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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第7シリーズ 1話 「史上最低の3B!」

平成16年3月、教育委員会に勤務する坂本金八(武田鉄矢)は、花子先生(小西美帆)の急な産休により桜中学2年B組の代理教諭に任じられ、久しぶりの現場復帰に懐かしいやら嬉しいやら。ところが金八が担任することになったクラスは、一筋縄ではいかないイマドキの生徒だらけ。かつてのやり方が通用しないと気づいた金八は対応に戸惑う。

花子の育児ノイローゼによる産休の延長で、持ち上がった3年B組を年度いっぱいまで担任することとなった金八。10月になると、発育障害を抱えた転校生・飯島弥生(岩田さゆり)が3Bに加わる。

そのころ港東高校では、生徒の集団麻薬使用が明らかに。港東高は桜中からの進学者が多数いる学校であり、教師たちは桜中生への麻薬汚染を心配する。

金八は麻薬の恐ろしさを説明しようとするが、聞く耳を持とうとしない大部分の3B生徒は教室を出て行く。それでも金八は残った僅かな生徒へ向けて熱弁を振るうのだが、そんな中、家庭に何らかの問題を抱える丸山しゅう(八乙女光)が耐え切れずに耳を塞ぎ、パニックに陥ってしまう。

04年10月15日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 福澤克雄

視聴率: 17.9%

DVD: 第1巻

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
● いやぁ、ひどいクラスでした。
○ 名前を「かねはち」と読まれたり、説教しようとすると「話し合いだと言ってるのに一人で喋ってるだけじゃん」と的確なツッコミが入ったり。今までの金八先生は、過去の実績に基づく新生徒に対する説得力を持っていたんだけれど、これがまるで通用しなくなっているのが新しかった。
● 新3Bには笠井美由紀の弟がいるはずです。でも姉から聞いた評判もあのクラスには伝わらなさそう。
○ 全体的に個性派揃いだったけれど、特に一人すごいキャラクターがいたでしょ。狩野伸太郎。うるさく茶々入れる生徒。ツッコミが的確すぎて金八も反論できない。あれが大きいよね。これは話し合いじゃなくて説教だ、なんて視聴者も思っていたことだから。ズバッと言われると先生はやりづらいよ。
● 僕は彼の「アチャー」が気になりました。おかしなヤツです。
○ 金八先生は桜中に復帰するように命じられて、浮かれてたよね。久しぶりの土手を感慨深く歩いて、校長にもニコニコしながら憎まれ口を叩く。そういうのが懐かしくて嬉しそうで。ところがクラスは収拾がつかなくなっていてそれどころじゃないぞと。全く生徒を掴めず、浮かれ気分の目が覚めた。その気持ちの落差が金八先生の顔にはっきり出ていて面白かった。
● とんでもない生徒が多いですよね。車掌はいるし、ゲーマーはいるし、なによりカンニングし放題。「3B's」なるダンスグループもいました。
○ クラスの小競り合いを鎮めたのがダンスだったんだよね。教卓の上でアクロバティックに踊るあのシーン、よく見ると悪ぶってる女子(浩美?)が足で教卓をしっかり押さえている様子が映っていて、キャラと違うのではと心配してしまった。
● 3B'sってネーミングセンスは0点ですよね。2年の頃から3B'sだったんでしょうか(笑)。
○ それと、その時クラスで起きた小競り合いは女子が原因になっているよね。女子同士のケンカというか、女子の方が強くてやんちゃなクラスは初めてのケースかな。それに今まではガリベン君が我慢仕切れなくなって一喝すると騒ぎも一段落ついたんだけど、今回は無視されて、ダンスを踊るまで収まらなかった。
● いろいろとこれまでの3Bとは違うクラスなんですね。だから金八先生も要領を得なくて、引継ぎから半年経っても相変わらずの大騒ぎクラスのままだと。そこにちょっと障害を抱えているような転校生がやってくるという。
○ その前にしゅう君だよ。しゅうの登場シーンは面白かったね。冒頭から平八郎が出て雪絵ちゃんが出て、健次郎、ちはる…ときてオレンジのバッグが映ったから…
● ノブタ!と思ったら違った。
○ すっかり騙された。おかげでインパクトがあったよね。しゅうはノブタに勝るとも劣らない不幸な家庭事情を抱えているらしい。
● 家に帰ると母親らしき人から暴力を振るわれる。家の外には壊れたトラックがあって、表札には父らしき人の名前。一番奥の部屋に何か秘密がありそうな予感、といったところでしょうか。
○ スーパーからリンゴを持っていっちゃったでしょ。あのシーンが結構暗示的だなと思って。売り物のリンゴは今の自分にはない幸せの象徴のようなもので、つい見とれていたら女子(デカあすか?)が飛び出してきてぶつかって、売り物がメチャクチャ。しゅうの家のトラックも交通事故でぶつかったんじゃないのかな。それで一家の幸せを奪われたとか。
● なるほど。それで幸せのリンゴをついポケットに。
○ そして家に帰ると、例の母親が奥の部屋を意識しながらしゅうをせっかん。奥の部屋に父親がいるのかな。
● 僕も気づいたことを喋っていいですか。あのぅ、オレンジ色のバッグって、なぜそうなるのかは分からないんですが、愛情が欠如している象徴だと思うんですよね。ノブタとしゅうが似たようなバッグを持っていることからすると。
○ 心のどこかで注目されたい気持ちがあるから派手な色の鞄を持つ、というような?
● そうかもしれません。見た感じ、3Bにはあと二人オレンジが目立つバッグを持った生徒がいたんです! 一人は転校生に席を譲った、ちょっと壁を作って突っ張っているような奈穂佳。もう一人は、男子にバッグを持たせて、学級委員と喧嘩しそうになっていた玲子なんです!
○ その二人も今後それぞれ問題が明らかになってくるかもしれないね。
● そんな中いよいよ転校生がやってくるワケです。飯島弥生。ちょっと発達障害がある子。
○ この生徒が転入してくる時、珍しく金八先生が弱気になっているのが気になるなぁ。鶴本直の問題を克服した経験があるにも関わらず。
● 弥生が来てなんとなくクラスが浮ついて、ちょっとしたキッカケで取っ組み合いが起きて教室大混乱と。具体的には伸太郎と、学年一の女好きである量太が勝手に弥生を取り合って喧嘩が起こるわけですが、弥生のパニック症状が現れる一方で、喧嘩する者、煽る者、ゲームに興じる者、無視する者、お金を盗まれる者も出てクラスのバラバラな勝手ぶりがスローで流れます。
○ そう。スローなんだよね。一話のラストシーンかと思ってしまった。弥生はパニック、しゅうはおそらくお金を盗っていて、混沌とした教室。さあどうなるんだろう?と思わせたところで「つづく」が出る流れだよねぇ。時計を見たらまだ時間があるからビックリ。
● この後まだ30分残ってるんですよね。しかもその30分も一話分ぐらいの濃さがある(笑)。ちなみにこのお金が盗まれたシーンで、たぶんチビあすかだと思うんですが、財布がやっぱりオレンジ色だったんです。
○ よくチェックしてるなぁ(笑)。
● それでラストの30分なんですけどね、3B大混乱のあとは、しゅうがいきなりヤクザに追われるんですよ。
○ さらに近くの高校で集団麻薬使用が発覚。畳み掛けるよね。笠井美由紀は弟が3Bにいるんで、小林先生と以前一事件起こした関係で、小林&花子絡みで登場するのかなと予想していたんだけれど、こんな意外な形で出てきた。
● 小林先生と花子先生は結婚していたんですね。
○ 意外だったよなぁ(笑)。小林先生は美由紀と「18歳になったらデートをする」約束をしていたのに、花子先生と子供まで作っていたとは。二人の関係には何の前触れもなかったのに。
● 美由紀はバスケ部のマネージャーとして部員の麻薬を預かるという立場にあった、ということはいつでも使える立場だったのに、小林先生が結婚するというショックな出来事がありながらよく手を出さなかったと思いませんか?
○ ははは、言えてるね。笑っちゃいけないけど。想像妊娠事件を経験したことで強くなったのかな。
● そして教師達が職員室で激論。校長と金八先生の言い合いが他の先生にたしなめられるシーンは、第1シリーズで吉村孝がいなくなったときの左右田と金八の言い合いに似ているなぁと感じました。
○ さらにこのころ怪物ガードでは3Bがカツアゲにあっていて、女好きっぽいキャラを見せていた量太が不良に殴られてしまう。
● うーん、畳み掛けてます。要素がいろいろあって濃いですね。2時間スペシャル+もう1話ぶんぐらいの内容を無理矢理2時間に圧縮したような。
○ 大森巡査が現場に駆けつけた時、倒れている量太に向かって「スナック…」と言ってるように聞こえて、これも何かの伏線になるような気がするんだけれど、残念ながらよく聞き取れない。
● ヤクザから逃げたしゅうがこの場に居合せたんですが、結局何もできず帰宅すると。
○ ヤクザ→港東高→ガードと、狂言回しの役になっているしゅう。この一連の出来事が麻薬に関連しているとすると、しゅうの家庭にもやっぱり麻薬問題がありそう。
● 奥の部屋ですか。
○ 父親が麻薬が原因でトラックをぶつけて、あるいは事故で働けなくなって薬に手を出したか、そういう理由であの部屋に篭っているのではという推測が今のところはできるよね。しゅうはリンゴを持って奥へ入っていったけれど、幸せの象徴を父親に食べさせてあげたい気持ちがあるんじゃないのかな。カツアゲには立ち向かえなかった。でも助けたい優しい気持ちは持っているんだよ、きっと。
● リンゴといえば禁断の果実という意味合いもありますよね。やはり麻薬を連想させるようなところがあるような気がします。
○ そうかもしれないね。
● ラストの金八先生の説教、次々と生徒が出て行ってしまうのでかわいそうでした。
○ その上「昔の3Bの話やめてもらえるかな」だもの、追い詰められるよね。さらにこの麻薬の話でしゅうがパニックになって、金八はしゅうが麻薬に関連した悩みを抱えていることに気づいて、顔色が変わったところで、つづく。
● いやぁ、長く感じた濃密な第1話はこうして終わるわけですね。詰め込みすぎてギリギリだったかなという気もしますけど、うまいこと興味を惹かせて続くと。
○ 終盤は息をつかせてもらえなかった。圧倒されて、ちょっと同情したところでまた次回。
● 疲れました。
○ やっぱり興味の尽きないドラマになりそうだと確信できた回だったね。他に何か気づいた点はある?
● あります。最近の金八シリーズは気の利いた小ネタが満載で、それをチェックするだけでも面白いんです。挙げていいですか?
○ どうぞどうぞ。
● はじめ仮サブタイトルは「金八が帰ってきた」だったそうです。
○ それだと金八の昔の影響が残る内容を連想させるから、変更になったのかな。
● 安井病院がとんでもなくグレードアップしてました。何があったんでしょう。
● 乾先生がマツダの一番新しい車に乗ってました。相変わらずブルジョアです。
● 教室内での携帯使用に妥協したなと思ったら、番組の提供がvodafoneでした。そういえばマツダもスポンサーですね。
● 金八先生が相田みつをの書を引用して説教している時、手に「懸命」というボードも持っていたんですが、それを使った場面はカットされたようです。伸太郎の頭を叩くのに使っただけでした。
● 前列真ん中の茶色いベストを着た子(比呂)が、ロバートの秋山に似てました。
○ どうでもいいことばかりだけど、面白いね。
● 重要そうなこともありますよ。ソン(園上)の弟もちょっと障害を持っているようでした。
○ おっ、これは後々ストーリーに関わってくることかもしれないな。
● それから、最後の方で典子が「こっからこっから」という台詞をしゃべったんですが、「ぽっかぽか」のモジリに聞こえなくもなかったです(典子役の上脇さんは昼ドラ「ぽっかぽか」の名子役だった)。
○ それは強引だろう(笑)。
 過去の金八シリーズでは
■飛び降り自殺
…第1シリーズ8話で越智はるみが校舎屋上から飛び降りようとして止められる。21話では雪乃の兄が東大受験に失敗して線路に身を投げた。第4シリーズ16話で広島美香が自宅ベランダから飛び降り未遂。第5シリーズ11話で塩沢好太が大西さんにケガを負わせたことで動揺し校舎屋上であわや飛び降り。
■カバン
…丸山しゅうのオレンジのプーマバッグは前シリーズの信太宏文を踏襲。プーマつながりなら第5シリーズの兼末健次郎も。3人には家庭に問題を抱える生徒という共通点が。ちなみに第1シリーズでは弥市のバッグがプーマの偽物らしかった。
■リンゴ
…金八がリンゴについて言及するシーンが第1シリーズにあった。8話、池内家のシーンで「リンゴを食い始めてから人類の苦悩は始まった」と言っている。また18話では、出産を終えた雪乃のために保がリンゴをむいてやるシーンがあった。
■発達障害
…第4シリーズの桜木伸也、第6シリーズの山田哲郎にも少々そういう特徴が見られた。第5シリーズの小野寺良輔は多動性。
■お金が盗まれる
…第5シリーズ2話で、入船力也がガラスの修理代を盗まれた。
■麻薬
…第1シリーズ10話で金八は麻薬について「嫌なことを一切忘れるために忘れる薬を飲む。そうするとずっと飲みつづけなければならないでしょう。気づくと中毒患者の出来上がり」と言及。第6シリーズでは今井儀の兄が常習。

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