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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第7シリーズ 10話 「中3の父 小6の母」

小学教諭になっていた3年B組卒業生・伊丸岡ルミ(松下恵)の受け持つ6年生・作間マドカ(小林優美子)が妊娠しているという。マドカは誰が相手なのか言おうとせず、彼女の友人である狩野アミ(枚田菜々子)は、兄・伸太郎(濱田岳)が相手に違いないと譲らない。伸太郎が潔白を誓うと、その言葉を信じた金八(武田鉄矢)は伸太郎の力になることを約束する。

マドカと会った金八は、多くの人を傷つけたこの出来事は愛でも恋でもない、だから本当の事を教えてくれ、と説得。するとマドカは心を開き、痩せるクスリを手に入れるために近所のオジサンに身体を売ったと告白する。疑いが晴れた伸太郎は、力を尽くしてくれた金八に礼を言うのである。

翌日、痩せるクスリについて話していたデカあす(清浦夏実)、チビあす(杉林沙織)、ウガ(笹山都築)に、小野孝太郎(竹内友哉)が「試したいなら頼んでやる」と声を掛ける。注意する小塚崇史(鮎川太陽)に孝太郎が「お前の親父だって持ってるんだろ?」と心ない言葉を投げかけると、この会話を聞いていた丸山しゅう(八乙女光)の怒りは頂点に達し、孝太郎に殴りかかる。教室は騒然となり、ヤヨ(岩田さゆり)はパニックに陥ってしまう。

伸太郎がリーダーシップを執り、クラスの話し合いが始まる。騒動の原因となった女子3人と孝太郎が謝り、残るしゅうには「寄せ書きは無駄だったのか」と訴え、しゅうも渋々謝罪。ついに3B生徒の力だけで事態を解決する。さらにヤヨを再び迎え入れるために、街のスプレー落書きをみんなで楽しく消そうと自主的に提案する。

金八はヤヨの家に行き、参加するよう声を掛けるが、母・昌恵(五十嵐めぐみ)はヤヨが自分から行きたいと言い出すまで待つつもりだと言う。感銘を受けた金八は民間校長候補・板橋(木野花)との会談の席でそのことを伝え、今の教育現場に求められるのは母親のように「待つ」ことではないかと言う。同じ志を持つ板橋は校長就任要請を受けることを決意する。

スプレー消し当日、そこにはヤヨの元気な姿があった。しゅうや孝太郎が騒動を謝ると、ヤヨは「楽しいよね」と笑顔を見せたのだった。

04年12月17日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 加藤新

視聴率: 12.9%

DVD: 第4巻

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
○ いやぁ、年末だね。
● 最後の「次回は1月…」なんて文字を見てしまうと、もう今年も終わりなんだなぁと思いますね。
○ 金八で年の瀬を知る(笑)。一年はあっという間だね。
● そうですねぇ…って、今回は早く本題に入った方がいいと思うんですが。内容が濃かったので、余談が多いといつまでも終わりませんよ。
○ では、第10話「中3の父 小6の母」の与太話いってみようか。
● 正直言って、今回のサブタイにはスカされました。伸太郎がスゴく動揺しているので、「やっちゃったのか? そうなのか?」と既に伸ファンになっている僕までドキドキ動揺していたんですが。でもその割には伸太郎が父親だったワケではなかったし、また無実が判明したのも始まって20分ぐらいの早い段階だったし、別に妊娠問題じゃなくてもよかったじゃんなどと思ったりもして、ちょっと…。でも1話の内容はとても濃かったと思います。気づいたところをメモしているんですが、その量が1時間枠だった2話〜9話のちょうど倍で。上に書いたあらすじも削って削ってやっとこの量に落ち着いたくらいですから。
○ おおっ、のっけから随分語るねぇ。
● そうですね(笑)。ホント盛りだくさんだったもので。
○ 撮影の段階では2時間の予定だったのかな。それが編成の都合上…というような。でもまぁメモが2倍の分量になったということは、内容はほぼ変えずにそのまま圧縮したということだよね。そりゃ内容が濃くなるはずだ。
● 贅沢な1時間でした。大きく分けると、始まってから伸太郎の無実が分かって金八に礼を言ったまでの部分が第1幕、Wあすかとウガが本屋でダイエットの話をしてから最後までが第2幕といった印象です。
○ 本来は9時スタートで、教室の乱闘シーンが丁度10時またぎぐらいだったような気がするね。それで?
● だから、第1幕と第2幕と分けて話した方がいいと思うんです。まず第1幕の見どころは「15歳の母」を彷彿とさせる「小6の母」でした。さっき言ったように3Bから直接の当事者が出たわけではなかったですが…。
○ 痩せ薬が本当は良からぬドラッグで、知らぬ間に中毒になって、身体で払わないならもうあげないよ…という話は辛いなぁ。
● ちょっと唐突でしたが、薬物と性の低年齢化の問題ですよね。伸太郎の妹ぐらいの年の子が「Hぐらい知ってる」と臆面もなく言い放っていたのは、ある意味、伸太郎が父親だった場合よりも恐ろしい話だった気がするくらいです。
○ 結局「近所のオジサン」が捕まった、というところでマドカの話はあっさりフェードアウト。でもこれ実はすごく恐いよね。マドカは顔を見せなかった程だから今後もう一度出てくるとは思えないけれど、3Bだけではなくてあの地域に危機が、しかも大人がそそのかす、というのがポイントなんだろうね。
● では、初めから話を整理しますとね、
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 ◇ 夜回り隊が小学生カップルのキスシーンに遭遇
 ◇ 国井先生、それを椿小に報告
 ◇ 担任は3B卒業生の伊丸岡だった
 ◇ 伊丸岡、受け持つ6年生が妊娠していると相談
 ◇ 桜中にも噂広まり、伸太郎なぜかドキドキ
 ◇ 金八と本田、伊丸岡に中絶させるよう勧める
 ◇ マドカの唯一の相談相手は狩野アミという子で、その兄は3Bの伸太郎だという
 ◇ 伸太郎、話したいことがあるからと金八の家へ
 ◇ アミは伸太郎が妊娠させたと衝撃告白、伸太郎は誤解だと主張
 ◇ 親は伸太郎兄妹に興味がなく、相談するにもできない状態
 ◇ 金八、伸太郎を信じ俺に任せろという
 ◇ 金八、マドカと会い真実を話すよう説得
 ◇ マドカ、近所のオジサンに痩せるクスリだと騙されドラッグを買い、代償は身体で払ったと告白
 ◇ オジサン身柄確保
 ◇ 疑い晴れた伸太郎、金八に感謝の言葉
● 以上が第1幕の内容ですよ。
○ 改めてスゴイ分量だ。「relax」金八特集のトークバトルを真似るつもりはないけれど、時間を計ると、金八が満面の笑みで胴上げされるオープニングからここまでたったの26分。15項目挙がったから、1項目あたり1分44秒の時間しか割り当てられていないという。
● いや、OPやCMもありますからもっとずっと少ないですよ。しかもこれは話の大筋で、他にも夜回り隊に青木繁好がいたり、金八が生徒に「恋は軽々しいもんじゃない」と力説したりするシーンもあったので、実際はもっと。
○ モノスゴイ情報量、そしてその圧縮!
● 僕が特に印象深かったのは、金八先生の家での先生と伸太郎のやりとりですね。アミちゃんが別テーブルに移ってからの。
○ あそこは良かったね。アミの図々しさもあまり親にしつけられてないのかなという想像に繋がったし、金八先生がアミに「コイツのことは先生に任せてくれる?」と言った時の「あぁ、味方だ!」と光を見たような伸太郎の救われた表情といったら!
● 金八先生と二人になったところで伸太郎が改めて「絶対にやってない」と言って、「男がやってないと言っても信じてもらえないのが難しい…」と金八先生が言うと、伸太郎は「信じてよ!」と嘆願するんです。その時の切羽詰った表情もまたよかったんですよ。
○ また金八も間髪入れず「信じてるよ、3年B組の教え子だもん」なんて響く言葉を言うんだよ。
● そうですそうです。「きちんと事情、オレが聞くぞ」と親身に。そうしたら伸太郎、正座し直して「お願いします!」って。この一連のやりとりが、あぁ、やっと腹を割って話せた…と思わせてくれてグッときましたねぇ。
○ 「個人的に聞いていただきたいことがある」と言ってきた伊丸岡に対して、「個人的に時間を作って力になりたい」と、応えていた気になっていた金八。でもその一方で、同じように助けを求めていた伸太郎を、知らぬ間に後回しにしていたんだよね。後に話が繋がってきたから「そういえばアイツ何か聞いて欲しい素振りがあった」なんて金八はハッと気づいてさ。そういう状況を経てようやく持った対話だったから余計に感じ入るところがあったのかな。
● なるほど。後回しにされた時の「なんでもねー!」という伸太郎のガッカリと強がりが混じったような一言も、なんだか耳に残りましたしね。
○ もう、伸太郎の言動はいちいち良い。
● いちいち良いです(笑)。最高です。目が離せません。
○ 第1幕の中でもうひとつ印象に残ったシーンがあった。金八がマドカを説得するシーンで、マドカの顔は全く映らないんだけれど、それにも関わらずその動きの中で心理描写がスゴくよく表れていたと思うんだよ。
● といいますと?
○ オレンジジュースを持つ手がパタパタと動いていて。本田の「相手の名前を言いたくなければ言わなくていいよ」という言葉で指を止め、スッと首を下げて。「一番大切なのはあなたのこと」、伊丸岡の「私だって誰にも話したことないことがある」でその手を膝の上に置いた。
● それが?
○ はじめ落ち着かない様子だったのは、問い詰められると思っていたんだろうね。でも優しい言葉をかけられて不安が和らいでいって、信じていいのかなという気になって、最後には完全に心を開放した…というふうに読み取れない?
● うわぁ、あのシーンにそんなことが…。表情一切ナシでスゴイですね。
○ さらにスゴイのは、金八先生がそのタイミングを見逃さず、「愛しているんだよね…」と簡単に同情しようとする本田を「それは違う」と制するところだよ。ここが勝負どころと見て、「愛には決まりがあって、あなたはまだ勉強していない。誰も傷つけちゃいけない、自分も傷ついちゃいけないのが愛で、これは愛でもなければ恋でもない…」ズバリと畳み掛ける迫力。
● たしかに「ナイフで刺された、だから病院に行って手当てをする」という言葉には有無を言わさぬ説得力がありました。そのあと「いいね?」と聞いてはいましたが、「はい」というより他はないですよ、あれは。
○ 金八先生が初めの方の教室の場面で「恋というのは軽々しいものじゃないんだ」と熱弁したのがここで効いてくるという。まぁ、ちょっとオイシイところをちゃっかりイタダキ過ぎだろうという気もするけれど、これが金八の金八たるゆえんなのかな。
● いやぁ深い! これでマドカが本当のことを語り始めるわけですね。
○ 疑いが晴れた伸太郎が先生に素直にお礼を言うんだけれど、金八つぁん「えっ?」なんてビックリするから伸太郎ゴマカシちゃってね。まだ正対して受け止められない程度の信頼関係だとも取れるけれども、ここはなんだか微笑ましかった。
● 「ホント3Bでよかった。ありがとう」というセリフだったんですが、この場合クラスメイトは絡んでいなかったんですから、3Bでよかった=金八先生が担任でよかった、ということですよね。
○ いやぁ、しかし伸太郎は親に相談できず誰も信用してくれず、家出するしかないとまで思い詰めていたんだから、結構重大な悩みだったんだなぁ。
● もしかしたら、しゅうが崇史を助け伸太郎がしゅうを助け…という「おかげさま連鎖」の中に、「金八が伸太郎を助け」という新たな関係が加わったのかもしれませんね。
○ これが金八とクラスとの距離が縮まっていくきっかけになるのかもしれないね。あぁ、今回も充実した物語だったなぁ。
● ちょっとちょっと、重ねて申し上げますけど、ここまででまだ26分しか経っていないんですってば。まだ第2幕があるのッ!
○ そうだった(笑)。本屋でダイエット話に花が咲くところからが第2幕。ウガがノリノリなんだよね。第6シリーズの雪恵ちゃんもそうだったんだけれど、痩せたところで…という人ほど痩せたがるのはどうしてだろう?
● コラッ! 言葉は選んでください(笑)。でもたしかにデカあすなんて見た感じ痩せてますし、ダイエットにそんなに拘らなくても、とは思いますね。チビあすも今のままで十分可愛らしいですよ。
○ 「あんぱんダイエット」は餡パンなのか、いわゆるシンナーの隠語としてのアンパンなのか…。
● そりゃ勘ぐりすぎってものです。だいたい雑誌にシンナーダイエットが載るワケないじゃないですか。
○ そりゃそうだ(笑)。
● また出来事を箇条書きにしてみますと、
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 ◇ 女子3人組、本屋で雑誌のダイエット記事を見つけ盛り上がる
 ◇ しゅう、ヤクザが(おそらく)クスリを売っているところを目撃
 ◇ 「ドラッグって痩せるのかな?」と話す女子3人組に孝太郎が「手に入るぜ」と食いつく
 ◇ 注意した崇史に酷い言葉を吐いた孝太郎にしゅうが殴りかかり、ケンカ
 ◇ 吹っ飛ばされたヤヨ、クラスの混乱ぶりを見てパニックに陥る
 ◇ 北先生の煽りに対抗し、解決へ向けたクラスの話し合い開始
 ◇ 当事者の5人が謝り、自主的に解決することに成功
 ◇ その時、窓の外にはヤヨが帰っていく姿
 ◇ 金八、「やっと揃った3Bだったのに。どうしたらいいか考えなさい」
● まだ続くんですが、ひとまずCMまでにこれだけの展開がありますよ。
○ 今度は13分間の出来事。やはり1項目あたり1分少々だね。第2幕もギュッと圧縮されている。
● 展開が速かったです。北先生が異常に突っかかってきたり、「オレたちやれるよな!」という直明の呼びかけに珍しく渋谷ギャル隊の3人が立ち上がったりという新鮮なシーンがあったんですが、ちょっと唐突だったので、おそらくこれらの理由となる数シーンをカットして進行を急いだのかなという印象があります。
○ 「夜の街でギャル隊が補導されかけるか何かして、シンナー遊びじゃないかとか勘違いされて、北の耳にそれが入ってきて、金八に釘を刺し、いわれのないことだと金八怒って対立…」というようなシーンが本当はあるはずだったのかな?
● それに近い出来事があったはずです、たぶん。DVDではこのあたり、ディレクターズカット版にしてリリースして欲しいな。
○ それ賛成!
● 話を戻しますと、この流れの中でまず目立ったのは孝太郎のワルさですよね。第7話で和晃の「たった一人の友達」発言があって、改心する気持ちも芽生えたのかなと思ったんですが、やはり薬物依存はそう簡単に終わらないぞと。
○ 崇史に「お前の親父も持ってるんだろ」は言っちゃいけないよなぁ。ただ「いいカッコしたかったから言っただけ」というのはあながち嘘じゃなさそう。女の子の気を惹きたい気持ちはあの年代の男子は普通に持っているよね。
● う〜ん、それならまず授業中のゲームを止めるべきですよ。あれはモテる男のやることじゃない(笑)。
○ 孝太郎は恐そうな北先生がきた時も、机の下に本体を隠しながらゲーム続けているんだよね。
● その北先生に「俺らの問題は俺らで解決する」と宣言したのが伸太郎です。金八先生への信頼度が上がったら、もうクラスに愛着が出ているんですよ。
○ 金八もまたビックリするのね。助けたお礼を早くもこういう形で表現してくれるのか、と。義理に篤いんだよ、伸太郎は。
● 仕切り役に指名されたあの場面、「アチャー」的なセリフは一言もなかったんです。ここは真面目に誠意を持って務め上げなければならないんだ、ということが分かっている伸太郎。筋の通った統率ぶりで解決に導いたのは立派でした。
○ 話し合いの内容そのものはね、よくよく考えると悪者探しをしただけだったのかなとも思うんだよ。でも、第4話のラストでは「どうすればいいか考えなさい」と言われてそのまま教室を出て行っちゃってた史上最低の3Bが、わずかな間に様々な体験を通してこうしてまとまって、話し合えるようになって、自分たちで結論を出せるまで成長したのが素晴らしいことだよ。
● 金八先生が「涙が出そうだった」と振り返る気持ちがよく分かる。
○ それから、この場面ではしゅう。舞子が「言うことあるんじゃない?」と振ってやっても、崇史の親父がネタにされたことを最後まで黙り通した。それに対して怒って殴ったのにね。人の痛みが分かるから、その話題が蒸し返されて崇史がまた傷つくことを心配したんだと思うな。
● う〜む、この話し合いシーンも相当深いですね。たった13分のエピソードでここまで考えを巡らすことができるんですから。
○ 本当にコレはもう、ある意味視聴者泣かせだよ。細かく見ていくと大変だ。
● いやいや、分析のし甲斐があると言ってくださいよ(笑)。ほら、まだ続きがあるんで先に進みますよ。CMが明けると、金八先生はもう話し合いから抜けて、保健室で本田先生に事態を説明したり愚痴ったりしている。そこに伸太郎、学級委員、直明が入ってきて。
○ 本田さんは金八のオアシスだよね。フッと力を抜いて愚痴なんかこぼせる関係で。
● 「オアシス本田」。語呂もいいですね(笑)。この場面で感心したのが、生徒たちが「ヤヨが来てくれるように街の落書き消しをしようと思う」と向こうから言ってきたじゃないですか。自主的に。
○ 金八が教室を出た後も、生徒たちだけで話し合いを続けていたということだよね。多分そこからは伸太郎も学級委員や直明に仕切り役を譲ったから、4人で報告というああいう形になったのかな。もう二度と騒ぎを起こさない、ということに加えて、ヤヨを迎える手段まで考えていたのが立派だよねぇ。
● 伸太郎も得意げに祥恵の肩に肘かけちゃって。やはり今回の3Bには、こういうどこか笑えるような雰囲気が似合います。
○ 伸太郎は大車輪だなぁ。
● 前半戦のMVPは確定です!
○ あとは…ヤヨの問題か。子供を導いたり見守ったりする立場の大人たちが「待つ」というキーワードで繋がった。
● ヤヨ母の「待とうと思う」という決意を聞いて金八先生は感心していましたが、その金八先生も前回「しゅうが自分の口から秘密を喋ってくれるまで待つしかない」ということを舞子に言っているんですよね。だから同じ思いなんです。
○ 校長候補の板橋とも意見が一致してね。金八のセリフで「母親の持つ『待つ』ということが今の教育に求められている」というものがあったけれど、板橋がわざわざ母親たる女性に設定してある意味が分かったね。
● 世の中には背中突っつく教育ママみたいなのも大勢いますけど…。
○ 痛いとこ突くなよ(笑)。でもまぁ、自分がお腹を痛めて産んだ子に対する愛情と同様に、教育者や地域の大人は子供たちを文字通り親身になって見守っていくべきだ、ということなんだね。そのためには絶対に、子供に子供を産ませるわけにはいかなかったんだ。
● そう繋がりますか! 後付けな気もするなぁ。もし作り手さんが最初からホントにそういう意図で構成していたのならそれが一番ビックリかも、なんて。
○ いやいや、だからこそ母親の愛情が歪んでしまったしゅうの悲しさも引き立ってくるワケで。
● うわぁ、本当だ…。そういえば伸太郎の親も子供に興味がないようですし、孝太郎の母も出て行っているんでしたよね。母親の愛情不足は深刻なのかもしれません。
○ 桜中の母親役はオアシス本田さんなわけだ。そして花子先生は苦しみながら母親勉強中。
● さらに繋がってきましたよ!
○ そんなことがあって最後、落書き消しにヤヨも来る場面。もうこれはコマゴマした経緯が省かれてて正解だったね。よかったね、楽しいね、よいお年を、でもう十分。
● しゅうも、クラスのみんなに対しては納得がいかないようなぞんざいな謝り方だったんですが、ヤヨに対しては心から謝っていたように見えました。いやぁ、ハッピーエンドで年またぎ、というのは気合を入れて見ている派には助かります。悶々とした気分で新年を迎えるのは嫌ですからね。
○ 言えてる(笑)。
● それから、一つ思ったのは、遠藤先生は滅私奉公の人だなぁと。夜は夜回り隊、休日も落書き消しを手伝って、いつ自分の時間を持つんだという。ソーラン節の指導役も買って出ていましたしね。それと3B's、あのHIPHOPアートのようなものに興味を惹かれてもおかしくないと思うんですが、はじめからずっと嫌っていたのが意外でした。
○ 直明がペンキ屋の息子だから、ああいう無駄なペンキの使い方は許せないんじゃない?
● そうそう、ペンキ屋でしたね。三者面談でただなんとなく設定された親の職業ではなかったんですね。ひとりだけ作業着だったのが可笑しかったです。やる気だな、アツイな、って。
○ さてと。これで年内放送分は全て終了。
● 結局、はじめからずっと根底にあった、そしてなお横たわるのはドラッグ問題ですね。
○ 「共生」というメッセージも強く感じた。誰かが誰かを支えていくという展開、相田みつをの「おかげさま」という詩をとりあげたり。それから卒業生が次々と出演するのも、別にファンサービスをしているのではなくて(そういう意味合いも多少はあると思うけれど)、今まで金八と関わった人たちがこうやって社会の一員としてずっと繋がり合っているという、そういうことを表している気がするなぁ。
● そうですね。
○ さあ、これでもう3Bは熱く議論できるクラスになったし、金八の説教を聞く態勢にもなったワケだ。
● 本気で向き合う、という、今を生きる上でとても大事な意識がだいぶ出てきました。
○ そのとおり!
● 同時に、大事件が起こる下地が整ったとみることもできるんですよね。
 小ネタ拾い読み
◆夜回り隊にいた青木繁好は、第2シリーズで活躍したお調子者の元3B生徒。目立つ存在だったはずなのだが、バラエティ番組「ぶっちゃけ!99」の中であった武田さんに昔の生徒の顔写真を見せて役名を言い当てるコーナーで、武田さんの記憶からスッパリ抜け落ちていたという寂しいエピソードがある。
◆乾先生の娘は現在小学5年生とのことだが、この子は妻・英子の連れ子。
◆伊丸岡が勤務しマドカが通う小学校の名前は「椿小」。桜中、楓中、椿小。木ヘンの植物。
◆本田先生が伊丸岡を説得する際に「優生保護法」を持ち出したのは、この場合「妊娠した母親に危険が及ぶ場合には中絶してもいいんだよ」ぐらいの意味合いか。ちなみにこの法律、90年代に「母体保護法」と改称されたような気がするのだが…。
◆伸太郎の妹・アミはやっぱり「アチャー」が口癖。マドカの話にはブスッとした態度だったが、ケーキを勧められると手のひらを返したような愛想のよさ。モンブランの方がいいと言いながらショートケーキを食べている図々しさ。ここから親の性格が垣間見える?
◆板橋との会話の中で「テレビドラマで涙を流しながら死んでいった人が、チャンネルを回せばバラエティ番組で大声で笑ってる」とテレビ業界の節操のなさを批判した金八。「金八ぃ先生」終わっといて良かったね(死んではいないけど)。
 過去の金八シリーズでは
■生徒(児童)の妊娠
…第1シリーズで扱った浅井雪乃と宮沢保の「15歳の母」はあまりにも有名。他、スペシャル6では同級生の兄に乱暴された川野君子(小川範子)が妊娠4ヶ月と診断されたがその後流産。第6シリーズ15話では笠井美由紀(高松いく)が妊娠宣言し小林先生に疑いの目が向けられるが、想像妊娠と判明。美由紀は今作の3B生徒・笠井淳の姉。
 みなさんからの印象的なお便り
◆今日の金八先生は私のよく知っている金八先生でした。生徒(伸太郎)を信じて、あの小学生も、きちんとした正論で説得していました。北先生に文句を言われても、正論で応対していました。やはり金八先生には今日のように常に正論を吐いてほしいですね。来年になったらまた、しゅうがらみで大変な問題が起こってくるんでしょうが、今日の金八先生なら、きっと生徒のために体を張ってがんばってくれるでしょう。 (第零世代さん)
◆第10話は一部ですが来年のSPの内容が前倒しで入ったようですね。あの落書きを消すシーンは実は来年のSPに描かれるはずだったのが、理由はわかりませんが10話に入っていたのが(内容が)濃くなった原因の一つだと思います。 (袴田課長さん)
◆何気に民間校長の話がトントン拍子で進んでることが一番気になりました。3Bのエピソードに埋もれがちだけど。入院中の千田校長はどうなってしまうんだろう…。 (みちるさん)

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