第19回 再帰代名詞

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[要点]
  1. 変化
  2. 用法
    1. 直接再帰
    2. 間接再帰
  3. 語順

変化

 再帰代名詞は次のように変化します。

再帰代名詞一人称二人称
再帰代名詞三人称

 再帰代名詞は主語と同じ人や物を表す代名詞ですが、主語にはなりません。つまり、属格・与格・対格だけで、主格形が無いのです。また両数形もありません。

 一人称、二人称には中性形がありません。「私は〜」と話者として文の主語になったり、「あなたは〜」と呼びかけられたりするのは人ですから、男性形(男の人用)と女性形(女の人用)があれば事足りたのでしょう。男性形・女性形・中性形が揃っているのは三人称だけです。

 再帰代名詞は人称代名詞強意代名詞の斜格(主格以外の格)を組み合わせたもので、一人称と二人称の複数形では二語に分けて綴られます。また、二人称と三人称の単数形では、( )内に示した縮約形もよく使われます。

 三人称の再帰代名詞の縮約形(hautuなど)は、強意代名詞(autuなど)と紛らわしいので、気息の有無に注意する必要があります。

用法

 再帰代名詞は主語と同じ人やものを指し、「私自身」「あなた自身」「彼自身/それ自体」を意味します。

 ただし、再帰代名詞が従属文や句の中で使われている場合は、従属文や句の主語ではなく、主文の主語を指すことがあります。これを間接再帰と言います。主文中の再帰代名詞が主語を指すような用法は、直接再帰と言います。

直接再帰

 再帰代名詞は、主語と同じ人やものを直接に指します。この用法を直接再帰と言います。

【例】 「汝自身を知れ(あなた自身をあなたは知れ)」
直接再帰の例文

 再帰代名詞sautonは、gnothi(命令法二人称単数:「あなたは知れ」)の主語と同じ人です。

間接再帰

 再帰代名詞が従属文や句の中で用いられた場合は、従属文や句の主語(行為者)を跳び越して、主文の主語を指すことがあります。このように再帰代名詞が、直接の主語(従属文や句の主語)とは別の人(主文の主語)を指す用法を間接再帰と言います。

【例】「アテナイ人が自分(オレステス)を復帰させるよう、オレステスは説得した」
間接再帰の例文

 再帰代名詞heautonは従属文(間接話法)中で用いられて、従属文中の目的語になっていますが、従属文の主語「アテナイ人」ではなく、主文の主語「オレステス」と同じ人を指しています。つまり、従属文の主語と、再帰代名詞の表す人は別人です。
間接再帰の例文の説明

 間接再帰の場合は、再帰代名詞のほかに人称代名詞強意代名詞の斜格で表すこともできます。三人称の人称代名詞はもっぱら、間接再帰の場合にしか使われません(参照: 三人称の人称代名詞強意代名詞の人称代名詞的用法)。

語順

 再帰代名詞の属格が所有の意味(「誰それの〜」)で用いられた場合は、所有されているものを示す名詞と、その名詞についた冠詞の間(属性的位置)に置かれます。

【例】 「彼は自分の(彼自身の)名前を言う」
再帰代名詞による例文

最終更新日: 2004年8月9日   連絡先: suzuri@mbb.nifty.com