成長を続ける小都市 Boise on the Web
アイダホ州ボイジー地域情報

要旨

1. アイダホ州ボイジは日本人にほとんどなじみのない大都市圏から遠く離れたロッキー山脈の中の小都市である。 ボイジを中心とした地域は19世紀なかばのゴールドラッシュ以降、鉱業、農業を中心に発展を遂げてきたが、今世紀に入ってからはポテトで有名なJ・R・シンプロット、全米有数のスーパーチェーンのアルバートソン、半導体D-RAMの世界最大級メーカーのマイクロン・テクノロジーなどの世界的企業が本社を置く知られざるビジネス都市として発展を続けている。

2. ボイジ地域は1970年代までは木材加工、食料品といった軽工業が中心であったが、1970年代以降ハイテク企業の参入が進んだ。 契機となったのはヒューレット・パッカードの誘致であるがこれには経済的なインセンティブよりも労働力の質、ライフスタイルと言った側面が決め手となった。 1980年代前半は木材、鉱業、農業など(基幹産業)の不振で同地域も深刻な不況に陥っていたが、ハイテク産業の成長とそれらの派生企業の出現によって産業構造が多様化し以降安定成長が可能となった。 90年代前半に米国の多くの州が景気低迷に陥ったのとは対照的に、現在までに13年連続の景気拡大を続け、90年代の人口増加率は全米第3位、州別経済成長率ではネバタ州やユタ州などのロッキー山中の諸州についで第7位となっており、最近では全米有数のビジネス最適地として称されている。

3. 同地域の最大の特徴は、土木(モリソン・ヌードセン)、ポテト卸(J・R・シンプロット)、木材加工(ボイジカスケード)、スーパーマーケット(アルバートソン)、半導体(マイクロン・テクノロジー)など全く異なる分野において地元の経営資源を活用したローカル企業が世界的企業に成長し、さらにこれらの企業が成長した後も本社をボイジ地域に所在させていることである。 米国内には大都市圏から離れた地方の小都市にも世界的企業が本社を置き成長を続けると言った日本にはあまり見受けられない地域が存在するが、その中にあってボイジ地域の成功は際立っている。

4. ボイジ地域発展の要因は必ずしも確固たる産業政策の結果ではない。 (1)カリフォルニア州に比べ1/2〜1/3の低コスト、豊かな自然とアウトドアライフ、低い犯罪率、通勤時間の短さなどの優れたビジネス・生活環境、(2)地元経営資源の特性を生かした起業と州外への発展、地域内への再投資といった好循環を形成できたこと、(3)成長した企業が本社機能を維持・充実させ地元への有形・無形の貢献を強めたこと、(4)州政府、商工会議所などによるインフラ整備(ネットワーク型交通網や最先端の情報通信網の整備)や人材供給を目的としたWorkforce Development Training Fundなどの側面支援。 これらがあいまって地域発展の要因になったものと思われる。

5. 日本においては東京一極集中が顕著であり、地方の小都市において内発型企業の成長などにより、独自の発展を遂げているところは少ない。 しかしながら、今後一層の規制緩和の推進、地方分権の拡大、情報通信革命の進展を背景に、地理的なハンディや中核的大学の不在などの不利な条件を克服し、自立的発展を遂げる日本の地方小都市が出現することが期待される。 この意味において、アイダホ州ボイジの発展形態は極めて示唆に富んでいるものと思われる。

(原題)成長を続ける小都市アイダホ州ボイジの戦略と特性
日本政策投資銀行ロスアンジェルス駐在員事務所

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