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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第6シリーズ 19話 「直と政則 II」

ミッチー(川嶋義一)と大乱闘を繰り広げた鶴本直(上戸彩)は、「私は女じゃない、本当は男なんだ」と言い放って教室を出て行く。傷ついた体を引きずり帰宅した直は、カミングアウトしたことを母親に報告。「もうあの学校にも行けなくなってしまった」と涙を流す。残された生徒たちの表情も一様に暗い。中には力になろうと考える者もいるが、あまりに重い問題を前に、自分たちに何ができるのか見当もつかない。金八(武田鉄矢)とて同じ思いだ。

放課後、長谷川賢(加藤成亮)の父で弁護士の清史(中島久之)から金八に電話が入る。賢に強く勧められ、学校に協力したいというのだ。清史はまず騒動の原因である成迫政則(東新良和)について、悪質な報道から逃げるのではなく、正体を明かした上でガイドラインを提示し先制攻撃することを提案。しかしそれには政則が3Bに真相を語る必要がある。同僚の力添えを得た金八は腹を決めて政則を説得。すると政則もまた仲間の励ましでその決意を固めるのだった。

翌日のHRではまず金八が、政則をかばい嘘をついたことでクラスに混乱を招いたと謝罪。そして政則が皆の前に立ち、父が犯した殺人事件について正直に語り始める。最後に「ここでは本当の友達ができた。皆と一緒に桜中を卒業したい」と言うと、祈るように聞き入っていた仲間たちは一斉に協力を誓う。金八は政則が名誉毀損で出版社を訴えることを3Bに説明。一人一人に一体何ができるのか考えるよう促すと、生徒たちは今度は直についての話し合いをはじめる。

乱闘騒ぎ以来欠席を続ける直のマンションへ、学級委員のコボ(佐藤貴広)と青沼美保(本仮屋ユイカ)が出向く。政則が真相を話したことを報告し「次は直の番だと思う」と思い切って言うのだが、どうしても上手く説得することができない。肩を落として帰っていく二人の姿をベランダから眺めていた直はハッとする。金八やクラスメイトが大勢待っているのが見えるのだ。ふと目が合った気がして身を隠す直だが、その瞳からは涙があふれていた。

02年2月28日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 福澤克雄

視聴率: 18.4%

DVD: 第8巻

小説本: 第2122集

参考文献・挿入歌

 みどころ談義
● 前回の乱闘の続きからスタートするんですが、その流れで直が「私は女じゃない、男だ」と衝動的にカミングアウト!
○ 政則に続いて、直の秘密も立て続けに明らかに!
● ミッチーのちょっとしたからかいがここまで発展するとは。いやぁ、ビックリしましたね。
○ 一瞬しんとした後、普通じゃない言葉にちょっと笑いが起きて、でもすぐに事の深刻さに気づいて生徒が次々と泣き出していく…という周りの反応がリアルだった。去っていく直を誰も追わなかったのも、衝撃の度合いを示しているよね。ホントなら直美や美紀やノブタが行ってもいいはずだけど。
● 前回、政則を繭子や哲郎たちが追いかけていったのとは対照的で。直にも心配してくれるクラスメイトはいるんですが、心が通じ合えている友達はまだいないんですよね。本人の姿勢の違い、つまり直は他人に心を閉ざしている部分があるので。
○ さあ、これで3Bは政則と直がそれぞれ抱える大きな問題を知ることになった。それを受けてどう動くかなんだけれど、クラスメイトも金八先生もすぐに壁にぶち当たってしまう。そりゃそうだよね。こんな経験初めてだから、二人のために何をしてやればいいのか見当がつかない。
● そこで彗星のように登場したのが賢の父親! この存在は大きかったですね。専門家のアドバイスで進むべき道が示されます。
○ 戸籍の訂正にもメディアによる人権侵害にも精通した弁護士! これちょっとズルい設定だよなぁ(笑)。
● そこはドラマなので目をつぶっていただいて(笑)。えーと、状況を打破できる可能性を見出した金八先生はこうなるともう一直線。政則を説得して真実を話してもらうことになります。
○ 忘れちゃいけないのが、仲間の存在が強く後押ししてくれているということだよね。政則には火事仲間+哲郎と繭子が勇気づけてくれたし、金八先生にも国井先生と乾先生という戦友がいて、ガイドラインを教育長に掛け合ってくれた。
● 国井先生と乾先生が一生懸命動いてくれた様子は、昔からのファンにとっては涙モノじゃなかったですか? 特に乾先生の「あなたは今までも一つ一つ乗り越えてきたじゃないですか!」という言葉。若い頃からずっと一緒だったからこそ言えるんですよねぇ。
○ その通りだなぁ。池内先生、服部先生も協力してくれたんだもんな。健次郎の兄ちゃんまでが政則を励ましてくれたし。そういう支えが繋がって、政則を「もう逃げるのは嫌だ」とばかりに強い決心を持って自分の口から告白せしめたんだと思うよ。
● 「もうあの学校には行けない」と言う直との違いはそこなんですよね。
○ まぁ、政則の場合は金八先生たちが後ろ盾をきちんと整えたという面も大きくて、衝動的にバラしちゃった直とは状況が少し違うとは思う。でもたしかに直は自分を受け入れてもらうことは無理だともう決めつけちゃっているところがあるんだよな。
● 直の家まで出向いて誠心誠意説得した学級委員、それから下で待っていた大勢のクラスメイト。直は感動して泣いていましたよね。やっぱり仲間の後押しというのが直の心を開く鍵になると思います。
○ 前半では「もう行けない」と泣いていた直が、ラストではみんなの優しさに触れて泣いてるんだよなぁ。これで変わってくれると嬉しいんだけれど。
● まさに「次は直の番」ですね。
○ 完全にヒール化しているミッチーだって、直に「尻尾だけ振ってるペット」と言われたけれど、尻尾を振らなきゃ仲間外れだったのかもしれない。直が3Bに心を開くことができれば、ミッチーをそういう視点でも見てやれるようになるんじゃないかな。
● 次回からは三月です。晴れやかな卒業式に向けて、わだかまりを解いてまとまっていって欲しいですね。
 その他の小ネタ/周辺状況
◆ 本田先生、全く協力する気配のない千田校長を「あのタヌキが!」と陰で罵倒。
◆ フリースクール「風」には兼末健次郎の兄・雄一郎がいた。元気そうで何より。
◆ 帰り道で政則を待っていた繭子の左膝には包帯が。前回政則を追って土手で転倒したときに負傷したものか。芸が細かい。
◆ 政則が3Bに真相を告白した場面で、政則のセリフの長さはなんと6分半!
 参考文献/挿入歌/BGM
◇ 【音楽】 Mitt Hjerte Alltid Vanker —さまよえる心 (SISSEL)
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