第1回 3/3

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  1. 文字(前々頁)
  2. 表記法(前頁)
  3. 母音(前頁)
  4. 子音(前頁)
  5. 気息記号(前頁)
  6. 省音
    1. 後続子音の帯気化
    2. 省音しない場合
    3. 省音後のアクセント
  7. 融合
    1. 融音
    2. 母音融合の原則

省音

 母音で終わる言葉の後に、母音で始まる言葉が続く場合は、母音が連続して現われることになります。このような母音連続(hiatus)をギリシャ語は嫌い、しばしば前の単語の語尾の母音を省音(elision:母音省略)して母音連続を回避します。省音した箇所には省略された母音の代りにapostrophe(’)をつけます。無気記号と同じ形の記号です。

後続子音の帯気化

 省音が行なわれる際、省略される母音の直前の子音が無声音(π、τ、κ)で、後ろに続く単語が有気母音で始まっている(有気記号「‘」がついている)場合は、無声音(π、τ、κ)が無声帯気音(φ、θ、χ)に変わります。

無声音→無声帯気音

省音しない場合

 ただし、前にくる単語が次のようなものである場合は、省音は行なわれません。

省音のアクセント

 省音された母音にアクセントがついていた場合は、その母音の直前にある母音にアクセントが移ります(前置詞、接続詞の場合など例外あり)。

融合

 母音が連続する場合、ギリシャ語ではしばしば連続する母音が融合(contractio、約音)して一つの母音になります。

融音

 融合が連続する二つの単語にまたがって行なわれる場合、これを特に融音(crasis)と言います。

 融音した部分には、無気記号と同じ形の記号、coronis(’)をつけます。

 だたし、前の母音が有気母音(有気記号「‘」がついている母音)である場合は、coronisは省略されます。

母音融合の規則

 −σ幹名詞や母音融合動詞の変化に見られるように、母音の融合は、一つの単語の中でも生じます。その場合の融合は、だいたい次のようになります。ただし、例外的な融合もあります。(文字が表示されない場合→[画像])

  後の母音
  α ε ει η ι ο οι ου ω
前の母音 α α α α αι ω ω ω
ε η ει ει η ει ου οι ου ω
ο ω ου οι,ου ω οι,ῳ,ῃ οι ου οι ου ω

 母音融合した場合のアクセントは次のようになります。

最終更新日: 2003年1月3日   連絡先: suzuri@mbb.nifty.com