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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


◆ 第5シリーズ 10話 「3B短歌発表会」

兼末健次郎(風間俊介)は花子先生(小西美帆)に電話を掛けるがほとんど無言のまま切ってしまい、花子に似た面影を持つ亡き姉の写真を抱きしめる。隣の部屋に引き篭もる兄の物音が家中に響く…。また、金八(武田鉄矢)は自宅療養中の中野先生(ラサール石井)の精神的リハビリのため、元桜中教諭の服部(上條恒彦)が責任者となっているフリースクール「風」を紹介、中野は気が重いながらも足を運んでみることにする。

3Bでは、市村篤(内田祐介)もEメールで参加して、全員参加の短歌発表会が開催。雅号を用いて匿名にし、和歌そのものに込められた作者の気持ちを大いに楽しんで欲しいと金八が言うと、生徒らは積極的な意見交換で盛り上がる。金八もそれぞれの作品の良い点に目を向け、つとめて生徒を誉めているようである。

一首ずつ合評形式で採りあげていき、最後に残ったのは「友を恋い 人を恋いてなお 死にたき吾れを いかに説き伏せむ」という句。誰の目にも篤のものだと分かるその句について、金八は不遇の死刑囚・島秋人さんが刑の執行の直前に詠んだ「いのち愛しむ」という言葉を引き合いに出し、未来ある者はどんなに辛くても「死」という言葉を使ってはいけないと強調、死にたいという言葉を使った友達をどうか励ましてやってください、と語るのだった。

放課後、健次郎は姉の法事のため明日欠席したいと金八に申し出る。フリースクールで一日を過ごし、学校の枠を取り去ったその場所で不登校の子どもらが楽しそうに過ごす様子を見た中野は、「教師として忘れていた何かがそこにあるような気がした」と、しばらく「風」に通ってみたいと言う。

99年12月16日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 鈴木早苗

視聴率: 15.1%

DVD: 第4巻

小説本: 第16集

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
● 今回はちょっと変わった趣向で「短歌発表会」です。劇中で金八先生は「合評会」と言ってましたけど。
○ 金八シリーズの中にはたまにあるんだよね。授業をまるまる流す回が。
● ひとつの授業をそのままに近い形で映して、それでほぼ一つの話になっちゃうってスゴイですよね。計ってみたら約34分間もありましたよ! しかもその間、CMは一度も挟まれてないんです。
○ 生徒のほとんどがみんな楽しそうに参加していて面白かったよね。金八先生も誉めるから生徒の方もいい気分になって盛り上がるし。
● 生徒の中には自分の詠んだ句が採りあげられたときに自然に驚いているような子もいたんで、半分内容シークレットで撮ってたのかなぁなんて思いながら見てました。本当に皆いきいきと積極的に授業に参加した楽しいシーンでしたよね。
○ そして、前半が楽しかったぶん、篤や島さんの句を紹介するときのしんみりした雰囲気との落差が大きくて、グッときたというか、余計にジーンときたわけだけど。合評の盛り上がり、やたらと生徒を誉める金八、前振りだったんだなぁ。金八先生の本気の語りはすごく胸に響く。
● あの…さっき「皆積極的だった」と言ったんですけど、そういえば健次郎だけはあの活発な合評会に自分からは全然発言しなかったんですよ。悪の枢軸であることがバレたんで、もう優等生のふりをしなくなったんでしょうか。
○ 健次郎は、金八先生の「あいつは毒だ」発言以来、すっかり可哀想な部分を強調して描かれるようになったんだよねぇ。
● さて、「いのち愛しむ」のキーワードが出たことだし、いよいよ次の2時間スペシャルでは大事件が起こりそうですね。
○ 予告では金八さん、辞表を出してたよね! ものすごく気になるなぁ。
● 次回は年をまたいで3週間後…辛いなぁ。
 小ネタ/周辺状況拾い読み
◆荒谷二中の不良三人組も「風」にいて、すっかり馴染んでいた。
◆生徒たちが詠んだ短歌は、公式サイトにその内容が詳しく載ってます! 要チェック。
◆色の言葉を一切出さずに色彩を詠った美しい句として金八が紹介した「のちの月 ぶどうの実の 見ゆるかな」は、小林一茶の弟子である俳人・夏目成美が詠んだもの。金八はこの名前を「なるみ」と言ったが、「なつめ・せいび」と読むのが正解。しかも「のちの月 葡萄に核(さね)の くもりかな」が本当。
◆ヒルマン、仏教徒であることを告白。だから坊主頭なのか。その坊主頭を生かして「初日の出」ネタを拾うも、だだすべり。
◆花子先生は、小、中、高とバレーボール漬けの生活を送っていた模様。
 他のシリーズでは
■服部先生
…フリースクール「風」の服部先生は、以前は桜中に勤務していた教師で、金八のよき戦友。第1シリーズ12話では野球部の顧問として平山英吉のスポーツ推薦問題に絡み、第2シリーズ13話ではそのヒゲ面をもって幼い歩を泣かせてしまったことも。のちの第7シリーズ20話では力尽きた金八がこの服部先生のもとへ教師を辞める報告をしに行く。
 この回の参考文献/挿入歌
◇ 新米校長奮戦記 (中村諭著、文芸社)
◇ 遺愛集 (島秋人著、東京美術)
◇ 成美家集 (夏目成美)
◇ 切手のないおくりもの (財津和夫、「サボテンの花〜grown up」に収録)
※ 合評会の途中、金八が童謡「夕焼け小焼け」と鉄腕アトムの主題歌を歌いだすシーンもあり。
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