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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


◆ 第5シリーズ 1話 「3B学級崩壊寸前」

空き教室を利用して、老人介護のデイサービスセンターが併設されることになった桜中学。そんな折、3年B組では強権的な中野先生(ラサール石井)の締め付けに対し生徒の不満が爆発、兼末健次郎(風間俊介)を首謀者とする集団暴行事件が発生してしまう。金八(武田鉄矢)は病院に運ばれた中野の身体に無数のアザがあるのを目撃し、生徒による中野への暴力を推測する。しかし生徒らは中野が転倒して頭を打ったのだと口裏を合わせ、入院した中野もそのプライドから「自分で滑っただけだ」としか語ろうとしない。復帰までの間、金八が3Bの担任代行となる。

身体よりも精神にダメージを抱えた中野は、退院後もしばらく自宅で静養することに。すると、そこへ花束が届けられる。「3年B組有志一同」と書かれたカードが添えられたその造花に中野は一瞬嬉しそうな表情を見せるが、それは葬式用の菊の花であった。激しいショックを受けた中野は処方されていた精神安定剤を多量に服用し自殺を図る。妻が早期に発見したため一命は取り留めるが、中野の心が破壊されたことに変わりはない。

翌日、金八は3Bへ例の葬式花を見せ、これは造花だがナイフに等しい凶器だと説明。「やっていいことと悪いことがある」とクラス中に声を荒げ優等生然としてうそぶく健次郎。金八は学級目標として「心を育てず魂を歪ませる嫌がらせをこのクラスから追放しよう」と設定、もしこの約束を守れなかった生徒がいたらぶっ飛ばすと宣言する。それは脅迫だと抗議する生徒に対し、「違うよ、人間と人間の勝負だよ」と力を込めるのだった。

99年10月14日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 福澤克雄

視聴率: 18.7%

DVD: 第1巻

小説本: 第15集

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
● 今回の金八はかなり変化が!桜中にデイサービスセンターが併設されたり、パッとしない新校長がやってきて国井先生が教頭に昇格していて、若手で熱意に燃える小田切と花子先生が初登場、中堅の遠藤先生もいて教師陣もバラエティに富んでますよね。金八先生も最初は担任を持っていなくて生活指導主任という立場なんです。
○ 生徒もだいぶ変わったね。カバンの選択が自由になったようだし、敏江とか今風のノリで騒ぐ生徒が多いのも新しいなという印象。多動性の子、2人でお喋りを止めない子、茶髪の子なんてのもいてただ事じゃない雰囲気もあって。
● そしてなんといっても兼末健次郎ですよ! 陰湿な存在感。一見よい子なんですが学級委員タイプでは決してなく、影で操るワルという感じで衝撃的でした。いきなり担任中野先生を集団暴行で病院送りにして、造花で追い打ちをかけて心を破壊って…。今までにない展開。
○ ヘビーだよなぁ。本当にこれが「金八先生」なのかって。中野先生は「アホ」という敬意のない言葉を口癖のように何度も使っているあたり、嫌われて当然の先生なのかと思った。でもこの仕打ちはねぇ…。
● 結構自分勝手で気ままな生徒が揃っているように見えた3Bが、この一件についてはみんな口裏が合ってるのも異常で、怖さを感じました。
○ 今回は作り手さんたちがかなり覚悟決めて壮絶な物語を作ってやろうって意気込んでるんだって。ということは、これはまだまだほんの序の口なのかもしれないっていう(笑)。これから一体どうなっていくんだろうか想像つかない。
● 健次郎一派の子たちも健次郎にいやいや従ってるようなところが見えますからね。ただ極悪集団がいるという簡単なことじゃないのでここもいろいろありそうです。
○ 中野先生の事件では健次郎がクローズアップされたけど、ケアセンターの方で目立ったのは多動症のデラ君だったね。
● 一見気難しそうな大西元校長にもすぐ懐いて、車椅子の使い方も一回の授業ですぐ覚えちゃいました。
○ 大西さんのほうもデラを邪険にしないんだよね。散漫なように見えるけど興味が向いたことにはものすごい集中力を発揮する、というキャラクターはちょっとあざとい気もするけど、でもホントいきいきしていてよかった。初回は中野とセンター、まずこの2つの軸が見えたと。
 中野先生暴行事件の流れ
・明彦に対する中野の「このドアホ!」発言が直接のきっかけ(以前からの蓄積があったのはもちろん)。
・幹洋、ヒノケイが中野を押さえつけ、明彦が「死ね!」の言葉とともに腹部へ何度もパンチを入れる。
・明彦が蹴り返されると、首謀者・健次郎は好太に足を押さえさせ、明彦はさらにパンチ。
・助けを呼ぼうと教室の外へ出ようとする蘭子を友子が止める。
・中野が床に倒れこむと、幹洋、ヒノケイも蹴りの嵐。
・この時、デラを保健室へ連れて行っていた幸作が保健室から戻り、ちはるの声や周りの状況から事情を察し、止めに入ろうとする。
・が、力也に押さえられる。
・口から血を吐きグロッキー状態になった中野に、健次郎が「だらしないなぁ。先生はたしか柔道の学生チャンピオンだったんですよね。」と言い、とどめの一蹴り。中野気絶。
・健次郎はクラスメイトに口止めする。
 小ネタ/周辺状況拾い読み
◆大西さんは君塚の一代前の校長先生で、国井先生が新採用となって最初に赴任した時の校長だった。
◆健次郎は花子先生を意識している。何か特別な気持ちがある模様。
◆幸作の身長がかなり伸びている! 乙女はアマゾネス風の髪型に。
◆金八が提案した「このクラスの決まり」(一、他人の話はちゃんと聞く 一、意見のある時は手を挙げて言う 一、みんなで決めたことはみんなで守る)は、後のシリーズまで続いていくルール。
◆乾先生は愛車の助手席にケアセンターの小椋さん(女性)を早速乗せている。やり手なのね。昔はカタブツだったのに。
◆中野先生の前任は楓中だったらしい。
◆本来、中野先生役にキャスティングされていたのは平田満さん。交通事故にあったため降板、急遽ラサール石井さんに変更になった。平田さんはのちに第7シリーズ最終話で重要な裁判官役として金八初登場を果たす。
◆本放送の日、「今夜スタート 3年B組金八先生」という1時間の番宣番組が放送された。内容は生徒選考面接からクランクインの後までを追ったドキュメント。出演者同士の親睦を深めるレクリエーションでは、明彦役の亀梨和也君が皆の前でKinkiKids「ガラスの少年」のダンスを踊らされるレア映像も。他、北先生の「職員室訪問」のコーナーなどがあった。
◆生徒の役名は、今回は脚本の小山内さんが主催するボランティア団体に所属している大学生の名前から取っている模様。ちなみに生徒オーディションは約1000人が参加した狭き門。
 他シリーズとの関連
■顔はヤバイ
…中野暴行時に健次郎が言った「顔はやめとけ、顔はヤバイ」は、第1シリーズ2話の山田麗子(三原順子)の有名なセリフ「顔はヤバイよ、ボディやんなボディを」を連想させる。仲間との約束を反故にした田中康一がクラスメイトから暴行を食らったシーン。
■体中にアザ
…中野先生の体のアザを見て暴行の影を感じ取った金八だが、第4シリーズでは3Bのイジメられっ子・桜木伸也が同じように体中アザだらけだったことがあり、その時の経験からアザと暴行がすぐに結びついたのかもしれない。
■お説教
…ラスト付近で出た金八の畳み掛けるお説教。肩を叩かれたガリ勉の話、大人も心がボロボロになることがあるという話は、たしか初期のシリーズで既に登場しているはず。

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