今回はギリシャ語の文法体系全体の見取り図、みたいな話だった。
第二外国語でドイツ語をとったので、名詞の性と格の話は分りやすかった。男性・女性・中性があるのもドイツ語と同じ。
値段を言う格とか期間を表す格とか、いろいろ細かい用法も先生は説明してくれたけれど、そのあとでやった練習問題からすると、当面はこれだけ覚えれば何とかなりそうだった。
主格(nom.) | 〜は(が) |
---|---|
属格(gen.) | 〜の |
与格(dat.) | 〜に |
対格(acc.) | 〜を |
呼格(voc.) | 〜よ! |
nom.とか略号は、希英辞典で(希和辞典でも!)使われているので覚えておかないと辞書が引けなくなる。ああ、めんどくさい。なんでギリシャ語だけこんな言い方をするんだ?と友だちに愚痴ったら、ラテン語やサンスクリット語の連中も同じ用語を習ったそうだ。1格、2格と呼ぶドイツ語のほうが特殊だったらしい。
両数という数はまったく初耳だった。二つ一組のものを表す数だそうだけど、実際はほとんど使われない。二つでも複数形を使う。ということは単数と複数だけ覚えればいいわけだ。
両数は省略するとしても、これだけは覚えるしかなさそうだ。冠詞なんていちいち確認していたら大変だし、だいいち男性単数主格形以外は辞書にも出ていない。気息記号やアクセントが変わると別の言葉(関係代名詞とか)になるので、冠詞については気息記号とアクセントも覚える必要がある。
冠詞の使い方はいろいろあるけれど、形容詞だろうと副詞だろうと分詞だろうと、冠詞さえつければ何でも名詞になるというのは驚いた。単語だけでなくて、時には句や文全体に冠詞をつけて名詞扱いする。ずいぶん自由、というか適当というか……。
冠詞をつけたら何でも名詞にできるので、ギリシャ語は「善」とか「美」とか形容詞から簡単に抽象名詞を作れる。こういうギリシャ語の性質はギリシャ哲学の発展と無関係ではなかろう、という話だった。こいうことを聞くと、やっぱり本当によく分りたいものは翻訳じゃなくて原語で読まないとだめかなと思う。
ギリシャ語の辞書では名詞の見出しはこうなっている。
(1)は単数主格。これが見出し語。
(2)は単数属格の語尾。属格ではになるというわけ。
実はこの形が本来の姿で、見出し語(主格形)は世を忍ぶ仮の姿らしい。第三変化名詞とかは、主格だけが違う形だったりする。その単語がどんな変化をするのかは単数属格の語尾を見ないと分からない。主格よりも属格形を暗記したほうが使えそうだ。
(3)は名詞の性。とあれば男性名詞、なら女性名詞、なら中性名詞。
最終更新日: 2001年6月9日 連絡先: suzuri@mbb.nifty.com