金八先生マニアックス 「金八先生マニアックス」は、TBSドラマ「3年B組金八先生」を勝手に深読みし分析するサイトです。リンクはご自由に。

ホーム放送年表/鑑賞ガイド > 第7シリーズ7話

3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第7シリーズ 7話 「友情が芽生える時」

金八(武田鉄矢)は夜の街で、シンナーの影響か雄叫びを上げて走り回る小野孝太郎(竹内友哉)の姿を見かける。翌日孝太郎を保健室へ呼び出して注意しようとするが、孝太郎は約束を無視して下校してしまう。

小塚崇史(鮎川太陽)の父が経営する貿易会社に捜査班が踏み込んだ。社員が覚醒剤を密輸しているというのだ。捜索の対象は崇史の自宅にも及び、傷ついた崇史は部屋に閉じこもってしまう。そんな崇史に丸山しゅう(八乙女光)は「頑張れ」とメールを打つが、崇史は「おまえに何がわかるんだ」と返信してしまう。

その翌日、欠席した長坂和晃(村上雄太)の母・律子(柳岡香里)が授業中の教室へ怒鳴り込んできた。悪い遊びへと誘う孝太郎を別クラスに替えるまで和晃を登校させないと主張すると、同じく欠席している崇史の話題になりクラスは混乱。麻田玲子(福田沙紀)が「崇史に惚れている」とつい口走ってしまい好奇に晒されるが、からかうクラスメイトをしゅうが「やめろ」と制する。玲子はしゅうに崇史への手紙を託そうとするが、しゅうは自分で渡せと言う。

放課後金八は和晃の家へ向かう。和晃は孝太郎をたった一人の友達だと言い、切り離したら死んでしまうとまで思っていた。金八は一人寂しく夕食をとる孝太郎にそのことを報告し、シンナーをやめるよう忠告すると、孝太郎は神妙な顔つきをする。

そのころしゅうは「見せたいものがある」と崇史を呼び出していた。自宅に連れて行くと、そこには激しく損傷したトラックが佇んでいるのだった。

04年11月26日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 加藤新

視聴率: 12.0%

DVD: 第3巻

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
● 今作のテーマの一つだといわれるドラッグ問題にいよいよ本腰、といったところでしょうか。
○ 孝太郎のシンナーと、崇史の父親が経営する会社で起こった覚醒剤密輸事件、という2つの大きな流れがあって、そこで友情がクローズアップされつつ、クラスの恋愛模様もうまく絡んだ回になったね。
● そうでした。恋愛模様も描かれていましたね。
○ 冒頭、金八先生がホームレスに間違われるシーンがあったでしょ。塾帰りだと思われる7人の生徒たち(玲子、哲史、淳、崇史、シマケン、奈穂佳、浩美)が出てくるんだけど、その中の5人が恋愛模様の当事者なんだよね。
● 二枚目で勉強もできる崇史に玲子と浩美が惹かれていて、お嬢様の玲子に淳と哲史は憧れている。淳は実際に玲子の荷物持ち。で、その中で男子一番人気の崇史の家に覚醒剤密輸騒動が持ち上がると。
○ 教育のしっかりした家庭に見えた。密輸は社長の知らないところで社員が勝手にやったことだよね。だから崇史はいわれのない汚名を着せられたと怒る。父親を「信じて待とう」と金八に言われて一旦は収まりかけた崇史だけれども、自分の部屋も調べられると聞いてまた爆発する。怒りと悲しみが増長されて。
● 崇史はショックを受け部屋に篭ってしまう。「玲!」とクラスで強気だった割には意外に打たれ弱い印象です。
○ そのあたりのことをしゅうがちゃんと感じている、というのが嬉しかったよ。クラスで崇史父の会社の覚醒剤騒動が話題になって、しゅうは帰宅して新聞を見て噂が本当だったと知る。
● しゅうの家はちゃんと新聞取ってるんですね、あんな状況なのに。
○ …それでね、ここで「親のドラッグ問題で悩む子」という条件で二人の立場が一致するの。しゅうが本当は思いやりのある子だというのは今までも端々で感じられていたし、しゅうも実際同じようなことで苦しんでいるから、声を掛けて励ましてやりたいと思うんだよね。
● なるほど。でも崇史は「お前に何がわかる」と返しましたよ。
○ それは崇史がしゅうの境遇を知らなかったから。だからしゅうはラストで崇史に壊れたトラックを見せて、なんとか自分のことを伝えようとする。おそらく崇史はしゅうの昔の家の印象しかなかったんだね。
● あっ、そうか。頭の中で今ものすごく繋がりましたよ。スッキリしました。でも奥の部屋と母親の暴力のことはまだ言い出せないんですね。切ないなぁ。
○ そのあたりのことは、どうやら舞子だけが知っているようだね。弁護士の父に「しゅうの家はあんなになっちゃったし」と言っているから。ただこれもしゅう父の凋落の事を知っているにすぎなくて、継母の暴力については知らなさそう。
● クラスで唯一しゅうの家庭の秘密を知っているから、舞子は授業中もずっとしゅうのことを気に掛けて視線を送っていたんですね。授業中といえば、その翌日だと思うんですが、和晃の母親が強引に入ってきて、クラスで騒動が起きました。ここで恋愛話がちょっと絡んできますね。玲子が崇史に惚れてると勢いで言っちゃって、淳と哲史ガーン、伸太郎が早速話に食いつく、というような。
○ そうだね。和晃母が授業に乱入してくる少し前、金八が言った言葉を覚えてる? おそらく長田弘の詩に関したことだろうけど、「人のために悲しみ、人のために苦しむことができる。ゆえに人に対して優しいことができる」。
● 和晃の母のテンション、あの声量はTVドラマというより舞台っぽかったですね。…あっ、スイマセン。どうぞ続けてください。
○ えーとね(笑)、崇史が悲しい思いをして欠席しているのにそれを面白おかしく言い立てることが我慢できなかったんだね、しゅうは。周りがザワザワして授業に集中していない中で、相手の身になって考えてあげよう、という金八のその言葉をしゅうはちゃんと聞いていた。
● それで「よせよ!」と言ったんですね。玲子の方は助けてもらったと感謝するようですが、しゅうは自分のこともあって、無責任な噂話が嫌だということがまずあったと。だから手紙を届けるのも断った。
○ あれはくだらないラブレターだと思って断ったという見方もできそうかな。
● たしかに今回のサブタイは恋愛感情じゃなくて「友情」ですからね。ではもう1つの友情、孝太郎と和晃はどうですか。「たった一人の友達」というセリフが印象的で。二人とも孤独だったからゲームにハマったんでしょう。そしてゲームが縁で友達になったように想像できます。
○ 孝太郎は父親とはすれ違いの生活で、母親と妹は出て行ってしまっている。なんとなく無表情で喜怒哀楽の怒の部分だけが突出してる理由が分かったような。和晃のように家族がそばにいないぶん、シンナーに手を出して寂しさを紛らわしていたんだろうね。
● 孝太郎も根は優しい奴だと思うんですよ。はじめの方で金八に呼ばれた時、まぁ保健室には行きませんでしたけど、ソーランを経てちょっと心を開いたのかちゃんと金八先生の方へ歩いていって用件を聞いていたし、一人で弁当を食べてはいましたけど先生に水を出す気持ちはある。お茶とかじゃなく水でしたが。
○ 和晃が泣いていたことを伝えると箸が止まったもんね。ただ、これで改心して孝太郎のシンナー問題は終わり、とは当然ならないはず。それにしてはちょっと今まで見せた内容がハードすぎるし、しゅうとの関連性もあるから、まだまだ波乱含みには違いない。
● でも、孤独だと思っていたのに、和晃が「友達だ」と泣きながら言ってくれたと知ったことは大きいですよね。気持ちに変化があったのもまた間違いない。
○ そういうことだね。さて、他に何か気づいたことはある?
● 孝太郎が保健室に来なかった場面、小塚物産に捜査班が踏み込んだ場面、この2回ともカメラが変なズームの仕方をしたんです、唐突に。何か意味あるのかな?
○ 私はヤヨの「静かにしてください」だね。以前はああいう状況になるとパニックに陥っていたけれど、ヤヨなりに慣れてきた、成長したということかな。
● それから最後の金八先生の言葉「あなたに優しくできたから、優しい私になりました。私を作るのは、あなたです」も印象に残りました。友情ってまさにそういうことですよね。
 小ネタ拾い読み
◇今回の相田みつをの言葉は「花はただ咲く ただひたすらに ただになれない 人間のわたし」
◇和晃の部屋に泊った孝太郎、オレンジ色のパーカーを着ていた。
◇崇史は自分の部屋に熱帯魚の水槽がある。
◇和晃の母が教室に乗り込むシーンで、黒板の日直の欄に「車掌」とあだ名で書いてある。
◇金八、「ゲット」を「ガット」とわざとらしく言い間違えるが、さほどウケず。
 過去の金八シリーズでは】
■ドラッグ問題
…第6シリーズで今井儀の兄がドラッグに溺れ大暴れし、家を半焼させる火事を起こした事件があった。
■高層マンション
…第4シリーズで広島美香、第5で市村篤、第6で鶴本直が住んでいた。広島美香は引越し済み。
 みなさんからの印象的なお便り】
◆下駄箱で玲子を見つめる淳の姿が「星あきこ(註:巨人の星・飛雄馬の姉)」のように見えました!! (秋日子さん)
◆管理人様もたぶんお気づきかと思います。和晃のパジャマがオレンジでした。なんか派手だな… (うまーさん)

6話≪ - 放送年表 - ≫8話

金八先生マニアックス