5.1.4b 古レールの刻印の調査 (京阪神地域のJR)1st wrote at 1999.10.08 / Last updated at 2006.09.14
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駅・路線ごとの古レール確認リストのうち、JR西日本の京阪神地域のリストです。その範囲は、旧来の大阪近郊区間に準じ、東海道本線〜山陽本線,湖西線,奈良線〜関西本線,片町線〜JR東西線,阪和線,大阪環状線に限定します。このうち東海道本線〜山陽本線は、整理の都合上、米原〜上郡間とします。他の近畿地方を含むリストは別節(北陸〜近畿地域のJR)にまとめています。
JR駅のうち、大きな分岐点駅には古レールが大量に使われ、ホーム全体を覆う様な大規模なホーム上屋が見られたようです。しかし、これらの駅のほとんどは高架化が進行しており、古レールとともに失われつつあります。
路線(50音順) |
(pref.29) 関西本線(奈良県内)奈良県内の関西本線では、王子駅でホーム上屋に古レールが利用されています。余談ですが、橋上駅舎化のため間もなく撤去されると思いますが、奈良駅には鋳鉄製支柱の跨線橋があります。 |
(pref.28) 東海道本線(兵庫県内)兵庫県内の東海道本線では、以下の各駅で古レールを確認しています。東灘,摂津本山,甲子園口 |
(pref.27) 東海道本線(大阪府内)東海道本線では、大阪以東の区間では、摂津富田駅より大阪よりに古レール利用のホーム上屋が見られます。これらの各駅(岸辺・吹田を除く,両駅は下項で紹介)では、1900年以前の古典レールを多数見ることができました。 このうち、摂津富田駅には大阪方の上り線・下り線の両ホームの上屋は双頭レールばかりを使用したものとなっています。また、東淀川駅では内側線の架線ビームがホーム上屋の梁を延長したドーム状となっています。 なお上下線のホーム上屋で断面規格がそれぞれ統一されている事例が見られました。例えば千里丘では1,2番のりばは60ポンド第1種がメインでしたが、3,4番のりばでは60ポンド第2種がメインとなっています。 |
【凡例: (T) 摂津富田 (N) 千里丘 (Y) 東淀川】 |
摂津富田駅:双頭レール利用のホーム上屋 |
(pref.27) 岸辺・吹田(東海道本線)大阪府内の東海道本線の各駅のうち、旧吹田操車場に隣接する岸辺駅と吹田駅のホーム上屋に利用されている古レールは、他の駅(大阪府内の東海道本線)のものと比べてやや新しい年代の60ポンドASCEレールが目立ちます。岸辺駅では内側線の架線ビームがホーム上屋の梁を延長したドーム状ホーム上屋となっています。 |
【凡例: (S) 吹田 (K) 岸辺】 |
岸辺駅:古レール利用のドーム状ホーム上屋 |
(pref.27) 大阪環状線大阪環状線のうち、西側の大阪−西九条−天王寺では、駅施設への古レールの利用は確認できません。 |
(pref.27) 片町線(大阪府内)大阪府内の片町線(学研都市線)では、京橋駅でホーム上屋に古レールが利用されています。 |
(pref.27) 関西本線(大阪府内)大阪府内の関西本線では、以下の各駅などで古レールの利用を確認しています。加美(?),柏原,高井田-河内堅上(人道跨線橋) |
(pref.26) 東海道本線(京都府内)京都府内の東海道本線では、駅上屋等には、西大路駅と京都にしか古レールが確認できません。京都駅のホーム上屋では、6,7番のりば(および4,5番のりば?)の神戸方にわずかですが古レールを支柱に使った部分が見られます。 京都−山科とした ?ARLIGTON は、同駅間の東山トンネル京都側坑口の人道跨線橋(刻印読めず)の近傍で見られるもので、双頭レールです。近くにあるレール使用の境界柵は大半は50kgNレールのようです。 |
【凡例:(N) 西大路 (K) 京都 (Y) 京都−山科】 |
京都駅:古レール利用のホーム上屋
(6,7(?)番のりば)
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(pref.26) 奈良線奈良線では、以下の各駅で古レールを確認しています。桃山,玉水 |
(pref.26) 木津(関西本線,奈良線,片町線)京都府内の関西本線のうち、旧来の大阪近郊区間に当るのは、木津駅のみです。木津駅では、ホーム上屋に古レールが見られます。 |
(pref.26) 片町線(京都府内)京都府内の片町線(学研都市線)では、下狛駅の待合室に古レールが利用されているのを確認したのみです。 |
【凡例: (S) 下狛】 |
下狛駅:古レール利用の待合室 |
(pref.25) 東海道本線(大津〜彦根,滋賀県内)東海道本線の滋賀県内区間(JR西日本エリア)の各駅では、以下の各駅のホーム上屋や跨線橋に古レールがあるのを確認しており、各駅の古レールが調査済みです。膳所, 草津 (跨線橋), 守山, 野州, 篠原, 近江八幡(上りホームのみ), 安土,この区間には古レールは比較的に残っている様です。このうち、75ポンドレールが特徴的な、草津・安土・能登川、50ポンドレールが特徴的な、篠原・近江八幡と稲枝、種類の多い米原は別項に整理しました。 膳所は、比較的古レールの多い駅でしたが、裏面の工マークは読めるものの、表面の刻印の読めないレールが多々ありました。 |
彦根駅:古レール利用のホーム上屋(上り線) |
(pref.25) 草津 (東海道本線, 草津線)・安土・能登川 (東海道本線)滋賀県内の東海道本線では、関西などのの私鉄が発注した50ポンドを中心とするレールが見られることが特徴的ですが、草津駅(跨線橋のみ),安土(跨線橋)と能登川駅(跨線橋)に75ポンドレールが見られ、ホーム上屋も60ポンドレールが主体です。能登川駅は、調査時点で橋上駅舎化のため、ホーム上屋が撤去されている最中でした。この中には遮蔽物があるため全貌が確認できないものの、"1886 NTK"と見えるレールも、ありました。"UNION D 1886 N.T.K." でしょうか? |
【凡例:(K) 草津 (A) 安土 (N) 能登川】 |
能登川駅(改修前):古レール利用の跨線橋と
ホーム上屋(下り線,右側)
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(pref.25) 篠原・近江八幡・稲枝(東海道本線)滋賀県内の東海道本線では、関西などのの私鉄が発注した50ポンドを中心とするレールが見られることが特徴的で。これらのレールが見られる駅をまとめてみました。篠原駅は、ホーム上屋と跨線橋に古レールが利用されています。このうち、跨線橋の梁には、75ポンドレールが使用されていますが、刻印の不明瞭なレールが多く、1904〜1916年の官営八幡製鉄所製,MARYLAND と読めるレールもありました。 近江八幡駅は、上りホームの1番のりばのホーム上屋にのみ古レールが残っています。ここでは、東は成田鉄道 (NARITA)、西は徳島鉄道 (TOKUSHIMA) と各地の発注者名の入った50ポンドレールが見られます。 |
【凡例:(S) 篠原 (O) 近江八幡 (I) 稲枝】 |
稲枝駅:古レール利用のホーム上屋(下り線) |
(pref.25) 米原(東海道本線,北陸本線)駅施設が縮小されてしまった米原駅ですが、新幹線よりの2ホームは、従来のホームがそのまま使われており、古レールが多数残っています*1)。しかしながら、撤去されてしまったホーム(旧1〜5番のりば〉は、米原駅でも最も古い年代のものでしたので、古レールの十分な調査ができなかったのは残念です。ところが、『鉄道趣味懐古 II』の「レールの刻印」の項に撤去されたホームにあったと思われるレールの写真*2)が載っているのを見つけました。いずれも、CAMMELL製のようです。以下に紹介します。「CAMMELLS TOUGHNEDSTEEL.W.1888 ? ? 【看板】」米原駅で主要なレールは八幡製鉄(日本製鉄)製と TENNESSEE で、八幡製鉄製に関しては、5,6番のりばが1948年(神武皇紀では無かった)3月製、7,8番のりばは1934〜1935年製がメインです。 |
*1) 『鉄道考古学を歩く』では、撤去されたとされている洗面台は現存していましたが、撤去されました。 |
【凡例: (5) 5, 6番のりば (7) 7,8番のりば (K) 跨線橋】 |
米原駅:古レール利用のホーム上屋
(8番のりば)
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