初回 古典ギリシャ語とは

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みんな死んでしまった

 今日は最初の授業だった。まだ教科書を買っていない学生も多かったので、先生はギリシャ語とはどんな言葉かという話をしてくれた。

 先輩に聞いた話ではギリシャ語の単位を取るのは難しいらしい。なのに、苦労してこの授業をマスターしても誰とも話せないそうだ。何しろ紀元前5世紀頃のギリシャ語だもの、喋っていた人はみんな死んでる。ギリシャの新聞を読むための言葉ではなくて、プラトンとかアリストテレスとかを読むための言葉なのだとか。

 ほかに読めるものとしては、ちょっと違うけど新約聖書とか、ヘロドトスとか何とか高校の世界史で聞いたような聞かなかったような名前がでてきた。授業でやるのはアッティカ方言という言葉で、ギリシャ語にはほかにもいろいろ方言があるけど、アッティカ方言はいろんな方言の中間みたいな感じなので、とりあえずこれを勉強しとけば他の方言も見当がつくよ、ということだった。まあ、つぶしが効くってことか。

 何にしても発音とか現代ギリシャ語とは違うから、ギリシャに行っても通じない。新聞も読めない。どうしてそんな使えない言葉の授業が開講されているかというと、ギリシャ語は語源としてヨーロッパの言葉に入り込んでいる、とか、西洋的思考の源泉だとか、先生は熱心に話してくれたけど……半眠り。要するに日本語にとっての漢文みたいなポジション、という話だったと思う。

本日の買いもの 辞書と文法書

水谷智洋『古典ギリシア語初歩』(岩波書店)

 これが教科書。まさに授業用。一年で終われるように文法解説の表現はものすごく凝縮してある。先生に説明して貰わないと分からない。練習問題の例文をネイティヴの(?)古典ギリシャ語から取ってあるのが良い、ということで教科書に選ばれたようだった。
 ただし、難解だというのは先生もお分かりのようで、いくつか初級文法書を紹介してくれた。(それぞれ変化表に誤植があったりするので、二種類以上あると安心。)

※ 北野研究室内、『古典ギリシア語初歩』雑感に、このテキストの批評があります。

田中美知太郎・松平千秋『ギリシア語入門』(岩波全書)

 安さが魅力。ほかの入門書の半額くらい。Goodwinという人のGreek Grammarがネタ本らしくて、練習問題なんかはここから拾ってあるという話だった。練習問題の解答がついてないので独習には不便。

※ KAMADA's World内、Greek Grammarに解答例(一部)が公開されています。

古川晴風『ギリシヤ語四週間』(大学書林)

 練習問題の解答がついていて自習向き。まじめな同級生はこれを買っていた。でも、いくら何でも四週間でやるのは無理だと思う。
 文法の解説は詳しい、というか濃い。参考書用に便利なのに、初心者には調べにくい索引なのが残念。五十音順ではなくて形態別だし(「名詞」「動詞」の下に、「格」とか「加音」と小見出しが入る)、文論も「条件文」というだけで、用法の項目がない。惜しいなぁ。

田中利光『新ギリシャ語入門』(大修館書店)

 解説文が読み易かったので、私はこれを買った。発行が新しいからか、印刷もきれい。でも例文がひたすら新約聖書なのは萎える(と言っても文法解説は聖書のギリシャ語に限定されているわけではない)。

池田黎太郎『古典ギリシア語入門』(白水社)

 自習向き。練習問題の解答がついているうえ、朗読のテープ(別売り)まである。すごい! 古典ギリシャ語で会話することはないにしろ、まったく発音できないのでは覚えづらいし、独習でやろうという人には便利。

古川晴風『古典ギリシャ語辞典』(大学書林)

 実用に耐える語彙数を持つ日本初の希和辞典だそうだ。良くも悪くも記念碑的著作という話だった——が!そんなこと言っても仕方ない。これしか希和辞典は無いんだから。
 と思って買う気になったが止めた。4万5千円なんて学生に買えるシロモノではない。結局先生にすすめられた Liddell & Scott の希英辞典を買ったのだけれど、英語が分らないから使えないー(T_T)
 結局同類の学生たちと学校の備品(禁帯出)を奪い合って使うことに。ここは江戸時代の蘭学塾かい。やはり無理をしてでも希和辞典を買うのが賢いと思った。グノーティ・サウトン(身の程を知れ)。

最終更新日: 2002年6月20日   連絡先: suzuri@mbb.nifty.com