形容詞は名詞と同様、性・数・格に応じて語尾が変化します。名詞と似た格語尾をとりますが、どのタイプの名詞と似た変化をするかによって次のように分類されます。
┌─第一・第二変化形容詞: 女性形が第一変化、男性形と中性形が第二変化 ├─第三変化形容詞─┬─鼻音幹型: 男性・女性が−ων、中性が−ον │ ├─σ幹型: 男性・女性が−ης、中性が−ες │ └─第一・第三変化: 女性形が第一変化、男性形と中性形が第三変化(−υ幹型) │ (−υς、−εια、−υ型) └─不規則変化形容詞
第一・第二変化形容詞、第一・第三変化形容詞というのは、第一変化と第二変化、または第三変化が混合してあらわれる形容詞、という意味です。
どのような変化をするかは形容詞ごとに決まっており、修飾する語の変化の種類には影響させません。例えば、第一変化名詞を修飾する場合でも第三変化の形容詞は常に第三変化をしますし、逆に第三変化名詞を修飾する場合でも、第一・第二変化形容詞であれば第三変化はしないのです。
なお、ギリシャ語では名詞と形容詞の区別が曖昧で、形容詞だけが独立して名詞のように使われることがあります(つまり形容詞が出てきたからといって、文中に必ず修飾される語があるとは限りません)。
第一・第二変化形容詞は次のように変化します。
男性形と中性形は第二変化を、女性形は第一変化をしています。
語幹(黒字の部分)の最後の文字がε、ι、ρの時は−αの変化、ε、ι、ρ以外の単語については−ηの変化をします。−α型と−η型で変化が異なるのは女性の単数形だけで、ほかの格ではどちらも同じ変化をします。
辞書の見出し語でのように「−ος、−α、−ον」になっていればと同様、のように「−ος、−η、−ον」になっていればと同様に変化します。
なお、大半の形容詞は比較級になったとき、第一・第二変化をします。
形容詞には男性形と女性形がまったく同じ語尾になり(男性形も女性形も男性形の語尾)、従って二種類の語尾変化しかしないものが相当数あります。のように、辞書の見出しに「−ος、−ον」という二種類の語尾しかついていない形容詞は次のような格語尾をとります。
このような変化をする形容詞は、合成語やantepaenultima(終わりから三番目の音節)にアクセントを持つ語に多く見られます。
【例】
第一・第二変化形容詞のうち、(「黄金の」。語幹は)のように、語幹が母音で終わる単語では、語幹末の母音と格語尾の最初の音が融合して次のような語尾に変わります。
すべての格で母音融合が生じていますが、綴り字上の変化が現われるのは、男性・中性の単数主格・対格・呼格の時(青字の部分)だけです。
辞書の見出しではというふうに、男性・女性・中性の語尾が表示されています。
のように、語尾が−ων、−ονになっている形容詞は次のように変化します。(神霊)など語幹が鼻音に終わる第三変化名詞と同様の変化です。男性形と女性形は同じ語尾になり、中性形の語尾だけが異なります。
なお、形容詞の大部分は比較級になったとき第一・第二変化をしますが、一部の形容詞の比較級はと同様の語尾をとります。
のように、語尾が−ης、−εςになっている形容詞は次のように変化します。これは語幹が−σに終わる第三変化名詞と同様の変化です。男性形と女性形は同じ語尾になり、中性形の語尾だけが異なります。
のように−υς、−εια、−υという語尾になっている形容詞は次のように変化します。
ほかの第三変化名詞と違って、男性形、女性形、中性形がそれぞれ異なる変化をします。男性形と中性形は語幹が−υに終わる第三変化名詞と同様の変化、女性形は第一変化をしています。このため、このタイプの形容詞は第一・第三変化形容詞とも呼ばれます。
「すべての」、「多くの」、など一部のよく使われる形容詞には不規則な変化をするものもあります。このような形容詞は、辞書の見出し語につづいて変化形が列挙されていますので、それを見れば変化が分かります。
は−ντ幹、は−υ幹の変化をしていますが、不規則です。なお、どちらも両数形はありません。
最終更新日: 2001年10月1日 連絡先: suzuri@mbb.nifty.com