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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第7シリーズ 6話 「からだという本」

金八(武田鉄矢)と本田先生(高畑淳子)を頼って、卒業生の広島美香(小嶺麗奈)と高鳥よし江(水間ちづる)が桜中にやって来た。養護教諭になったよし江は、生徒の保護者や行政の反対にあったため所持できなくなった性教育用の人形を預かって欲しいというのだ。ところがその人形を目ざとく見つけたB組の生徒たちは、本田の目を盗んで面白半分にからかい保健室で大騒ぎ。その様子を性教育に反対する立場である千田校長(木場勝己)に見つかり、金八と本田は大目玉をくらう。

クラスに戻った金八は、教科書に載っている「世界は一冊の本」を例に「からだも本だ」と教え、同時に、この騒動をどう解決すればいいか考えるよう促す。生徒たちは、ソーラン節を見事に踊りきったのと同様に、荒れ果てた保健室を一致団結して片付けるのだった。

その放課後、騒ぎを聞きつけた麻田玲子の母親・優子(筒井真理子)が抗議にやってくると、かねてから民間校長問題等を抱えていた校長が倒れてしまう。狭心症で入院が必要ということであった。校長は安定剤、導眠剤、抗鬱剤を多量に常用し、薬物に依存した生活を送っていたのだ。

幸作(佐野泰臣)とともに家路につく金八は、途中で乙女(星野真里)と合流してホッとするのも束の間、シンナーを持って不良らと行動をともにする小野孝太郎(竹内友哉)の姿を見つけるのだった。

04年11月19日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 三城真一

視聴率: 10.3%

DVD: 第3巻

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
○ ソーラン節が前回で一段落して、今回はまた新しい情報がいくつか出てきたね。
● 一応、話の軸は性教育の話でした。
○ でもこれはまだイントロにすぎない気がする。騒ぎ立てたことを反省して保健室をみんなで掃除する、というのはソーラン節で団結力と自主性が根付いたことを表した一つのエピソードだったし、「この体は預かりものだ」という説教も良かったけれど、肝心の「性教育と学校の立場」という問題は校長が倒れてしまったことで流れてしまった。
● 言われてみれば、玲子の母親が乗り込んできてどう対処するのか見ものだと思った矢先に校長先生が運ばれて行っちゃいましたね。
○ それに校長が没収した三冊の性に関する本。あれは時間の経過からみても人形を預かる前から金八や本田先生が持っていた資料だということだよね。本田先生も「丁度いい機会。いずれ校長先生とも話さなければと思っていた」というようなことを言っている。
● ということは、まだ本題には入っていないと。
○ そう思うんだけどなぁ。まぁでもこの問題にあまり深入りすると現実の東京都教育委員会に問題提起するのが目的のようになっちゃうから、そんな内容にはせずに進めてもらいたいね。
● う〜ん。それにしても校長先生、今シリーズでは随分とヒステリックなキャラクターになっていたんですが、かなりのストレスと鬱で苦しんでいたんですね。
○ あれは切なかった。悪者が持つ孤独。「私の降格処分を狙ってるワケですか」とやけに被害妄想が膨らんでいたり。そういうことだったのかと気づいたら急にいい人に見えてきた。この理屈でいくと国井先生も十分にヒステリックだから危険だということになるんだけれど。
● みんながみんなそれぞれに闇を抱える、という暗いドラマになってしまいそうな気もしますね。…それで、先ほど「新しい情報がいくつか出てきた」と言いましたが、他にはどんなことがありましたっけ。
○ 和晃が孝太郎にたかられて、でも教科書の読む箇所を教えてやったり不良から連れ戻そうとしたり友達だと思っている。しゅうと崇史がお互いに「昔のお前の方が好きだった」と言っている。それと典子が性の話にやけに反応がいいのも気になるね。
● 有希が空手二段(笑)。玲子を見つめるガリベン君。量太が本田先生にきちんと謝ったこと。玲子の家がブルジョアだというのも今回分かりましたね。金持ちが多い今回の生徒。でも何やら居心地が悪そう。金八先生はそれを見事に見抜いていて玲子に優しく接する。さすがです。
○ いやいや。でもね、和晃が孝太郎から離れて着席していたり、しゅうが遅刻してきたりというサインを見逃しているんだよなぁ。校長vs本田の対決シーンでも「私の教え子の物です」と頑張ることだってできた。なにより校長の弱い部分に気づいてやれなかった。あんまりスーパーマン視するのもどうかと思うけど、まだペースをつかめているとはいえないと思うんだよ。特にしゅうの場合はノブタの例があったにも関わらずフォローを忘れているという。
● たしかに。しゅうがヤクザに追われていて何か問題を抱えていることは金八先生も知っているはずなのに。今回もヤクザに見つからないように遅れて登校してましたね、しゅうは。
○ みんなと同じ時間に登校した方がかえって見つかりにくいと思うけどね(笑)。
● しゅうが舞子と土手を転げ落ちたシーンがありましたが、あれも意味がありそうですね。
○ アレは暗示的なシーンだったと思う。この後しゅうが舞子をトラブルに巻き込んでしまう展開になるか、もしくは、しゅうはこれで自分と舞子が一緒にいると舞子にろくなことがないのではと思うようになり避けるようになって、いっそう孤独になるとか、そのどちらかじゃないかと見た。
● しゅうがわざわざ舞子を連れて逃げようとしているのもポイントですね。
○ ただ一緒に逃げてくれる人が欲しかったのか、舞子の顔を見られてはいけないと判断したのか…。
● 僕はあの転げ落ち方を見てですね、二人の心と体が入れ替わってしまうんじゃないかと心配しました(笑)。
○ 「俺がアイツで…」って? ははは。そういうのは小林聡美さん(第1シリーズで安恵美智子役だった)でもない限り大丈夫でしょう。
● あと気になったのは坂本家の三人が家路につく最後のシーンで、「本当の親子みたい」「本当の兄弟みたい」という会話があるんですよ。血の繋がった家族じゃないんですか?
○ あれは冗談めかして言っただけでしょ。もちろんそれは今の母親と血が繋がってないだろうしゅうへのフリだとは思うけれど。
● やはりしゅうと母親はいずれ何か大事件を引き起こすんでしょうね…。で、最後に孝太郎がシンナーを持って不良とどこかへ消えていくシーンに出くわします。
○ しゅう→父親らしき人→ヤクザ→不良グループ→孝太郎、と不穏な輪が繋がったことになるわけだよね。
● これ、前回のラストにあった次回予告で印象的だったシーンですよ。先週の予告の一場面が今週のラストシーンでお目見え…ってズルいですよね。
○ それだけいろいろな出来事が詰まっているし、まだまだ引っ張るぞということじゃない?
● ヤラシイ見せ方だな〜。気になって仕方ない。
 小ネタ拾い読み
◇第4シリーズ卒業生、広島美香と高鳥よし江が登場。養護教諭となったよし江のバッグには「タコヤキお守り」が。
◇よし江は金八の自宅に人形を持っていけばよかったのに。
◇「男女混合名簿を改める」についてはここを参考に。
◇「性教育で都の査察を受けた養護学校」についてはここを参照。
◇「15歳まではセックスはダメという法律」についてはこちらを。
◇小田切先生は「ギリ様」として女生徒に大人気の様子。
◇浩美が玲子に「淳にも逃げられた…」というようなこと(よく聞き取れず)を言っているシーンがある。以前にも男に振られたことがあるのだろうか。崇史?
 過去の金八シリーズでは
■朝の10分間読書
…第5シリーズの年明けから始まった。
■遅刻
…第6シリーズの信太宏文が遅刻の常習者。両親の不和が原因だった。
■タコヤキお守り
…第4シリーズ15話で、高校推薦合格組がこれから受験を迎える生徒に何かしてあげられることはないかと相談し、作ったタコヤキ型のお守り。元々は桜木伸也が「タコヤキ」をクラスの合言葉としたことに由来する。以降、金八シリーズではタコヤキが友情の象徴して扱われることとなった。
■「もう保健室でメイク落とさなくていいですよね」
…第4シリーズ12話。人知れず家庭に問題を抱える広島美香は、紫蘭女子高の面接試験に化粧をして臨んでしまい、保健室で本田先生が洗顔してやったことがあった。
■性教育
…第1シリーズ6話「愛の公開授業」はあまりにも有名。第6シリーズ21話では性同一性障害についての授業が行われた。
■寝た子を起こす
…第1シリーズ「十五歳の母」で、金八は「生徒は寝た子じゃない、しっかり目を開いてこっちを見ている」と言っている。

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