成長を続ける小都市 Boise on the Web
アイダホ州ボイジー地域情報

1. はじめに

アイダホ州と聞いてアイダホポテト以外のものを思い浮かべることができる人は少ないであろう。 アイダホ州は西部山岳地帯の6州の間にはさまれた場所に位置しアメリカ開拓史上もヨーロッパ人に最後に発見されたいわゆる僻遠の地である。 州名はインディアンの言葉「山の宝石(Gem of the Mountain)」から来ている。 アイダホ州の州都ボイジはフランス語から来た地名で「森」と言う意味であるが、およそこの地名を知っている日本人はまれである。 最も近い比較的大きな都市はユタ州ソルトレークシティーで、そこから336マイル(約540km)も離れている隔絶された山間の小都市である。 このボイジを中心とした地域は19世紀なかばのゴールドラッシュ以降、鉱業、農業を中心に発展を遂げてきたが、今世紀に入ってからは全米レベルの大企業を次々と生み出して発展した歴史を誇っている。 木材と紙製品のボイジ・カスケード(Boise Cascade)、フーバーダム、アラスカパイプラインなどの建設に携わった米国最大級の土木建設会社モリソン・ヌードセン(Morroson-Knudsen)、ホテトの大富豪J・Rシンプロット氏の起こしたJ・Rシンプロット(J.R.Simplot) 、全米有数のスーパーチェーン、アルバートソン(Albertson's)に加え、近時はハイテク企業の成長も見られ半導体D-RAMで世界最大級のマイクロン・テクノロジー(Micron Technology)などのグローバル企業が本社を有している。 これらの多様な世界企業の存在がボイジ地域の成長を支え、1980年頃からのマイクロン・テクノロジー、ヒューレット・パッカード(Hewlett-Packard)などのハイテク企業の集積によってその足取りは力強いものとなっている。 90年代前半米国の多くの州が景気低迷に陥る一方で、アイダホ州は既に13年連続の景気拡大を続けている。 1990年代においてアイダホ州は全米3番目の人口増加率を達成し、近時は多くの調査機関等がボイジ地域をビジネスの最適地域として上位にランクするなど、「ブームタウンボイジ」と評されるに至っている。

本レポートにおいては、同地域が大消費地から遠く離れた地域にあり、かつ歴史的にも大きな大学、研究所などの立地に恵まれるなどの条件がないにも拘わらず、内発的な企業を世界的な企業にまで発展させ、近隣のワイオミング州、モンタナ州などの州にはみられない多面的な産業育成に成功した点に注目し、その特異な成功までの経緯とその背後にある低コスト、生活環境、産業政策、独自の内発的要因を検証することとする。

一方、日本においては東京一極集中が顕著であり、地方の小都市において内発的企業をグローバル企業に育てその後も本社を所在させることにより、独自の発展を遂げている例は今までのところ少ない。 しかしながら、今後一層の規制緩和の推進、地方分権の拡大、情報通信革命の進展を背景に、地理的なハンディや中核的大学の不在などの不利な条件を克服し、自立的発展を遂げる日本の地方小都市が出現することが期待される。 この意味において、アイダホ州ボイジの発展形態は極めて示唆に富んでいるものと思われる。

(原題)成長を続ける小都市アイダホ州ボイジの戦略と特性
日本政策投資銀行ロスアンジェルス駐在員事務所

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