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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


◆ 第5シリーズ 9話 「ギャルの父は先生」

デラ(香川佑太朗)は松崎のお婆ちゃんがセンターに来ていないと大騒ぎ。体調を崩して入院してしまったのだ。金八(武田鉄矢)は、センターのお年寄りを励ましに行こうとする生徒たちに「時にはそっとしておくことも大事、それが礼儀作法というものだ」と教える。また、市村篤(内田祐介)は毎日Eメールで様子を報告してきていた。金八はこのレポートの提出をもって篤を出席扱いにして欲しいと申し出、校長の承認を得る。

その晩、金八は兼末健次郎(風間俊介)を自宅に呼び、篤が不登校になった理由についてついに直接問い質す。事の真相のかなりの部分が金八の知るところであると悟った健次郎は、真犯人は別の生徒だが自分もまたその名前を出すことは出来ないのだと芝居を打つ。その場は健次郎を帰した金八だが、「君には騙されない」と決意を新たにする。

今度は渋谷へ繰り出した太田アスミ(森下加奈)、そして塩沢好太(森雄介)と中込祥夫(平野良)は、ガングロギャルへ手当たり次第に声を掛けている北先生(金田明夫)の姿を発見、翌日の3Bはその噂でもちきりとなる。援助交際ではないのか、なぜ本当のことを話さないのか、最近のいい加減な授業態度と関係があるのか、と生徒から突き上げをくらう北。やがて金八が仲裁に入り、北はゆっくりと真実を話し始める。

恥ずかしい話だが、家に帰らない自分の娘を探し回っていた。知られたくないことだったので君たちに嘘をついてしまった。知らず知らず長男ばかり大事にして、娘が歪んでゆくのに気がつかなかった…。北のプライベートに踏み込んだ告白を、3Bは神妙に聞き入る。金八は北の勇気を見て何を感じたか、と生徒たちに問い掛け、この話を聞いた感想文を明日までの宿題とする。「北先生は自分の魂を語ってくれました。だから君たちも魂を込めて書いてください。それが礼儀です」と熱く語るのだった。

99年12月9日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 森一弘

視聴率: 12.7%

DVD: 第4巻

小説本: 第16集

 みどころ&勝手な解説
● 今回はついに金八先生と健次郎が直接対決! 前回の終わりに流れた予告では健次郎が頭を下げてる様子が映っていたので、もう解決に向かうのか、なんだか早いなぁ、なんて思ってましたけど、演技で切り抜けようとしたということだったんですねぇ。
○ でも金八先生には全く通用してないんだよね。「君には騙されないぞ」って金八つぁん、モノローグでスゴイ迫力。もう健次郎がクラスの毒だとすっかり確信を持っているという。
● 健次郎の意見を100%信じないなんて、さすがの眼力ですよね(笑)。かなり本気の対決になりそうで目が離せない。それから、あの後、帰り道で健次郎が空き缶を蹴っていたシーンがあったんですけど、覚えてます?
○ 車に轢かれて潰されたやつ?
● そうです。いかにも意味ありげに挿入された場面だったんですけど、あれは単に破裂寸前の健次郎の気持ちを象徴したものですかね? もしこの後あの空き缶と同じような事故に遭う暗示だとしたら…あまりにも酷い目に遭いすぎる気がするんですけど、考えすぎかなぁ。
○ 健次郎は家庭環境が十分不幸だからねぇ。それが白日の下に晒される前にまた別の不幸が重なってくるとは考えにくいんじゃないかな。象徴的シーンと言うならね、その少し前のおにぎりをうまく使ったシーンの方がよかったな。
● 健次郎にも出されて、幸作もバクバク食べてたおにぎりですね。
○ いかにも手作りでさ、家庭の愛情みたいなものがそこに込められていたように見えた、いい演出だったなぁ。
● なるほど。だから坂本家ではそれを一家団欒で食べる様子があったし、健次郎にお土産に持たせたのにもしっかり意味があったんだ。
○ 後半は北先生の話だったけど、これはもう中野先生の要素も健次郎の要素も内包されていたね。物語全体の理解を助けるために出されたエピソードだといっていいと思う。
● 具体的には、北先生の「知られたくないことだったので嘘をついてしまった」というセリフは中野先生と同じ立場でしたよね。「何でも兄が一番」「いい子を演じるのに疲れた」といった娘さんは健次郎と重なるところです。
○ そう。思い切って真実を話せば生徒の理解を得られると示されたことで、こっちは中野先生を応援したくなるような気持ちになるし、ねじくれた子にも悲しい理由があるという例を見て、健次郎に同情するような気持ちが芽生えてくる。そんな効果があったんじゃないかな。
● いい話だったと同時に、そんなことが…。深いですねぇ。
○ あと忘れちゃいけないのは、北先生が大変だ、という報せを受けて教室に駆けつけた金八は、まず健次郎の様子をチェックしてるのね。今回は関係ないのに。
● 健次郎、完全に毒だと思われてますね…。
 小ネタ/周辺状況拾い読み
◆サオリと雅子が松崎さんを病院までお見舞いに行っているが、二人ともそんなにいい奴だったとは! 意外。
◆松崎さんの飼い犬・タローは犬の訓練士を目指している3B卒業生・桜木伸也が預かることに。センターで預かればと思いがちだが、17時を過ぎたら閉まってしまい夜間は誰もいなくなるので不可能。ちなみに伸也は前回に引き続いての登場。
◆今回の金八漢字講座は「忌」。己の心と書く。恥ずかしいこと、不吉でたまらないこと、恐ろしいことを「忌まわしい」と言うが、人間はそれらを心の深いところに沈めながら生きていくのだ、と説いた。

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