作者(嘉田 勝)がボイジー滞在中の1997年11月に、姉と母がボイジーに訪ねてきました。 そのときの印象記を、姉に書いてもらいました。
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Boise on the Web アイダホ州ボイジー地域情報 |
作者(嘉田 勝)がボイジー滞在中の1997年11月に、姉と母がボイジーに訪ねてきました。 そのときの印象記を、姉に書いてもらいました。
タクシーでサンフランシスコ国際空港に向かう途中、フリーウェイの両側に低くたなびく真っ白な霧を見た。
そうか、これなんだ、やっぱりサンフランシスコは霧の街なんだね。
ということは、昨日はほんとうに珍しくいいお天気だったんだと思う。
サンフランシスコへ到着して、予想外の暖かさと時差ぼけでフラフラしながらお決まりの市内観光で訪れたツインピークスからは、雲ひとつない青空とゴールデンゲートブリッジ、アルカトラズ島までくっきりパノラマで、ガイドさんは「こんなにいいお天気は一年のうち数日しかないですよ」みたいなことを言っていた。
タクシーはびゅんびゅん飛ばして、あっという間に空港についた。
とにかく大きな空港で(まあアメリカではふつうなのかもしれないけれど)国内線のフロアなんてずらーっとユナイテッドばっかり。
サンフランシスコはユナイテッドのハブ空港なのですね。
さて、アイダホ行きはどこかしら?
ときょろきょろしていたら、ちゃんと案内係のおじさんが教えてくれて、無事チェックイン完了。
すごく緊張して早目に出てきたから、搭乗まであと小一時間もある。
空港のCafeで朝食をとることにした。とはいっても、私はどうも風邪気味で朝飲んだ頭痛薬がやっとききはじめたものの、とても食欲はない。
母は元気で、マフィンを注文した。
国内線にのる人々は、みんなすごく普通、というか日本の空港ではちょっと考えられないくらい、ラフな格好だし、機内にテイクアウトのコーヒーだのドーナツだのをがんがん持ち込んでいる。アメリカの食事の量のすさまじさは、すでに有名だけど、それ以上に、しょっちゅう何か食べてる人が多い気がするなあ。
さて、2時間の空の旅。時差があるので、ゆき(サンフランシスコ→ボイジー)は3時間かかる。左右3席ずつの小型ジェット機の窓から景色を眺める。
離陸してすぐに、サンフランシスコ上空を旋回して、ベイブリッジや摩天楼がよく見えたけれど、内陸に向かってしばらく飛ぶと茶色い、"ただ一面の荒野"という景色になってくる。
季節的にもちょうど草木が枯れてるからなんだろうけど、山も平野も同じトーンの褐色で、大地を川が流れて浸食し、地形が作られる…というのがとても良く分かる。模型みたい。
山というのはこういうもの、と思って暮らしているアメリカ人が、日本の、木々が生い茂った緑あふれる山を見たら、やっぱりBEAUTIFUL!なのかもしれないね。
機内サービスのコーヒーとフルーツケーキを食べおわり、ほっとするともうそろそろ到着。
窓から、山すそにちょこっとかたまってある、ボイジーの街が見えてきた。
うん、たしかに小さな街だけど、何だか真ん中あたりにはけっこう高いビルもあるじゃないですか。
空港もこぢんまりとしている分、すみずみまで行き届いてるかんじで、あかるく清潔。
当たり前といえば当たり前なんだけど周りにアジア系のひとは、誰もいません。
迎えに来てくれた勝の顔を見て、とりあえずひと安心。
空港から、バスに乗って市街地へ。
こちらも小春日和のいいお天気、というかこの季節にしては異常に暖かいらしい。
空港付近の住宅は庭付きでゆったりとした様子。
つい先日のハロウィンの飾りが、あちこちに残っている。
「かぼちゃのランタン」みたいな本格的なものもあるし、かぼちゃやお化けの顔がプリントされてるビニール袋に落ち葉を詰め込んで作った「お手軽版」とか、いろいろ。
あんまり人を見掛けないけど、子供たちはちょうど学校に行っている時間帯ですね。
街に近づいてくると、さすがに人通りや車も増えてにぎやか。
街の中央部にあるバス停で乗り換えて、まずは勝のアパートへゆく。
ちょうど街路樹が紅葉していて、ごく普通の町並みがとても美しい。
紅葉、といっても大きなポプラみたいな種類の木が多いので、金黄葉だね…
木の根もとの緑の芝生の上に落ち葉がたまっているのコントラストがきれい〜きれい〜と写真をとりまくりつつ、アパートに到着!
玄関ドアを開けるといきなりカーペットの部屋が始まってて、どこで靴を脱ぐのかしら?
あ、アメリカ人は靴はいたままか…
通路に面してドアと大きな窓がひとつあるだけの、穴蔵スタイルのワンルームで、夏は暑そう〜 と思ったけれど、アイダホは夏でも(特に朝夕は)日本のように蒸し暑いなんてことはないらいしい。
日本からはるばる持ってきたお土産を取り出して、休憩。
おや! 窓の外に「りす」が走っている!
「りす」といって普通思い浮かべるペット用の「しまりす」よりもっと大きくて(子猫くらい?)しっぽもふさふさで、めっちゃかわいい〜 と、また写真をとりまくる。
ポップコーンを投げてやると結構近くまでよってくるあたり、まあ、野生といっても日本のハトみたいなかんじでしょうか?
一息ついたところで、大学へ行ってみようということになる。
学校までは、勝が普段は自転車で通っているルートを歩いてゆくことにした。
河川公園ぞいの遊歩道で、これがまた何ともいえず、のどかで美しい。
広々しているのと、川の水がきれいなのと、人が少ないのと、あとは、看板が英語だったり、ジョギングしてたりする人々がすべてアメリカ人…
というところが、もう、ただの散歩をこえたカンドーを呼ぶ。(大袈裟)
公園の木々にもりすがたくさんいて、冬に備えて忙しそうにえさを集めている。
この公園は、川に沿って何マイルか細長く続いていて、サイクリングやジョギングはもちろん
バーベキューコンロとテーブル&ベンチ等もあって、無料で利用できるらしい。
日本の狭苦しいキャンプサイトに高いお金を払って出かけるのが、果てしなくむなしいぞ。
公園の中をてくてく歩いて(結構疲れた)、大学に到着。
今日は平日なので、学生さんがいます。
そういえば、ボイジーの街には学生さんが多い、というか、学生さんにやさしい街なんじゃないかという気がする。
大学もこれまた広い〜! けれどまとまりがあって、立派。
まずは、勝のオフィスをたずねることにする。
校舎の中は、まあいわゆる「学校」っていうふうですね。
それでも「学校」というのがもう何年ぶり? なのでなんか懐かしい。
それから勝がお世話になっているTomek先生にあわせてもらう。
HPの写真で見た印象ではちょっと学者ふうで神経質そうかな? と思っていたけど、実物はわりと大柄でずいぶんやさしそうな方です。
長い髪を後ろに括ってて、なんか若くてかっこいいぞ。
会話は聞く方はともかく話す方はぜんぜんだめで、ほとんど勝に通訳してもらう。
とはいっても、しょせん勝なので(→もともと口数の多い方ではない)
4人で、ただにこにこしている時間が長かったような… うう、なさけない。
とりあえず記念写真を撮って、学生食堂「テーブルロックカフェ」へランチを食べに行く。
食堂は学生棟(Student Union)の2階にあって、カフェテリア方式。
5ドルでとり放題。
で、トレイをもって中へ進むと、だいたい真ん中にサラダバー、左はサンドイッチ、右がアントレーという具合になっているようだ。
今はランチタイムをかなりすぎた時間なのでアントレコーナーにはもうお料理は並んでいないし、テーブル席もほとんどがらがら。
とかくアメリカの食事は量が多いけれど、カフェテリア方式なら自分で食べれらる分だけ自由に選べるから安心だし、英語しゃべらなくてもOKとおもいきや、サンドイッチコーナーでは、いわゆる「サブウェイ」みたいに、パンの種類やら具、調味料をいちいち聞かれて、どぎまぎする。
しかも、これまたすごいボリューム。ローストビーフサンドのビーフが山盛り…
これを見て、またも母と私は、はんぶんこ攻撃に切り替える。
さすがにボイジーは野菜や果物が豊富で、サラダバーが充実しているのがうれしい。
るんるん。レタス、トマト、ポテトサラダ、それとブロッコリ…、ん? なんと、このブロッコリは「生」である。生でも食べられるんだねえ。
おっと、なんかたまご料理を持ってる学生さんがいるけれど、また英語で注文するのかと思うとくじけて、クリームシチューみたいなスープをとることにする。
おお! フルーツやジュースの種類も豊富だし、"超"甘そうなデザートや、アイスクリームとソフトクリーム(自分でまきまきする)まであるぞ。
…と、カウンターのところでさんざん楽しんだ後、やっとお食事。
窓際の席からは、雲一つない青空と、大学のスタジアムが見える。
さて、午後はお土産を探しに行こう。
まずは、大学構内の書店へ。
私はマウスパッドがほしかったので、パソコンサプライ用品コーナーへ行く。
アメリカ風マスコットキャラクターかなんかの派手なのを期待していたのだけれど、ロゴいりのちょっと地味目のやつしかなかったので、かわりにバースデーカード売り場などをのぞく。
書店のとなりには、大学のフットボールチーム「Broncos」のキャラクターショップがあって、トレーナーとかタオル、ぬいぐるみなんかがある。
ここで私は帽子を買い、母はロゴいりセーターを着たテディベアを買った。
大学の構内にも大きな木があちこちにあって、やっぱり、りすが走り回っている。
こういう様子にも、ちょっと慣れてきたぞ。
そろそろ大学を後にして市内中心部にある公園へいってみよう。
大学から橋を渡って市内へ向かう途中に「ジュリア・デーヴィス公園」がある。
本当に天気のよい秋の昼下がり、人影はまばらで、静かに木々は紅葉し、その根元でりすが忙しそうに走り回っている。あんまり気持ちがいいので、木製のおおきなテーブル&ベンチの一つに腰掛けてみる。
母はここでいきなり、昼寝を始めてしまった。どこでもいねむりできる人なのですね。
時差ぼけも長い飛行機の旅もものともせず、元気な母もさすがに疲れたのか?
しかし、こういうのどかな時間というのはツアーで回る海外旅行なんかじゃ味わえない贅沢だと思ったりする。
ほんの10分ほどの仮眠で母は120%元気を回復し、市内唯一(?)のお土産物屋さん「Taters」へ。ここのPOTATOのマスコットキャラクターは上出来! なかなかカワイイ。
Tシャツやマグカップなどのキャラクター商品が並ぶ一方、麻袋にきれいにラッピングされたジャガイモもちゃんとお土産用に売られている。
お店の人も親切に対応してくれて、あれこれ選びながら楽しいひとときを過ごした。
いったん勝のアパートへ戻って休んで、7時ころから夕食を取るため、また市内へと向かう。
緯度が高い(ほとんど北海道とおなじ)ので、この季節、日は短い。すこし肌寒くなってきた。
今日の夕食はアイダホ名物ポテト料理か! と思いきや、勝のリクエストで日本食に決定。
なんでも平素は自炊生活で、わざわざレストランへ出かけるのも面倒… ということで、実際、彼にしてみれば久しぶりに和食にありつくチャンスだったらしい。
それに、ここは観光地ってわけじゃないから、「名物! ポテト料理の店」みたいなのは特にないそうだ。
みんなポテトは普段家庭でいやというほど食べてるから、そんな店をやっても誰も来ないのかも。
アメリカの、しかもこんな内地の日本食レストランってちょっとおもしろそうかなと期待して出かける。
日本食レストラン「しげ」は、思ったより賑わっていた。
日本食って人気あるのかな?
寿司のカウンターの板前さんと、ウェイトレスさんはお祭りのはっぴ姿で、BGMは北島三郎である。
私たちは和食の王道「すき焼き」「天ぷら」「握り寿司」をそれぞれ注文した。
ほどなく真っ先に運ばれてきたのが、味噌汁。なるほど、スープだからコース料理の最初に出てくるのか。
そして、メインのお料理とともに、お椀盛りの白ごはんが3人分出てきた。
むむむ? 握り寿司にもごはんがつくの?
すき焼きのお肉が薄切りでなかったり、ズッキーニの天ぷらがあったり、ところどころミョーだったけれど、お味の方はなかなかおいしかったです。
満腹のおなかをかかえて、ぶらぶらとアパートへ戻る。もうあたりはすっかり夜で、月がさえざえと光っている。もう吐く息がうっすら白く見えるくらい冷えてきた。
街の真ん中にあるキャピトールがライトアップされていて美しい。
「アイダホポテトが食べたいよう」という私の希望が聞き入れられて、明日の朝食は、勝が特製"ポテトのチーズ焼き"を作ってくれることになった。
楽しみ、楽しみ。
帰りに少し回り道をして24時間営業のスーパーマーケット「アルバートソンズ」へ買い出しにゆく。
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いわゆるアメリカの巨大スーパーマーケットで、駐車場を含めてかなりの広さ。もちろん、平屋建て。
店内の陳列棚も体格にあわせてずいぶん高いところまで品物が並べられていて、壮観である。
まあハワイとかどこでも同じなんだろうけど、どの商品も売っている単位がすごく多い。勝みたいに一人で暮らしていると、やっぱり困るらしい。
パンやお菓子、ドーナツなんかも最低1ダースくらいは袋詰めになっていて、なんともすごい迫力。
ジュースや牛乳なんて、灯油かんの半分くらいのでっかいボトルで売っている。
農作物はどれも安いようだ。明日の料理のため、なるべく小さめのパックの挽肉とポテトをえらぶ。
さすがアイダホのポテトは、ものすごく大きい! まさにKING OF POTATOES!
日本の2、3倍… 給食のコッペパンくらいの大きさで、これがまた手提げの紙袋にいっぱい幾ら、で売られている。
私と母は、このスーパーでお土産用に乾燥豆とか謎のインスタントラーメンとかを買い、はるばる日本まで持ち帰ったのであった。
朝になると、外はますます冷え込んでいて吐く息が白い。周りを海に囲まれてゆるやかに季節が移り変わる日本に比べて、大陸の季節は突然変わるんだろうか。
青空が高くて、秋の深まりが感じられる。
さて、お待ちかね! アイダホポテトの朝食を作ろう。
昨夜、勝がミートソースを下ごしらえしてくれているのでポテトを洗って、皮付きのまま刻んで耐熱皿に並べ、ソースをかけてオーブンで20〜30分。
ポテトは先に茹でたりしないで、生のままじっくりオーブンで焼くのが良いようだ。
仕上げにとろけるチーズを乗せて、出来上がり。
アパートの部屋に唯一の小さなコーヒーテーブルを食卓にして三人で囲む。
椅子が足りないので、ソファの近くへテーブルを寄せて、普段テーブルに乗せてあるラジオや電気スタンドなんかはとりあえず床におろして、と。
そうそう、この部屋には「全体を明るくする照明」がなくて、ベッドサイドとテーブルの2個所にある電気スタンドとキッチンの電灯+バスルームの灯かりが照明のすべてである。
まあ、ホテルの部屋なんかとおなじですね。
コーヒー、パン、ヨーグルトにフルーツも添えて、豪華な朝食!
ポテトは期待どおり、ほくほくでとてもおいしかった。
さて、サンフランシスコへ戻る正午出発の飛行機を予約しているので、そろそろ帰り支度をしなくては。
本当に短い短い滞在だったけれど、なんだかとても満足感のある、充実した時間を過ごせた気がする。
ちょっと強引な計画ではあったけれど、ここまで足を伸ばして本当によかった。
母は、「いっしょにサンフランシスコまでくればいいのに」とか、また勝にちょこちょこ言っている。
しかし勝は小さいころから筋金入りのマイペースなので、急にそんな事言われたって、そう簡単には乗ってこないよ〜、と思っていたら、出発間際になって「じゃあ行こうかな」ということになった。
彼は、たいてい行きたいところへはどんどん一人旅をしてしまうのだけれど、そういう旅のスタイルにも実は落とし穴があって、サンフランシスコみたいな"モロ観光地!"ってところはかえって一人では行きたくないらしい。なるほどね。
じゃあ、空港で飛行機のチケット買わなくちゃ! ということで早速出かけることにする。
空港行きのバスをつかまえるつもりだったけど、バス停を間違えたのか? 曜日が悪かったのか?
いっこうにバスがやってきてくれない。
ならばタクシーで行こう… といっても、大阪なんかとは違ってタクシーってものがめったに走ってないのである。歩道に3人で立ち止まって、きょろきょろタクシーを探すこと十数分。
通りすがりの男の人が「シティホールに電話があるから、そこから呼んだ方がいいよ」と教えてくれた。
親切なひとだ。
早速、通りの向かいにあるシティホールへ。
レセプションのお姉さんに事情を話したら、彼女が電話をかけてくれた。
ますます親切な人だ。もうボイジーの人はみんないい人ばっかりだ! (断言してしまう)
すっかりココロ暖まって、タクシーを待つ。
しばらくしてやってきたタクシーに乗り込むと空港まではあっという間だった。
勝のチケットはキャンセル待ちだったけれど、結局無事に乗ることができ、このあと私たち2人+1人のサンフランシスコ〜ヨセミテ"珍"道中がはじまるのであった。
どんな土地へ旅行しても、去る時には必ず「絶対にまたくるからね!」って心に誓うのだけれど、勝が滞在期間を終えてここを離れてしまったら、さすがにもう来ることはないかなぁ…
だったら、全部忘れないように景色やいろいろなものを覚えておこうと思って、一生懸命見た。
その成果か、これを書いている今でも、美しい秋に彩られた街の風景や小さな出来事の一つ一つを映画みたいにはっきりと思い出すことができる。
そして、ボイジーは私の記憶の中で、冴えわたる青空の下、親切でのどかな人々とりすが永遠に仲良く暮らしている夢の街になってゆくのかもしれない。
--- 完 ---
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