第1回 文字と発音

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小文字をおさえるのだ!

 今回はアルファベットの話だった。ドイツ語やフランス語だと英語と同じ字(ラテン文字)だから馴染みやすいけど、ギリシャ語は数学とかで使ったアレ。まぁ、デーヴァナーガリー文字みたいな見たこともない字でないだけサンスクリット語選択の奴よりまし……と我が身を慰める。

 ギリシャ語のアルファベットは24文字×大文字・小文字で48文字。ほかにも特殊な文字があるけど、これは数字を表す時しか使わない。大文字も固有名詞とか段落の初めで使うだけらしい。というこ・と・は——小文字24文字だけ覚えれば何とかなるのでは?!

字母表

基本的にはδ→d、ι→i、とラテン文字のアルファベットに置き換えて行って、それをそのままローマ字読みするだけ。例えば dialogos だと

dialogosのローマナイズ

という具合に置き換えてdialogosをディアロゴスとローマ字読みする。

 間違いやすそうなのは、ξ(=x)とχ(=kh)、π(=p)ρ(=r)。形と読み方が逆なのである。それとθの「th」も、英語に慣れてると「さしすせそ」で読みたくなる。でも「たちつてと」。

 読み方とは関係無いけれど、σは語中、ςは語末で使うというのも暗記事項。

 それとιは下書きのιになって、α、η、ωの下にくっついて、アー エー オーと書かれたりする。大文字になると気息記号との関係がややこしいけど、とりあえず小文字の場合は下書きのιが付いてても付いてなくても読み方は同じ。辞書を引くときもα、η、ωと並び順は同じ。ただし「アー」は必ず「アー」と長くなるので、これだけは注意。

例外はこれだけ

 ギリシャ語は書いてある通りに読めばいい。ギリシャ文字とラテン文字の対応さえ覚えれば、英語はもちろん、ドイツ語やフランス語より発音するのはずっと楽だと思う。でもギリシャ語にも例外はある。

 υは一個だけで出てきたら「y」で「ユ、ユー」だけど、他の母音の後ろにくっついてαυ、ευ、となった場合は「u」「」の音。「アウ」「エウ」になる。更に面倒なことにはουになった時だけは「オウ」とは読まない。「ウー」と読む。「ウー」。(→二重母音)。

 それからγは、ふつうは「g」「がぎぐげご」だけど、後ろにγ、κ、χ、ξが来た時は「n」になる(→鼻音のγ)。たとえばこんな感じ。

hは小さい

 ギリシャ語には「h」、ハ行の音を表す字母が無い。でも「はひふへほ」で始まる言葉はいっぱいある。ではどうするかというと、語頭の母音をハ行で読ませたい時には「有気記号」という記号を上にくっつけて表す。

 これだけなら簡単だけど、困った事に単なるア行で読ませたい時には「無機記号」という記号がつくのである。「有気記号」と「無機記号」って、どっちが h ありだったか——これは根性入れて覚えないとごちゃごゃになりそうだった。

【例】

 「有気記号」か「無機記号」か、片方あれば用は足りるし、そのほうがややこしくなくていいのに。何でも、もともとは「hつき」の「有気記号」しか無かったのに、後の時代の人がわざわざ「hなし」の「無気記号」を作ってくっつけるようになったのだとか。要らんことしてくれる。

最終更新日: 2001年6月9日   連絡先: suzuri@mbb.nifty.com