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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第7シリーズ 18話 「しゅうに迫る悪魔の影」

それは、金八(武田鉄矢)の教師生活を揺さぶる悲しい出来事だった。

2月24日。ヤヨ(岩田さゆり)と小塚崇史(鮎川太陽)が復帰し、3Bは久しぶりに全員が揃う。丸山しゅう(八乙女光)は崇史と同じ高校へ進学することが友情の証しだと夜中まで受験勉強に励むが、覚醒剤の禁断症状が現れ はかどらない。そんな中、覚醒剤所持容疑で警察に踏み込まれ、逃亡を図るその途中で河合(甲本雅裕)が立ちはだかり腹部を刺される…という夢にうなされる。

25日。しゅうは金八宅を訪れ、緑山高校の二次試験を受ける意志を伝える。腕の引っ掻き傷を心配されるが「ジンマシンが痒くて自分でやった」とウソ。河合の「殺すぞ」という幻聴が聞こえだし、挙動不審となる。

3月1日。都立合格発表後のHRで、金八はしゅうが二次試験に挑戦すると発表、盛り上がる3B。しかしまたしゅうに幻聴。金八は様子の異常さを問いただすが、答えは「受験勉強がうまくいかなくて、あまり寝ていない」。真実を知っている稲葉舞子(黒川智花)は放課後、覚醒剤の使用をやめるようしゅうへ涙ながらに訴える。しゅうは消えかけた注射痕を見せながら立ち直ろうとしていることを告げ、自分のために泣いてくれた舞子をそっと抱きしめる。

しゅうが帰宅すると、一緒に勉強しようと崇史が待っていた。しかししゅうは集中できず苛立ち、崇史を送った足でゲームセンターへ向かう。激しい幻覚に襲われるしゅうの挙動のおかしさはすぐに覚醒剤の禁断症状と分かるほど。しゅうは葛藤の末、付け入ってきた不良グループから覚醒剤を買ってしまう。

翌2日。しゅうの様子は明らかにおかしい。江口哲史(竹下恭平)の五千円に手をつけたことでケンカが発生、昂ぶったしゅうは「チクったら全員ぶっ殺す」と吐き捨て教室を出て行く。ここに至りようやく事の真相に気づく金八。そのとき正門前にパトカーが止まる。警察は覚醒剤を買った生徒が桜中にいるという。しゅうの新たな注射痕を確認した金八は、衝撃の走る職員室へ戻りこう言うのだった。

「警察が捜している生徒が分かりました。3B、丸山しゅうです。」

05年2月25日放送

脚本: 清水有生

演出: 福澤克雄

視聴率: 14.0%

DVD: 第7巻

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
● 祝・ヤクザ河合さん復活!
○ ド迫力は健在。甲本さんにすっかり魅せられたファンとしては、ホント満足の再登場。…まぁ、しゅうにとっては「祝」のはずはないんだけどね。
● 最初の登場はまさかの夢オチだったんですが、その後も幻覚としてスゴイ存在感。もう金八では出番終了かと思っていたので、嬉しいサプライズでした。
あの時はまだしゅうが思いとどまってくれると思っていたからなぁ…。でもこうして禁断症状にさいなまれるようになると、あの強烈なキャラクターと凄惨な暴力シーンも「さもありなん」だよね。
● 全てはこの幻覚のために…。
○ そうそう。ここでの効果を狙って反発覚悟の過剰なバイオレンスを敢えて見せていたんだなぁ。当時は公式BBSにもだいぶ反対意見があったけれど、作り手さんからしたら思惑通りのリアクションだったんだろうね。
● それに加えて、今回は無数のイモ虫が固まってうごめく様も描写されたりして。恐怖と嫌悪でホント気持ち悪かったですよ。二度と見返したくないくらいのインパクトで禁断症状の壮絶さを教えてくれました。
○ 改めて、覚醒剤の恐さを見せつけられたというか。「高校に入ったらやめればいい」というのだって理屈として考えてたどり着いた結論ではなくて、それ以前にもうやられちゃってるわけで、後付けのようなものでしょ。
● あんなうさん臭い部屋までついて行ってる時点でアウトですよ。
○ 自分の足でゲーセンに行った時点でアウト!
● というよりも…。
○ 使った時点でアウト!
● …ですよね。
 
● 今回はラストシーンを冒頭に持ってくるという珍しい見せ方でより印象づけていますね。
○ 映像のインパクトに物語のインパクトが負けてはいけない、ということでこういう構成になったのかな。
● 先生が包帯を手に持っていたのが僕的にはポイント高いです。同じシーンだということが分かりやすかったので。
○ 最初に悲劇的な結果を見せられたから、その後はもう誰が何をやっても悲しくてしょうがなかった。こんな時に限ってしゅうの笑顔が多いんだ。そしてそのクライマックスが舞子との抱擁。束の間 分かり合う二人…。しゅうが舞子のことを名前で呼んだのははじめてだった気がする。
● 舞子にとって、ベッドの上で思い出すくらいに嬉しい出来事だったんですけど…。
○ でも舞子も禁断症状の恐さは調べて分かっていて、だんだん不安に…。ワンピースの色と同じくグレーな気持ちになっていって。しゅうが再び覚醒剤に手を伸ばしてしまうその場面との見事なカットバックは切なさ全開。
● 補導後の流れをネットで調べていましたよね。やっぱり届け出た方がいいのかとも思ったようなんですが、「少年院」という文字を見て躊躇したような。しゅうも舞子もそれぞれに葛藤している場面でした。
○ しゅうは、マジメな子だからこうなってしまったという部分があるよね。崇史の友情になんとしてでも応えて緑山に入らないとという責任感がプレッシャーになったし、金八はしゅうの芯の強さを信じて引き取らなかったばっかりにこうなってしまったということもある。
● 金八先生としては、そばで父親を見ていたはずのしゅうが、まさか、という気持ちですよね。信じていたしゅうに裏切られた、そして気づいてやれなかった…。
○ 見ている側としては、金八つぁんはいつ気づくんだ、まだかまだかとヤキモキする思いがあったんだけれど、冒頭のモノローグで「その出来事は『突然』襲ってきた」と言っているのがまた切ない。
前回も話題に上りましたが、生徒を信じて見守るという大事な意識がアダとなる様を見せられるのは辛いですよ。
○ 第1シリーズの主題歌である「贈る言葉」には、「信じられぬと嘆くよりも 人を信じて傷つく方がいい」とあるよね。これが金八先生の基本姿勢。でも今まさに、子供の自浄作用が効かない大きな壁にぶち当たった。老いというよりも時代が変わったのかなぁ…。どうなっていくのだろう。
● 生徒たちが受ける衝撃も相当ですよね。特に、しゅうが覚醒剤に手を出した理由を知った崇史は何を思うか…。
 
○ 現在は脚本家という立場から外れてしまったけれど、小山内さんは前作で幸作を悪性リンパ腫を克服する役どころにした理由を「今はもう治る病気だから、そのことを伝えて当事者や家族を励ましたかったから」だと仰っているんだよ。
● 覚醒剤中毒は、回復はあっても完治はないですよね。
○ そこで一つスゴく気になることがあるんだ。
● なんですか?
○ 幸作が埼玉大を受験するにあたって、珍しくアマゾネスの遺影の前に線香が焚かれていたんだけれど、その線香の煙が、訪ねてきたしゅうの前にフワッと漂っていたんだよね…。
● えーっ?! それって…!
 
 小ネタ拾い読み
◆冒頭、土手で久々トーチラン。スペシャルオリンピックス長野大会の開催に合わせた?
◆淳、やはり崇史の車椅子を押す係に。
◆飛び降りた時のことを語ろうとする崇史を「もういいよ」と止めたのは玲子。高飛車お嬢様の口から16話の金八先生と同じ言葉が聞けるとは…。
◆教室後ろの黒板にこんな落書きが。「Q.何故シマケンは3B'sに入れなかったのか? A.おどれませ…(泣)」アンサーの部分に「A.天然パーマがきもち悪いから」とイタズラされている様子。
◆都立一次受験組は麻子以外の全員が合格した模様。出来が悪かったはずの伸太郎も合格を果たし、金八に「奇跡のカタマリ」と評価される。
◆麻子はクラスでもトップクラスの学力を有することが判明。
◆覚醒剤の小袋に「S」と分かりやすく書いてある親切設計。
◆金八は、寒い夜にしゅうが自宅を訪ねてきたシーン、興奮して教室を出たしゅうと廊下で対面したシーン、校庭でしゅうに追いつき教室へ戻るよう訴えたシーン、その直後の舞子にしゅうの真実を問いただしたシーン、この全てで相手の両肩をしっかりと自分の両手で掴んで話し掛けている。
◆板橋が桜中校長に事実上就任。国井は相変わらず敵意剥き出し。
1話のチビあす現金盗難事件は本人の勘違いであったことが今ごろ判明。
◆玲子は優等生発言の時のみ髪を二つ縛り。きついセリフを言う時は以前のような髪型に。
 過去の金八シリーズでは
■歴代の2月後半
第1シリーズ: 浅井雪乃が出産
第2シリーズ: 加藤優の墨東工業内定取消騒動
第4シリーズ: 開栄に合格した佐藤賢治が交通事故
第5シリーズ: 兼末健次郎が開栄入学手続きされず
第6シリーズ: 鶴本直・成迫政則がそれぞれ真実を話す
 みなさんからの印象的なお便り
◆最初に逮捕に来た刑事が夢だったとは…。いくら何でも予告に夢のシーンを入れるのは反則だろうという感じで見てましたが、そのあとの展開がすごかったので、そんなことはどこかに吹っ飛んでしまいました。 (第零世代さん)
◆先生がしゅうを追って校庭に飛び出していった時、「教室に戻りなさい!」と強く言っていましたが、両親逮捕がクラスに知れ渡り、しゅうが「空気悪いね〜!」と出て行った時も、無理矢理にでも連れ戻して欲しかった…。そうすればもっと早く解決したかもしれないのに…。板橋(次期)校長先生の「薬物」というキーワードを聞いてやっと気づく…金八つぁん!頼むよぉ〜と、歯がゆい思いでした。 (やまだれいこさん)
◆今回の金八を見て、第2シリーズを思い出しました。有名な「我々はミカンや機械を作ってるんじゃないんです!人間を作っているんです!」の後に続く「例え時代がどうであれ、教師が生徒を信じなかったら、生徒は一体どうなるんですか!お願いです、教えてください!」そして最終回の「米倉先生、私もボロボロになるかもしれません…しかし、私は生徒を信じぬきます」の言葉を…。まさか、あの言葉が、あの金八の姿勢が仇になる時代が来るなんて…。 (フォルモさん)

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