※ I II XI といった数字をお探しの方へ
お求めの数字はギリシャ数字ではなくローマ数字です。「ラテン語数詞変化表」をご参照下さい。
基数詞(ひとつ、ふたつ、みっつ……)のうち、1から10までの数は次の表の通りです。
ギリシャ語の数詞は基本的に不変化詞ですが、1から4までの数は格変化します。このことから、1から4までの数は、5以降の数とは起源が異なるのではないかと考えられています。1から4までの変化は次の通りです。言葉の性質上、1は単数、2は両数、3と4は複数しかありません。
11から20までの数は次のように表現します。
それぞれ1から9までの数と10()を組み合わせた言い方になっています。13から19まででは、「一の位の基数詞++」になっていて、三つの要素を分かち書きして並べます。は英語のandに当たる言葉です。13と14は一の位(、)が格変化します。
20以上の数も、1から9までの数と20、30、40……などを組み合わせて表現します。(1と20)というふうに、一の位から言う場合はが要りますが、大きいほうの桁から(20と1)というふうに並べる場合は、(〜と〜)を省いて、と言うこともあります。
10から20までの数では、11と12は不変化詞で13と14だけが格変化しますが、20以上の数では21〜24、31〜34もすべて、一の位が1、2、3、4のいずれかであれば一の位だけが格変化をします。
百の位は次のようになり、それぞれ型の第一・第二変化をします。
ヘレニズム期になると、次の表のように字母の右肩に「´」を付けて数字とすることがあります。1000以上の数については左下に印をつけます。
21の例に見られるように、二つ以上の字母を組み合わせる場合は、一番最後の字母にだけ「´」をつけます。ただし千の位のしるし(左下につけたしるし)は省きません。
なお、6(スティグマ)、90(コッパ)、900(サンピ)を表す字母は、数字にしか使われない特殊な文字です。
古典期には次のような数字が使われました。
これらの記号をローマ数字のように組み合わせて数を表しました。
【例】
しかし実際のところ、特に数が問題になるようなテキストでなければたいてい基数詞がそのまま使われていますので、ヘレニズム期の数字も古典期の数字も、文学作品などではそれほど頻繁に目にするものではありません。
序数詞(最初の、二番目の……)は数詞対応表の中央の列の通りです。序数詞は形容詞扱いで、修飾する名詞の性・数・格に合わせて、第一・第二変化をします。
基数詞と同様、11以上の序数詞は一の位の数字と十の位(さらに百の位、千の位)をで組み合わせた言い方になっています。13以上の序数詞では一の位と十の位を、接続詞(英語のand)で繋いで並べます。この場合は一の位も十以上の位も、それぞれ格変化します。
また英語などと同様に、ギリシャ語でも分数は序数詞で表します。
数副詞(一回〜する、二回〜する……)は数詞対応表の右端の列の通りです。4以上の数副詞は語尾がに終わっています。副詞ですから、もちろん不変化詞です。修飾される言葉(動詞)が格変化しませんから、修飾される言葉に合わせて格変化することもないわけです。
基数詞や序数詞と同様、11以上の数副詞は一の位の数字と十の位(さらに百の位、千の位)をで組み合わせた言い方になっています。序数詞と違って13から19までの数副詞でも、一の位と十の位を分かち書きにはしません。
21以上の数副詞では一の位と十の位を、接続詞(英語のand)で繋いで並べます。もちろん、どの位も格変化しません。
基数詞「一つ」は、否定を意味する副詞やと結合して、、という合成否定辞になります。英語のno one、none、 nothingなどにあたる言葉で、「一つも〜(し)ない。一人(個)も〜(し)ない」という意味です。
、は、の部分だけが次のように格変化します。
使い分けはほかの合成否定辞と同じで、単純否定辞としてが必要な箇所では、が必要な箇所ではが使われます。また、単純否定辞の後におかれた場合には、二重否定ではなく否定の強調になる点も、他の合成否定辞と同じです。つまり
というように合成否定辞が前にあれば、否定の否定(二重否定)になり、「〜ない者は誰(何)もない」=「みんな〜する、すべて〜である」、という肯定の意味になりますが、
というように、合成否定辞が後になった場合は、否定が強調されるだけです。
最終更新日: 2002年3月5日 連絡先: suzuri@mbb.nifty.com