夏の蒜山・大山を歩く 〜夏真っ盛りの高原へ〜(3)

擬宝珠山から象山への下りが終わりに近づく頃、眼下の斜面に真っ白なサワヒヨドリの大群落が目に飛び込んできた。周囲は完全に雲に覆われて視界はほとんどなし。だが逆にこういった景色の方が幻想的に映るのも確かなのだ。

いよいよ道が登りになってきた。しかも、急な石段が延々と続く・・・。まさに一度下山した後にもう一山登る感覚である。
次男を抱っこしながらの石段登りにはさすがに参った。ハァハァーと息が切れてきた。
長男を先に歩かせ、こちらはゆっくりと登る。視界が全くきかないので象山山頂までいったいどのくらいの距離が残っているのかわからない。ようやく別ルートからの分岐にさしかかり最後の力を振り絞って山頂(1085m)に到着。またしても登山客は我々だけ。さすがに、この眺めでは他の登山客がいないのも肯けるなぁ・・・。

汗だくになって着いた頂上には無数のトンボが舞い、ギボウシやオカトラノオなどの白い花がひっそりと咲いていた。休憩をとっていると時折雲が切れ向かいの山が顔を出す。晴れていれば烏ガ山がきれいに見えるはずなのだが・・・。

見通しが悪いので安全策をとって、帰りも石段ルートを下ることにする。また次男を抱えてだらだら続く長い石段を降りるともう完全に膝が笑っている。休暇村までもう少しのところで、「湿原70m」の案内板が出ていた。鏡ヶ成湿原である。
ここは、地形地質的にも湿原が発達しにくい大山にあって唯一残された貴重な湿原で、烏ガ山と象山の斜面に流れ込んだ雨水が盆地の底に集まってできたのだそうだ。湿原を1周するように木道が作られておりサワヒヨドリ、アブラガヤ、キセルアザミ、ヌマトラノオなどの植物を観察することができる。
よくよく考えてみるとこういった雲に覆われやすい気候もこの湿原を残してきた要因なのかもしれない。