形容詞をつけて名詞を修飾する場合は、修飾する形容詞と修飾される名詞は性・数・格が一致しなければなりません。
ただし、性・数・格が一致しているからと言って、必ず同じ語尾がつくとは限りません。
のように、冠詞()と名詞(「男」)の間に、形容詞(「知恵のある」)が挟まっている場合、形容詞は属性的位置(attributive position、限定的位置)にあるといい、「知恵のある男」という意味になります。
たいていはこのような位置をとりますが、やという語順になることもあります。
【参考】 どれも属性的な位置であり、「知恵のある男」という意味ですが、若干意味合いが異なります。
やのように冠詞()と名詞(「男」)の組み合わせの外に形容詞(「知恵のある」)が置かれている場合、その形容詞は述語的位置(predicative position、限定的位置)にあるといい、「(その)男は知恵がある」という意味になります。
ギリシャ語では「〜である」にあたる言葉(英語の be のような繋辞的動詞 copulative verb)は省略されることが多く、形容詞が述語的な位置にある語群に終止符をつければ、それだけで(動詞がなくても)独立した文章になります。
ギリシャ語では何でも冠詞をつければ名詞になります。たとえば、「知恵のある」という形容詞の男性単数形に、同じく男性単数の冠詞()をつければ (「知恵のある人」「知者」)という男性名詞になります。
形容詞から作られた名詞は、もとの形容詞の変化を引き継ぎます。たとえば、は第一・第二変化する形容詞で、男性形は第二変化をしますので、 という名詞も第二変化をします。
【参考】 どの性でも数でも形容詞から名詞をつくることができますが、性や数に応じて一般的には次のような意味の差が生じます。
また、ギリシャ語は名詞と形容詞の区別が曖昧で、形容詞がそのまま(冠詞をつけずに)名詞として使われることもよくあります。
【例】