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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第7シリーズ 21話 「揺れる金八、大揺れの3B」

金八(武田鉄矢)は退職願を提出した。板橋校長(木野花)は「教師も人間。ミスは当たり前だ」と慰留するが、金八の決意は固い。25年来の同士である服部先生(上條恒彦)と乾先生(森田順平)は金八の「力尽きた」発言を教師としての敗北宣言だと語り合うが、50歳をすぎた金八の気持ちの衰えも理解し複雑な心境になる。乙女(星野真里)は傷つき苦しむ金八の側にいてやりたいと青木(加藤隆之)のプロポーズを断る。

丸山しゅう(八乙女光)の面会許可が下りた。小塚崇史(鮎川太陽)からしゅう宛ての手紙を預かり馳せ参じた金八は、しゅうの元気な様子に喜び「生きる」の詩を再び朗読して励ます。しかししゅうをまたも禁断症状が襲い面会は終了。金八はやり場のない悔しさで一杯になる。しばらくして正気になったしゅうは、ひとり崇史からの手紙を読む。「君は一生の友達だ。もう一度やり直そう」という言葉に勇気づけられ涙を流す。

3Bは落ち込む金八を励まそうと卒業遠足を企画するが、金八は感謝しつつも参加はしないと言う。そんな折、小野孝太郎(竹内友哉)が高校生とケンカをしていたことが発覚。金八の立場をさらに危うくするつもりかと厳しく叱責する3Bだったが、孝太郎がしゅうの苦しみに気づけなかったことを謝りたい一心で麻薬・ドラッグ撲滅のポスターを手作りし貼っていたゆえのトラブルだったと知ると反省。楽しむだけの卒業遠足ではなく3Bらしい「何か」に企画を変更しようと動き出す。

部屋に閉じこもったままの稲葉舞子(黒川智花)を麻田玲子(福田沙紀)が訪ねる。はじめは見て見ぬふりの舞子だったが、日が落ちて寒さに凍えながらなお待ち続ける玲子の姿に心打たれついに外へ。「大事なことは、これから何をしてあげられるかでしょ!」と諭されてハッとする。

卒業遠足当日。金八は家まで迎えに来た生徒に強引に連れ出されると、そこには街頭で懸命にビラを配る3Bの姿が。生徒たちは遠足の代わりに麻薬・ドラッグ撲滅キャンペーンを企画し、行動に出ていたのだった。成長ぶりに目を細める教師陣。久々に顔をみせた舞子がクラスメイトと金八に心配を掛けたことを詫びると、しゅうを除く3年B組29人と金八ら教師陣は団結してキャンペーン活動に精を出す。

「あなたの声はちゃんと子ども達の心に響いていた。辞表は撤回ですよね」と嬉しそうに問い掛ける乾に対し、しかし金八はなおも「私の気持ちは変わらない」と答える。「辞表」という言葉を偶然聞いたデカあす(清浦夏実)とチビあす(杉林沙織)は、寝耳に水の事態に驚くのだった。

05年3月18日放送

脚本: 清水有生

演出: 加藤新

視聴率: 16.1%

DVD: 第8巻

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
○ 次回予告を見た?
● えっ? いきなり次回の話ですか?
○ いやいや。そういうワケではないんだけれど、裁判長役の役者さんが平田満さんだったような気がして。
● どれどれ…あっ本当だ!
○ 中野先生役を果たせなかったリベンジ登板になるよね (註:平田さんは第5シリーズの中野先生役に決定していたが、交通事故のため急遽ラサール石井さんに変更となった) 。しゅうに審判を告げる重要な役割になりそう。いよいよ最終話を残すのみか…。
● まぁまぁ、その前に21話の感想を。
○ そうだね。今回は意外な生徒が意外な行動に出て、そのことでこの半年間の3B全体の成長ぶりが示されたような感じで。
● まず孝太郎ですね。てっきりバイヤーの高校生にケンカを吹っかけに行ったのかと思ったし、また視聴者にそう思わせる見せ方だった気がするんですが。
○ それが自分で麻薬撲滅ポスターを作って、お店にお願いして貼らせてもらっていたというまさかの展開。
● ビックリでした。しかも、しゅうについてからかわれたことよりも、しゅうの苦しみに気づいてやれなかったことの方が悔しい、なんて大人になったようなことを言うじゃないですか。
○ おそらく、しゅうを面白がって揶揄した高校生が少し前までの自分の姿に重なって見えて、二重に許せなかったんだろうね。それで我慢できなくなっちゃって、つい。
● なるほど…。
○ 思えばさ、3Bのみんなが卒業遠足を企画して遠藤や小田切を誘って盛り上がっていた時も、孝太郎はそんなことには興味がないとばかりに協力せずにその横を通り過ぎていて。あの中では最も「今どんな意識を持つべきか」について分かっていたのが孝太郎だったのかもしれないね。
● ヤヨのお菓子屋エピソードとも似てますね。あの時もまさかヤヨが一番早くに社会への扉を開ける生徒になるとは予想できませんでした。
○ ひとりでポスターを作ったのか和晃と一緒に作ったのかは分からないけれど、決して勉強が好きではない孝太郎が「撲滅」なんて今井儀もカタカナで書いていたくらい難しい字を漢字でちゃんと書いて。
● 慣れない手つきで辞書引いて頑張って調べて書き上げた姿を想像すると、ホント感動ですねぇ。
○ そして玲子も、孝太郎の意識に触発されてか崇史の友達思いの気持ちに触れてか、舞子の家に向かうんだよね。
● 玲子と舞子は、しゅうの「空気悪いねぇ」事件のときに大ゲンカした二人ですよ! その相手を励ましに行って、さらに無視されてもずっと待ち続けて。そして「これから何をしてあげられるかでしょ!」ですからね。カッコよすぎです。
○ 「しゅうが好きなんじゃないの?」なんて余分な恋愛話をくっつけたあたりも、玲子らしくてよかったなぁ(笑)。
● はじめ舞子を気にかけていたのはWあすかの方でしたよね。自分が行くんだと心に決めた玲子が二人にどうやって話を切り出したのか想像するのも面白いですよ。
○ 孝太郎も玲子もさ、頭を下げただろうシーンが完全に省略されているのが面白いんだよね。今言ったように想像の楽しみもあるし、そこまで映像として見せちゃうとウソ臭くなっちゃうということもあるから。あと、玲子が舞子の家の前の木の下にたたずむ姿、今までのキャラと違って思いやりが全面に見えたから不思議な感覚があったんだけれど、そこにはもう一つ、淳と離れてひとりでいた、という要素もから変な感じがした理由だったような気がしない?
● あっ、そう言われてみればそうですね! ついに玲子も淳を使うことから独立したんですよ。
○ そういう心のこもった優しさに触れて舞子は前向きに思い直すことになってクラスに復帰できて。「第2の悲しい生徒」にならなくて本当によかった。ホッとした。
● でも、そういう生徒の成長に目を細めながらも金八先生は決意を変えないんですよね…。しゅうの果てない禁断症状を再び目の当たりにして、改めて相当悔しい思いになったようですし。
○ もうね、金八さんは教室に入る前にため息つくんだよね。前回気づいた「舞子=金八」というところからすると、マジメで責任感が強いために背負い込み顔を上げられなくなってしまった金八さんも、舞子と同じく「これから」に目を向けて欲しいところなんだけれどねぇ。あまりにも落ち込みが激しいんで乙女は大好きな青木の誘いを断らざるを得なくなっちゃって。
● 前作では「いつの時代も親の願いは子どもが自分より幸せになることだ」なんて素敵な言葉を話していたのに、今、知らず知らずのうちに乙女の幸せを奪ってしまいそうなところに来ているんです。
○ 「教師の覚悟」なんて崇高な意識を持っているように見えて、実はすごく狭い視野の中で悩んでいるのかもしれないな。乙女や同僚、教え子が自分を思って動いてくれたことを察した金八がその気持ちを素直に受け入れられないなんて、本来ならばないと思うし、このまま落ち込んで辞めていくことは崇史が身を投げたことと本質は一緒なんだよ。
● アッコさんが「先生の背中、あんなに小さかったかなぁ」と気掛かりになるのも分かりますよね。伸太郎の壷事件の時にはホントに頼もしかったのに。
○ 宇宙レベルのさ、それこそ天網恢恢の視点から見ると、金八の悩みも理想もほとんど同じ位置にあるように見えるはずなんだよ。下ばかり向いてちゃそのことも忘れてしまうよね。天高く見上げるのが辛いなら、せめて竜馬の写真くらいは思い出して欲しいなぁ。
● またまたそんなロマンチックな表現しちゃって(笑)。
○ でもホントそう思うんだよ。崇史の手紙に励まされたしゅうは顔を上げて光を見つめていたじゃない。
● 崇史からの希望の光…
○ 夜になると今度は星の光が入ってくるでしょ。それは、元気だった頃の金八先生が目映く放った光が、3Bという惑星に反射して、しゅうの窓辺に届く光なのかもしれないなぁ…。
● 金八先生にはいつまでも恒星であって欲しいと。…って、さっきからどうしたんですか、このロマンチック表現のオンパレードは! ガラにもない(笑)。
○ つまり、最終回が間近になって感傷的になっているということです。
● いろいろあった今作も次でお終いですか…。う〜ん、なんとか希望あるラストになってもらいたいものですね…。
○ そのために、平田裁判長にはぜひとも正当な処置をお願い申し上げます!
 
 小ネタ拾い読み
◆金八が提出した退職願を、板橋は「受理するかどうかは卒業式まで考えさせてください」と預かっている形。
◆卒業遠足に「行かない」金八。青木と一緒に「行けない」乙女。
◆金八は明子からもらったリンゴを今回は里美の遺影の前に供えた。
◆金八、乙女が買ってきた食材を確かめずに「幸作にちらし寿司を作る」と勝手に決定。
◆舞子は金八と同様に卒業遠足への参加を断っていた。
◆しゅうと金八、ガラス越しに手を繋ぐ。直後に激しい禁断症状…。
◆乙女と青木が話した喫茶店の外には雪が。北国を思わせる。
◆金八が心配でそばにいてやりたい乙女、親が心配で北海道へ戻ることを決めた青木。
◆崇史の部屋に熱帯魚の水槽が復活! 部屋自体は変わっており、引越しはもう済んだ?
◆崇史はしゅうのために都立二次を回避、来年しゅうと同じ高校への進学を希望。
◆卒業遠足の代替案に一瞬困る3B。しかしすぐに「また話し合えばいいじゃん!」。前向きな意識が浸透。
◆舞子、部屋に閉じこもっている割には身だしなみがしっかり。さすが育ちのいいお嬢様。
◆玲子が最初に舞子にメールを送ってから顔を合わせるまでの間に、舞子は一眠りしている模様。
 これまでの物語との比較
■金八の背中
15話では伸太郎が金八の頼もしい後姿に深々とおじぎしたものだったが、今回では明子が「先生の背中、あんなに小さかったかなぁ…」と。
■同級生への手紙
7話、父親の会社が覚醒剤密輸に関わっていたことで塞ぎこんだ崇史へ玲子が手紙をしたためてしゅうに託そうとしたが、しゅうは「自分で渡せ」と断った。今回は崇史がしゅうへの手紙を金八に託した。
■孝太郎
…序盤からシンナーに手を出しマリファナまでやって気絶するほどの悪ガキだった孝太郎。実際に底なし沼へ片足突っ込んだ経験のある者ならではの意識の変化で今回ポスターを自主製作するまでに。
■玲子
…自分本位の女王様ぶりが印象的で、舞子と大ゲンカをした経験もある玲子。「命の授業」以来わだかまりが解け始め、今回ついに舞子に前を向かせ、クラスへの復帰に大きく貢献。大ゲンカのマイナスの記憶も吹き消した。
■ビラ配り
15話で伸太郎の親の給食費未払いに抗議してデモを敢行した3B。今回は麻薬・ドラッグの恐ろしさを人々に伝えるキャンペーン。
 みなさんからの印象的なお便り
◆「3度目」。坂本金八が出した「退職届」です。1回目はSP4でいじめっ子の父親達が金八を桜中学から追い出すべく行動に出、辞表覚悟で最後の授業をした時に出したはずです。この時は結局、雪乃や保達の努力によって撤回されました。そして、2回目があの健次郎達を殴った時に出した退職届です。あれも周りの先生達のお陰で和田校長が破ったと思います。さて、今回の退職届は誰の力によって破られるのか? はたまた受理されてしまうのか? 全ては来週の金曜日に答えが待っているんですよね。 (袴田課長さん)
◆舞子の部屋にリンゴの置物らしきものがあるのですが、ガラスでできているようで、これも何かを象徴しているのかな? (やまだれいこさん)

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