金八先生マニアックス 「金八先生マニアックス」は、TBSドラマ「3年B組金八先生」を勝手に深読みし分析するサイトです。リンクはご自由に。

ホーム放送年表/鑑賞ガイド > 第5シリーズ8話

3年B組金八先生 鑑賞ガイド


◆ 第5シリーズ 8話 「アノ事件の主役が…」

ある夜、ヒノケイ(片山雅彦)が金八(武田鉄矢)の家を訪ねてきた。父親がリストラされたので進学せず働きたいのだが、見栄っ張りの母親は明日の三者面談で進学を希望するだろうから、金八の口から「働いた方がいい」と言ってほしい、というのだ。金八は働くことを決めたヒノケイの決心を誉めつつも、何事にも勉強は必要なのだから定時制という選択も含めて自分自身とよく話し合って決めるようにとアドバイスする。また、兼末健次郎(風間俊介)は面談の当日になって、母親が熱を出して来られなくなったと金八に伝える。

三者面談が始まった。ヒノケイの母は夫のリストラが金八に知られていることにショックを受け、加藤バーバラ(大山千穂)は国際的なモデルになるためアメリカンスクールへ行きたいという。不登校を続ける市村篤(内田祐介)の母は一人で面談にやって来て、篤が毎日小田切先生(深江卓次)のバイクに乗せてもらうことを楽しみにしていると報告する。そのころ篤は中野先生(ラサール石井)の自宅へ向かっていた。

中野と面会した篤は、健次郎に言われて葬式花を届けたことを白状し謝罪。そして健次郎を糾弾すべく中野の口から暴行事件の真相を話して欲しい、でなければ僕も学校にいけないままだと訴えるが、まだ完全には癒えていない中野はあくまでも暴行事件などなかったと言い張る。アンフェアな中野の態度に耐えかねた篤が「だから3Bのみんなに憎まれていたんだ!」と叫ぶと、中野はその頬を殴ってしまう。

事を知った金八は、三者面談終了後、篤宅へ向かう。中野が首謀者の名前を出してくれればこんな目に遭わなくて済んだ、と憤る篤に、金八は「そいつは兼末健次郎だ」とズバリ言い当て、篤が一日も早く学校へ復帰できるよう頑張ると誓う。続いて中野宅へ向かった金八は、自分の教師生活の全てを否定されたように落ち込んでいる中野を落ち着かせた上で、暴行事件を見過ごせば教育上の大問題であり校長に報告したいと言う。自分と向き合い始めた中野も、その言葉には「もう少し時間が欲しい」と下を向いてしまう。

翌日、3Bでは進路に迷う生徒の参考にと、4年前の卒業生である坂田拓也(渡辺卓)、高鳥よし江(水間ちづる)、桜木伸也(小池直樹)が招かれて体験談を披露。金八は成長した教え子の様子に目を細め、生徒たちは貴重な話を熱心に聞き入るのだった。

99年12月2日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 柳井満

視聴率: 16.9%

DVD: 第3巻

小説本: 第16集

 みどころ&勝手な解説
● 10月に始まったこのシリーズも、12月に入りました。この時期なので進路選択の話題があって、そして中野先生と篤の間、つまり健次郎周辺にもまた大きな動きがあった、という回です。
○ まず三者面談があったね。第2、第3、第4シリーズに引き続いて恒例のイベント。
● 冒頭でヒノケイが「親父はリストラで」と言ってたように、就職状況が非常に厳しい時代になったんで、金八先生も今から本気で将来のことを考えないといけない、てなことを強調してました。
○ フリーター志向をやたらに思い止まらせようとしてる様子があって、この辺は現実の旬な社会問題とリンクさせた感じかな。
● ラストで体験談を話しに来た三人は懐かしかったですね。拓也は高校を中退して実家の理髪店を継ぎ、大学生のよし江は本当に自分がやりたいことをしたいと転部を考えていて、伸也は犬の訓練士になろうとしているんでしたっけ。
○ みんな立派になってよかったよなぁ。一人ぐらい上手くいっていない生徒がいて「俺みたいにならないように今のうち頑張れよ」と言ってもよかった気もするけど。
● その方がリアルだったかもしれないですね。
○ ちょっと話を戻していい? 生徒の面談でね、見栄を気にするヒノケイの母親、アメリカンスクールに進学したいバーバラがいたけど、これって兼末家のことを連想しなかった?
● えっ? 健次郎の家のことですか?
○ そう。実際は家にこもっている兄貴をハーバード大に行っていることにしている、ってのは同じような見栄だよね。しっかり自分の判断でアメリカンスクール行きを決めたバーバラとも対比させている気がするんだけど。関連のないような事柄にも常にどこか兼末家を思わせるような要素を入れるという気遣い。考えすぎかなぁ。
● どうでしょう…。本当だったら深いですね。健次郎の話ということになると、中野事件の方ではついにハッキリと健次郎の名前が出ましたよ。俄然面白くなってきました!
○ 篤が言い出せない有里子の件、中野先生が言い出せない暴行の件、そのどちらにも関わっている健次郎の名前を、金八がズバリと言ったよね。今まで何度も健次郎の方を微妙な表情で見ていたシーンがあったけど、やっぱり金八つぁんは分かってたんだ。
● 金八先生、健次郎を確信を持って「あいつは毒だ」とまで言ってましたよ。もう、ゾクゾクしました。手下のヒノケイたちも徐々に金八派になっているようで…
○ 健次郎は健次郎で、金八先生に「あとでゆっくり話ししような」と言われてスゴく動揺してたんだよね。三者面談の代わりに進路の話でもするんだろうな、と思ってもよさそうなのに、そんな余裕はなさそうで。
● 本当に次が楽しみですよ。次回予告では健次郎が金八に自白して謝ってるシーンが出てたんですけど、3Bを操る健次郎、という部分はこれで簡単に終わりになっちゃう?
○ いやいやそれはないでしょう。いろんな可能性を思い巡らしながら一週間を待つことにしよう!
 小ネタ/周辺状況拾い読み
◆冒頭、玄関先で怪しい動きをするヒノケイを金八は遠藤先生だと思い込むが、これは前々回で遠藤が乙女に好意を持ったことを受けてのもの。遠藤先生はすっかり警戒されているなぁ(笑)。
◆ヒノケイの父親は建築関係の会社をリストラされた模様。不景気のあおりを強く受けるのがこの業種である。
◆篤は中一の頃から三年間ずっと中野先生が担任だった模様。
◆三者面談に母親が和装で現れた深川明彦だが、実家は寿司屋を営んでいるらしい。最近は回転寿司に押され気味だとか。
◆今回の金八漢字講座は「毒」。毒という字には母という似合わない字が隠れている。しかし母とは少し違う。真中が点々ではなく棒が一本貫いていて、母を真っ二つにして苦しめている。だから毒だと。
◆荒谷二中の不良三人組は桜中への転校を要求するが、なぜかセンターの手伝いをさせられるハメに。要るシーンなのか?
◆転部を考えているという3B卒業生・高鳥よし江だが、英文科から福祉住環境学科へ移りたい模様。
 他シリーズとの比較
■影のレギュラー
…ヒノケイの母親役で登場した鷲尾真知子さんは、前作ではガリ勉の日下信二の母親として、第3シリーズでは高峰英和の母親として登場し、三作続けての三者面談出演という快挙を達成。
■進路の国際化
…三者面談で加藤バーバラはアメリカンスクールへの進学を口にしたが、同様に国際的な発想をした生徒は、第2シリーズの石川祐子(ハワイ・マッキンレイ高への進学を希望)、第4シリーズの伊藤美文(本籍のある台湾への引越し)、第6シリーズの鶴本直(性差別の少ないオランダへ渡ることを希望)など。
 この回の挿入歌
◇センターのお年寄りが八代亜紀「舟歌」を歌うシーンがあったが…リストに入れるほどではないかな。

7話≪ | 放送年表 | ≫9話

金八先生マニアックス