・ルージュ鉄鋼社)
    所在国: ルクセンブルク
    所在地: Escher(都市名と思われる)
    略沿革:
  • 1937年に ARBED により買収
  •  COLUMETA が製造会社と解されがちですが、Arcelor Group のウェブサイトにあった社史のページ (現在は書換えにより内容消滅) によると、これは1920年に設立されたルクセンブルクの鉄鋼販売会社(販売公社 ?,? COmptoir METAllurgique LUxembourgeiois)の名称だったようで、ARBED の製品なども扱っていたようです。
     ルクセンブルクに、"Metallugique des Terres Rouges" という鉄鋼会社があったようで、TREB は、その略称ではないかと考えられます(『レールの趣味的研究序説〔補遺〕』では TREB を "Terres Rouges Belval Works, Eschsur" の略と解説)。

    ← 60LBS ASCE → TREB  I  26
    西武池袋線 椎名町駅(90度回転) ↓中央東線 東中野駅(90度回転)
    TS 工 100     PS COLUMETA  TREB  XII  1925  →

    ウェンデル(WENDEL)

    刻 印 の 例 同形月違い
    (富士),(吉原) 70-H-WENDEL-VI-27-TS-33 >>→  
    (沼津) H-WENDEL VII 1926 75LBS ASCE TB  
    (中央西線某),(長野),
    (山梨市),(十文字)
    H-WENDEL IX 1925 75LBS ASCE TB  (新所原),
    (伊那北),(飯田), H-WENDEL-VIII-1924 75-LBS-ASCE-TB   工← (伊賀上野), と↓
    (西小坂井) (飯田),(菊川),(直江津),(追浜)
    (高塚) H-WENDEL VIII 19?? ????? ???? TB   工 ?  
    (西所沢), と↓ H-W-60LBS-ASCE-XI-1925  
    (ひばりヶ丘),(大泉学園),(石神井公園),(江古田),(椎名町),(豊島園)  
    (ひばりヶ丘) HW-19??-60 LBS-ASCE  
    (江古田) H-W ENDEL 60 LBS-ASCE XI 1925  
    (ひばりヶ丘), と↓ H-W ENDEL-X 1924 60 LBS-ASCE T-B ←  
    (大泉学園),(石神井公園)
    (吉原) H W???【不明瞭】60 LBS ASCE TB  
    (金光) H-WENDEL VIII 24 60LBS ASCE TB IJGR  
    (野州),(近江八幡) H-WENDEL-VII 24-60-LBS-ASCE-TB-I-JGR  
    (小倉)
    H-WENDEL-VI-24 (裏面) ASCE-6040-TB
     
    会社名: Wendel et Cie.(="Wendel & Co.",ウェンデル社)
    所在国: フランス
    所在地: ?
    略沿革:
  • 2001年2月19日にスペインの Aceralia, ルクセンブルクの ARBED などと合併し、Arcelor(アルセロール)Group となる。
  • 1997年に社名を "Usinor"(ユジノール)に改称。1995年に民営化。
  • 1986年?、国営製鉄所の "Usinor" と合併し、"Usinor Sacilor" 社となる。
  • 1973年7月1日に社名を "Sacilor"(サシロール)に改称。
  • 1968年の鉄鋼会社3社の合併により、"Wendel-Sidelor"(ウェンデル・シデロール)社となる。
  • 18世紀、"Wendel et Cie" 設立。
  •  75ポンドと60ポンドでは、同時期のレールでも刻印の並びが違うものがあります。また小倉駅で見られたように、表面と裏面に同程度の長さの文字列が刻印されているものもあり、バリエーションがいろいろあるようです。なお、刻印の各情報間は "-" で繋ぐのか、このメーカーのやり方のようです。これらの"-"は、、"・"(なかぐろ)か、"-"(ハイフォン)か微妙な短さです。しかしながら、大学で卒論を書いた時、"・"は日本固有の表現なので使うなと聞いていたので、"-" が正しいように思います。 
     官鉄発注のものは、60ポンドもあるようですが数は少なく、75ポンドが主体のようで、時々見つかります。60ポンドは民鉄線で良く利用されていたようで、例えば首都圏では西武鉄道沿線に多いレールです。
     吉原駅のものは、『レールの趣味的研究序説〔再補・下〕』によれば、御殿場線谷峨−駿河間,足柄−御殿場間での鉄まくらぎの試験の際に使用された1927年製レールで、単位重量46kgのレールだそうです。

     Wendel-Sidelor 社の沿革に関するやや詳しい情報は、USINOR 社のウェブサイトほか、フランス語になりますが、Robert PIERON 氏のウェブサイトで得られました。

    H-WENDEL-X 1924 60 LBS-ASCE TB ←
    ↑西武池袋線 石神井公園駅(90度回転) 東海道本線 富士駅(90度回転)↓
    70-H-WENDEL-VI-27-TS-33 >>→

    南ロシア・ドニエプル金属工業 (?) 

    (? Ю. РОСИЙСКО Д.

    МЕТАЛЛуРИЧЕСКОЕ ОБЩЕСТВО)

    (知立),(豊橋) <六角29マーク> Ю.Р.Д.М.О. V. 1904. К.В.Ж.Д.
    会社名: ? Ю. РОСИЙСКО Д. МЕТАЛЛуРИЧЕСКОЕ
    ОБЩЕСТВО(? 南ロシア・ドニエプル金属工業)
    所在国: ロシア(? ウクライナ共和国)
    所在地: ?
    略沿革: ?

     ロシア製レールかと思われます。この刻印のレールのメーカーについて明記した文献は未発見ですが、『鉄道シーン 500』にある「南ロシア・ドニエプル金属工業」に相当するのではないかと思われます(本ページの考察の「ロシア製レールについての検証」に IO.P.D.M.O.の推定の過程があります)。なおドニエプルは、ベラルーシ(白ロシア)に源を発し、主としてウクライナ共和国内を流下し、黒海に注ぐドニエブル(Dnepr)川に起源があるかと思われます。
     刻印の最初に29を六角形で囲った記号がありますが、これの意味は不明です。断面規格などの可能性が高いのではないかと思います。

    <六角29マーク> Ю.P.Д.М.О.V.1904.К.В.Ж.Д.
    名鉄名古屋本線 豊橋駅(170度回転)

    その他のロシア製レール

    (知立) О.П.З.91.VII.Ус.Ж.Д.
    会社名: (不明のもの)
    所在国: ロシア
    所在地: ?
    略沿革: ?

     今のところ正体不明であるロシア製レールについて、ここで一括します。日本で見られるロシア製レールは、1904年以前製造ですので、ソ連誕生の元となった1917年の十月革命以前であり、帝政ロシア時代のレールとなります。

     「О.П.З. ....」については、刻印が不明瞭で判然としない部分もあるのですが、「短かく切られているので標記の全部が読めないので残念であるが、名鉄知立駅に1本だけウスリー鉄道(Ус.Ж.Д.)の1891年7月製のものがあり」と『レールの趣味的研究序説〔補遺〕』に記されているものの様です。例によって、3文字目の「З」については、「ЗАВОД」(工場)ではないかと思われますが、頭の2文字はよく解りません。

    ?.П.З.91.VII.Ус.Ж.Д.
    名鉄名古屋本線 知立駅

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