第5回 子音幹変化(第三変化)の名詞

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複雑だけど

 第三変化が出てきてぐっと苦しくなった。辞書の見出し語(主格形)と格変化した形がまるで違う。しかも変化のパターンがてんでばらばらに見える。これを全部覚えるなんて!と青ざめたけれど、でも、よく見るとグループに分けられるようだ。語幹の最後の字が

 とりあえず大筋は四通り。どの変化でも基本的にはこういう語尾がつく。

第三変化名詞の格語尾

β,γ,δ,θ,κ,π,τ,φ,χ:不規則なのは見かけだけ

 第三変化では単数主格形を見ただけでは語幹が分からない。でも大丈夫。辞書には単数属格形も書いてある。単数属格形から語尾の−οςを取ったのが語幹。そこに格語尾をつければできあがり。

 ただし!

 単数属格形から語尾の−οςを取った時に、最後に出てくる字が閉鎖音(β,γ,δ,θ,κ,π,τ,φ,χのどれか)だと、単数主格・対格、複数与格の時に字が変わる。二文字がくっついて一文字になったり、二文字のうち、前に来たほうが消えたりする。

 この(↑)字母の変化は動詞の変化にも出てくる(未来形、アオリスト)。動詞の練習をしているうちに覚えてしまっていたので、閉鎖音幹の変化はわりと飲みこみ易かった。

λ、ρ、μ、ν:だいたい上とおなじ

 単数属格形−οςを取った時にλ、ρ、μ、νが出てくる名詞は、単数主格・呼格の時に何も語尾をつけない。その代わり、主格の時は一番うしろにある母音が長くなる。

 あと語幹の最後がνの名詞は、名詞複数与格のときにそのνがなくなる。

 これ以外は、語幹がβ,γ,δ,θ,κ,π,τ,φ,χで終わる名詞と一緒。例外もあるけれど、ま、余裕があったら覚えよう——というのは甘かった。例外の中にはやたらによく使う名詞が入っていたのだ。

よく使う例外

例外だけど大事なもの

 語幹がτで終わる言葉のうちでも−ατになっている言葉は、ほかの名詞とはちょっと変化が違う。こういう単語はけっこう多くて、普通のギリシャ語の文章にもしょっちゅう出てくる。

 anerは−ρで語幹が終わる言葉だけれど、発音し易いようにδが入っていたり、ほかの−ρ 幹名詞とは変化が違う。これもよく使う。

−σ:急がばまわれ

σ幹変化語尾

 ぱっと見ると、第三変化の語尾とだいぶ違う。母音が融合したせいで不規則に見えるだけで本当は規則通りなのだ、と先生は丁寧に説明してくれたけれど、母音融合の規則を覚えていないと、やっぱり不規則な語尾にしか見えない。

 暗記しか道は無いかと観念して−σ幹の語尾を丸暗記した(けれど、母音融合の規則は母音融合動詞の変化にも使いまわせる。母音融合の規則を覚えたほうが効率が良かったのだ)。

母音幹

ι幹υ幹変化語尾

 −ιや−υが出てくるほう(右側)は分かるけれど、左側は何なのだ?!

 語幹自体が入れ替わるだなんてどうしよう?と途方にくれたけれど、何のことはない。こういう名詞は、辞書を見れば格変化がちゃんと書いてある。古典ギリシャ語で会話することなんて無い。時間はたっぷりあるのだから、分からなくなったらゆっくり辞書を見ればいい。古典語を選択して良かったなぁ、現代語選択の連中は可哀相に——と喜んだものの、さて、問題は定期試験。辞書持込み試験だと良いのだけれど。

最終更新日: 2001年8月26日   連絡先: suzuri@mbb.nifty.com