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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


◆ 第5シリーズ 7話 「迷える子羊たち」

茶髪だった戸田幹洋(本橋卓朗)が髪を黒く染め直して登校してきた。注目を浴びたくて茶髪にしたが、文化祭のソーラン節で全校生徒を前に思い切り踊ることができたのでもう十分だ、というのだ。金八に握手を求められた幹洋は「俺、誉められたことないから…」と感激し涙ぐむ。3Bはそんな幹洋に拍手を送るが、ひとり面白くない顔をしている生徒がいる。兼末健次郎(風間俊介)だ。

金八(武田鉄矢)は、三者面談に向け「将来の夢」についてアンケートをとる。ビジョンが明確でない生徒が多い中、健次郎はハーバード大学へ留学している兄のように世界に通用する人間になりたいと書いてさすがの評価を得るのだが、実は自室にこもるあの異様な男こそ健次郎の兄であった。父親は仕事が忙しく留守がち、姉は昨年亡くなっており、母親は兄への対応を健次郎に泣きつく毎日。健次郎は対外的には優等生然としながらも、裏ではかなりの精神的負担を負っているのだった。留学したいと願うのは、それならば親の体面を崩さず家を離れることができるからでもあったのだ。

アンケートに「アイドルになりたい」と書いた太田アスミ(森下加奈)は、加藤バーバラ(大山千穂)が青山でスカウトされて以来モデルの仕事をしていると聞き、俄然食いつく。金八は何もせず有名になどなれない、何事にも地に足をつけた努力が必要だと諭すが、アスミは聞く耳を持たず勝手に早退。護衛用にと見ず知らずの不良に声を掛け街へ繰り出そうとしていたところを小田切先生(深江卓次)に見つかり家へ帰される。

アスミが他校の不良と軽々しくつるんだことを聞いた本田先生(高畑淳子)は、性感染症や薬物問題も決して遠い話ではないと警告、職員室に緊張が走る。金八は「人生には甘い味があれば苦い味もある。それを父親が子供に話してやればいい」と言い、和田校長は父親との懇談会を持とうと提案する。

99年11月25日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 福澤克雄

視聴率: 17.3%

DVD: 第3巻

小説本: 第16集

 みどころ&勝手な解説
● 健次郎とちはるの事情、アスミのアイドル願望、この二つが軸になった回です。
○ 健ちゃんとちはるちゃん、そして幸作は幼なじみの三角関係で。こういう甘酸っぱい話には弱いんだよなぁ。
● 思春期の三角関係って、ある意味王道ですよね。「タッチ」とかもそうだし。金八では第2シリーズ以来ですかね。加藤優、松浦悟、迫田八重子の。
○ そうなるかな。前作の修一、拓也、乙女は一方的に乙女が言い寄られただけで三角にはなってなかったから。しかし幸作はいつも損な役回りだよなぁ。「東京中探したってなぁ、ちはるちゃんみたいな可愛い子はいないんだぞ!」だって。届かぬ声。泣ける。
● たしかに髪を下ろしたちはるはレベル高かったですよ。すごくキレイでビックリしました。健次郎はどうして花子先生がいいんだろう?
○ そこら辺はほら、中二のときにお姉さんを亡くしたという話があったじゃない。だから年上の女性に好意を持ってんじゃないのかな。
● あぁ、なるほど。今回は健次郎の家庭の状況がかなり明らかになってきましたよね。今出たようにお姉さんが去年亡くなっていて、ハーバード大学へ留学しているはずの兄は精神が破綻したような状態で自宅の一室に引き篭もっていて、家族は息を殺している。父親は出張が多くて留守がちだから、母親はその兄への対応を健次郎一人に頼ることになって、いっぱいいっぱいになった健次郎は心が押し潰される寸前で、そのあたりのストレスがたぶん学校での悪行ぶりに繋がっていると。ヘビーだわぁ。
○ すごく根深い問題だよね。健次郎、兄貴からは「ビール、酒」って紙で命令されるわ、母親からは「あなたしか頼れる人いないの」と押し付けられるわ、責任感がある子なだけにこれじゃホントに潰れちゃうよ。どこに逃げたらいいのか、どういう解決策があるというのか…。
● 深刻ですね…。一方の、アスミの方の話はどうですか。アスミは意外にも結構演技のできる人なんだと思いました。
○ うん。泣く演技とかリアルだったし、不良三人組を誘うところなんてなかなか堂々としたものだったよね。
● あの不良たちは「学校へ行こう!」の金八不良役オーディションで選ばれたんですよね。連動企画で。やっぱりどこか変なキャラクターがウケて選ばれた三人だから、どうしても面白い感じに映っちゃってましたけど(笑)。
○ でも荒谷二中の生徒だなんて、何かあるんだろうか、この後の展開が。
● 次週予告にも出ていたってことはこれ一話きりの登場じゃないってことですけど、このドラマの雰囲気と合ってるとは思えないので、そんなに重要な出来事に絡んでくるとは思えない気がします(笑)。
○ そういえばその不良を大森巡査が追いかけるシーンでさぁ、大森さん、思いっきりコケてたよね。あれ大丈夫だったんだろうか?
● あぁかなり激しく自転車ぶつけてひっくり返ってましたよね。ふふ。あれ、なんとなくですけどリハ以上のコケっぷりをしてしまったような感じがありました。ケガがなければいいですね。
○ …とまぁ、二つの話があったんだけど、最後唐突に本田先生が性感染症と薬物問題について語りだしたのはビックリした。まだ新しい問題が予告されたよ。盛りだくさんすぎるよな、って。
● 校長先生も「父親懇親会」を提案してましたよ。どこへ行こうとしてるんだろ。
○ これが全部繋がったりするんだろうか。性感染症はアスミ? もしかしたら健次郎の兄ちゃんは薬物に溺れてる? 懇親会に現れない健次郎の父、ヒノケイも親が面談に来れないとか言ってたからここに絡んでくるかも…。うーん、可能性はあるな。
● ヒノケイは最後のシーンで金八に何か言いたいけど迷ってるような、微妙な表情をしてました。次の展開が気になりますね。
○ その場面、幹洋、力也あたりの金八に助けられた経験のある生徒は「なんかいいじゃん、あの先生」って、金八を信用するようになってるんだよね。少しずつ、少しずつだけどいい方向に向かい始めてるのかな。
 小ネタ/周辺状況拾い読み
◆金八は感動して泣いている幹洋の肩を黙って叩いた。気を落とす人がいたら黙って肩を叩いてやれ、それが優しさだ、とは金八が常日頃から言っていること。
◆アンケート用紙を配った金八は、「みんなちゃんとやれよ、将来のことだろ」と発言した健次郎を通り過ぎざまに見やり、深刻そうな表情。本来なら優等生的発言だが、金八のこの何かを嗅ぎ取っているとしか思えないリアクションは? 気づいたか?
◆健次郎の兄の部屋はゴキブリさえ這うゴミ屋敷。汚〜い!
◆幸作、包丁で切ってしまったちはるの指を優しく吸う。きゃっ。ちはるは包丁さばきを見る限り普段料理などやったことがないようで、健ちゃんショックの勢いだけで坂本家にやってきてしまったことが推察される。
◆ちはるは医者の娘で、健次郎、とは幼稚園のころからの幼なじみであることが判明。幸作とは小学校から。
◆第1話以来、終始おしゃべりの絶えなかったアスミと加奈恵だが、今回を境にその関係が薄れていく。加奈恵から見れば、アスミが自分以外のものに興味を持った、あるいは自分の興味のない分野に興味を持ったから面白くないのか。コンビ解消?
◆金八の話によると、乙女は宇多田ヒカルの大ファンらしい。また、金八の言った「深田恭子が出演したエイズを扱ったドラマ」とは、フジテレビ系で放送された「神様、もう少しだけ」
◆今回の金八漢字講座は「道」。道という字には首という字が隠れている。自分の首をかけて進んでいくべきところ、 それが「道」である。努力もせずに大きな目標だけを掲げる生徒に向かって炸裂した。「まだ15歳だと思うな。もう15歳だ。」とも。いいこと言うなぁ。
◆センターでお年寄りと将棋をさしていたデラ、思わぬ適性を見せる。大西さん「この子は筋がいい」。
◆荒谷二中の不良三人組は、TBS系バラエティ番組「学校へ行こう!」の「金八先生の不良役に本物のヤンキーを送り込もう」という企画で選ばれた三人。生徒役オーディションでは落選したものの、他校生としての出演はOKだった模様。
◆帰り道の金八と本田の会話の中で、遠藤先生の年齢が「40手前」と判明。乙女との年齢差は20もあることに?
◆補習塾へ向かう途中、幹洋、三郎、力也、ヒノケイが帰宅中の金八とばったり会うシーン。楽しそうに出来事を話す幹洋、力也。金八は着実に3Bに受け入れられている。
 他シリーズとの比較
■ 荒谷二中
…不良三人組は荒谷二中の生徒であるようだが、この荒谷二中とは、第2シリーズの加藤優の出身校であり、立てこもり事件を起こしたいわくつきの場所でもある。
■父の役割
…ラスト付近で金八は父親が子供に果たす役割について述べているが、第7シリーズ10話では逆に「母親の持つ『待つ』ということが今の教育に求められている」と語っている。

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