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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第7シリーズ 3話 「悪魔のささやき」

金八(武田鉄矢)は、壊された小さな精密機械のようなものを校内で拾う。クラスでそのことを報告すると、ソン(平慶翔)が血相を変えて教室を飛び出していく。その機械はソンの弟・園上幸夫(沼田和紘)の補聴器であり、陰湿なイジメによって踏み潰されたものだったのだ。興奮したソンは弟のクラスへ入っていき1人を殴ってしまう。ところがその生徒は人違いだった。イジメの現場を目撃していたしゅう(八乙女光)は真犯人2人を屋上へ呼び出して写メールで顔を撮影。今度イジメたら写真をばら撒くと脅す。

夜、小野孝太郎(竹内友哉)と長坂和晃(村上雄太)が気を失って倒れているところを保護された。どうやらタバコだと騙されてマリファナを吸ったらしい。孝太郎は悪びれる様子もなく、その経験を翌日学校で得意げに話す。するとそれを聞いたしゅうは我慢しきれずに孝太郎を突き飛ばし、取っ組み合いになってしまう。

放課後の帰り道、しゅうは孝太郎に「いきなり殴りかかるとはどういうつもりだ」と迫られるが、口に出して答えることはできないのである。

04年10月29日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 加藤新

視聴率: 14.1%

DVD: 第2巻

 みどころ&勝手な解説
● しゅうが面白くなってきました。
○ イジメやマリファナ自慢を止めさせようとするんだよね。やり方は誉められたもんじゃないけれど。
● やり方が悪いというのがまた、家庭環境の悪さや近所の噂に何か鬱積するものがあるんだろうなと思わせてくれますよね。
○ 一方で確実に、そういった悪条件に対抗する意識が出てきたともいえる。ついこの間まで麻薬の話に耳を塞いでいた子が、方法はどうあれ「ヤメロ!」と言ってきたんだから。内々に篭らず外へ発信するようになってきた。これはスゴイ進歩だよ。しゅうはやられ放しではなくなってきたと。
● そういえば今回は母親に殴られるシーンがなかったように思います。
○ そういうところにもしゅうの変化が表現されている…のかな?
● なるほど。
○ それから、金八先生が今の生徒を全く掴めていないのも今回で改めてよく分かった。
● といいますと?
○ まず1年生の教室で暴れるソンを止めようとするシーンでは金八先生は止めきれず吹っ飛ばされて、場を収めたのは仲の良い直明だった。直明は「昔の3Bの話やめてもらえるかな」と言った生徒。こういうところに象徴されているよね。ソンの弟が「小5のとき、先公が黒板の前に10人並べてぶん殴った」せいで片方の耳が不自由になったというエピソードも、同じようなことを過去にやったことがある金八とはズレがあった。
● たしかに。
○ さらに、「一人前という字は…」という昔ながらの説教が、植木屋のお父つぁんには通用しているんだよ。これが逆説的な意味で効果てきめん。生徒には伝わらないけれど、親の世代、それも昔気質のようなお父つぁんにだけは感動してもらえるという。悲しいシーンだったなぁ。
● そう考えていくと金八先生はとことん取り残されていますよね。なるほど、僕の疑問もこれで解けましたよ。後半で金八先生が喫煙経験の有無を挙手させたシーンがあったじゃないですか。そこで「伸太郎が真っ先に手を挙げた」と言ってしまうんですが、いくら伸太郎がお笑いキャラだとはいえこんなことあってはいけないじゃないですか。
○ そうだねぇ。
● これ、ズレをなんとか修復しようとして、かえって自分を見失って空回りしてるんだなぁって。
○ そういうこともあるかもしれないね。ユニークフェイスは伝染するという事実無根の話が出た時も、すぐ否定してやればいいのになんだか煮え切らない対応だった。リズムを掴めていないというのはあるね。
● これから金八先生がどうなってしまうのか心配だ…。
○ でもね、1年生を殴ってしまったソンに対して、二度とするなと言うのではなくて「ヤヨがもし3Bでいじめられたら、お前もう一回暴れてくれるか」とある程度認めてやっていた。ああいう頭ごなしにしない収め方というのは昔から変わらない良い点で、今回も伝わったワケだから、四面楚歌という感じではないと思うなぁ。
 
● 話は変わりますが、今回の話を語る上で外せないポイントに孝太郎のふてぶてしさもあると思うんです。
○ 彼はよかったよね! マリファナ体験を語るときのいやらしさといったら。和晃を訪ねた時も、代わりにゲームを貰えればいいという所など、かなり悪く描かれている。二階から和晃が寂しそうに見ているんだよね。となると和晃はまだ従的で、孝太郎が主的なワルということになりそう。
● はじめからずっとゲームに没頭している姿が、中毒症状というか、そういうものを比喩的に表していたということですかね。
○ いいところに気づいた。
● 今回のヒール役決定でしょうか。
○ この子にはこの子なりの問題があるだろうから完全なヒールではないと思うけれど、まぁそうだね。かなりの視聴者が孝太郎のキャラクターにムカムカしながら見てたと思う。でもそう思わせたということは孝太郎役の竹内さんがすごくいい演技をしたということも言えると思うよ。
● なんだか今回は良いところを誉めてばかりですね。
○ ん〜、オリンピックスの話題にだけはなぜかノリノリな3Bとか、気になるところはあるけどね。
● 僕は相田みつをさんの詩が今回も取り上げられるとは思いませんでした。次回予告でも出てたので来週も取り上げるんですよ。こう続けられると若干プロモの臭いもしてくるという(笑)。
○ オリンピックスは道徳の授業の題材、相田さんの詩は国語の教科書に載っている、とでもそれぞれ一言さえあれば、必然性の面で全然印象は変わったと思うんだけどなぁ。
● それならある程度納得できたかもしれないですね。
○ でもまぁ、全体的にはとても面白かったよ。
 小ネタ拾い読み
◆タイトルバック。第2話に続いて、第3話からは生徒が一人一人振り返るシーンもCGで青空になった。
◆乙女が怒ったシーンでビールが結構大量にこぼれたが、誰も拭こうとしないまま芝居は続行。
◆優等生の崇史と玲子が何やらあるような素振り。
◆舞子は弁護士の娘。
◆しゅうの家の奥の部屋に、男性が寝たきりに。車椅子も置いてあった。
 過去の金八シリーズでは
■先公が黒板の前に10人並べてぶん殴った
…第5シリーズ11話で、金八も生徒の代表者を黒板の前に並べて殴り、辞表を提出していた。
■土下座
…第1シリーズ12話で、息子を高校にスポーツ推薦してくれるよう平山英吉の父が土下座して頼み込んだことがあった。
■タバコをイタズラしたことのある者
…第1シリーズ11話、海援隊のライブにて武田鉄矢が学生時代を振り返り「ちょっと大人のマネをしたら自分がすこぶる英雄になった気がする。それ故よくやっていたのがタバコ」とMC。
■ビールをこぼしたのに撮影続行
…第1シリーズの中盤あたりでも、金八がラーメンだかお汁粉だかをこぼしたのにそのまま演技を続けているシーンがあったような気がする。
■弁護士の子
…第6シリーズの長谷川賢も父親が弁護士だった。第1シリーズの岡村一男の父は検事。

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