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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第6シリーズ 3話 「ガン告知の時…」

遅刻常習の信太宏文(辻本祐樹)には、実は理由があった。自宅である信太製作所は不況で生産が落ち、母・町代(金久美子)は金策と称して遊び歩いているらしく夫婦仲は最悪、両親は信太に無関心であるという恵まれない環境の中で毎日を送っていたのだ。金八(武田鉄矢)はそんなノブタの実情を知らず、「早起きは三文の得だぞ」と説教してしまう。

病室の幸作(佐野泰臣)は苛立ちが募り、安井ちはる(岡あゆみ)を含めた周りの人間に八つ当たり。意を決した金八は本当の病名を告げる。幸作の手を握った金八は「辛い治療を頑張って耐えろ」と励まし、遠藤先生(山崎銀之丞)から託された小児癌経験者の本を手渡して「三人で少しずつ読もう」と言うのだった。

そのころノブタは、両親の夫婦喧嘩に耐え切れず家を飛び出していた。雨に打たれ、行き場を失った信太は金八の自宅へと走るが、金八は幸作の元へ行っており留守。涙を流しながら何度もチャイムを押す信太。憔悴の中帰宅すると、母親は家を出ていってしまっていた。

あくる日もノブタは学校に遅刻。授業中の教室で突然「世界一のアホや!」と叫び、金八の胸で泣く。異変に気付いた金八が「家で何かあったのか」と聞くが、信太は気丈に笑顔を見せるのだった。

01年10月25日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 福澤克雄

視聴率: 16.4%

DVD: 第2巻

小説本: 第19集

参考文献・挿入歌

 みどころ談義
● 幸作に病名を告知するという、辛いシーンがありました…。ただ、それと一緒に仲間がすごく応援してくれているということも伝えられたので、幸作は前向きに病気と闘う意欲を持てたというところですね。
○ これから闘病生活はもっともっと辛いものになるだろうけどね。健次郎の部屋に幸作とちはると三人で撮った写真が飾ってあって嬉しかったなぁ。メールも嘘みたいに続々届いてたし(笑)。
● そしてもう一つ、フラフラといつも遅刻ばかりするノブタには理由があった、というお話も軸でした。家庭に問題を抱えているのは金八先生だけじゃないんですね。
○ 工場が不景気で傾いて家庭にヒビが、というのはこのドラマに欠かせないシチュエーション。第3シリーズの山田裕子の家なんかがそうだった。
● ノブタ君は従業員のおじさんから「ボンボン」と呼ばれてるみたいですけど、金持ちのボンボンという感じではないですね。
○ あれはボンボンというよりバカボンだよ。ノブタの部屋はバカボングッズで一杯だったし。
● そういえばノブタは第1話からずっと、主に困ったときなんかに「レレレ〜」と言ってますね。まるでレレレのおじさんのように。
○ でしょ? バカボン一家は収入源もはっきりしないのに幸せそうに暮らしてるんだけど、それはバカボンママが唯一まともにバランスを保ってるからなんだよね。でもこっちの信太一家は家族バラバラで、喧嘩が絶えない。よりどころであるはずの母親が出て行っっちゃったから。
● へぇ〜(笑)。そこまで深い意味が込められてますか。
○ つまり、ノブタ少年の憧れの家庭像がバカボン一家なんじゃないのかな。
● むむぅ。
○ ダメ? この説を決定的に裏付るのが、母親が出て行ったあとのシーンなんだと思うんだけど…ちょっと見てみて。絶望して錯乱するノブタの隣にいる父親は、バカボンパパそのままの格好をしてるよ。
● どれどれ…あはは、本当だ! よく気づきましたね〜。しかし思い切った演出するなぁ。
○ 最後に3Bにも触れておきたい。数学は二班に分かれて同じ教室で別な授業をしていたけど、あれが今は当たり前なんだろうか。
● 今度は先生に恋する生徒が出てきましたよ。しかもなんだか陰湿なニオイがします。また今後が気になる生徒が一人…。
○ それから、長谷川賢のキャラクターってどうなんだろう。直はそのハキハキとして爽やかなところに好感を持ちはじめてるんだと思うけど、それにしては不思議ちゃんの要素が強くて。
● 数学の授業で「あっちがいいなぁ」なんて当てつけがましいこと言ってましたし、過去の2話でもスポチャンで今井儀のあたまを小突いてみたり、唐突にリコーダーを吹いたり…。結構謎の行動を取ってるんですよね。
○ そうそう。かと思えばいつも妙にシリアスで、冗談が通じなさそうな雰囲気があるし。まだ掴み切れないな。
 小ネタ/周辺状況
◆ 笠井美由紀が非常勤講師・小林に好意を寄せている模様。ちなみに第4シリーズでは管久美子が阿部先生と噂になった。
◆ その授業では乾先生が「負けたらスカートを穿いてもいい」と宣言して確率の実験。サイコロを120回振り、出目に5回以上の差がつけば恥ずかしい姿になるところだった。ちなみに第1シリーズでも同様の宣言をして冷や汗をかいたことがある。
◆ 「射幸心にとらわれてはいけない」や、「朝飯ちゃんと食ってきたか?」は、第3シリーズで詳しくとりあげていたテーマ。
◆ 職員室では英語の補助教師・ジュリア先生が突然熱唱。
◆ 正義感溢れる平八郎の弁当は豪快。巨大なおにぎりを笹の葉で包んだだけという、時代錯誤も甚だしいもの。可笑しい。
◆ ノブタの父親がテレビを見て爆笑しているシーンがあるが、その音声から、番組は「学校へ行こう!」の「スタイリストポリス・GO巡査」コーナーだと推測される。
 参考文献/挿入歌/BGM
◇ 【音楽】 Un-Break My Heart (トニ・ブラクストン)
◇ 【書籍】 三十五億年の命 (中村桂子著、光村図書)
◇ 【音楽】 まっすぐの唄 アコースティックヴァージョン (海援隊)
◇ 【書籍】 岩波ことわざ辞典 (時田昌瑞著、岩波書店)
◇ 【書籍】 種まく子供たち—小児ガンを体験した七人の物語 (佐藤律子編、ポプラ社)
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