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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


◆ 第5シリーズ18話 「自分を探す旅」

都立一般入試の日がやってきた。開栄の合格をフイにされた兼末健次郎(風間俊介)ら後がない生徒にとっては、二次募集を別にすれば最後の試験だ。大検で十分だと言っていた森山慶貴(桑原朋宏)も定時制桐ヶ丘高を受験。多様な受験生に好奇心を刺激された慶貴は、会場で知り合った提灯屋の男性に惹かれて作業場を見学させてもらう。やがて行われた合格発表ではこれまで全滅だった生徒もデラ(香川佑太朗)を残して全て合格し進路が確定、幸作(佐野泰臣)も健次郎と同様青嵐に合格したと聞き、金八(武田鉄矢)は安堵する。

そんな折、荒川土手にはバックパッカーとなった深川明彦(亀梨和也)の姿があった。金八のアドバイスでちょっとした一人旅に出たのだ。ただひたすら遠くへ歩こうと考えた明彦だったが、ホテルには宿泊を拒否され、警察に補導されかけた挙句、寿司屋の出前持ちと衝突して弁償金を取られるという散々な目に。河原の片隅でシュラフにくるまれながら一夜をやりすごすことにするのだった。

尾行していた大森巡査(鈴木正幸)の連絡を受け駆けつけた金八は、明彦をすぐに連れて帰ってはせっかくの冒険が不完全燃焼に終わってしまうだろうと、しばらく見守ってやることに。やがて目を覚ました明彦は金八の姿を見つけると安心し、気が済んだから家に帰ろうと言う。帰る道すがら、「いつか寿司トメで3Bの同窓会をやりたいな」そう言って金八は明彦を勇気づけるのだった。空はもう白みはじめていた。

00年2月24日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 今井夏木

視聴率: 18.7%

DVD: 第7巻

小説本: 第18集

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
● 今回は久々に、健次郎中心の構成ではなくいろいろ詰まった回でしたね。まず都立一般の合格発表! デラは残念でしたけど、あとは全員進路が確定しました。
○ 担任が変わるところから始まって問題ばかり起こしたにしては「桜中始まって以来の優秀な学年だ」なんて、少々虫がよすぎる気もするけど、でもまぁ無事に済みましたと。
● 幸作も健次郎も青嵐に合格しました。これでライバル同士が同じ高校に進学することになりそうです。小学校からの縁はまだ切れないみたいですよ。
○ 健次郎は今度こそ進路が決まったかな。でも、母親は相変わらずだし、今回は兄まで「留年すればいいじゃないか」なんて言って。ホント自分勝手な一家を抱えてさぁ…まだまだ救われないんだよな。気の毒。
● でも救いと思えるようなシーンもあったじゃないですか。青嵐を受ける時に、真規子が「頑張ろう」と声を掛けて。あれはたぶん健次郎にとっては失脚後、ちはる以外の3Bから初めて掛けてもらった励ましの言葉ですよ。大きいんじゃないかなぁ。
○ ちはるに対する言葉も「あんがとな」から「ありがとう」になってたから、確実に素直に受け入れるようにはなってきているんだけどね。真規子については同感。皆にいい子だね。慶貴が勘違いするのもよく分かる。
● 慶貴が定時制を受けて、しかも初対面の人と積極的に交流して家にまで見学に行くなんて、ちょっと前までは全然考えられないことでしたけど、これも真規子が…まぁ金八先生の策略もあるんですけど、真規子が心境の変化もたらしたというのが面白いですね。
○ 慶貴はもともと一直線になるタイプだから、自分の中で矛盾がなくなればこういう意識革命もアリなのかもね。
● 後半は明彦がクローズアップされました。
○ 前回のラストを受けての小さな一人旅ね。独り立ちするための勉強。
● ヤな感じの寿司屋の出前持ちに足もと見られて、今までの明彦なら突っかかるところだったと思うんですけど、そこで逆に見習の大変さを感じ取ったというのが、これもう成長したことの証しですよね。
○ 文句なくいいエピソードだった。途中に挟まれたカレーライスのシーンもよかったよね。旅先の蕎麦屋で小遣いをはたいてがっついた明彦のカレー、冷たくなった皿をレンジで温めて一人さみしく食べた健次郎のカレー、幸作が腕をふるって家族で食べた野菜ゴロゴロの坂本家のカレー。それぞれの状況がよく表されていたよ。
● 大森さんもカレーパンを食べていた気がします。あの人も頭に傷を負ったはずなのにもう普段通りに巡回に出て、大したお巡りさんです。
○ みんな傷を抱えながら、それでも懸命に生きているんですよ…なんてね。
 小ネタ/周辺状況拾い読み
◆今回の金八漢字講座は「商」。かつて中国に商という国があり、その市民は国が滅んでもなお「商人」と名乗り生き抜いたという。商いとはそれほど誇り高いものなのだと。また、「飽きない」仕事なのだとの俗説もあるとか。
◆敏江の家業は総菜屋さんらしい。
◆遠藤先生が「日本で初めてエンジンを作った提灯職人」の話をしたが、これは幕末期・宇和島の嘉蔵のこと。のちに前原巧山となる人。
◆安井病院のシーンで登場したちはるちゃん、ちょっと化粧が濃かったような気が(笑)。
◆明彦が少年野球の輪に加わり楽しそうにキャッチボールをするシーンがあるが、明彦役の亀梨さん自身も野球が特技だとのこと。確かにキャッチングがしっかりしておりかなりの経験者っぽい。
◆明彦は特上寿司と並の見分けが一目でつく模様。伊達に寿司屋の息子ではない。
 この回の参考文献/挿入歌
◇ 【資料】 学力観を変える時 (東京新聞社説)
◇ 【書籍】 酔って候 (司馬遼太郎著)
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